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第六十一話

「こんな感じか、ユキとユナはどうだ?」

「ちょっとデメリットが痛いけど、概ね満足ね」

「良い感じだわ、射手には心底嫌われそうだけどね」

 2人とも試運転を終え、今の状態になれたようだ。

「そうか、俺はダメだわ…今まで[速度]の恩恵でどれだけ快適だったかを痛感したわ」

「あー…」

「確かに、今までと比べるとね…」

「補正の上ではデフォルトの一億倍だったからなぁ」

 まあ、実際はいつの間にかアプデでキャップが設けられていて、数値上程速く成らなかったが、超過分はデバフを喰らった際に真価を発揮し、[速度]の数値次第では、デバフ込みでもキャップ速度の維持は可能だった。

 いつの間にか、速いのが当たり前だったが、無くなるとこれほど不便さを感じるとはな…。

 …過ぎた事をいつまでも引き摺ってても仕様無いし、前向きにいくとするか。

「それじゃ、インベーダー狩りに向かうとするか」

「「おー!!」」


 再び西門から外に出て、門番の傍で戦う。

 今の俺らだと、悪党側に淘汰10回目止めが居たら太刀打ち出来ないので、援護に徹する。

 丁度、門の脇のスペースが空いていたので、ツチノコを放ち、畑を敷設しつつ様子を見る。

 少しすると、ブチ切れた悪党とインベーダーが、大挙してツチノコの飼い主である俺目掛けて突っ込んで来る。

 現在ツチノコのLvは14。反射1回につき14万のダメージはさぞ鬱陶しい事だろう。

「さあ弾幕を張るわよ!」

 オーブとスピアを交互に撃ち、チマチマとダメージを稼いでいくユキ。

「足並みの妨害なら任せて」

 戦場を三日月状に動き、敵の陣形を徹底的に破壊。

 そしてそこへ突っ込む俺の白蛇に、ライセンスが消えたせいで弱体化したガーディアンの魔法。

 暫らく戦って解ったが、やはり繁栄直後のプレイヤーと淘汰数が多いプレイヤーとじゃ、手数からなにから劣っててキツイ。

「分かっちゃいたがこりゃ無理だな」

 ユキもユナも実戦で格差を実感し、先ずはLv上げなどの戦力向上を優先する事に賛成した。

 まあ、金稼ぎはいつもの事だからな、いつもの作業に戻るだけだ。


「んじゃあどこに行くか?」

「そうね、色々と各惑星にも変化があるみたいだし、取り敢えずアースを歩いてみない?」

「賛成。場所によっては難易度の緩和もされてるみたいだし、稼ぎ場所を見つける為にも一度行ってみるのが一番だわ」

 という事で、ホーム西の森を避け、アースの各所を巡ってみる事にした。


「先ずは東の樹海だな」

 環境保全なのか、最小限に整備された道路を歩き、樹海の入り口に到着。

「…なんか随分と物々しくなったな」

 以前は無かった検問所が設けられ、堅牢な監視塔が幾つも建てられている。

 傍に居たNPCに聞くと、以前横行した不法投棄によって、危険な生物が大量発生した為、それらが氾濫しないように閉じ込めつつ、少しずつ浄化しているとの事だ。

「なんなら依頼を受けていくか? 汚染ヶ所にこの分解酵素を掛けてくれるだけで良いんだが」

 とNPCに勧められたので、折角だしと二つ返事で応じる事に。

 三人で門を潜り、樹海に入ると雰囲気が一変。

 先程まで、SFとファンタジー感あるパンクな世界感だったのが、薄暗く、おどろおどろしい声が聞こえ、木などのオブジェクトもハロウィンで見る様な禍々しい意匠になっている。

 まあ、こんなのいつもの事なので、気にせず進んでいると、樹海名物の温まる猿が出現。

「うわぁ…これはまた頭に来るわね」

「これ考えた人絶対病気だわ…」

 ユキとユナが零す様に、現れた猿は非常にユニークな見た目をしていた。

 言ってしまえばコスプレで、ある猿はカボチャを被り、ある猿はとんがり帽子を被ったりと、バラエティーに富んでいる。

 だが温まるポイントは其処ではなく、兎に角声がウザったくて仕方がない。

 ハロウィンがモチーフなのか、矢鱈と「ヒャヒャヒャヒャ」「イヒヒヒヒ」といった感じのSEをかましてくるのだ。

 しかも、そのたびにカボチャの被り物の目が光ったり口がカタカタと動いたり、とんがり帽子がクネクネ動いたり、杖の先端がパトランプの様に光ったりと、一々ギミックが凝っているのもポイントが高い。

 幸い、由緒正しき最初期エリアという事で、今バージョンアップにて難易度の緩和が施されており、牽制のアイススピアにてアッサリと昇天した。

 散々煽られた分、蹂躙した時のカタルシスが半端無いな。


「お、これか」

 木の根元にこびりつく、黄緑色の粘液を発見。

「多分浄化剤を掛けたら何かしら出て来る筈だから警戒してくれ」

「「了解」」

 二人に注意を促し、石灰のような白い粉を粘液に振り掛ける。

 粘液の粘性が少しずつ落ち、色も薄くなりながら消えつつある中、突然目の前の木に顔らしきものが出現し、巨大な口で噛み付いてきた。

「うわ!? こういうパターンもあるのか…」

 以前までなら豚の判定で防げた程度の奇襲だが、それも無くなってしまった今、想定外なのもあってモロに被弾してしまう。

「まあ、全然痛くないんだけどな」

 即座に反応した白蛇によって毒霧を浴びせられ、枯れ果ててしまった。

 流石に初期エリア相当に格下げされた場所じゃ、危険なんて微塵も感じないな。


 樹海を辞し、順番にアースを巡り、大体の環境を把握。

「ホーム周辺は基本的にゲーム初期並みの難易度に、それ以外はホームから離れる程難しくなって、最果てや東西南北の最端はこれまでの比にならない位難しくなってるんだな」

 久しぶりに、通称桃太郎エリアと言われるイヌキジサルが中心のエリアに行ったのだが、これなら鬼にも勝てるなと納得できる凶悪さを誇り、数分で敗走を喫する事に。

 他には…そうだ、砂漠のダンジョンもリニューアルされてるらしい。

 地下1階からスフィンクスやアヌビス兵アポピス兵に墓守等が出現するという、激し過ぎる難易度にユーザー悶絶と評判らしい。

 今の俺らだと砂漠を横断する事すら厳しいから、その内行けたら良いなと思ってる。


 マサとタロウがインしていたので、一旦PAに戻り合流。

「いや~きついわ」

「ホンマに苦しいわ」

 2人も既に繁栄に突入したそうで、著しい弱体化に辟易している。

「次第に以前の強さに追い付き追い越せるとはいえな」

「今までのビルド要素の発展と違って、今回は出来る事が極端に制限されんのがきついねん」

 そんな2人は既に実戦を済ませていて、その感想を今から聞かせて貰う。

「俺はタレントを〔再構築〕をに、バロメータは〔楽〕したんだが」


〔再構築〕3分に一度復活できる。


「兎に角繁栄後はSTA管理が大変でな…」

「解る、マジで1秒10%とか舐めてるよな」

「不自由なくSTAを消費できてたこれまでとは全然一挙手一投足の重みが違うな」

「寧ろ、今までが異常だったと思う方が健全だな」

「そうだな。中にはSTA関連のタレントが出た奴も居るだろうし、これからはSTAをじゃぶじゃぶ使えるビルドが一目置かれるだろうな」

 他には、STAに依存しないビルドも評価が上がりそうだ。


「タロウはどうだったんだ?」

「俺のはなんと言うか…」

「一言では纏められないよな、アレは」

 説明に苦慮するタロウに、訳知り顔のマサ。

「まあええか。俺が取ったタレントは〔芋煮会委員〕、効果はこんな感じ」


〔芋煮会委員〕調理も出来て、敵に接触ダメージを与えられて、倒した敵が芋煮になる大鍋を設置出来る。


「成程…なかなか狂気を孕んだタレントだな…」

 ダメージゾーンを発生させて、そこで倒れた相手が特定のアイテムをドロップ。こう聞けばそうでも無いが、巨大な芋煮の鍋の上でくたばると、芋煮(芋要素皆無)になるってのはね…。

