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「もし良かったら、一回だけで良いので、わ、私と付き合ってくれませんか?」
期末テストで、一位を取った末永さんに、ご褒美が欲しいと言われた俺は、安易に良いよと答えた。
そして、その結果、末永さんからのこのような誘いを受けることとなった。
これはもう、告白と捉えてもいいだろう。
まさか、美少女からこんな誘いを受けたのは正直、驚いたし、嬉しい。
嬉しいけど……
「ごめん、その誘い、ちょっと保留でもいいかな?」
急な誘いに俺は迷った。
俺はどうするべきだろうか?
決して末永さんとデートをしたくないわけではない。
けれど、末永さんとデートするのに自信を持てない。
と言う事で、後日末永さんに結果を報告することを約束し、俺は残された時間で返事を考えることにした。
――バイト先にて――
「で、相談て、なに白金君?」
今日はバイトの日だ。
と言うことで、俺よりも人生経験がありそうな葵先輩に聞いてみることにした。
葵先輩は大学1年生。
そして、ルックスを見る限り、絶対に恋の一つ以上はしているはずだ。
そう確信した俺は葵先輩に聞いてみる。
「先輩!デートの誘いを受けたらどうするべきでしょうか!?」
急な質問に葵先輩は、何回も瞬きし、固った。
まぁ、急すぎた質問だった。なので、俺はこの質問をすることとなった経緯を説明し改めて相談に乗って貰った。
「で白金君は、その女性のことはどう思っているの?」
俺は今の、気持ちを葵先輩に伝える。
「好きでした」
末永さんのことは好きだった。
だけど、あの日の告白で、振られて分かった。
俺なんかが、あの末永さんと付き合える訳がないと……
末永さんなんて理想が高すぎると……
「過去形と言うことは今は好きではないと言う事なんだね」
「そうです……」
と葵先輩にはそう言ったものの、正直、未練たらたらだ。
本当だったら、末永さんの事を好きでいたい。
俺の学校生活では末永さんを見るのが、生きがいみたいな部分があったからだ。あの人がいてくれたお陰で、島崎さん達からいじめられような日々でも頑張れた。
だから好きでいたい。
けど、こんな中途半端な気持ちは良くない。
そして、葵先輩はこう言った。
「なら、お誘いは断りなさい。白金君の為にもなるわ」
と言った葵先輩は休憩が終わったからと言い、休憩室を後にした。
そして休憩室に残された俺は、ただ一人で俺は考えた。
だが、葵先輩に相談してすぐに結論を出せた。
俺は決めた。
末永さんの誘いには断る。
これは俺の為である。
俺はこの中途半端な気持ちに区切りを打つことが出来る。
末永さんは中途半端な俺とデートをしなくて済む。
ーー次の日ーー
俺は末永さんを人気のない所に呼び出した。
「あの、末永さん。前の返事なんだけど……ごめんなさい。その誘いは受けられない」
「そっか……」
寂しそうな表情をする末永さん。
その表情に心が痛む。
「ごめんね、末永さん」
「ううん、大丈夫」
と言う末永さんだが、無理をしているのは明白だ。
早く、末永さんを一人にすべきだろう。
だが、これには続きがある。
俺はある提案を末永さんにしてみる。
「それでなんだけど末永さん。デートは無理だけどもし、良かったら、一緒に俺の家でご飯でも食べない?」
デートは無理。
だけど、末永さんにご褒美はあげたい。
そう思った俺は末永を家に招待してみることにしてみた。
そして、俺の手作りの料理を振舞うことにする。
いつもは夏木に家事をさせてるが、俺も家事は出来る。
だから、この提案を末永さんにしてみた。
「どうかな末永さん」
「はい、喜んで行かせて貰います!」
と満面な笑みを浮かべた末永さんだった。
こうして、俺は末永さんを家に招待することなった。
と言っても、予定が合ったのが、夏休みの下旬……まだまだ時間がある。
けれど、末永さんを家に招待することとなった以上はそれなりのおもてなしをしなければ
例えば、忙しさを言い訳にしてこなかった、自分の部屋の掃除とか……
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