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異世界シンママ(仮) ~バリキャリ妊婦は熱砂の皇子の仮初め寵姫~  作者: 多摩ゆら
あとがき・番外編

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あとがき


 こんにちは、またははじめまして、多摩ゆらと申します。このたびは「異世界シンママ(仮) ~バリキャリ妊婦は熱砂の皇子の仮初め寵姫~」をお読みいただきまして、ありがとうございました!

 久々の新作でしたが、これまでと同様に制作秘話やキャラクター裏話などをだらりと語らせていただきたいと思います。


 前作「未婚のギャル母~」の最終更新が2025年の3月で、その当時はもう完全にネタ切れで異世界シンママの続きはないだろうなと思っていました。

 それから1年近くの間が空いたのですが、私生活が多忙だったこともあり創作活動はほぼ休んでおりまして、やっと落ち着いてきた頃に「あ、褐色アラビアンもの書きたい」とふと閃いたのでした。


 「褐色肌の俺様皇子とツン美女の話が書きたい……。異世界シンママでまだやってない何か……そうだ妊婦だ。出産を挟んであれこれする話を書こう!」と脳内でトントン拍子に話がまとまり、約3か月でガッと書き上げたものが本作でございます。いやー、勢いって大事ですね!


 もともと私はアラビアンモチーフのお話が好きで、もう15年ほど前になりますが中東や北アフリカにちょこちょこ行っていた時期があり、いつかアラビアンな世界観でしっかり話を書いてみたいとは漠然と思っていました。

 行ったのはあくまでも観光地でしたが、土地に降り立った時の鮮烈な印象やヨーロッパとは異なる異国の空気感、灼熱の砂漠と広い空、馴染みのない匂いや食べ物、建物や宝飾品のきらびやかさなどを少しでもお伝えできればと思い、物語内に散りばめたつもりです。


 世界情勢が変わり、今は気軽に旅に出たいとは言えない状況になってしまいましたが、まだまだ見たい景色や建物がありますのでいつかまた行けたらいいなと思ってます。


 ちなみに作中の例の塔は、モロッコのマラケシュにあるクトゥビアの塔がモデルです。あちらは宗教施設なので用途は異なりますが、四角くてかっこいいのです。

 また、バクラヴァとロクムは実在するトルコのお菓子です。めちゃくちゃ甘いよ!


 話が逸れましたが、そんなわけでアラビアン褐色男子が性癖の奥深くに刻み込まれており、ついでにツン美女もド性癖なので、「ケンカップル二人が火花を散らしながら惹かれ合う物語を書きたいなー」というところから執筆が始まりました。

 結果的にはそれほどケンカップルにはならなかったのですが、昔から好きな属性を好きなシチュエーションで思う存分書けたのでとても満足しています。もちろん今までのカップルも好きな属性ですけどね!


 あとは終わりだと思っていた異世界シンママシリーズをもう一度書くとなると、同じ設定を繰り返しても私も読者さんも飽きてしまうと思いますので、これまでやっていなかった設定で前二作とは異なる時代を描きたいと思いました。

 そのため、なぜ異世界人が「恵みの者」と呼ばれるに至ったかを書き、このシリーズを完結させることにしました。これがシリーズはじまりで終わりの物語です。三作お読みの方はここまで見届けていただきまして、ありがとうございました。


 15万字を目標にしていたのですが、例によって収まらずシリーズ最長になってしまったのはもう諦めの境地でした。二部構成にした時点でそもそも無理だった。

 サブキャラのエピソードもどんどん詰め込みたくなり、話が伸びました。一話が短めとはいえ最多65話となり、メニューのスクロールが大変になってしまってすみません。でも満足! 書ききった!