「[速度]のギフトで【バター化】ってのがあったが、多分同じ人間の発案やろな…」

「アレもイカれたギフトだったよな…」

「まあ、そもそもの話もぶっ飛んでたからな。ガキの軟肉を狙ったトラが内ゲバの末にバターになって、最期は捕食しようとしたガキに喰われるっていうね」

「やはり最強は人カス、ハッキリわかんだね」

「素直にガキの肉を分けてれば、多少なりとも腹は膨れた筈やのにね」

「考えさせられますね」

 ちなみに、タロウが選んだバロメータは〔楽〕だそうだ。

 やはり、暗中模索の段階だと、無難な選択肢を取るのは自然な事なんだろうな。

「…あの童話ってそういう話だっけ?」

「うーん…、合ってるような違ってるような…」

 男3人が感慨に耽る中、「そんな話だっけ?」と困惑するユキとユナだった。


 会話に一段落つき、〔芋煮会委員〕の実戦を見たかったので、5人でホームの下水道に来た。

「なんか心理的に嫌なんだけど…」

「具がネズミやGの芋煮はちょっと…」

 ユキとユナが、場所選びに難色を示したが、蟲をも喰らってきたのだから今更だと諭し、強引に連れてきた。

「そんじゃ設置するで~」

 現在、ツチノコが発生中というもあって、下水には人が殺到し、釣られて敵も大量発生。

 その状態で、良い感じに害獣害虫が群れてる区画を発見し、タロウが大鍋を設置。

「「「デカ!?」」」

 直径3mは有りそうな超巨大な鍋。その圧巻のサイズに初見の俺と双子は驚愕。

 そんな、巨大鍋を上を通って此方へ襲い掛かろうとするネズミが、1匹また1匹と芋煮に姿を変え、タロウのインベントリにねじ込まれていく。

 そして区画の掃除が済んだら、芋煮の実食に移る。

「お、普通に美味いな」

「ボーン下水って点が引っ掛かるけど…」

「味は問題無しね」

 各々感想を述べ、心情的にはともかく使用には問題無いと太鼓…小鼓判は押せるな。

「ほな、今度はバロメータを発動してみるわ」

 すると、鍋の中が真っ赤に染まる。

「芋煮激辛仕様や。効果はダメージ量と頻度の上昇やね」

 ぐつぐつと煮え滾る真っ赤な鍋。これは確かに痛いだろうな…。


 実戦での挙動を見て、所見を述べる。

「小物の大群相手なら便利だけど、大物を少数相手取るには厳しい性能ってとこか」

「そやね、俺とマサやんもそんな感想だったわ」

「後は、その大量に手に入った芋煮の活用方法だな」

 芋煮は1つで満腹度を50%も回復するが、特にバフが掛かる様な効果も無くOPの付加もない。沢山持っていても意味の無い料理だった。

「ああ、その点なら展望はあるから大丈夫。タレントに料理を食ったら効果を発揮するものがあったから、それさえ取れば無駄が無くなるねん」

「成程、ところでショットガンはどうしたんだ?」

「銃はな~、今だけなのか知らんが、タレントにそれ系のもんが出なかったんよ。で、俺のこれまでの戦闘って、銃自体の性能やなく刻印や肩書に依存しよってん、現状じゃ使う意味が薄いんよ」

「そうか…、タロウ的にはどうなんだ?」

「そやね、まあまあ落ち込んだけど、タレントのラインナップを見ると、直ぐにワクワクの方が大きくなったし、ビルドの変遷も悪くないと思ってるよ」

 タロウ自身が概ね納得してるのなら、まあ良いか。

 しかし、料理と猟銃の二本柱でビルドを構築していたのに、その片方を取られても納得出来るのは、DIYシステムの力なんかね? 脳波や脈拍からユーザーの潜在意識を汲んでる感じなのか。

「なんにせよ、本領を発揮するのはまだ先やね」


 翌日。

「いや~、テツさん困りましたよ~」

「ベルか、こんにちは、どうした?」

「こんにちは。いや、僕のタレントのラインナップが微妙過ぎて…」

 いきなり、こんな内容からスタートした、俺とベルの会話。

 聞いてみると、ベルの選んだタレントは〔モグリ神官〕だそうだ。


〔モグリ神官〕魔法<モグリヒール>を使用可能。LP回復5%、CT10s。


「そうか、<ヒール>とかの魔法も消えて、再取得も出来ないから、タレントや装備で補う必要があるのか」

「ええ、そんな中で、唯一能動的に使えそうなのがこの〔モグリ神官〕だったわけですが」

「超強いけど、今までのようなブーストが無いと物足りないな…」

「そうなんですよ…現状ではこれまでの様には動けませんね」

「そうだな。まあ、色々と瑕疵を抱えたのは俺もだし、まだ全員の情報も揃ってないからそう悲観しなくても良いだろう」

 取り敢えずベルを励まし、雑談に花を咲かせた。

 ああ、察してると思うが、バロメータは〔楽〕だそうだ。

 んで、バロメータでブーストしてる間は、回復量が倍になるらしい。


「おいーっす」

 少ししてサーモン登場。

「いやはや参ったね、今回のアプデは」

「うぃっす、マジで辛いよな」

「テツやんの、タレントのラインナップはどうだったんだ?」

「ん? まあ悪くは無いな、どうせタレントも複数取れるだろうし、幾つか取れれば淘汰時の強さを取り戻すのは難しくはないな」

「そりゃ良かったな。俺も結構良いタレントが出てくれてな、どれにしようか凄い迷ったんだよね」

 そんなサーモンが選んだのは〔聖剣再現〕と〔楽〕だそうだ。


〔聖剣再現〕人型従魔がコールブランドを装備する。


「それマジ?」

「ああ、ゴブリンをユニーク武器のコールブランドを装備した状態で召喚出来たぜ」

 コールブランド、長剣のユニーク武器で、カリバーンとカラドボルグと並ぶ聖剣だ。

 性能は…、まあ味方に使い手が居ると嬉しいが、自分で使うのはちょっと…という感じで、汎用性が高く痒い所に手が届くし、どんな相手にもダメージが通るが、火力は程々の器用貧乏武器だな。

