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知らぬ間にギャル達の様子が変わっていたのですが、俺はまだ気づいていません。  作者: プリンアラモード


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12/112

12

放課後。屋上


夕日に染まる屋上には、俺と末永さんだけがいた。


風が吹き抜けるたび、フェンスがかすかに音を立てる。


緊張で喉が渇く。


手のひらには嫌な汗が滲んでいた。


本当なら。


こんな形で伝えたくなんかなかった。


もっとちゃんとした場所で。


もっとちゃんとしたタイミングで。


俺自身の意思で。


だけど、もう後戻りはできない。


俺は大きく息を吸い込んだ。


「好きです! 付き合ってください」


言ってしまった。


ずっと胸の奥にしまい込んでいた想い。


それを、最悪の形で伝えてしまった。


末永さんは大きく目を見開く。


「えっ……」


驚くのも無理はない。


昼休みまで普通に話していた相手から、放課後に突然呼び出されて告白されたのだから。


屋上に静寂が流れる。


俺には、その数秒が何分にも感じられた。


やがて末永さんは、小さく息を吐く。


そして、優しく俺を見つめた。


「……ありがとう」


その一言だけで胸が締め付けられる。


「白金君の気持ち、すごく嬉しい」


嬉しい。


その言葉に、一瞬だけ希望を抱いてしまう。


だけど。


「でも……ごめん」


その一言で、淡い期待は静かに崩れ落ちた。


末永さんは申し訳なさそうに視線を伏せる。


「急だったから、すごくびっくりしちゃって……」


「私、こういうこと、まだちゃんと考えたことがなくて……」


少し困ったように笑う。


「だから、今は返事ができないの」


「ごめんね」


そう言って、ゆっくり頭を下げた。


……そうだよな。


俺なんかと付き合いたいなんて思うはずがない。


最初から分かっていた。


分かっていたのに。


胸の奥が、苦しい。


「そ、そうだよね」


必死に笑顔を作る。


「急に呼び出して、ごめん」


「ううん」


末永さんはすぐに首を横へ振った。


「謝らないで」


「ちゃんと気持ちを伝えてくれて、私は嬉しかったよ」


その優しさが、今は痛かった。


「それに……」


「えっ?」


「これからも今まで通り、普通に話してくれると嬉しいな」


柔らかく微笑む末永さん。


「白金君と話してると、すごく楽しいから」


その言葉に、胸が少しだけ温かくなる。


だけど。


……違う。


きっと気を遣ってくれているだけだ。


末永さんは誰にでも優しい。


だから俺にも、こんな言葉を掛けてくれているだけなんだ。


期待なんてしちゃいけない。


「ありがとう」


それだけ言うのが精一杯だった。


俺は末永さんに背を向け、屋上を後にした。


振り返る勇気はなかった。


――靴箱――


「おつかれ~」


聞きたくもない声が耳に届く。


顔を上げると、靴箱の前には島崎さんたちが待っていた。


三人とも満足そうな笑みを浮かべている。


「これで満足……?」


力なく尋ねる。


「うん。最高」


島崎さんはニヤリと笑いながらスマホを差し出してきた。


画面には、さっきの屋上での光景が映っていた。


『好きです! 付き合ってください』


俺が告白し、


末永さんに断られ、


落ち込んで屋上を去るところまで。


全部。


動画に撮られていた。


「いや~、いい動画撮れたわ」


島崎さんは満足そうに笑う。


「最近さぁ、キモオタがちょっと生意気になってきたじゃん?」


「だから、保険を作っておこうと思って」


保険。


その一言が胸に刺さる。


「これから逆らったら、この動画がどうなるか……分かるよね?」


「学校中に拡散されちゃうかもね~」


原田さんが楽しそうに笑う。


「これでキモオタ君も、私たちの本当のしもべだね」


小林さんまで笑っている。


俺は何も言い返せなかった。


怖かった。


情けなかった。


好きな人に告白し。


振られ。


その姿を動画に撮られ。


弱みまで握られる。


全部、島崎さんたちの思い通りだった。


俺は拳を強く握り締める。


悔しい。


だけど、何もできない。


そんな自分が、一番嫌だった。


⸻


――帰り道――


夕焼けに染まる帰り道。


住宅街には、俺の足音だけが響いていた。


さっきまで必死に我慢していたものが、もう限界だった。


「……っ」


視界が滲む。


一滴。


また一滴。


涙がアスファルトへ落ちていく。


好きな人に振られた。


動画まで撮られた。


俺は、何一つ守れなかった。


「……情けないな」


誰にも聞こえないよう、小さく呟く。


流れ続ける涙は、しばらく止まりそうになかった。

読んでくれてありがとうございます

次回もよろしくお願いします

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