【キャラクター裏話】


《高野 椿》


 ブルベ背高め能力高めのツン美女を書きたいと思って生まれたヒロインです。

 今回、ヒロイン自身の人としての成長も描きたいと思ったので序盤はあえて利己的でいけ好かない感じにしていますが、あまりやりすぎても読者さんが離れてしまうので匙加減が難しかったです。私は好きなんですけどね、欠点ありヒロイン。


 外資系製薬会社のMR(営業職)で社畜なバリキャリです。例によって私はMRでも薬剤師でもないので細かい間違いはご容赦下さい。

 イメージ動物はお高そうな長毛種の猫でした。序盤は完全にシャー!してます。シャー! ฅ(`ꈊ´ฅ)


 ツン美女が恋をしてメロメロな乙女になるのがとても好きなので書いてて楽しかったです。

 イクバールやルムアに引っ張られて年上・お姉さん属性が少し増したので、当初思っていたよりは打たれ強いしっかり者の姉さん女房感が出たかなと思います。


 名前は凛としたイメージの漢字一文字の名前を付けたくて、椿が候補になりました。花言葉がいくつかある中で「誇り」「控えめな優しさ」を見て、これらを取り戻す・宿していくというイメージにより決定しました。名字は和風な感じでさくっとチョイス。


 幼少時に両親が離婚して母親に育てられましたが、神経質で嫌々働いていた母に「学歴なんて無駄、女は結局家庭に入るのが幸せ」と言われ続け、反発心で勉強しまくって資格と高収入を得たことに誇りを持っています。

 その反面、それ以外のことを切り捨ててきて性格がキツくなっている自覚もあったので、自分もまた母親と同じ道を歩むのではないかという恐れもありました。


 ちなみに元夫は調剤薬局の薬剤師でした。椿自身にも悪いところはありましたが、夫は夫で必要以上に収入の差を気にしたり、つわりで気が立っていた椿の態度にヘコんだりと自己肯定感が下がっていたので、いずれ椿から別れを切り出す未来もあったのかなと思います。




《イクバール・サクル・シャムス》


 褐色の皇子ときたら俺様だろう、という偏見により生まれました。俺様ヒーロー書いたことなかったので書いてみたかったのです。

 結果的にはあまり俺様感は出ず、誇り高く自信家ではありつつも面倒見のいいお兄さんになりましたが、恋愛アプローチなどでは俺様感が残せるよう頑張ったつもりです。


 当初は椿より少し年上の予定でしたが、椿が28歳というのが先に決まっていて、皇子が30前後で独身はさすがに帝都サイドが許さないだろうな……ということで年下になりました。

 褐色肌の色気ましましメロ男になるはずが、表紙イラスト担当の蒼獅郎さんとイメージを詰めていく中で年下のやんちゃ感も感じられるようになり、「色気はありつつも可愛げもあるスパダリ年下初恋褐色皇子夫、下戸で甘味好き」という属性てんこ盛り男になりました。


 人格が完成されていて欠点のない人になってしまったなーという気もするのですが、今回椿の方が欠点が多いのでバランス的にはまあ良かったかなと思います。

 展開上、実戦で戦うようなフィジカルの強さを見せられる場面が少なかったのが心残りです。

 なお、クファールの刀剣は湾刀が一般的です。ロゴで隠れてしまいましたが表紙イラストでも護身用の短剣を帯に挟んでいます。


 イクバールはアラビア語人名で「努力、安寧、繁栄、成功、恵み、幸運」。サクルは「鷹」、シャムスは「太陽」です。

 表記をイクバルとイクバールで迷っていて、当初はイクバルが優勢でしたが伸ばす音があった方がアラビアンぽいかなと思いイクバールになりました。

 イメージ動物はもちろん鷹です。イクバールはペットと伝令用を兼ねて鷹を飼っているという裏設定もありました。


 椿もですが、もう蒼獅郎さんの描くイクバールが良すぎてですね……キャラデザでテンションが上がって執筆速度が爆上がりしたのはいい思い出です。

 二次元においては刺青も性癖なのですが、イクバールは右首から右手首にかけて入れています。二の腕には太陽のモチーフがあるのですが本文で触れる余地がなく無念……!