「レイス系や高装甲のドローンにもダメージを通せるのはデカいな」

「バロメータで強化すると、リーチが倍になるから、火力は兎も角、牽制としてはかなりの高水準だな」

 30sec限定とはいえ、2m近い耐性無視の剣を振り回すゴブリンの群れか…。

 そんなのを延々と送り込まれたら、イライラで発狂しそうだな。

「そんでよう、丁度誂え向きな依頼があって参加するんだが、一緒に行くか?」

 と誘われたので、同伴する事にした。


「今回の依頼内容は、犯罪組織に強奪されたマローダーの破壊だ」

「重ブラスター戦車か…」

「使い魔程じゃないが、使い捨てるのに適したゴブリンと〔聖剣再現〕を試すには、うってつけの相手だ」

 戦場である東の大陸に跳び、ベースから輸送車に乗って作戦区域に到着。

「うわぁ…」

「相変わらず凶悪極まりない強さだな…」

 荒野のど真ん中で、多数の作戦従事者を相手取り、一騎当千の力を見せつけるマローダー。

「しかも、六両も居んのかよ」

「俺も想定外だったわ」

 そもそも、最強格の戦車を六両も強奪される状況ってなによって話なんだが。

 なんにせよ、ここまで来た以上は戦うしかあるまい。


「いや無理でしょ」

「まず近づくのが無理ゲー」

 プライベートエリアにて、反省会と言う名の愚痴を展開。

「過去に戦ったボスキャラとか、下手なゲートキーパーよりも強いぞアレは」

「笑えるよな、射程内に入ったと思ったら、PA内でリスポンだもんな」

 サーモンは兎も角、LP14兆にヒュージョンボックスで、LPの5%分のアーマーシールドバリアを展開していたのに、一瞬で蒸発だもんな。

「アレ、今の俺らだと無理だよな」

「そうだな…、一応ツチノコの反射で削れはするだろうけど、直ぐにリペアされるだろうから、倒すにはやっぱ無理だな」

「そもそも、歩兵だけでどうこうなる相手とは思えないけどな」

「いや、マローダーは対空が終わってるから、頭上を取れるならマッドなら目は有るぞ」

「あー、金に糸目を付けなければイケるか」

「赤字を気にしなければな…」


 二人で歩兵に依るマローダー撃破について議論していると、おりょうさんがログイン。

「こんにちは」

「「こんにちは」」

「お二人共調子はどうですか?」

「まあ概ね納得かな」

「色々と思う所はあるけど、今後への期待が勝るかな?」

「そうですか…」

「「おや?」」

 どうも様子がおかしいので、話を聞いてみると。

「クラフトに補正が乗るタレントが出なかったとは」

「確かに、それは梯子を外された気になるな」

「一応、調べた限りは繁栄直前までのステータスを元に、補正もある程度は受け継いでる様なんですけど…」

「まあ、どうせならより良い物をってなりますよね」

「あれかな、戦闘のし過ぎで選考が偏ったのかね?」

「そうですね…、聞く話だと、クラフト専門の人が、クラフト関連を差し置いて、戦闘系タレントしか出なかったというのは無さそうなので、やはりこれまでのプレイ内容が影響してるんでしょうね」

 はー、まさかクラフトが本職の人に、クラフト関連のタレントが出ないなんて事になるとはね。


「とまあ、ややがっかりはしたのですが、その分タレントは強力なものが出たので、嬉しくもあるんですよね。それに、今後クラフト関連が出る可能性も有ると思ってますしね」

 一応。現状に折り合いをつけてる様子なので一安心。

「それで、おりょうさんはどんな構成にしたんですか?」

「私は〔ナチュラルコーデ〕に〔楽〕ですね。思ったのですが、これ〔楽〕以外を選ぶ人っているのでしょうか?」


〔ナチュラルコーデ〕防具がアパレルのみの場合、敵に見つかり難くなる。


「少なくとも、今のところ身内から〔楽〕以外を選んだ人は出てませんね」

「ま、最初は置きにいくのが普通だろうしな」

 やはり、バロメータは〔楽〕が圧倒的に人気の様だな。

 ちなみに〔ナチュラルコーデ〕をバロメータで強化すると、更に見つかり難くなるようだ。


「こんにちは」

 おりょうさん登場から一段落した時、パミルが登場。

「パミルさんも私と同じで生産系ですが、どうでした?」

 おりょうさんが、自身のタレントのラインナップを説明。

「私もそんな大差ないですね。一応採掘の補助や敵のドロップ率操作等は有りましたけど、直接細工を補正する様なタレントは生えませんでしたね」

 そんなパミルのタレントは〔ドリル支給〕バロメータは〔楽〕だそうだ。


〔ドリル支給〕リーチの長いドリルを装備。


「また、楽しそうなタレントだな」

「かなり楽しいですね。正直攻撃面は今が一番強いですよ」

「そんなにか」

「DPSだけなら以前の三倍はありますね」

「ロケットマトックの三倍は凄いな」

 たった一つのタレントで、そこまで火力が上がるとはな。

 流石、これまで積み上げたモノを消し去るだけの事はあるな。


 夕食後、アコも含めて4人でログイン。

 アコは挨拶もそこそこに、繁栄しに教会へ。

 その間、他の面々のビルドでも聞いておく。

 先ずはシルク。

 彼女は〔ニットでガソスタ〕と〔楽〕を選んだそうだ。


〔ニットでガソスタ〕敵に近づくと大炎上する。


 非常に物騒な効果だが、自身含め味方へのダメージは発生しないとの事。

「威力は申し分ないですが、範囲がちょっと狭いです」

 元々、それなりに打たれ強いビルドにはしていたシルクだが、近接して戦うには繁栄直後の今は、少々心許ないと言うが、今後を見据えて先ずは火力の確保から入ったそうだ。


 さて、どんどん行くぞ。

「ベッタラは?」

「俺は〔無双の剣豪〕と〔喜〕だな」


〔無双の剣豪〕刀剣類のSTA消費が半減され補正が倍になる。


「おお!! 初めて〔楽〕以外を聞いたぞ」

「確かに〔楽〕の方が無難かもしれんが、〔喜〕も中々良いぞ。増加率は武器種で変わるんだが、メスで2~3%、直剣曲剣で5~6%位、一撃で増えるな」

「ほ~、って事はブースト継続中にゲージが溜まると」

「ああ、バロメータを重ね掛け出来るぜ。ただ、その場合は持続時間も引き継いじゃうけどな」

 つまり、残り二十秒で重ね掛けしても、そのまま二十秒で二回分切れちゃうのか。

「現段階だと、重ね掛けは一回が限界だな。それでも、重ねるとSTA消費が1/8、補正が8倍とかなりイカレた具合になるな」

「それで繁栄前と比べてどんなもんなんだ?」

「火力だけなら1/4てとこかな。この分なら、2個目のタレントとバロメータで簡単に超えれそうだけどな」

「凄いな、耐性貫通が無くてもそれか」

「そんだけ、今のSTA補正が重要だって事だな」


「サチはどうよ? って聞くまでもないか」

 既に、見た目からしておかしいからな。

「まあ見ての通りなんだけどね。私は〔小人化〕と〔楽〕にしたわ」


〔小人化〕体積が半分になる。


「これは良いものよ、なんせ判定もしっかり見た目通りになるんだもの」

「〖詐欺判定の刻印〗と〖卑下の刻印〗が一緒になってるのか」

「そう、超お得ハッピーセットよ。ただ、見た目通り歩幅の関係で移動速度が落ちるのが難点ね」

「融通利かねーな」

「そうなのよ…。美味しい話には裏がある典型よね」

 大体、縦横高さが4/5程に縮んでいるので、極端には遅くは無いが、結構しんどい影響だと言う。

「さらにバロメータを使うと効果が倍になって、3/5程になるから、更に遅くなるのよね」

 小児かな?


