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俺と恵理はカフェについた。
そして、俺が思ってい通り、カフェが混んでいた。
「やっぱり混んでいるね」
「ほら、そうでしょ!今からでも遅くないから、ほかの所でも!」
「諦めない」
と即答された。
どうやらカフェから他の場所に行くことは諦めるしか無いようだ。
それよりも、この混み具合は流石、今、人気のある店と言った混み具合だ。
放課後と言うこともあり、俺達みたいな学生で、かなりの行列が出来ている。
そして、その中には、女子同士で来ている学生もいれば、カップル同士で来ている学生がたくさんいる。
ちなみに俺は、友達同士で来ているつもりだ。
俺にとって、恵理はただの友達に過ぎない。
昔からの幼なじみで、ただ、仲の良い友達……
「なんか、私達、傍から見たら、カップルだね……」
断固として違う!
恵理は、俺の事をどう思っているかは、薄々分かっているが、俺は認めない。
絶対、認めない!
そんなことよりも、早く手を離して欲しい……
こんな人がいるところで、美女と手を繋ぐなんて地獄過ぎる……
俺は恐る恐る、恵理に話しかける。
「あ、あのー恵理さん……いい加減、その手を離してくれると……」
「なに?嫌なの」
睨みつけてくる恵理。
どうしよう……
ここで「嫌だ……」なんてことを言ったら怒る?
もしかしてボコられたり……
そうだとしたら言えない。
「いえ、なんでもないです……」
はぁ……情けない。
女の子にびくびくするなんて、俺はなんて情けないのだろう……
「じぁ、仲良く並ぼうか!」
さっきとは裏腹に、上機嫌である恵理。
もしかして、俺に「嫌と」言わせないためにわざと機嫌を悪くしたとかじゃ……
恵理は俺の手を引っ張り最終列に並ぶ。
そして、恵理とたわいもない話をし、店に並び始めて6分経った頃。
俺らの後ろも、たくさんの学生が並んでいる。
そんな中、理恵がある異変に気付き始めた。
「ねぇ、結城。なんだか前の方、変じゃない?」
確かに変だ。
前の方がさっきから前が進もうとしない。
今のところ、一歩も動いていない。
「ちょっと、様子を見てくる。だから恵理は並んでいて」
「あっ、ちょっと!」
このどさくさ紛れ俺は、恵理の手から離れることに成功。
だけど、前の様子を見て「あっ……失敗した」と感じた。
「ねぇねぇ、そこのカワイ子ちゃん一人でこんな店で並ぶよりも、俺と遊ぼうよー」
金髪にピアス。
如何にもチャラそうな男性が黒髪、眼鏡の女の子をナンパしている。
「ごめんなさい。無理です」
「そんな事言わないでさぁ、少しだけ、ねぇ?」
男性は女性を行列から引っ張り出そうとしている。
「やめてください!」
女の子は必死に抵抗している。
周囲の人達も、助けようとしているが、周囲が、女性同士できている女子で、みんな怯えている感じた。
こんな状況、助けなければ!
「あ、あのーその子嫌がっていますよ……」
やべーこえー!
怖さから、つい震えた声が出てしまった!
「あ?なんだてめぇ?お前には関係ねぇだろ?」
案の定、チャラい男性に睨まれた。
この流れだと、もしかして俺殴られるのでは……
だけど、このままこの子を放置するのも……
俺は女の子の方を見たが、前髪が邪魔をし女の子の表情を見れない。
けど、この子の手は震えているのは確認できた。
きっとこのチャラ男に怯えているに違いない。
そうなるとこの子を見逃すことは出来ない!
ここは男として俺は勇気を出すことにした。
これでもし、俺がぼこぼこされても、彼女を助けられたら後悔はない!
「関係なくありません!見てください!この子が、怖がっているじゃないですか!」
「あ?俺に口答えだと?……いい度胸じゃねーか」
やばい、チャラ男が俺を殴ってくる!
だけど、後悔はない!
俺はビビってしまい、目をつぶった。
「おい、お前……」
「な、なんだよ……てめぇ!」
チャラ男の様子が変だ。
俺はそっと目を開けた。
すると、チャラ男の拳を止める女性が目の前にいた。
その人物は恵理だ。
「私の愛しき人に手を挙げたらどうなるか、わかっているよな?」
恵理は鬼の形相でチャラ男を睨み付けた。
チャラ男達は、痛がる素振りを見せる。
「わ、分かったから離せよ……」
恵理は強い。
昔から、格闘経験があるため、チャラ男を圧倒していた。
恵理はチャラ男から手を離した。
そして、チャラ男は「覚えてろよ……」と言い残し消えた。
「ゆうきー大丈夫ー怪我ない?」
可愛い子ぶりながら、俺を心配する恵理。
さきほどとは、ギャップがありすぎる。
「頭とか、怪我してないかな~?」
それにどさくさに紛れて、やたらと俺の頭などを触ってくる。
けどまぁいいか……
恵理のお陰で、俺は殴られずに済んだんだ。
「恵理。俺は、大丈夫だよ……」
それよりも周囲の人達の目だ。
周囲は俺達を称えている。
しかも、女子からは「あの人格好いい」男子からは「あの子可愛くねぇか?」的な声が聞こえてくる。
まぁ、恵理は可愛いからともかく、俺は格好良くないのに、そんなことを言われると恥ずかしい。
この空気に俺は耐えられない。
「恵理!悪いけど俺、用事を思い出したから帰るよ!」
「ちょ、ちょっと結城?あっ、待ちなさい!」
叫ぶ恵理を放置し、俺は逃げるように帰ってしまうのであった。
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