 成人した男子は大なり小なり刺青を入れていて、武人ほど大きなものを好みます。ディルガームは両腕に大きいものが、サーリフは胸にワンポイントが入っています。




《マリカ》


 赤ちゃんなので特筆することもないのですが、遺伝上の親と育ての親、色々な意味で父親似です。

 妊娠期間を含めた成長過程は、妊娠の経過や発達段階を久々に確認しながら書きました。妊娠中とか赤ちゃん時代のこととか、自分も経験したはずなのにいつがどうだったかマジで覚えてない……。

 喃語とかどんなだったっけ?と我が子の動画を見返したりして、もっと撮っておけば良かったなーと今さら思ったり。


 名前は当初考えていなくて、産まれる段階になってやっと調べたのですが作中の通りアラビア語の人名で「女王」です。

 椿と繋がりのある花の名前にしようと調べていたのですがしっくりくるものがなく、偶然マリカを見つけて「もうこれしかない!」と即決でした。




《ルムア》


 元暗殺者で性別不明の金髪佳人というこちらも属性てんこ盛りな子ですが、設定にはだいぶ悩みました。

 男と女、どちらの特徴も併せ持つ……ということで、生まれ国で去勢された後天的パターンと、先天的パターンの二つを考え、過去とはいえ痛い思いをさせるのは可哀想だな……という親心により先天的パターンになりました。


 あと椿との関係性を、おねショタ寄りと百合寄りのどっちで書きたいか考えたとき「これは……百合だな!」と思ったので後半に行くほど百合百合してます。

 モデルにした性分化疾患も一応はあるのですが、あくまでも創作上の設定と捉えていただけましたら幸いです。


 生まれ国では別の名前でしたが、イクバールの配下になって新たに名前を授けられました。アラビア語で「きらめき」という意味だそうです。


 ルムア本人は否定しましたし自覚もありませんでしたが、イクバールに向けていた想いは淡い初恋だったと思います。どちらかというと女性寄りの思考ですが、日によって男性寄りにもなり、その揺れ動きを本人も少しずつ受容していくのだろうと思います。

 今後は「正妃様の美人侍女へのアプローチ合戦」が宮廷内で盛大に繰り広げられるのでしょうが、ルムアは生涯一家に仕え続けるのだろうなと思います。


 控えめ美少女(あえてこう書きます)の照れ顔とかみんな好きだろ!? ということで、描写が椿と完全にシンクロしています。

 ルムアは蒼獅郎さんの超絶可愛いオリキャラちゃんを勝手にモデルにさせてもらってますので、良かったらXやポートフォリオで見てみて下さいね。




《パリサ》


 離宮みんなのおかん。彼女が結婚したのは奴隷でなくなってからなので実は本人には子供はいないのですが、生家や後宮で子育てには多く関わってきたのでやっぱりおかんです。

 気付いたら三作すべてに「ヒーローを見守る壮年の女性」が登場してたので、おせっかいおばちゃんが(ヘキ)であることに今さら気付きました。

 名前はペルシャ語で「妖精、天使」より。意味よりも響きで決めました。




《サーリフ&ナーラ》


 ヒロインを当初は歓迎しない側近として登場しましたが、妻溺愛ゆえに手のひら返しで信奉者になるという書いていておもしれー男でした。

 実際、サーリフを味方に付けられなければ椿を正妃にすることはできないぐらいイクバールにとって重要な存在なのですが、椿の目から見ると「いけ好かなくて変な、妻ラブ男」になっています。サーリフは超有能なんですよ!


 イクバールとディルガームに挟まれて心配事が絶えませんが、苦労性な長男、脳筋な次男、やんちゃな末っ子でバランスは取れてるのかなと思います。

 名前はアラビア語人名より、「不正・腐敗とは無縁の、高潔な」の意味で。息子アズハルは「光輝く」の意です。


 ナーラは当初はそれほど出番がある予定ではなかったんですが、書いたことのないタイプや口調が楽しくて親友に昇格しました。小柄な女性が一生懸命なの可愛いですよね。この二人はおいおい深掘りできればと思っています。




《ディルガーム&シャウラ》


 サーリフと双璧をなす州軍の最高司令官ですが、出番は一瞬の予定だったので深く考えずに名前を付け、のちのちまで覚えられずに何度も調べ直すことになりました。そもそもイクバールと響きがかぶっているという。