「ようマッド、調子はどうよ?」

「まあ…ボチボチだな」

「どんなタレントにしたの?」

「俺は〔スライム生成〕と〔楽〕だな」


〔スライム生成〕特殊なスライムを召喚。CT30sec。


「特殊って具体的には?」

「…説明が難しいんだが…。順を追って説明すると、先ず移動がランダム且つ前後左右の四方向にしか移動しない」

「ほうほう」

「んで、大体1m移動すると止まって、また1m程移動を繰り返すんだが、移動中は何をやられても一切の干渉を受けない」

「うんうん」

 どこかで聞いたような特徴だな。

「んで、移動中に触れた敵に大ダメージを与えるんだが、停止中にダメージを受けると、例え1ダメージでも即死しちまうんだ」

「あー、ギフトの【塔に住むスライム】の派生かなんかか」

「ああ…、もっと言えばドル〇ーガの塔のスライムまんまだな…ヒヒ」

 数多の黄金騎士を屠ってきた凶悪な魔物を、味方として召喚出来るのか。

「懐かしいな…靴が取れないと捨てゲーしてたわ」

「開幕、離れて配置されてるのを見ると、絶望したよな」

 なんて会話を、近くに居たトリオが怪訝な顔をして聞いていたのを見て、軽いカルチャーショックを受けたのは内緒だ。


 続いて、近くに居るトリオに聞く。

「ラークはどうよ?」

「俺は〔データ収集〕と〔楽〕にしました」


〔データ収集〕敵からのデバフ効果を半減。


「デバフを半減か」

「ええ、地味ですが、侮れない恩恵ですよ、ブーストすれば1/4にまで軽減出来ますしね」

「デバフを主軸にした相手には刺さるな」


「ワイドは?」

「俺は〔嵩増し義足〕と〔楽〕ですね」


〔嵩増し義足〕高さを1m増やす、当たり判定の無い義足を装着。


「要は1m宙に浮いてるって事だよな?」

「そうです。義足部分には攻撃判定もないので、踏んだり蹴ったりしても義足部分はすり抜けてしまいますけどね」

「姿勢を変える時に不便そうだけど?」

「そこは流石ゲームで、屈もうとしたり腹這いになろうとすると、瞬時に義足が消えて両足が地面に着いた状態になりますね」

「なんか悪さ出来そうな挙動だな」

「ええ、屈伸を繰り返すだけで、1mとはいえ高速で上昇下降が出来るのは強いですよ」

「ふむふむ、後は射程か」

「そうですね、リセットのせいでアーツやらスキルが消えたので、足元への攻撃を届かせる為の工夫が必要ですね。まあ今のところは屈んだりして対処してます」

 ちなみに、ブーストすると義足部分が倍の長さになるそうだ。


「さて…。…えーっとどちら様?」

「いやいや俺ですよ、ショーですって」

「冗談だよ、なんか普通に鎧を着てるのが違和感あって」

「現状、装備を縛る意味がないだけですよ」

「原人スタイルを推奨するタレントが出なかったのか?」

「いえ、ちゃんと出たんですが、今回は見送りました」

 そんなショーが選んだのは〔絶対防御〕と〔楽〕だ。


〔絶対防御〕LP同じ数値のHP、ARM、SHI、BARを得る。


「俺の繁栄後のLPが4兆5千億なので、無理しなければかなり粘れます」

「流石、原人ビルド、俺みたいに[生命]特盛じゃなくても、そこまでLPが伸びるんだな」

「パワーとタフネスで叩き潰すビルドですからね」

「しかし、そうなると現状火力は期待できない感じか」

「…そこは甘んじて受け入れましょう」

 あ、ブーストした際の効果は、それぞれの値が倍になるそうだ。


「カメキチさん、調子はどうですか?」

「こんな感じですね」

 おもむろに腹這いになるカメキチさん。そして何故か炬燵に入った状態になっている。

「いや、こんな感じと言われても意味不明ですよ」

「自分が選んだタレントが〔コタツムリ〕ってやつで、これの効果です」


〔コタツムリ〕匍匐時にコタツを背負うようになり、スーパーアーマー状態で冷気ダメージを無効化。


「これまた癖の強い…」

「どうにも腹這いじゃないとしっくりこなくて…」

「最早呪縛と化してますね…」

 バロメータは〔楽〕にしたそうで、効果はダメージ軽減20%だそうです。


 最後は戻ってきたアコ。

「私は〔騎馬対策〕ってのと〔楽〕にしたわ」


〔騎馬対策〕矢を番えている間、両脇にパイク兵が出現する。


「強そうだな」

「私もそう思ったけど、まだ実戦で試してないから分からないわ」

 という事なので、折角全員揃った事だし、アコの検証も交え、出撃する。

 場所はバグスターのホーム周辺。アプデ後は巨大百足が無数に徘徊する魔境と化しているが、ホーム周辺の敵の強さは程々であり、現状の俺らには丁度良い感じだ。

「成程、こういう感じなのね」

 出現するパイク兵は、アコの傍から離れないが、敵が間合いに入った場合のみ、パイクでつんつんし始める。

 長いリーチにそこそこの火力も有るし、名前とは裏腹にかなり使い勝手の良いタレントと言える。

 ブースト時は、パイク兵の出現数が倍になる様だ。


「繁栄後のバグスターヤバ過ぎるだろ」

 ちょっと検証で離れたすきに、ホームに殺到する蟲人間や巨大昆虫、無軌道に動き回る百足。

 敵のステータス自体はマイルドにされているが、数が揃うと厄介極まりない。

「おーいテツ、このままだとホームが陥落するぞ!?」

 マサに言われ振り返れば、今にも門を破壊しそうな蟲の大群。

「不味いな…この状況じゃホーム内に入るのも困難だぞ」

「決断は早い方が良い。ここで戦うか、東西南北のベースを目指して反撃に備えるか。俺はベースに逃げるに一票」

 マサの提案を皮切りに、多数決が採られ、結果北のベースに向かう事に決まった。

 急いで陣形を決め、出発する。

 露払いは俺、マサ、シルク、ベッタラ。

 中衛はユキ、ベル、マッド、サーモン、タロウ、ユナ。

 殿はアコ、サチ、ラーク、ワイド、ショー、おりょうさん、カメキチさんだ。

 早速、蟷螂と遭遇。

 時間も惜しいが消耗も抑えたいので、先ずは使い魔の蛇を嗾ける。

 遅れてマサが囮となり、ベッタラが突っ込む。

 そこに蟻が複数エントリーしてきたので、予備戦力のシルクが突っ込んで焼却。

 程なくして蟷螂が倒れ、再び進軍する。

 今度はホーム側から蟲が突っ込んできたので、殿と中衛が担当。

 事前に設置しておいたタロウの鍋でダメージを受け、サーモンのゴブリンが突撃。

 突破してきた蟲は、カメキチさんを盾に、矢を番えたままのサチのパイク兵が牽制し、ユキが魔法で削り、トリオが止めを刺していく。

 サチとおりょうさんは闇討ちに専念し、マッドのスライムの体当たりをサポート。

 ユナは全体を見つつ、見事に蟲の位置を微調整し、味方に貢献。

 こんな感じでジリジリと距離を稼ぎ、如何にか北のベースに到着。

 だが、時すでに遅しで、陥落済みのベースからの蟲にも襲われ、這う這うの体で逃走。

 どうにか無事だった味方と合流し、東のベースに辿り着く事が出来た。


「全く、面倒な事になったぜ」

 東のベースで救助を待っていたが、インベーダーへの対処で手が回らない為、ホームの奪還復旧は現地の戦力でやらなきゃいけなくなり、俺達も作戦に組み込まれてしまった。

「どうする? 直接ホームに向かうか、他のベースの援護に向かうか」

 メンバーと協議し、東のベースと南のベースとホームの三点の中心で戦う事に。

 その場所なら、適度に味方の援護も出来るし、適度な味方の援護も期待出来るだろう、という事で決まった。

 俺らが陣取った場所は、目論見通り敵味方との間に程良い距離があって、適度な刺激を味わうには最適な場所となった。

「んじゃあ、俺はえっちらおっちら土いじりをしてるから、皆好きに動いてて良いよ」

 俺が周辺を畑で塗るまで、皆には各々の裁量で行動してもらう。

「そいや」

 鍬を振り下ろし、少しずつ畑を増やしていく。

「やっぱ遅いなぁ…」

 以前はアーツなしで一振り6面程畑に出来てたのに、今じゃ一振り1面程度か。

 それでも、やってる内に、最初期のトロい開墾を思い出し、これでも十分に早い事を再認識すると、気持ちも楽になりモチベも上昇。夢中で鍬を振るい続ける。

「それにしてもさあ…不甲斐無いと思わないの君たち」

 繁栄後、イマイチ活躍できてないガーディアンに文句を言う。

