ep.43 パウパズ
日が登りきるであろう頃合。
グロリオサは雑貨屋パウパズへと足を運んでいた。
カランコロン。と鐘がなる。
「あらあらー。誰かしらー?お客さんー?」
「グロリオサじゃなーい。」
「今日はどーしたのー?」
相変わらずのおっとりとした喋り方だ。
寝ぼけ眼にも見える。
「相談があってな。いいか?」
「もちろんよー。私、あなた達好きだもーん。それでー?相談ってー?」
「ああ。サーシャの腕を見込んで頼みたい。」
「武器を作ってくれないか。」
シーシャと姉妹だというのが信じられない。
優しい目でグロリオサを見る。
「ふーん。武器ねえー。」
「いいわよー。」
即答だった。
グロリオサが頼みに来た。理由なんてそれだけで十分だった。
「助かる。」
サーシャは間髪入れずに口をつむぐ。
「けどー、一つだけお願いがあるのー。」
この子達だから頼めるという核心。
「なんだ?」
サーシャのお願いは凄くシンプルだが、グロリオサにとっては少しばかり難しいものだった。
助手となる者が一人、二人、欲しいとのこと。
王都で知り合いが少ない彼らにとっては厳しいとも思えるお願い。
「わかった。」
「それで取引といこう。」
「わーい。ありがとうねー。」
「それでーどんな武器にするのー?」
先の戦闘では度々、落ちている剣を使用していたヒイラギ。
もちろんヒイラギは剣を所望する。
使い方にあった剣。耐久力重視でとのこと。
細かな条件を伝えたヒイラギはリリィの武器もお願いをする。
リリィの武器は特に防御特化の短剣をとのこと。
「そっちの君はー?」
「私は大丈夫です。」
やはり少し元気の無いダウラ。
「我らだけではあれだ。そうだな。」
「ダウラには、ガントレットを作ってやってくれないか?」
うつむきお辞儀をするだけのダウラ。
何も言えない。自分にくれる優しさを貰ってよいのか、葛藤する。
「はーい。わかったわよー。」
「それじゃー、明日の夕方にはー出来ると思うからー取りにきてねー。」
気にかけてしまう。この子達は私の武器で守らなくては、──自然に芽生えた感情だった。
─「相変わらずお綺麗だ!サーシャさん!僕の童貞を奪ってください!お願いします!!!」
怒られた子供が親の機嫌を取ろうとしているかのような声。
宮下さん......。
____サーシャの作り上げた武器は見惚れる程の仕上がりだった。
最上の鍛冶師が作ったと言われても疑わない。
刀身の中央は赤く、鞘にはグロリオサの花。
もう一振は白。同様に花の紋様が施されている。
そしてガントレットには漆黒の本体に赤と白の装飾線。
それぞれが手にした武器を眺め想いを馳せる。
同じ失態はしない。
もう迷わない。止まることなど許されないのだから。
「気にいってくれたみたいでよかったー。」
「それでー、もしかしてーその子たちかなー?」
グロリオサの隣には二人の若い女性。
あの時、囚われていた女性だった。
ニアとシア。姉妹だという。
───「すまんが、カリス・ローゼンを呼んでくれないか?」
(全然会いたくはないが、仕方がない。)
そこへ訪れたカリス・ローゼン。
事情を話して、サーシャの元で働いて貰うことの承諾を得る。
二人とも仕事を貰えることに感激し、涙して感謝を述べていた。
カリス・ローゼンの瞳は、ほんの僅かに細められていた。グロリオサか、姉妹二人か。
──何かを見極めるように。
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