 アラビア語人名で「獅子」とか「勇敢な者」という意味です。

 前述の幼馴染トリオを書くのが楽しくて出番が増えました。メインにすると話を膨らませづらいのですが、快活な人は書いていて気持ちがいいですね。


 シャウラは星巡りの宴の段階になって、宮廷内にも女性の味方が欲しいなと思ってできたキャラです。

 当初はディルガームの奥さんが出る予定はなく、アマゾネスみたいな肝っ玉母ちゃんなんだろうなーぐらいのイメージでした。しかし執筆する段階になって、逆に眉目秀麗の男役みたいな麗人だったら面白いのでは……? と思い、現行の性格になりました。めちゃくちゃ気に入ってしまい、同じく親友に昇格しました。


 椿とパリサとルムアの疑似家族離宮組もそうですが、女三人が悩んだり共に努力したりするシスターフッドがどうやら好きみたいです。彼女も今後、深堀りしたいですね。


 シャウラは中央アジアちっくな隣国の騎馬民族の出身で、隣国では女性も武器を手にするため、クファールでは初の女性軍人となりました。

 クファールの女性たちとは異なる価値観や倫理観で生きているため、ときに奇異にもまぶしくも映るようです。

 ちなみに結構な姉さん女房で30代半ば、ディルガームとの子は長子が女の子であとは男子です。もちろん全員が武術を学んでいます。


 クファールの軍人は「一の槍ディルガーム」「二の剣〇〇」「三の弓シャウラ」と二つ名を名乗りますが、これは「イクバール殿下の三席めの武人で、得意な武器は弓のシャウラです」という自己紹介を兼ねています。自称だったり他称だったり。




《マジュディ&ウマル》


 マジュディは職人気質の寡黙な先輩で、女としての椿にはまったく興味のない人です。薬師としてはとても興味があります。

 イクバールの目の敵にされてますが、「なんで俺が……?」と思ってます。たぶん一重で意外とマッチョ。奥さんと二人の子がいます。

 アラビア語人名で「栄光の、高潔の」といった意味ですが、彼も音の響きから取っています。


 ウマルはアラビア語人名で「長寿の人」という意味です。フォッフォ系じいちゃん大好き。

 なお作中の生薬名は、実在の生薬のラテン名や主要成分をもじったり創作したりしています。




 それでは最後にお礼を。今回の表紙絵もシリーズお馴染み、イラストレーターの蒼獅郎さん(X→@SOSHIRO)に依頼させてもらいました。

 今回はまだ執筆も初期の段階でお声がけさせていただいたので、やり取りをする中でキャラ像が固まっていった部分もあります。

 椿の花に似た髪飾りを贈るというエピソードは、イラストを拝見してから追加したものになります。見たこともない花の髪飾りをオーダーするなんて、愛でしかないんですよ……。


 私から当初提案した構図が、もれなくイクバールが椿に触れているものばかりで、「とにかく椿さんに触れていたいんですね!笑」とご指摘を受け、「……本当だ!」と気付かされました。

 そんなわけで、イクバールは隙あらば椿に触れていたいし寵姫や妻を着飾らせて見せびらかしたいという設定が追加されました。


 愛あふれる素晴らしいイラストに加えて、宣伝を拡散していただいたり感想を下さったりと今回もたくさん応援してもらい、本当に感謝しております。ありがとうございました!

 隠れてしまった短剣のお披露目も兼ねて、少し大きいサイズを置かせていただきますね。


挿絵(By みてみん)



 さて今後ですが、いくつか番外編を更新しつつ、その後はまったくの未定です。気が向いたら何かしようとは思ってます。

 動きがありましたらXでお知らせするので、良かったらチェックしてみてくださいね。@dss_tamayura


 ご感想、評価、ブックマークなどいただけましたら大変励みになります。

 それでは、ここまで読んでいただきまして本当にありがとうございました!

 またどこかでお会いできますように。




 2026.7.24 多摩ゆら



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