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傍観者ではいられない!  作者: ぽぽりんご
第三章 タイガ編(エロバカラノベ風味)
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第13話 レオにだって苦手な物ぐらいある

 

 

 俺は、レオに硬くなった部分を揉み解してもらっている。

 ほんの少しだけ卑猥さを感じる言い方をしたけど、つまりは肩や腰をマッサージしてもらっているわけだ。

 

「確かにバヤールの言うとおり、緊張してたみたいね。ずいぶん硬くなってる……考えてみれば冒険者になって一ヶ月に満たない新米の状態で魔族と戦ったりしてたわけだし、心理的負担が大きかったのかしら。気づかなくてごめんなさい」

「いや、緊張してるのは戦闘のせいじゃないんだけど」

 

 あいもかわらず、レオはバヤールの口車に乗せられてしまったのだろう。

 いや、俺としても大歓迎ではあるんだけど。レオってクールに振舞ってるけど、基本アホの子だよな。

 

 

 レオは、何故か知らんがミニスカメイド服に身を包んでいた。

 バヤールいわく、ご奉仕(マッサージ)をする時の正装なんだとか。

 それ信じたのかよ。大丈夫かレオ。

 

 

 ともあれ、レオは寝そべった俺の上に跨りマッサージをしてくれている。

 背中に暖かい体温を感じる。あのミニスカの下はどうなっているんだろう。下着一枚なんだろうか。

 見えないからこそ、知的探究心をそそられる。

 俺は全神経を背中に集中させた。

 

 ふむふむ、一際暖かい体温を感じるのは太腿の部分……俺の着ているTシャツ一枚のみを隔てて背中に触れているのだから当然ともいえる。ここの推察は簡単だ。

 しかし体温を感じにくい中央部分。ここの判断は難しい。

 普段レオが寝巻きとして使っている柔らかい布製のショートパンツを履いているのか、それとも薄い下着しか身に着けていないが体重が掛かっていないから体温を感じにくいのか。これは難しい問題だ……うん? 熱伝導率に圧力って関係あったっけ? 物理の授業なんてほぼ寝ているからわからん。まぁどっちにしろしっかり体重が掛かってないと接触面積が減るから熱は伝わりにくくなるだろうけど。

 

 

 と、ここまで考えて。

 俺の脳裏に電撃が走る……ッッ!

 あまりに衝撃的な発想に思い至ったため、電撃が走ったかのように錯覚したのだ。

 気分は脳天直撃セ……いやこれ以上は危険だ。やめておこう。

 

 俺がピコーンと思い浮かんだ内容はこうだ。

 

 つまり……Tシャツ脱げばいいんじゃね?

 というか何故俺はTシャツを着たままなのだ。マッサージをして貰うからには全裸ゲフンゲフン、上半身は裸で良いではないか。

 

「レオ、服を脱いだほうがマッサージしやすくないか? 脱いだほうがいいだろう。さぁ脱ごう今すぐ脱ごう」

「……それは、私の服を言っているの? タイガの服の事を言っているの?」

「いや俺の服だよ。なんでレオが服を脱ぐ必要が……はっ!?」

 

 しまった、なんか言い訳すればレオがもっと薄着になってくれた可能性が……!? 馬鹿馬鹿、俺の馬鹿!

 

 そんな事を考え苦悶の表情を浮かべつつ首を後ろに回してレオの方を見ると、しらーっとした冷たい目で俺を見下げ果てるレオの姿が。

 おおう、俺の下心を感づかれてしまったか。最近のレオは若干エロに対する警戒心が強くなってきている。きっと変態のバヤールが色々と変な事をさせるせいだろう。まったくバヤールめ、グッジョブと言わざるを得ない。

 

「このままで別段問題は感じない。さ、続けるわよ」

 

 マッサージが再開された。

 経験が無いからだろう、悪戦苦闘しながらではあるがレオは俺の体の凝り固まった部分を解きほぐしていってくれている。

 

 

