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知らぬ間にギャル達の様子が変わっていたのですが、俺はまだ気づいていません。  作者: プリンアラモード


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17/112

16.5

店内の案内を終えると、俺は原田さんをレジの前へ連れて行った。


「じゃあ、まずは接客から覚えていこうか」


「は、はい!」


原田さんは緊張した面持ちで頷く。


「そんなに身構えなくて大丈夫だよ。最初はみんな緊張するから」


「……はい」


「まずは俺がお手本を見せるね」


ちょうど一人のお客様がレジへやって来た。


「いらっしゃいませ!」


笑顔で注文を受け、会計を済ませ、商品を渡す。


「ありがとうございました!」


お客様が帰ると、原田さんは感心したように呟いた。


「すごいです……」


「慣れれば自然にできるようになるよ」


「じゃあ次は、原田さんがやってみよう」


「えっ!? わ、私ですか!?」


「もちろん。大丈夫、俺も横にいるから」


「……はい!」


少しして、一人のお客様がレジへ並んだ。


原田さんは深呼吸を一つ。


「い、いらっしゃいませ……」


声が小さい。


お客様が少し聞き返す。


「え?」


「あっ……!」


原田さんは慌ててしまい、何を言えばいいのか分からなくなってしまった。


「大丈夫」


俺は横から優しく声を掛ける。


「ゆっくりでいいから」


「……はい」


原田さんはもう一度深呼吸をする。


「いらっしゃいませ!」


今度はさっきより少しだけ大きな声だった。


注文を聞き終え、会計も無事に終える。


「ありがとうございました!」


お客様が帰ると、原田さんはその場にへたり込みそうになった。


「はぁぁ……」


「お疲れ様」


「すみません……全然ダメでした」


「そんなことないよ」


俺は笑いながら首を横に振る。


「ちゃんと最後まで接客できたじゃない」


「でも、途中で固まっちゃいました……」


「最初はみんなそうだよ」


俺も昔はそうだった。


朝比奈先輩に何度も助けてもらった。


だから今度は、俺が教える番だ。


「焦らなくて大丈夫」


「一歩ずつ覚えていけばいいから」


「……ありがとうございます」


その言葉に、原田さんは少しだけ笑顔を見せた。


やっぱり。


その笑い方を見るたびに、どこか引っ掛かる。


(……似てる)


学校の原田さんとは全然違う。


なのに、笑った時だけ、どこか面影がある。


「白金さん?」


「あ、ごめん」


また考え込んでしまった。


「今日はレジだけでも十分だよ」


「次はドリンクをやってみようか」


「はい!」


その後も教育は順調に進んだ。


ドリンク作り。


商品の補充。


店内清掃。


覚えることは多かったが、原田さんはメモを取りながら一つずつ吸収していく。


「飲み込み早いね」


思わずそう言うと、原田さんは照れくさそうに笑った。


「白金さんの教え方が上手なんです」


「いやいや、原田さんが頑張ってるからだよ」


「そんなこと……」


恥ずかしそうに俯く。


その時だった。


「あっ、もう!」


原田さんが小さく声を漏らした。


すぐに自分の口を押さえる。


「あ……」


「どうしたの?」


「い、いえ! 何でもありません!」


慌てて首を振る原田さん。


今の一言。


ほんの一瞬だったけど、学校の原田さんと同じ話し方だった気がした。


(……気のせいか)


俺はそれ以上考えないことにした。


その日の営業が終わる頃には、原田さんも少しだけ笑顔を見せるようになっていた。


「今日はありがとうございました」


深々と頭を下げる原田さん。


「こちらこそ」


「また次のシフトもよろしくね」


「はい!」


嬉しそうに返事をする。


その姿を見送りながら、俺は小さく笑った。


(この人なら、きっとすぐ一人前になれる)


その時の俺は、まだ気付いていなかった。


学校では俺を見下す彼女が。


バイトでは俺を「先輩」と呼び、誰よりも素直に仕事を学んでいることを。

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