表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
知らぬ間にギャル達の様子が変わっていたのですが、俺はまだ気づいていません。  作者: プリンアラモード


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/105

20

今日は期末テスト二日目。


そして、最終日だ。


午前中の科目も順調に終わり、残すは英語だけとなった。


いつもは賑やかな教室も、今は緊張感に包まれている。


それだけ、みんなが真剣なのだと伝わってきた。


「それでは、答案用紙を裏返して。始め!」


先生の号令とともに、最後の試験が始まった。


俺はひたすら問題と向き合う。


昨日、原田さんと一緒に勉強したおかげか、驚くほどすらすらと答えが浮かんだ。


手が止まる問題は一つもない。


そう言い切れるほどの手応えがあった。


これも、昨日の勉強があったからだ。


あの時間がなければ、ここまで自信を持って問題を解くことはできなかっただろう。


すべての問題を解き終えると、残りの時間を使って隅々まで見直した。


記入漏れもない。


間違えていると思う箇所もなかった。


これなら、完璧だろう。


あとは、いい結果を待つだけだ……。


やがて終了を告げるチャイムが鳴った。


こうして俺は、確かな手応えを残して二日間の期末テストを終えた。


――帰りのホームルーム前――


最後の試験が終わったことで、教室はいつもの賑やかさを取り戻していた。


今日は午前中で下校となり、部活も休みだ。


そのため、あちこちから午後の予定を相談する声が聞こえてくる。


友達同士で遊びに行く約束をしている生徒も多い。


まぁ、俺みたいなぼっちには縁のない話だ。


俺はいつもどおり、ラノベを開いた。


今日は学園を舞台にした恋愛ものだ。


俺もラノベの主人公みたいに、一度くらい恋をしてみたい。


そんなことを思いながら読み進める。


だが、いまいち内容が頭に入ってこない。


近くにいる島崎さんと小林さんが、テストの答えを巡って騒いでいるからだ。


「だから、あそこは三番だって!」


「えー、絶対に四番でしょ!」


あまりの騒がしさに、俺は本から顔を上げた。


島崎さんと小林さんが騒いでいるのは、いつものことだ。


だが、今日は一つだけ違っていた。


普段なら二人の輪にいる原田さんが、そこにいない。


気になって斜め左後ろへ視線を向けると、原田さんは自分の席で机に突っ伏していた。


一体、どうしたのだろう。


俺はトイレへ行くついでに席を立ち、さりげなく原田さんの様子をうかがった。


けれど、原田さんは顔を伏せたまま、まったく動こうとしない。


原田さんは英語が苦手だと言っていた。


もしかして、テストの手応えがなかったのだろうか。


昨日、天野店長に教わりながら、あれだけ真剣に英語と向き合っていた。


それを知っているからこそ、余計に気になった。


それに、俺がここまで手応えを感じられたのも、原田さんと一緒に勉強したおかげだ。


声をかけようか迷っていると、島崎さんが原田さんのそばまで近づいた。


だが、原田さんが伏せたまま小さく首を横に振ると、島崎さんは伸ばしかけていた手を止めた。


小林さんと顔を見合わせ、そのまま二人とも自分たちの場所へ戻っていく。


友達である二人がそっとしているのなら、俺が割って入るのも違う気がする。


俺なんかが声をかければ、かえって原田さんを困らせてしまうかもしれない。


そう思い、今はそっとしておくことにした。


それでも、やはり原田さんのことが気になった。


俺は本を読んでいるふりをしながら、何度も斜め左後ろを盗み見る。


けれど、原田さんは休み時間が終わるまで、ずっと机に伏せていた。


帰りのホームルームが始まる直前になって、ようやく原田さんは顔を上げた。


だが、斜め後ろからでは、その表情まではよく見えなかった。


そして、帰りのホームルームが終わると、島崎さんと小林さんが原田さんのもとへ向かった。


三人は短く言葉を交わし、そのまま教室を出ていく。


結局、声をかけることはできなかった。


一体、さっきの原田さんはどうしたのだろう。


まぁ、もう教室にいない以上、今は聞くこともできない。


次に会ったときに聞いてみよう。


そう決め、俺も教室を出た。


今日はバイトもないため、午後は暇だ。


真っすぐ家に帰って、録りためたアニメを見る。


キンキンに冷えた炭酸飲料と、お菓子を片手に……。


期末テスト終了を祝う、一人打ち上げだ。


そんな計画を立てながら校門を出た俺は、途中でスーパーに寄り、いろいろなお菓子や炭酸飲料を買って家へ向かった。


――自宅――


家に帰ると、俺は買ってきたお菓子を机いっぱいに広げ、録りためたアニメを再生した。


一本、二本と続けて見たあとは、今日のために取っておいた新作ゲームを起動する。


「よし、やるか」


俺はコントローラーを握り、ゲームを始めた。


だが、ふとした瞬間、机に伏せていた原田さんの姿が頭をよぎる。


何でもなければいいけど……。


気にはなったが、今の俺にはどうすることもできない。


俺は再びゲームの画面へ意識を戻した。


それから何時間プレイしていただろう。


気がつけば、窓の外は夕暮れに染まっていた。


今日は夏木の帰りが遅い。


たまには俺が夕飯を作って、ほかの家事もやっておこう。


そう思ったのだが、その前に少しだけ寝ることにした。


一時間後にアラームを設定し、俺はベッドへ横になる。


期末テストへの不安から解放された反動なのだろう。


急にまぶたが重くなり、俺はあっという間に眠りへ落ちていった。


「おにぃ、起きて。ねえ、おにぃってば」


聞き慣れた声とともに、誰かが俺の肩を揺らしている。


重たいまぶたを開けると、頬を膨らませた夏木が立っていた。


「……夏木?」


「やっと起きた! それより、これ。いい加減片づけてくれる?」


夏木が指さした先には、お菓子の空き袋やペットボトルで散らかった机があった。


「ごめん、夏木。今から片づけるよ」


「分かればよろしい!」


そう言うと、夏木は部屋を出て、キッチンへ向かった。


やがて、冷蔵庫を開けて食材を取り出す音が聞こえてくる。


結局、俺が夕飯を作るより先に、夏木に台所へ立たれてしまった。


俺は急いで机の上を片づけると、せめて夕飯の支度くらいは手伝おうと、夏木の後を追った。


「そういえば、おにぃ。期末テストはどうだったの?」


「今回は、かなりよかったと思う」


「本当? じゃあ、赤点は回避できそう?」


「たぶんな」


「その『たぶん』が一番怪しいんだけど」


「大丈夫だって」


今日の手応えなら、きっと大丈夫だ。


赤点を回避して、夏木と夏休みにいい思い出を作ってみせる。


待っていろよ、夏木!


そう意気込んだ俺だったが、机に伏せていた原田さんの姿だけは、夜になっても頭の片隅から消えなかった。

読んでくれてありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