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安藤孝之②

 日本病原体学研究所に勤め始めた天鷲正尚は、安藤孝之様に取り入ろうと必死だった。なぜなら、安藤孝之様は関西を…いや日本を代表する研究者だったからだ。彼ならウイルスの作製はもちろん、抗ウイルス薬を創ることも、どんな計画であろうと国のトップに進言する力がある。彼は必死だった。


〈回想〉

「天鷲くん…これ頼めるかな?元に戻しておいてほしいんだ」

「ええ、喜んで…」


 安藤孝之は彼、天鷲正尚にタブレットを渡した。そのタブレットには過去に世界で流行したもっとも危険なウイルス“天然痘”に関する資料や論文で溢れている。


「天然痘…か…場所は…」

 彼は受け取ったタブレットを戻そうと、画面を開く。〈棚番号:110た〉そう記されている。そのまま戻せば良かったものの、彼は好奇心か執着心か、資料を開いた。

「“天然痘は天然痘ウイルスが引き起こす感染性・致死性ともに非常に高い感染症である。またこの感染症は現時点では確認されておらず根絶したとされている”か…根絶…ね…。“この感染症は感染者が呼吸や咳などで排出した空気を吸い込むことで感染し、発熱・頭痛・背部痛・発疹が現れる。また動物には感染せず人間のみに…”」


 そう、天然痘は人間のみにしか感染しないと言われている。彼は天然痘ウイルスがあれば自分の計画を実行できるのではないかと考えた。

しかし…


「ウイルスのサンプルはアメリカとロシア…か…」


 現在、天然痘ウイルスのサンプルはアメリカにある疾病予防管理センターとロシアの国立ウイルス学・生物工学研究センターに保管されている。それは世界の崩壊後も変わらなかった。自分じゃ手に入れることが出来ない。けれど彼なら…。何とかしてこのウイルスを手に入れたい。そう思った天鷲正尚は動き始めた。ウイルスを手に入れるために自分が雇った二人目のスパイ使って…。


 二人目のスパイ、それは宗田史郎(そうだしろう)という人物だった。

 彼もまた、研究員として働いている。今は課長としてULIという企業に勤めている彼なら…あそこの研究員ならどんなウイルスでも手に入れられるはず…そう思ったのだ。


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