安藤孝之
私のメモリカードにはいくつもの重要な資料が保存されている。その中でももっとも重要なのが【ラルドウイルス】に関する資料だ。
いくつもの計画、何人もの人物、そしてある人物に関する資料…それらは全て“重要事項”としてロックが掛けられ私に保存された。ある人物の手によって…。
【安藤孝之に関するレポート】
これはロックが掛けられている資料の一つ。
ラルドウイルスに対して功績を遺した安藤真理子様のお父上に関するレポート。私に資料を託し、ロックを掛けた張本人。
私は安藤様の疑問にお答えしなければ…。
あの最期の日、新田朋子様が「この人類減衰計画を考案したのはあなたのお父様なの…」そう安藤様に仰った。安藤様は「私の父が…!?」と驚いていた…それもそのはず、今の私なら分かる。“こんなバカげた計画をなぜ自分の父が?”安藤様の驚きにはその疑問が含まれていたのだ。
このゼウス、あなたに一つも隠し事をせずお父上について全てお話致します。
二〇六〇年、世界は一度崩壊した。
原因は地球温暖化の悪化によるものだった。残された人類は少しでも崩壊を食い止めようと様々な案を出した。しかし、そのどれもが現実味を帯びないもので却下された。その時に一人の研究員が一つの案を出した。
【人の数を減らそう】
それがのちに実行された【人類減衰計画 通称パンドラ計画】である。
パンドラ計画と言うのは簡単に言えば、生存能力・共存能力・競争能力がどれだけあるのか人類を篩にかけ、基準に満たなかった者を落としていくという残酷極まりない計画だった。そしてラルドウイルスの被害を生き延びたものが勝者となった。
この計画を考案したのが、天鷲正尚という軍隊の研究員だった。彼は関東に有利になるようなバイオ兵器を造るよう大統領に指示された。しかし自らの知識・技術ではウイルスを造ることが出来ない。それだけの設備も資金もないと一度は諦めかけた。
けれど、彼に棲みついていた悪魔は「実行せよ…関西に行け」と囁いた。
そして彼は関西に取り入るためのスパイを雇った。
見事、スパイにより関西へ移住することができ、関西でもっとも大きい研究施設に転職。そこの研究員として働き始めた。
それが【日本病原体学研究所】、安藤真理子様のお父上、安藤孝之様の職場だった。




