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そして『器』を奪われた俺  作者: 深爪 みなみ


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ep.47 シュナ・フリージア②

肩の荷が降りない。


何故。


仇をうったはずだった。


それなのに____終わらない。


何も終わっていないからか。



「.........シュナさん?」

「本当にシュナさん?.........ですです?」


「ごめんねリリィちゃん。」

耳元で小さく囁いた。



「どこを見ている?グロリオサ。」


声のした方を振り向く____瞬間。

糸が切れたようにリリィは倒れてしまう。


言葉にならない。


ヒイラギとダウラの喉が小さく鳴る。

唾すら飲み込めない。


音がない。

自分達の音すら忘れてしまったのかのように。




「.........悪魔め。」





________同時刻。

ヴァルカス達も感じる無音。


神威。


睨まれているようだ。


動けない。


足が縫い付けられているように。



「おい、ヴァルカス.........。」


額に滲む汗。


「ああ。とんでもねぇぞ、こりゃ。」

「わりぃが、シーシャ、街の方を頼んでいいか。」


「ええ。貸しね。」


「恩に着る。」


頬にあたる風すら鬱陶しい。


「.........やれるか?」


「やるしかないだろ。」


「ノース。気をつけろよ。」



静寂。



それを破ったのはヴァルカスの一蹴りだった。


凄まじいスピードでサイクロプスへと突っ込んでいく。


ふたつの轟音。


「どーだ?デカブツ。いてぇだろ?」


ニヤリと笑うヴァルカスも吹っ飛んでいく。


「重たいな、デカいの。」


大盾で大槌を受け止めていたノースの足が膝ほどまで地面へとめり込んでいた。



突然、風を切る音。

ヴァルカスの耳がそれを捉えた。


「ノース!!!!」


聞こえた。


.........遅い。


全身を貫く鈍い音と痛み。


視界が反転する。空が見えた。


足は。


ある。


「いってーなぁー!デカいのーー!!!!」


瞬間、空気がきしむ。

ふたつの神威と禍魂がぶつかり合う。


「いい物貰ったぞ。デカいの。」


「完全にキレやがった。」

笑みがこぼれる。

この状況でも。


地に転がる大盾。

手には大槌。


バチバチと音をたてゆっくりと歩き出すノース。


「さぁ、もっとやろうか。」



手には伝わる。


肉を潰す感触。


骨を割る感触。



同時に身体の中から脳へと響いてくる。


肉が潰れる音。


骨が割れる音。


「.........いいな。」








________街の景色を見たシーシャ。

目にした瞬間声に出ていた。


「グロリオサ!!」



舌を鳴らす。


「ちっ。まったく。」


―刹那。



音が奪われる。



神威。



無音。



同時に崩れ堕ちるシーシャ。




「....邪魔しないでくれる?シーシャ。」

読んでいただきありがとうございます。


感想やレビューもらえると


めちゃくちゃ喜びます。


拝読いただきありがとうございました。


では、また次回。

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