 レオが唐突にマッサージするなんて言いだしたのは……当然バヤールに(そそのか)されたからなんだろうが、きっかけとなる出来事はあるよな。

 おそらくではあるが、町の空気に当てられて暗い雰囲気になっている俺を慰めようとしてくれてたんじゃないだろうか。そして方法がわからずバヤールに相談し、今の状況に至ると。

 きっとそうだ、間違いない。マッサージ自体よりもその心遣いの方が俺の心を解きほぐしてくれるわ。

 全部俺の妄想かもしれないけど。

 

 

 

 この後選手交代して俺がレオをマッサージする事になったが、無駄に生地の頑丈なミニスカメイド服を着たままだとマッサージができないので(バヤールは凝り性なのだ)服を脱ぐ事になった。

 目の前で女の子が服を脱ぐシチュエーションはエレクチオンげふんげふん、興奮するものがあったが、レオは下に普通に寝巻きを着ていた。柔らかい布で出来たノースリーブのシャツと短パンだ。

 うん、まぁそりゃそうだよな。

 

 さて、レオをマッサージする事になったわけだが、目の前に超薄着の美少女が寝そべっている姿はエロくて俺の心と血流を激しく乱す。

 うつ伏せのレオに跨るような姿勢になるわけだが、油断して腰を下げてしまうと股間のモッコリがレオのボディにご挨拶してしまう事になる。油断できる状況ではない。

 俺はレオの体のラインと手のひらに感じる柔らかい感触を心に深く刻み込みながら凝りを揉み解していった。

 

 エロい部分を揉まなかったのかって?

 何を言っているんだ、女の子の体にエロくない部分なんて無いじゃないか。肩甲骨も足の裏も、耳たぶですら愛おしい。

 特に今回、レオの脇がノーガードだ。脇。脇である。妙にエロい。おまけに色々挟んだりできる部分だ。脇にエロスを感じるのは、股間を彷彿とさせるからであろうか。それとも意外と普段目にすることの無い部分だからだろうか。興味深い課題である。

 

 ああー、俺が揉んでいる側なのにっ! 俺の心の方が解きほぐされていくんじゃー!

 必死に我慢したが、俺の股間は若干の水分を漏らしてしまった。

 窓から吹き込む風が股間に当たりスースーするのが気持ち良い。

 心地よい風だ、俺の股間を癒してくれる。卑しの風……いや、癒しの風だな。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 翌日。

 朝食を食べ終えた俺達は、町の防壁の偵察に来ている。

 敵が何処から来るかわからないため流動的ではあるが、敵の攻撃が一番激しい所は基本的に前衛の担当だ。俺達はすこし外れた箇所から遠距離攻撃で支援する役割となる。

 

 防壁から外を見ると、所々で魔法使い達が落とし穴や即席の堀を作成しているのが見えた。

 町から百メートル程の距離までは木々が伐採され、視界が開けている。この百メートルの間がキルゾーン。魔物達を撃退するための空間だ。

 

「防壁の強度に問題なし。人員の移動も容易。視界は良好。しいて言うなら、防壁が一直線になっている事が気になるけど……これだけの規模の防壁を組むなら仕方ないか」

 

 レオが町の地図を片手に、実際の地形との差異を確認していた。

 レオの言葉に、俺は疑問の声を上げる。

 

「防壁が一直線だと何がまずいんだ?」

「一度防壁に取り付かれたら、防壁の陰になって射線が通らないから周りから攻撃しにくいのよ。防壁の真上にいる部隊だけで撃退しないといけない。一直線だと脆いポイントも均等だから戦力を集中させて守るなんて事もできないしね……凹凸を作って、飛び出した部分に戦力を集中させるのが理想。もちろん周りから援護できるような防壁の組み方をした上でね。敵はこっちの主力を無視して攻めて来る事もできないし、仮にそこを突破されても内側にもう一つ防壁を作っておけばもう一度仕切りなおす事ができる」

「ああー、なるほどな」

 

