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3


俺と恵理はカフェについた。


そして、俺が思ってい通り、カフェが混んでいた。


「やっぱり混んでいるね」


「ほら、そうでしょ!今からでも遅くないから、ほかの所でも!」


「諦めない」


と即答された。


どうやらカフェから他の場所に行くことは諦めるしか無いようだ。


それよりも、この混み具合は流石、今、人気のある店と言った混み具合だ。


放課後と言うこともあり、俺達みたいな学生で、かなりの行列が出来ている。


そして、その中には、女子同士で来ている学生もいれば、カップル同士で来ている学生がたくさんいる。


ちなみに俺は、友達同士で来ているつもりだ。


俺にとって、恵理はただの友達に過ぎない。


昔からの幼なじみで、ただ、仲の良い友達……


「なんか、私達、傍から見たら、カップルだね……」


断固として違う!


恵理は、俺の事をどう思っているかは、薄々分かっているが、俺は認めない。


絶対、認めない!


そんなことよりも、早く手を離して欲しい……


こんな人がいるところで、美女と手を繋ぐなんて地獄過ぎる……


俺は恐る恐る、恵理に話しかける。


「あ、あのー恵理さん……いい加減、その手を離してくれると……」


「なに?嫌なの」


睨みつけてくる恵理。

どうしよう……


ここで「嫌だ……」なんてことを言ったら怒る?


もしかしてボコられたり……


そうだとしたら言えない。



「いえ、なんでもないです……」


はぁ……情けない。


女の子にびくびくするなんて、俺はなんて情けないのだろう……


「じぁ、仲良く並ぼうか!」


さっきとは裏腹に、上機嫌である恵理。


もしかして、俺に「嫌と」言わせないためにわざと機嫌を悪くしたとかじゃ……


恵理は俺の手を引っ張り最終列に並ぶ。


そして、恵理とたわいもない話をし、店に並び始めて6分経った頃。


俺らの後ろも、たくさんの学生が並んでいる。



そんな中、理恵がある異変に気付き始めた。


「ねぇ、結城。なんだか前の方、変じゃない?」


確かに変だ。


前の方がさっきから前が進もうとしない。

今のところ、一歩も動いていない。


「ちょっと、様子を見てくる。だから恵理は並んでいて」

「あっ、ちょっと!」


このどさくさ紛れ俺は、恵理の手から離れることに成功。


だけど、前の様子を見て「あっ……失敗した」と感じた。


「ねぇねぇ、そこのカワイ子ちゃん一人でこんな店で並ぶよりも、俺と遊ぼうよー」


金髪にピアス。


如何にもチャラそうな男性が黒髪、眼鏡の女の子をナンパしている。


「ごめんなさい。無理です」


「そんな事言わないでさぁ、少しだけ、ねぇ?」


男性は女性を行列から引っ張り出そうとしている。


「やめてください!」


女の子は必死に抵抗している。


周囲の人達も、助けようとしているが、周囲が、女性同士できている女子で、みんな怯えている感じた。


こんな状況、助けなければ!


「あ、あのーその子嫌がっていますよ……」


やべーこえー!


怖さから、つい震えた声が出てしまった!



「あ?なんだてめぇ?お前には関係ねぇだろ?」


案の定、チャラい男性に睨まれた。


この流れだと、もしかして俺殴られるのでは……


だけど、このままこの子を放置するのも……


俺は女の子の方を見たが、前髪が邪魔をし女の子の表情を見れない。


けど、この子の手は震えているのは確認できた。


きっとこのチャラ男に怯えているに違いない。


そうなるとこの子を見逃すことは出来ない!


ここは男として俺は勇気を出すことにした。


これでもし、俺がぼこぼこされても、彼女を助けられたら後悔はない!


「関係なくありません!見てください!この子が、怖がっているじゃないですか!」


「あ?俺に口答えだと?……いい度胸じゃねーか」


やばい、チャラ男が俺を殴ってくる!


だけど、後悔はない!


俺はビビってしまい、目をつぶった。


「おい、お前……」


「な、なんだよ……てめぇ!」


チャラ男の様子が変だ。


俺はそっと目を開けた。


すると、チャラ男の拳を止める女性が目の前にいた。


その人物は恵理だ。


「私の愛しき人に手を挙げたらどうなるか、わかっているよな?」


恵理は鬼の形相でチャラ男を睨み付けた。

チャラ男達は、痛がる素振りを見せる。


「わ、分かったから離せよ……」


恵理は強い。


昔から、格闘経験があるため、チャラ男を圧倒していた。


恵理はチャラ男から手を離した。


そして、チャラ男は「覚えてろよ……」と言い残し消えた。


「ゆうきー大丈夫ー怪我ない?」


可愛い子ぶりながら、俺を心配する恵理。


さきほどとは、ギャップがありすぎる。


「頭とか、怪我してないかな~?」


それにどさくさに紛れて、やたらと俺の頭などを触ってくる。


けどまぁいいか……

恵理のお陰で、俺は殴られずに済んだんだ。


「恵理。俺は、大丈夫だよ……」


それよりも周囲の人達の目だ。


周囲は俺達を称えている。


しかも、女子からは「あの人格好いい」男子からは「あの子可愛くねぇか?」的な声が聞こえてくる。


まぁ、恵理は可愛いからともかく、俺は格好良くないのに、そんなことを言われると恥ずかしい。


この空気に俺は耐えられない。


「恵理!悪いけど俺、用事を思い出したから帰るよ!」


「ちょ、ちょっと結城?あっ、待ちなさい!」


叫ぶ恵理を放置し、俺は逃げるように帰ってしまうのであった。







読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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