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期末テストから数日後
今日は期末テストの結果発表だ。
たぶん、今日の授業でテストが返ってきて、放課後あたりに、学年トップ30のランキングが廊下の掲示板に載るだろう。
「いい結果が出るといいね、おにぃ」
そう言って笑顔でお弁当を渡してくれた夏木。
「ありがとう、夏木。期末テストの結果必ずいい報告してみせるから」
「うん、分かった。ならおにぃのために今日の夕飯豪華にするから、楽しみにしていてね!」
期待してくれている夏木に見送られ俺は学校に向かった。
待ってろ、夏木。
お前にいい結果報告をして、夏休みは夏木のために俺は頑張るから
――学校――
教室に入るといつも通りの風景が広がっていた。
大体のクラスメイトが友達と仲良く喋っている。
その中には島崎さん達も含まれる。
「おはよう、キモオタ」
「お、おはよう……」
「あれれ?キモオタ君元気ないの~?」
原田さんが俺に近づく。
そして、原田さんの手が俺の額にふれる。
「ちょっと美玖やめなよ~」
「分かっているよ楓」
小林さんに止められ、原田さんはやめた。
昔の原田さんなら、俺をいじるつもりでわざとやっていたのに違いない。
けれど、今の原田さんはなんだか、違ったような気がした。
本当に俺の事を心配しているような表情を見せたからだ。
だけど、俺の思い過ごしだろう。
あの原田さんが俺の心配とか、ありえない……
そう思いながら俺はいつも通り席に座り、小説を読む。
今日は転生系だ。
俺も転生したら、チート能力を手に入れ、美女に囲まれたハーレム異世界生活を送りたいものだ。
と叶わない夢を思いながら俺は小説を読み進める。
だが集中できない。
なぜなら、今日はそんな気分ではないからだ。
早く、テストの結果が知りたくて、仕方がない。
「なんなのキモオタ。さっきから、キモいんだけど……」
島崎さん達が睨んできた。
それほど、俺が落ち着きない事なんだろう。
とりあえず、島崎さん達が機嫌が悪そうなので謝っておかなければ……
「ご、ごめん」
「だったら、キモオタはキモオタらしく、黙ってオタク小説でも読んでろ!」
「は、はい……」
小林さんに舌打ちされた俺は、言われた通りに小説を読む。
その隣では、島崎さん達が騒いでいる。
お陰様で余計、小説に集中できるわけなかった。
こうして、俺の朝は終わりいよいよ授業が始まった。
そして、授業の内容は期末テストの返し、難しいかった問題の解説が、授業の内容だった。
――放課後――
全てのテストが手元に返ってきた。
テストの結果はすべて、赤点回避に成功した。
これで、夏木のために俺は頑張れる。
だが、まだ安心はできない。
原田さんとの約束。
原田さんに勉強を教えて貰う時に約束した、学年トップ10に入る約束がある。
「やっぱり先輩も来ていましたか」
そう俺に声を掛けたのは原田さんだ。
原田さんも結果を見に来たのだろう。
ーー結果発表ーー
ついに先生がそのトップ30人が記載されている用紙を持ってきた。
いよいよだ。
「先輩、約束覚えてますよね?」
「うん」
そして、期末テスト、トップ30の生徒の名前が掲示された。
俺は名前を探す。
だが、俺の名前はなかった。
やっぱり、上には上がいる。
そう簡単には上位には入れないことだ。
俺は原田さんとの約束を果たせなかった。
折角、原田さんが俺に協力してくれたのに、俺は何も出来なかった。
「先輩!見てください!」
そう俺の肩を叩く原田さん。
原田さんはやたらとテンションが高い。
「先輩!あれ見てください!」
そう言われ、原田さんが指差す方を見ると、トップ30に原田さんの名前があるではないか!
しかもその順位は10位と言う成績だ。
さすが、原田さんだ。
「先輩!私嬉しいです!」
原田さんは嬉し涙を流す。
それほどランキングに入れて嬉しかったのだろう。
ホント、結果が実って良かったと思う。
俺は原田さんを一人にすることにする。
多分、俺がいたところで邪魔なだけだ。
それに島崎さん達が原田さんの所に来ている。
俺は、掲示板を後にしようとする。
すると、俺はある人と出会う。
「奇遇だね白金君。もしかして白金君もランキング?」
「そ、そうだけど。駄目だった」
「そっか……」
「末永さんもランキングを見に来たの?」
「う、うん……」
末永さんはどことなく、元気がないように感じる。
「どうしたの末永さん?体調でも悪いの?」
「ううん、そんなことはないんだけど、ただ結果に不安なの……」
少しでも末永さんの力になりたい……俺はそう思っている。
だけど、俺なんかが末永さんの力になるはずがない。
すると、末永さんが俺の手を握る。
「白金君。良かったら私と一緒にランキング見てくれないかな?」
末永さんは「駄目かな?」と言って俺を見つめてくる。
こんなの断れるわけがない。
「う、うん」
と言うことで俺は末永さんとランキングを見る。
そして、いとも簡単に末永さんの名前を見つけた。
流石、末永さんだ。
末永さんのランキングは堂々の一位だ。
不安と言っていたが、一位は凄い。
「凄いね、末永さん」
「そ、そうかな……」
「うん、凄いよ」
「な、なら……私にご褒美をくれませんか?……」
俺が末永さんにご褒美をあげる?
ご褒美をあげるのは構わないが、何をあげれば……
「あの、末永さん?ご褒美って何が欲しいの?」
さっきから末永さんの様子がおかしい。
顔を真っ赤にして、俯いているようだ。
大丈夫なのだろうか……
すると、末永さんは人差し指を出す。
「し、白金君。もし良かったら、一回だけで良いので、わ、私と付き合ってくれませんか?」
突然すぎる展開。
果して、白金結城はどんな答えを出すのだろうか……
次回に続く。
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