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そして『器』を奪われた俺  作者: 深爪 みなみ


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ep.45 ドロップ・リベレイションⅡ②

立ち向かって行くヴァルカス。

ギルド長としてか。

もしくは過去のSSランクの誇りか。



回復役が不在。

短期決戦必須のこの状況。


ゆっくりと起き上がる。


息が整わない。

骨のせいだろう。


神威を身に纏う。

今まで出来なかった、この技術。

この土壇場で成し遂げる。

バチバチと音をたてるヴァルカスの神威。


それを見て怯んだのか、サイクロプスが1歩足を下げる。


しかし、状況は変わらない。

本人も分かっている。

己を鼓舞する様に口を紡ぐ。


「さぁて、デカブツや。」

「どーすっかねー。」

「手前のやつはパワーで、俺に一撃いれたやつがスピード型ってとこか。」

「やれるだけやるしかねぇな。」


瞬間、地面を蹴りつけパワー型のサイクロプスへと突っ込んで行く。

ヴァルカスの拳が届くか届かないかの所で

スピード型の大槌がヴァルカスを襲う。

視界外からの奇襲。

折れている骨がより軋む。

呼吸も浅くなる。

しかし、それすらも想定内。


「ってーな!デカブツ!!」

「お返しだ!!」


拳はフェイント。

ヴァルカスはくるりと身を回し脳天へと踵をぶち込む。

声を上げ倒れるパワー型。



.........だが、ヴァルカスの視界もブレていく。

「はぁ.........はぁ.......想定内だ。」






____その頃。シブルクの街のギルド前。



咆哮。

それを知っているラミラス。

いや、似ているだけで知らない。



突如現れた。



暗紅に染まった三つ首の巨躯。



【魔祖四厄災 ケルベロス】



バチバチと音をたてる暗紅の禍魂。



逃げ惑う人々。

そこら中から聞こえてくる悲鳴。

立ち尽くす人。



突如として現れたケルベロスは街の外までも届く程の咆哮を轟かす。



『我が名はケルベロス。』

『我が弟の仇。』

『出てこい!グロリオサ!!!』




____街の近くまで戻ってきていたグロリオサにもその声は届いていた。


「ヒイラギ様!!」

「ヒイラギさん!!」


「ああ、どうやらご指名のようだな。」

「...急ぐぞ!!」


新しい剣に手をかけ背中を伝う冷たい雫を感じながら不敵に笑う。


陽は沈み、暗闇があたりを包んでいた。






____もちろん、その声はヴァルカスの元にも届いていた。


「おいおい、まじかよ。」

「たまったもんじゃねーな。」

「.........」

「....それで、お前らどっから湧いてきやがった。」


ヴァルカスの近くにはふたつの影があった。


「湧いてきただなんて酷いじゃない。」


「ガッハッハッ、ヴァルカス!おめーさんボロボロじゃねーか。」


安堵。

いや、これから。






____全速で街へと向かうグロリオサ。


「ヒイラギさん!」

「また、グラビティで私が」


「いや、同じ手が通じるとは限らない。」

「ダウラ!初手。」

「任せてもいいよな?」


「もちろんです!仰せのままに!」


「リリィはなるべく街の人を外に出しつつ結界を頼む!多少の建物の被害は想定しろ!」


「らじゃりー!ですです!」



息遣いが肩へと伝わる。


間もなく魔祖四厄災との対峙。


____しかし、グロリオサが目にした光景は違っていた。





地に堕ちた三つの首。




萌芽色の月に照らされ。




暗紅の巨躯に立つ女性。





___「.........シュナ?」

読んでいただきありがとうございます。


感想やレビューもらえると


めちゃくちゃ喜びます。


拝読いただきありがとうございました。


では、また次回。

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