 カタカタと抗議してくるが、現状ネタに出来るほど弱くないし、かと言って繁栄前の強さには程遠いので、その抗議は受け入れられない。

「ライセンスは殿堂入りしたけど、特典自体は消えちゃってるんだな」

 一応、Lv補正でそういった見えない補正も強化される様だから、その内強さを取り戻すかもしれないが、現状は微妙過ぎるな。

 そんな事を考えていたら、周囲が賑やかだと感じ視線を動かすと、ある程度の間隔を空けて、地面を耕すプレイヤーを多数確認。

 うーん、この既視感。


 予想通り、その後もファーマーが増え続け、それに釣られた蟲とプレイヤーとNPCがワラワラと集い、ホームの奪還戦そっちのけで、突発的な収穫祭に発展。

 まだアプデから日が浅いからか、淘汰10回止めのプレイヤーも多くいる様で、かつてのボスであるギガントマンティスや巨大ヤスデを斃しつつ、百足を捌いている。

 お陰で周辺の耕作地ランクが急上昇し、作物の品質も鍬の補正だけにしては高いものとなっている。

 マサ達も繁栄前のプレイヤーに寄生し、金目の物を十分に手に入れていた。

 暫らく激戦区で粘っていると、隙を突いた西ベースの攻勢でホームが奪還された。

 繁栄後は一律とは言え、Lv1上げるのにも膨大な費用が掛かる為、今回は良い収入となり、大変だったが満足のいく冒険だった。


「はあ…また一つおっさんになってしまた」

 今日は俺の誕生日。

 雪乃と雪奈の誕生日でもあるし、DIY二周年でもある。

「「私達は哲兄の丁度半分になったわ!!」」

「ええい!! 若さをひけらかすな!!」

 全く、最近増々朝が辛いとか肩が凝るとか老いを感じてると言うのに。

「まあ良い、そんな半額セールな二人にはこれをやろう」

用意しておいた紙袋を渡す。

「ありがとう。中は何かしら」

「哲兄の女子への理解度が試されるわね」

 そんな事を言いながら、二人が取り出したのは、爪切りとヘアブラシだ。

「へー…」

「そう来たか」

「どうよ?」

「うーん…」

「複雑だわ…」

「随分シビアだな、おい」

 矢鱈と真剣な顔で、うんうん唸る二人。

「先ずはお礼を言うべきね。ありがとう」

「ありがとう哲兄」

「どういたしまして」

「で、プレゼントの内容なんだけど、幾らなんでも地に足着き過ぎじゃないかしら」

「うん、17の女の子相手にこれは、流石に実用性重視し過ぎよね」

「成程…」

 そりゃあね、ストレートに貴金属や宝石も選択肢にはあったさ、でも今の俺らの関係性を鑑みると、そういうのはタイミングが違う気がするんだよな。

「まあ、俺の理解度が低かったと諦めてくれ」

「ううん、色々考えてくれたからでしょ? 凄い嬉しいわ」

「この爪切りって、爪の断面が凄い滑らかになる奴でしょ? こういう普段使い出来て、一生使える物を選んでくれた哲兄も思いが伝わって来るわ」

 おっと、時間差で評価が上がってきてるな。どうやら選択としては間違ってはいなかった様だ。


「おー、凄い滑らか」

「切り心地も軽いわ」

 早速とばかりに爪切りを試し、感動する二人。

「これはアレね、使ってみてより有難みが増すわね」

「老若男女問わず爪の手入れって地味に面倒だけど、女子は特に気を遣うからこれは本当に感動だわ」

 こんな感じで、家族愛的な、ある種の円熟を感じさせるプレゼントは喜ばれたのであった。


 週末。

 昼からログインすると、ワイドとサチがインしてたので、一緒に出撃。

 場所は資源豊富な小惑星で、インベーダー、エイリアンとの激しい三つ巴が繰り広げられている、

「ワイドは武器を換えたんだな」

 今まで剣だったのが、槍になっている。

「ええ、一々しゃがむのが面倒で」

「そりゃそうだ。サチも武装してるんだな」

 現在碌な攻撃手段が無いという事で、大楯とショートスピアを装備している。

「オークションでお値打ちものを手に入れたから、久々に剣戟してみたくなったのよ」

「良いんじゃないか、縮んだ分、盾にすっぽり収まってるし、装備が良けりゃダメージが徹らないって事も無いだろうし」

 駄弁りながら、テレポーターから出ると、こちらのアップリンクを無効化しようとするインベーダーとの激しい攻防が行われている。

 そんじゃ参戦するか。


 さて、戦闘に入るのだが、今の俺らというかこのメンツでは碌な陣形には成んないので、遊撃に徹する事に。

「お、あっちが静かだし行こうぜ」

 敵も味方も少ない場所に向かい、敵を外側から囲む様に動く。

「良し、ここから使い魔を嗾けて、インベーダー共をしゃぶるぞ」

 畑を作り、敵を感知したガーディアンが魔法でインベーダーを釣る。

 ついでにツチノコとレインボーマンバも放ち、迎撃態勢を整える。

 早速敵が釣れ、先ずは大蛇が一当たりし、隊長格のインベーダーを削り消滅。

 直ぐにリスポーンし、再びインベーダーの分隊に突撃。

 これ、大蛇が居るからまだ何とかなってるが、使い捨て出来る壁が無かったら相当きつい事になってたな。

 偶然流れ弾に当たったが、それだけで軽く数千億のダメージを受けたので、無策で集中砲火を受けたらひとたまりもないだろう。

 俺らとインベーダーの距離が縮まると、乱戦へと移行。

 俺は敵の足元へ畑を差し込もうと鍬を振るい、サチは畑に身を隠しながら槍でチクチク、ワイドは槍でヘッドショットを狙いつつ、敵の反撃を巧みな屈伸で回避する。

 ゲージが溜まる度にバロメータを発動し、少しずつアドバンテージを稼いでいく。

 そして、低火力故に時間は掛かったが、インベーダの分隊を全滅させる事に成功。

「さて、回復したら次を釣ろうか」


 あれから何度か敵を釣り、まあまあな戦果を出して帰還。

 流石に、今の弱っちい状態では稼ぎなんて高が知れてるが、現状を考慮すれば、Lv1上げる費用を稼ぐのは決して難しいものではない。

 二時間弱で7000万稼げたので、少し金を足しLvを2に上げた。

 サーモン曰く、Lv上げると使い魔の強さも上がると言うので、これで本当に強くなっていたら、貯金を叩いて一気にLvを揚げる心算だ。

 そして検証結果だが、たったの1だと劇的な差は出なかったが、意識すればわかる程度には強くなっていることを確認出来た。

 という事で、一気にLvを32まで上げた。

「さて、どれだけ強くなったか検証だ」

 今度は一人で小惑星に向かい、コソコソと立ち回る。

 丁度良い感じにはぐれたインベーダーが居たので、畑を敷いてからマンバとガーディアンと蛇で迎え撃つ。

「おお! 大幅に強くなってるな!」

 大蛇の一リスポン辺りの与ダメが1.5倍以上に強化され、長持ちする事で畑の維持も楽になり、安定感が大幅に増した。

「凄いな、これなら貯めてから一気にじゃなく、金が工面出来たら都度Lvを上げた方が効率が良いな」

 勿論、他に金の使い道が無ければだが、ジェネレーターは金が掛からないビルドだから、そこは問題にならない。

「これで金策効率も上がるし、二度目の繁栄も見えてきたな」


 二週間が経ち、小規模アップデートで成長上限の解放が告知される。

 更に二週間後にアプデが実施され、繁栄の二回目以降が実装された。

 これにより、幾つかの仕様が判明。

・重複した場合はタレントの効果が強化。

・バロメータを重複した場合は、その分効果も上昇。

・Lvによる補正を強化。

 といった感じで、特化か汎用性を取るかといった感じになる。

「さて、早速二回目の繁栄をするか」


 教会に赴き、先ずはLvを100に上げる。

 そして二回目の繁栄に突入し、タレントの選択肢が表示される。


〔イースターポーク〕敵を浮遊して追尾する豚の石像を4体使役する。


〔豪農〕農夫を4体使役する。


〔焼畑農業〕畑を破壊された場合、同じ場所に畑を作ると畑のランクが大幅に上昇する。


〔ブラウニーが住む畑〕畑内に居る場合、装備品の耐久度が毎秒1%回復する。


〔ピット畑〕畑内のマシーンはLPが毎秒1%回復する。


 以前のに加え、新たに5つの候補が出現。

「これはまた悩ましいな」

 前回見送った〔空根性〕〔細胞活性〕も欲しいし、お世話になった豚の上位互換を使役出来る〔イースターポーク〕も捨て難いし、〔ピット畑〕があればアサルトディスクの運用が飛躍的に向上するしで、どれを取っても劇的に戦闘が有利になる分、激しく目移りしてしまう。

