第四十七話
~前回までのあらすじ~
蓋の実戦デビュー、ペットの本格的な戦線投入と、これまでとは違ったアプローチでの戦力向上に成功。
ホルダーの強化も済み、蓋も2機に増えた。
自身も3回目の進化でLvをカンストさせた。
「良し、火事場泥棒に出掛けるか」
ボスアッシー部屋の素材が復活してから、まだ回収してないので採りに向かう。
「お、いいねいいね、そのまま戯れててくれよ~」
丁度良いタイミングだったか、沢山のプレイヤーがボスアッシーに群がり、ブレスが飛んでこない。
この絶好の機会を逃すわけもなく、大急ぎでボス部屋のシンボルを採取し尽くす。
そのままボス部屋から逃げる時、戦ってた連中が潰走し、ブレスで尻を炙られそうになったが、豚が防いでくれた。
進化してLvもカンストした今、ブレスも対処できる程度には脅威度も落ち、一層稼ぎ易くなり助かっている。
「それにしても、ボスアッシーも大分追い込まれる様になってきたな」
最初は、正に鎧袖一触というか、近づく事すら困難だったのが、今では肉薄する事は出来ているからな。先程の戦いも、かなり善戦していたし、これは近い内にアースの攻略も完了するかもな。
そうなると、ホーム近辺はどうか知らんが、それ以外のエリアが魔境しそうだが…その方が稼げるから良いか。
PAに帰還し、高品質の水晶やら苔やらを職人に託す。
「シンボル復活まで、まだ時間が掛かるし骨の強化を再開するか」
ここ数日は、Lv上げの為、シンボル回収、復活までは薬草栽培をメインに活動してたので、吸魂作業はお休みしていた。
今はLvもカンストし、シンボル復活までの時間も余り気味なので、作業を再開する事を決定。
早速バグスターで、蟲人間を捜索、そして討伐。
怪物級とは言え、ピンキリで言えば、蟲人間はキリに近いので、最早作業感覚で狩るだけの存在に。
ただ近づいてドッペル百姓を展開するだけで、数分で決着が付くので、もの凄い効率がいい。
でも、ある程度強くなってきた事で、吸魂時の強化幅が、相当抑えられてるんだよな。
それでも、僅かでもLvや装備等に依存しない強化になるのなら、取り組んだ方が良いのは間違いないだろう。
そんなわけで、進化前では到底出来なかった、荒野エリアの中心地での定点狩りをする。
流石にソロだと、緊張感溢れる戦闘になるが、効率も良いし、素材の面でも美味しいから、そのまま続行。
周囲を蟲人間と、その指揮下の蟲の大群、そして供給元の巣穴に囲まれ、四面楚歌の状態だ。
そんな状況だが、3368体の蜂の大群、かなり強くなったマウスの同士討ち誘発、この2つだけで大概どうにかなってしまっている。
そこに、ダメ押しとばかりに他の使い魔の攻撃が注がれるんだから、オーバーキルもいいところだ。
こんな感じで、暫くの間荒野で蟲狩りに励む。
「良し、今日はここらで引き上げるか」
存分に蟲人間を狩り、実感出来る程度に骨も強化された。
「こんにちは」
「こんにちは」
一夜明け、ログインするとベルが居たので、一緒に出撃する。
「そういえば、ベルは2回目の進化で《神官マニア》を選んだんだっけ?」
「そうですよ」
道中、メンバーの2回目3回目の進化の話題となり、ベルのビルドに触れる。
目的地である、バグスターに着き、改めてベルの戦闘に注目。
「凄いな、[神官]の覚醒数が100を超えると、メイスでここまでのダメージが出るのか」
なんせ、ギフトだけでメイスの攻撃力が400万を超えているからな。
ヒットSEは普通のメイスと同じ筈なのに、途轍もなく痛そうに聞こえる。
その位、蟲のひしゃげ方って言うか、やられ様が気持ち良いんだ。
それに、ギフトを因子のモノで固めてるので、パラメータを防御系で固めた上に、バランスよく覚醒させてるからか、打たれ強さも中々のものだ。
「それにしても蜂の数が凄いですね…」
3000を超える蜂に、若干引き気味のベル。
「でも、最近じゃ大人しい方だけどな。[養蜂家]の解放条件が周知されたことも有って、特化する人も居るからな」
俺の聞きかじった話だと、特化すれば5万超えも余裕だと言うしな。
…相当他でフォローしない限り、カトンボの群れだけな。
「[養蜂家]特化ですか、確かに一定数見かけますね」