 この町みたいな防壁の組み方をした場合、壁に取り付かれたらきついって事か。あと、敵の動きに合わせて戦力を移動させないといけないから後手に回らざるをえない。そういや、日本でもレオが言ってたような仕組みの城があったような気がするな……有名所でいえば、大阪城の真田丸だっけ? よく知らんけど。

 戦力の集中といえば門の所こそ危険なのではとレオに問いかけたが、固定式の防御結界があるためむしろ安全らしい。それで町全体を守ったりできないのかと続けて尋ねると、「防壁より安い物で町全体を守れるのなら、町の構造に大きく制限をかけてしまう邪魔臭い防壁なんて造らないでしょうね」との回答が来た。世の中金か。

 

 

 

「おおレオ殿! 地形の確認ですかな。さすがは有名轟く強者、油断はないというわけですか。いやはや、頼もしい!」

 

 冒険者組合長のガストンが、組合職員数人を引き連れて現れた。

 いやまぁ、声がでかいからかなり遠くにいる時点で存在は認識してたけど。

 

「頼りにしてますぞ! デカブツが現れたら、噂の必殺の一撃を叩き込んでくだされ!」

「ぐっ!」

 

 ガハハと笑いながらレオの背中をドンドン叩くガストン。

 珍しくレオはくぐもった声を漏らし膝を折る。

 若干イラッとしたのか、レオはガストンを一瞬睨みつけた。すぐに普段の表情に戻したが、俺の観察眼からは逃れられない。

 

 てか、レオが体勢を崩すとか相当だぞ。弓のイメージが強いが、レオはグリズリーと近接戦闘したってあっさり勝利を収めるぐらいの強さを持っているのだ。このおっさん相当やばい。

 

 ガストンが首をくるりと回して、俺の方を見た

 そして満面の笑顔を浮かべたまま早足でこちらに向かってくる。

 おい待て、やめろ。来るんじゃない。

 

「貴君……タイガ殿はレオ殿の相棒か? ふむ、私には分かる。分かるぞ! タイガ殿も相当な使い手であろう。漏れ出す魔力だけで相当なものだ。頼りにしているぞ勇者達よ!」

 

 耳がキンキンする程の大声をあげ、俺の背中をバシーンと叩くガストン。

 俺は息を吐いた。あまりの衝撃に呼吸が出来ない。自然と膝が折れ、地面に触れる。

 

「お、おま……これ……洒落にならんぞ……」

 

 ガクガク足を震わせる俺を、ガストンの後ろに控えた職員達は憐憫を込めた眼差しで見つめていた。

 いやあんたら、見てるだけじゃなくて助けるなり忠言するなりしてくれませんかねぇ。

 このおっさんに何を言っても無駄っぽいのはなんとなく分かるけどさ。

 

 その後、ガハハと笑いながらガストン達は去っていった。

 防壁の上は守備隊や冒険者達でごった返しているが、殆どの者はガストンが近づいてくると脇に寄ってガストンから視線を逸らしている。よそ者でもない限り、ガストンには近づかないほうが良いと身を持って知っているのだろう。

 

 ときおりガストンに捕まった冒険者が悲鳴を上げて地面に崩れ落ちるのが見えた。

 洒落にならん。倒れたあの男が回復するまで三十分は掛かるのではないだろうか。あのおっさん、味方に被害与えてないか?

 

「……災難だったな」

「ああ、本当にな」

 

 バヤールにまで憐れまれた。悲しい。

 回復魔法を使って痛みを和らげた俺がレオの横に移動して顔を見ると、レオはじっと遠くの空を見つめていた。

 おそらく実際に見ているのは別の場所だろう。魔物達の動向の確認か。

 

「魔物達の配置が変わってる。町に攻撃を仕掛けてくる順番に隊列を入れ替えているんでしょうね。おそらく今日中にこの町に来る」

「……そうか。踏ん張らないといけないな」

 