「うーん〔豪農〕も良いなぁ…」

 うーむ、うーむ、と悩んだ結果、今回も〔蛇使役〕を選択。

 あれこれ出来る様になる前に、先ずは戦闘面での不足を解消する事にしたのだ。

「バロメータは…まあ〔楽〕で良いだろう」

 これで、バロメータの持続時間はそのままで、ゲージの溜まる速度が倍になった。


 試運転をしようと行き先を考えていると、マサとサーモンも合流。

「テツも重複を選んだか、俺も〔再構築〕と〔楽〕を重複させたぜ」

「俺は〔専属契約〕を取って〔楽〕を重複させたぜ」


〔専属契約〕召喚出来る従魔の種類が1種になる代わりに、従魔の与ダメージを2倍、被ダメージを半減する。


「よし、試運転に行こうか」

 場所はバグスターを選択。

 戦闘区域に入り、使い魔が出現。

「ふむ、重複しても数は増えないか」

 とそこへ、誂え向きに蟲人間登場。

「どれどれ、ふむふむ…成程」

 結論から言えば、重複した甲斐あってかなりの強化具合となっていた。

 ただ、現在のLvが1で補正が弱い為、繁栄一回Lv100の時点とそう大差がない感じだった。

 バロメータを使ってみても、数が2に増えるだけで、個の強さ自体は変わらなかった。

「マサとサーモンはどうだった?」

 同時進行で検証を済ませた二人に話を振る。

「〔再構築〕は復活回数が一回増えるだけだな、ブーストしても一回増えるだけだし、元が強い分重複での強化幅は緩い感じだな」

 まあ、三分に一回が二回に増えるんだから、弱い筈はないんだけど、やや物足りなさは感じるかもな。

「こっちは順当に強いタレントだったぜ、火力も場持ちも格段に上がるし、ブーストすると更に効果が倍で桁違いに強くなるな」

 リーチが倍に伸びたコールブランドを持った、火力4倍被ダメ1/4のゴブリンは強力だな。


 今度は三人で協力して戦う。

「前衛は俺に任せな」

 三分に二度死ねるマサが前に出て、毒持ちのクワガタ、ポイズンスタッグと肉薄。

「ぐ…やっぱまともにやり合うと現状じゃキツイな」

 鋏と毒でガリガリLPを削れられるマサ。

「頃合いか、バロメータ発動…ガハ」

 直後、鋏に激しく挟まれマサのLPが尽き、何事も無かったかの様に復活。

 そのままマサに時間を稼いでもらい、サーモンと一緒に必勝の陣地を構築。

「マサ、もう良いぞ」

 丁度三回目の復活を遂げたマサを呼び戻し、広げた畑の上で毒クワを迎え撃つ。

 今度は正面を大蛇が受け持ち、周囲はサーモンのゴブリンが囲んでタコ殴り。

 大蛇がやられ、穴が空くとマサが塞ぎ、大蛇が復帰するとポジションを交代。

 このローテなら、マサの復活回数回復まで余裕をもって耐えられるので、盤石の状態で戦闘を継続できる。

 まあ、ここまでしなくてもサーモンの火力が十分なので、危険はなかったんだけどね。

「うん、これならもう少しゴリ押し気味でも良さげだな」

 それからは、マサを囮にするのは変わらないが、最初から三人がかりで蟲を攻める事にし、戦闘回数を増やす事を重視。

 途中で蟲の氾濫に巻き込まれ、危うい場面もあったけど、冷静に対処し、最初の陣形を意識して乗り越える事が出来た。

 試運転が目的だったが、中々の稼ぎとなってくれた。


「やっぱなんだかんだ言って火力は正義だな」

「違いねえな、G戦隊位突き抜けてりゃあ、低火力でも立ち回れるんだろうけど、普通は敵を倒せないとジリ貧だからな」

「繁栄到達済みのプレイヤーは、まだまだ火力が低めだからな、今回ゴブリンの火力を大幅に上げたが大正解だったわ」

 極端な例を除けば、やはり火力は正義だったと再確認。

 と、駄弁ってたらカメキチさん登場。

 軽く挨拶を交わし、ビルドの摺り合わせを行なう。

「今回自分は〔黄金マスク〕と〔楽〕にしました」


〔黄金マスク〕ヘッドショット判定と毒を無効化。


「着実に防御面を充実させてますね」

「まだまだですけど、少しは様になってきましたよ」

 カメキチさんを加え、四人で出かけようと思ったら、パミルがログイン。

 先ずは教会に行くと言うので一旦待機し、戻ってきたところで合流して出撃する。

 今度は行き先をアニマルにし、接敵までの間、パミルの話を聞く。

「迷ったんですが、また〔ドリル支給〕にして火力の確保を優先しました。バロメータは〔喜〕も捨て難かったんですが、無難に〔楽〕にしときました」

 アニマルのホームから出て少し移動すると、巨大な熊が襲って来た。

「良し、俺に任せ…ぐっは!?」

「マサ―ッ!?」

 たったの一撃でLPが消し飛び、復活数を1消費。

「おいおい大丈夫か?」

 吹っ飛んできたマサに声をかける。

「無茶しなきゃな、だが迂闊に攻撃を喰らえないなこれじゃ」

 流石アニマル、個の暴力は健在か。


「こんどは俺が前に出ましょう」

 カメキチさんが熊目掛けて走り(凄い違和感)、肉薄直前で匍匐状態になり被弾。

「ガァ!? パ、パワーが違い過ぎる‼」

 とか言いつつ、LPが70%以上残ってるのは流石としか言いようがないな。