「また人それぞれ型が違って面白いよな」
「ですね、【キラービー】で蜂の火力を盛る人、【養蜂王】で数を伸ばす人、【ハニーベア】で熊を呼んで戦わす人、同じ因子特化でも、色々ですからね」
ちなみに【養蜂王】は[養蜂家]6つ目のギフトで、蜂の使い魔の数を倍にする効果だ。
ベルと[養蜂家]のビルドで盛り上がりつつ、蟲を狩りまくる。
「ベルの特化した[神官]も、色んなタイプが居るよな」
今度は[神官]絡みのビルドの話題へ。
「僕以上にメイスの攻撃力特化の人とか居ますもんね」
ヒーラー?なにそれおいしいの?状態で、回復という概念を置き去りにした殴り特化の脳筋野郎。
それが、【教会兵】[持久]特化ビルドだ。
概要はシンプルで、強いメイス、積めるだけの堅い防具、許す限り防御系因子とパラメータを覚醒させたら、後は全て[神官]と[持久]に覚醒を振り分ける。
こうする事で、ある程度の打たれ強さ(ベルと同等)を確保しつつ、鬼のような基礎攻撃力のメイスを、莫大なSTA補正で振るうという、初心者に優しいビルドとなっている。
他にも、【異端審問】という、自分のヒール系魔法の範囲内に居る敵の回復効果を打ち消し、三十秒間無効化するというギフトと、【奇跡の安売り】という、ヒール系の回復効果を-20%する代わりに、クールタイムを50%カットするギフトを組み合わせて、敵に一切の回復を許さない、最悪の部類のデバッファーというビルドも開発されている。
一応、ベルも取得している【神のお膝元】があれば、双方のギフトLvや+値如何によっては、回復を通す事も出来る様だ。
こんな感じで、異色なビルドがある中で、当然王道の回復量と範囲を追求した型も人気だ。
ベルと話をしつつ、蟲を存分に狩ったので、PAに帰還した。
ベルが休憩で席を外したので、今度はサーモンをオールライズに出撃。
行き先は、鬼ヶ島。例によってサーモンのゴブリン増強が目的だ。
現在の鬼ヶ島は、中立、友好、排他の3タイプのエリア分けがされていて、友好二割中立一割排他七割と言った感じだ。
勿論、俺らが居るのは排他エリア。味方や一般の鬼を害したら犯罪者になっちゃうからな。
いや、入植とか言って、一方的に侵略しといて随分な言い草と思うかもだが、色々とバックボーンがあって、人類連合が完全に悪い訳ではないらしい。まあどうでも良いか。
「しかし、相変わらず豚の性能は狂ってるな」
ゴブリンの部隊とかち合い、周囲からの弾幕を受けるも、俺の補正を受けた豚が悉くを吸収。
「[養豚家]も、奥が深いからな」
「そうだな、[養豚家]に限らずだが、1つの因子、パラメータだけでビルドの骨子成得るからな」
「俺は諸々と割く余裕がなかったから、ただの弾除けで終わったけど、特化した奴らは凄いみたいだからな」
「ああ、アレか…豚の特性そのままに、猪化して戦うんだもんな…マジで肉の壁だアレは」
攻略が進み、[養豚家]のギフトが判明してくると、あるギフトが脚光を浴びた。
それは[養豚家]8つ目のギフト、【先祖返り】で、豚が猪化して、戦うようになるというものだ。
「貫通系の攻撃、常に豚を瞬殺出来る程の火力が無いと、相当厳しいんだよな」
まあ、今のゲームシーンでは、大半のプレイヤーは貫通攻撃を用意してるので、戦闘職なら詰む事は無いだろうけど…厄介な事には違いない。
豚の話題も一段落したし、今度はサーモンのビルドの話に。
「2回目の進化?済んでるさ、肩書は《召喚信者》にしたぜ」
「うお、2回目にして信者まで取れるようにしたか」
これぞ、特化した奴の特権だよな。
その分、バラエティーを犠牲にしているが、その中で工夫すれば良いだけのことだ。
勿論、バラエティー重視で、器用貧乏化した人も、その多様性という手札で勝負すれば良いだけのことだ。
結局、特化と複合、双方に強み弱みがあるんだから、羨ましがるのは程々にしよう。
「サーモンは、結局人型を主力に据えたけど、サモナー全体の比率だとどうなんだ?」
「従魔を人型かそれ以外、混合での運用だと、丁度三分割位なんだが、そこからが細けぇのよ」
サーモンみたいに、人型で固めた上で、一種類で固め、【分隊編成】という[召喚士]7つ目のギフトの効果、同種を召喚する程従魔に補正が掛かるというのを、最大に活かす人も居るし、人型以外で同種で固める人も居る。