 俺がこの世界に来てもう一ヶ月以上になる。

 魔物を殺すのにはもう慣れた。人の死を目撃した事もある。人に攻撃を仕掛けた事はないが、もし盗賊にでも襲われたら躊躇わず攻撃できる覚悟だけは決めたつもりだ。後悔したりショックを受けたりするのは全てが終わった後。少なくとも戦いが終わるまでは、余計な事を意識の外に追いやってただ必要な事を淡々とこなせるだろう。

 

「……?」

 

 と、不意にレオの表情に疑問の色が浮かぶ。

 

「二つほど、妙な反応がある。遠すぎてはっきりとは分からないけど……魔族?」

「まず間違いなく魔族だろうな。魔物を統率できるのは、魔王か神人もどき……魔族ぐらいのもんだろうし」

 

 バヤールの声を聞いた俺は、力強く手を握って気を引き締める。

 

 魔族か。それも、二体。

 この前戦ったファーゾルトは、一対一ならおそらく勝てなかったであろうほどの強さを持っていた。

 それと同格の強さを持っているとしたら、俺とレオだけで遭遇したらまず勝ち目は無い。

 

「魔族は脅威。通常の攻撃は効果がない可能性がある。実力を発揮させる前に仕留めておきたい」

 

 レオがこちらに顔を向け、まっすぐ俺の目を見つめる。白く輝くサラサラの髪が風を受けて大きくたなびいた。

 相変わらずかっこいいなレオは。戦い以外のときは、バヤールにおちょくられてアホかわいい行動を取る事も多いけど。

 

「タイガ、明日の戦いでは魔族が現れるまで魔力を温存して。魔族が現れても、出来ることならすぐには手を出さない事。まず魔族の特性を見極めるように観察するのが最優先……もちろん状況次第ではあるけれど。防壁が破壊されたり味方に大きな被害が出そうでなければ様子を見るように」

 

 レオが鋭い目でこちらを一瞥する。たまに見る表情。獲物を狙う時の目だ。

 

「仕掛けるのは、仕留められると確信を持ってから」

 

 レオの言葉が重く俺に響く。

 今の俺がレオのように立ち回れるとは思えないが、心構えは大事だ。必殺の一撃を確実に叩き込む。そうすれば、勝てる。

 

「前回戦った影を操る奴もそうだったが、魔族ってのは基本的に核となる部分がある。レオなら核を見つけられるから、仕掛けるとしたら核を破壊する算段をつけてからがいいな」

 

 バヤールもレオの意見に賛成のようだ。俺も異存はない。

 

 レオの言葉に同意しつつ気合を入れなおしていると、なんだかレオの様子が少しおかしいことに気づいた。

 先ほどまでの真剣な表情は成りを潜め、なんだか微妙に困ったような表情をしている。

 レオは口を開きかけて止めるという動作を幾度か繰り返した後、上目遣いにチラッとこちらを見上げて小声で呟いた。

 

「あと……あの冒険者組合長にこの情報を伝えないといけないんだけど……タイガ、一緒に来てくれる?」

「ああ、もちろん」

 

 うお、レオが弱気だ。超レアシーンである。

 それ程までにあのおっさんが苦手か。いや、俺もできることなら会いたくないけど。

 

 

 

 この後ガストンに情報を伝えた俺達は、「よくぞ貴重な情報を伝えてくれた! 魔族は少なくとも二体か!」と褒められつつバンバン背中を叩かれる事になった。

 ちなみに背中を叩かれたのは俺だけだ。背中を叩かれつつも俺は陽気さを装いつつがっちりガストンと肩を組み、レオの方に向かうのを阻止した。

 

 ガストンも魔族の厄介さは知っているようで(過去に戦った事があるらしい)、対応策を検討する事になった。

 というか、最初から敵側に魔族が混じっているものとして考えていたようだ。

 すでに魔族の特性については冒険者や守備隊の面々に通達を開始しているとの事。ガストンの鶴の一声を受けて冒険者組合の職員達がせわしなく動いている。

 変な上司を持つと部下は大変だな……意外と有能そうではあるが、有能と変に相関関係は無い。

 

 


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