 しかも、コタツムリ状態だからスパアマなので微動だにせず、そのまま熊の身体をよじ登り、ランドセル化に成功。

 巨大故に、首を絞める事こそ不可能だが、ブチブチと体毛を引っこ抜いて熊を牽制。

 身中の虫に不快気に暴れる熊。

 正面を大蛇と畑で抑え、補欠でマサが控え、サーモンが適宜ゴブリンを召喚。

 こうなれば後は野となれ山となれ。次第に巨熊は弱っていき、息絶えた。


「いやアレは無理だろ」

「だな」

「少数精鋭が基本じゃないのかよアニマルは」

「連戦ならまだしも、群れは逃げ一択ですね」

 折角熊を斃して景気が良くなったのに、直後に遭遇する巨象の大群にあえなく敗走。

「前もアルマジロの大群とかあったけど、ホーム付近じゃそこそこのレアケースだった筈だぞ…」

「どうやら大型アプデ時に、ミニイベント的なのが大量に追加されたみたいで、象の群れも多分それだな」

 事情通なサーモンの話を聞き、一応の納得をする。

「だとすると、群れを駆逐すると何か有るんですかね?」

 カメキチさんが疑問を呈す。

「あるかもな~、現状じゃ確かめようもないけどな」

 マサの言葉で、一瞬色めき立つものの、瞬時に霧散した。


 象の群れが去ったのを確認し、再びホームから出撃。

「お、コズミックキャットだ」

「アレもアプデ以降遭遇率が上がった様だぜ」

 マサが指さし、サーモンが補足。

「相変わらず凄まじい人気ですね…」

 ドドドドドドドドドという効果音が聞こえてきそうな程、大量のプレイヤーが巨大子猫へと殺到。

「な~」

 ここで転がる子猫。以前ならば、近づき過ぎたプレイヤーの末路は地面の染みだが。

「おー、誰一人脱落してないな」

 子猫の下敷きになりながらも生き残り、猛然とテイムを試みるテイマー達。

 今となっては、ティラノやブラキオみたい大型種は他にも沢山居るが、可愛さという点で群を抜いているコズミックキャットの人気は、未だ衰え知らずというわけだ。

 そうこうしてる内に、一人のプレイヤーがエイムを成功させたようで、子猫によじ登って歓喜の雄たけびを上げている。

 うん、いいもん見れたな。


 コズミックキャット捕獲の一部始終を見終え、再び手頃な獲物を求めホーム周辺を散策。

 程なく頭以外剥き出しの虎を発見し、入念に準備を整えガーディアンで釣る。

 総合的な強さは熊と同等で、苦戦せずに討伐完了。

 その調子で単体で居る動物を中心に狩っていく。

 うん、良い感じだ。まだまだ繁栄前には及ばないが、二回目Lv1にして既に淘汰十回の足元が見えてるから、多分三回目には過去最高の強さを更新できそうだな。


 狩りから戻るとマサとサーモンがログアウト。

 代わりにトリオが寛いでいたので招集。

 それぞれ繁栄二回目に入ったと言うので、構成を聞く。

「では俺から。俺は〔論破〕に〔楽〕を重複させました」


〔論破〕近接した敵のバフを解除。


「バフ解除か…これまた随分と凶悪な」

「接近しなきゃダメですけどね。ああ、でもバロメータ発動中は、攻撃してきた相手にも適応されるので、敵の段取りを乱す力はかなり高いですね」

「色んな型に派生できそうなタレントだな」


 お次はワイド。

「俺は前回と同じで〔嵩増し義足〕〔楽〕にしました」

 そういい、椅子から立ち上がるワイド。

「おお…更に高くなったな」

 義足に依って、2m宙に浮くワイド。

「一層高低差を生み出せるので、対MOB対PC関係なく強いですよ」

 目の前で屈伸し、2mもの高低差を瞬時に繰り出すワイド。

「今は槍に逃げてますけど、近いうちに<波動剣>みたいな飛び道具を引っ提げて、剣に戻したいですね」

「そうだな、高いとこから攻めるだけなら槍でも良さげだが、屈伸からの糞ムーブを押し付けるなら剣の方が手数を稼げて良いもんな」

 格ゲーで言うなら、明らかに上段を攻めて来たから上段ガードしたのに、次の瞬間には下段を攻められてましたとか、やられた方は堪らんわな。

 まあ、大楯を持ったり距離を取るとか、幾らでも対策は有るけど、それはワイドにも言える事だからな。


 最後はショー。

「俺はバロメータは〔楽〕を重複させて、タレントは〔松果体〕を選びました」


〔松果体〕半径15m以内の敵や罠の場所を看破。


「ほう…これは強いのか?」

「強いか弱いかで言えば強いです。というか現状判明してるタレントの中では対隠密系最強クラスですね」

「そんなにか」

「ええ、範囲が狭い分、隠密系のタレントであっても看破できます」

「タレント同士でも打ち勝つのか、そりゃ確かに強いわな」

「基本見えない相手からの奇襲って躱せないですからね。尤も15mなんで飛び道具の奇襲にはどうしようも無いんですがね」

「そこは耐えるしか無い…そうか、このタレントがある時点で奇襲を素のLPで耐え切れる可能性が高いのか」

「そうなんですよ、最初の一撃さえ耐えれば方向は判ります。相手が移動速度を盛ってた場合は、それでも追い詰めるのは難しいですけど、その分相手は何かしらを犠牲にしてますからね」