他には、ギフト名が涙を誘う、[召喚士]の【サービス残業】【長時間労働】[召喚]の【終電を逃す】等で、召喚時間を伸ばす型。
今人気を伸ばしてるという話の、【文官気質】と【武官気質】で思考や戦闘技術を高め、高度な連携を駆使する型。派生形で獄卒やドラゴンといった、圧倒的な個の力を持った従魔の思考を極限まで高め、後方でマネジメントに徹する型。
このように、挙げればキリがない程、バリエーション豊富なのだ。
それはそうと、折角話題に上がった獄卒やドラゴンはどうか、サーモンに聞いてみる。
「…二兎を追う者は一兎をも得ず」
「あ~」
ギフトも、人型従魔の数で押す構成にしてしまった以上、今更十全な運用は無理だよな~。
「結局、あんだけ強化したワームの核も手放したんだっけ?」
「仕方ないさ、完全に宝の持ち腐れだったしな」
大器晩成、コスト激重、それでいてビルドとのシナジーが薄かったワームはリストラ。現在はゴブリン、オーク、コボルド、リザードマン等が主力だという。
「1体居るだけでも奇襲性が上がって、強かったんだけどな」
「未強化ワーム1体分で、そこそこ強化したゴブリン6~8体分になるだっけ?」
「そう、コスパ悪過ぎで…な」
「逆に、コスパ最強ってなに?」
「そうだな~、キングスラグのゲートキーパー版[スラグプリミティブ]が落とす、[ジャイアントスラグの核]で召喚出来る、ジャイアントスラグかな~」
「ほ~、偶に見るナメクジの従魔はそれ由来だったのね」
「遅い代わりに、最強の踏破性と、素で高い耐久力。コストもそこまで高くないし、装備もシンプルな構造の物ならイケるという制限の緩さも、人気を後押ししてるな」
よく見るのが、全身に盾を張り付けて、短槍を装備してるパターンだな。
「その代わり、ゲートキーパー産だから、争奪戦が醜いなんてもんじゃないがな」
「だろうな…」
サーモンとの狩りは程々の成果に終わり、仕分けして休憩。
再開し、居合わせたシーラに捕まる。
「さあ、仕事ですよ」
「そう言われても」
内容も対価も提示されてないんだが。
「マンハントです、1人仕留める毎に50万出るそうです」
「ふーん、今回はシーラ達が下請けって事か」
「違いますね、入管の不手際で、密猟者が宇宙船を盗んでエルフィンに逃げ込んだと報せが入りましてね」
「それで1人50万?随分と舐められてるな」
「ふふふ…」
あ、かなりディールを引き出してるっぽいな。
「一応、私達側ではない方に、着陸したとの話ですが、まあ念の為です」
「…どうせ建前で、畑の修復が目当てなんだろ?」
「まあ良いじゃないですか、薬草の種、欲しいでしょ?」
キチンと、シーラが別に報酬を上乗せてくれるというので、受ける事に。
「ではお願いします」
軽く手続きを済ませ、ホームから出る。
「さて、どう動く?」
今回は、マサ、ベッタラ、ショーの3人も参加し、4人で依頼に臨む。
「相手がどんな実力か不明だけど…ハイエルフの集団に真っ向から挑むかと言えば…」
「「「ない」」」
という事で、ハイエルフのシマでも、人が立ち入らない場所を練り歩く。
すると。
「おい、コラ!!ジッとしてろ!!」
怒号の発生源に向かうと、ボロボロになりながらジャッカロープを捕獲してる男を発見。
いきなりのビンゴだ。
男が、拘束したジャッカロープに瓢箪を近付けると、中に吸い込まれていった。そういう道具なのね。
俺達は、そこまでだ!!とか言う事も無く、ボロボロの密猟者を容赦なくタコ殴りに。
三秒で五体投地したので、拘束しシーラに引き渡した。
「お疲れ様です。今回不法侵入した者は34人、今ので最後だったので、これでお終いです」
あっさりと終わってしまった。
「このままでは流石にアレなので、境界の見回りでもしますか?」
最近、こちら側の領土へ無断で立ち入る、狼藉者が多発してるらしく、その退治をオファーされる。
折角、来たのに、十分程で戻るのもアレだし、畑の歯抜けや損傷を見つつ、境界まで向かう。
途中、明らかに部外者っぽいプレイヤーのグループを、シマ内で見かけたが、警邏中のハイエルフが何も言わないので、許可が出ているのだろう。