「隠密、移動速度、そこそこの火力を出せる飛び道具か。この時点で壁を背に守りに徹すれば、敵の飛び道具が有限なら消耗戦を制する事が出来るのか」

「無限だった場合も、そんな偏ったビルドまら紙耐久が確定しますからね、一般に流通してる消耗品で十分にダメージを通せるので、少なくとも負けは無くなります」

「問題はあくまで同格以下が相手である場合と、想定以上の火力を持っている場合か」

「まあそこは諦めてますね、どんだけ強いタレントだろうと、相性差や創意工夫で幾らでもひっくり返されるのがPvPですからね」


 さて、トリオとパーティーを組んでやって来たのは下水道。

「本当にツチノコを見つけられるのか?」

「かなり公算は高いと思います」

 ショーが、非常に効率の良い儲け話があると言い、俺、ラーク、ワイドが話に乗り、ツチノコ捕獲に乗り出している。

 今回はツチノコ捕獲の為にアサルトディスクを14機全てを連れてきている。

 やり方は簡単。ショーを中心に蓋を左右に7機ずつ配置、鶴翼の陣で練り歩き、看破出来次第壁際まで追い込むのだ。

 こうしてみると、結局は頭の悪いパワープレイなんだが、高速且つ巧妙に逃げ隠れするツチノコを追い込むには、人手は必須なのだ。

 そんな感じで半信半疑な中捜索を開始する事五分。

「む! 居ましたツチノコです!!」

 真偽を確認する前に、事前取り決め通り、ショーの示した場所を蓋14機で囲い込む。

 そしてラークが確認すると。

「居ました、本当にツチノコでした」

「おお!!」

 とまあ、本当にツチノコをアッサリと捕獲する事に成功したのだ。


「ツチノコマラソンで大金持ちとはいかないか」

 残念ながら、ツチノコ捕獲作戦は突発的な依頼なので、速攻手順を確立できたとしても、繰り返し金を稼ぐ事は叶わなかった。

 それでもたったの数分で2億も稼げたので良しとしよう。

 そして、次に金策として向かったのは久々のエルフィン。

 大分自然も戻り、在来種の魔境が増えたので、ミミック狩りを敢行する事にした。

「あら皆さんお久しぶりですね」

 ハイエルフ側のホームに跳ぶと、芝刈りをしているシーラと遭遇。

『こんにちは』

 適当に挨拶を交わし、何か厄介事を押し付けられる前に退散しようかと思ったが。

「丁度良かったですわ、是非ともお願いしたい事がありまして…」

 願い虚しく、何かを押し付けられてしまう空気になった。


「えーっとここは?」

 シーラに連れられて来たのは見た事も無い樹海。

「ここは最近急激に規模を拡大している森でして、その原因の究明、出来れば解決を手伝って欲しいのです」

「割と深刻そうな話に聞こえるけど」

「深刻ですよ」

「だったら、普通にもっと規模の大きい所に声を掛けた方が良いんじゃ?」

「テツさんは、ド〇クエとかで、NPCの頼みに執拗にいいえを選ぶタイプですね」

「つまり、はいを選ぶまで先に進まないのね」

 なんともまあ、メタくて身も蓋も無い展開だなぁ…。


 俺もトリオも、時間的に大丈夫なので、調査に付き合う事に。

「ところでなんで獲物が水鉄砲なんだ?」

「良いですか皆さん、最近は水鉄砲が熱いんですよ」

(聞いたことあるか?)

(((無いです)))

 そんなトレンドなんてあったかな? とトリオに目配せすると、無いと目が物語っている。

「信じて無いですね。では、デモンストレーションといきましょう」

 その直後、茂みから金色のジャッカロープが飛び出してくるが、シーラが放った水鉄砲で蒸発。

 これだけだとイマイチ解らないので、今度は俺らが金色ジャッカロープを相手取る。

 結果から言うと、難なく勝てはしたが、4人掛かりにも関わらず、シーラの数十倍もの時間を要してしまった。

「「「「御見それ致しました」」」」

「解れば宜しいのです」

「で、実際どういう仕組みで?」

「単純にウォーターボールを圧縮して大量に撃ち出してるだけですよ。水鉄砲はその触媒として最適と言うだけですね」

 マジか、あんな小さい粒の一つ一つが、ハイエルフの攻撃魔法とかそりゃ常軌を逸した威力にもなるわな。

「尤も、射程はご覧の通りですので、戦闘を時短したい場合以外は使う事は少ないですね」

[銃器]のギフトの【夏のおもちゃ】みたいに、水鉄砲の性能を弄るのではなく、水鉄砲を触媒に水魔法を撃ち出してるので、魔法のクールタイム等制限は多い様だ。


 調査を開始して暫くすると、森の様子がおかしくなってくる。

「この感じ…どうも良くない事が起こってそうですね」

 シーラが言う様に、アースの不法投棄で汚染された樹海と雰囲気が似ている。

 更に奥に向かって進んでいると、シーラがハンドサインで停止を促して来る。

(止まって下さい。どうやら下手人を見つけたみたいです)

 シーラの視線の先には、ドロップシップとそれに搭乗していたであろうインベーダーが、何かを大地に打ち込んで作業をしている。

(アレは…龍脈への干渉ですか。そうですか、そう来ますか…。フフフフフフ)

 不穏なワードに不穏な気配を発するシーラ。

(まさか、我々に対してここまで舐めた事をしでかすとは)

 非常に冷めた様子で、見ていたシーラだが次の瞬間には全てが終わっていた。

「無慈悲なる水の抱擁を受けよ。ディープハグ」

 詠唱が済むと、敵とインベーダーが全て圧壊。一切の抵抗も許さずに撃滅してみせた。

「「「「…」」」」

 理不尽すぎる虐殺に言葉を失っていると、シーラの取って付けたような説明パートへ移行。

「さて、これで一安心ですね。どうやら龍脈からマナを吸い出していたようですね。この樹海はその際漏れ出てしまったマナの影響で拡大したのでしょう。マナは濃すぎると毒にもなるので、中心部はこの有様と言う訳ですね」

「ご丁寧な事後解説どうも。これ絶対俺ら居る意味無かっただろう」

「そんな事は有りません。こうしたインベーダーの悪事を実際に見て貰った上で周知するのは、政治的に非常に大事な事なのです」

 何やら生臭い言い回しをしているが、要はプレイヤーに対し、インベーダーってのはそれだけ悪いやつなんだって思わせる為のプチイベントだったようだ。


 短時間で調査どころか解決まですると、アッサリと帰っていったシーラ。

「んじゃあ、当初の予定通りミミック狩りをするか」

 露骨なプロバガンダを挟みつつ、当初の目的を果たす為に、ミミックの生息域へと向かった。

 お久しぶりです。

 困った事に、ここから暫くの間、これまで以上にワンパターンな展開が続きます。

 題材がゲーム、しかも成長要素のあるRPGでMMOな以上、合間に強化過程を挟むのは仕方ないと思いもしますが、それがどうしても中弛みに繋がってしまうジレンマ。かと言って、説明が無さ過ぎるのもどうかと思い、金策風景は最低限描写してはいますが…。

 突拍子の無い例えですが、一般の学生が何のバックボーンも無しに、通り魔を素手で制圧、鮪を鮪包丁で解体、100mを9秒台で完走なんてしても、無理があるでしょと突っ込みたくなる筈。

 説得力の有無は置いておいて、説明を挟むのは必要だと思うので、ワンパターンになるのを承知でそういう展開にしています。

 言い訳はここまでとして、次回についてですが、何時になるかは分からないので気長に待っていてください。

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