廃都と基地を解放し、大幅に行動制限が緩和されたエルフィン。
現在は、信用を積み立てた者が、少しづつハイエルフのシマへの立ち入りを許されてるそうだ。
ちなみに、発行されている許可証はLv5まで有って、5でホームに立ち入れるようになると言う。
俺らは関係なしにフリーパスだけどね。
ズルいように見えるかもだが、バザーで闇市を経営するプレイヤーも居たり、強力な傭兵とパイプを持ってるプレイヤーも居たりと、なんだかんだで、プレイの仕方次第で、各々強みを得れるようになっている。
さて、境界に着き、早速畑の修繕を開始。
すると、まあ出るわ出るわ密猟者の侵入者が。
密猟者は一目で判るようになってるので、見つけるのは簡単。
んで、捕まえて物品を押収すると、魔物を含めたあらゆるモノを所持していた。
中には、大量のジャッカロープに追い回され、お縄につく代わりに保護を求めるのも居た。
見た目は角の生えただけの兎だけど、れっきとした魔物だからな。
そんな間抜けな犯罪者を取り締まりつつ、ビルドの話に。
察したと思うが、暫くそういう話題が続く。
「マサは2つ目の肩書は何にしたんだ?」
「俺か?《冥府の王》を重複させたぜ」
「ほうほう、効果はどうなるんだ?」
「クールタイムは変わらず十分だが、確率が70%まで上がったぞ」
「70%か、充てにするにはちょっと弱いけど、かなり高い確率だな」
某ロボットシミュレーションだと、70%は色々と充てにならんからな。
「マサは、範囲を捨ててノックバック距離を重視したけど、[ミノタウロス]を主軸としたビルドの比率で言えば、どうなんだ?」
「そうだな、俺もそこまで見てるわけじゃあないけどな、多分過半数が範囲を捨ててるんじゃないかな」
「やっぱ反射か」
「ああ。でも仕方無いさ、そういった抑止が無いと、簡単にリーチが1000mを超えるからな」
以前、森の何処からか攻撃を受けた時とか、かなり驚いたものだ。
「反射ダメージに関しては、対策が可能だし、撃ち返しも十分な距離と移動速度と防御力があれば、イケるんだが…」
一旦言葉を切り、続けるマサ。
「特殊能力を持った生物や魔物、それらを使役するテイマーやサモナー、更にダメージの反射じゃなくて、攻撃相手にデバフを掛ける系の能力持ちも、天敵なんだよな」
マサの言う、特殊能力の代表例がワープで、ダメージを受けた際、攻撃者の傍に跳んでいく能力を持ったペットや従魔。攻撃相手の満腹度や保水度を削る、装備の耐久度を削る等、メタのバリエーションも相当豊富に存在する様だ。
範囲特化の立ち位置は解ったので、範囲を捨てたミノ特化のビルドの話へ。
「当然、俺の様にノックバックに特化したのも居るだろうけど他はそうだな、見たことあるやつと、今後見るかもしれないビルドの考察で良ければ」
「OK」
「最近よく見るのが、【トマホーク】特化だな」
「飛距離はそれ程じゃないけど、威力高いもんな」
「ああ、重複させて、+値もしっかりと上げていけば、これだけで戦えるからな」
ギフト由来の高い性能に加え、パラメータ補正も非常に優秀なトマホークは、サブ兵装の心算で採用した人が、直ぐにメインに据える程のポテンシャルを秘めていた。
「他には、【牧場経営】で、視界を埋め尽くすほどの牛を使って、[制圧]?か[包囲]?を活かした圧殺を仕掛けるのも見たな」
要は、身動きが取れないぎゅうぎゅう詰めの牛で、敵を強引に囲ってしまうビルドという事だ。
最早、ギフトが[ミノタウロス]産ってだけで、戦い方が関係ないな。
でも、堅くてデカい使い魔を大量に確保するとなると、うーん、確かに[ミノタウロス]のアイデンティティとも言えるか。
ちなみに、非戦闘系の使い魔が敵を囲うには、牛の大きさだと、プレイヤーから離れられる距離を考慮して、最低でも240~250体は必要らしい。
「あとは、【突進】で敵の動きを縛りながら、殴るビルドも見たことあるかな」
【突進】は[ミノタウロス]9つ目のギフトで、効果はダッシュで敵にぶつかると、40%の確率で怯みとよろけを発生させる、というものだ。
なんかあれだな、[速度]の【ランナーズハイ】【スリップストリーム】【珍走団】【空気摩擦】と組み合わせたら、悪さが出来そうだな。
今度は、ベッタラの話を聞いてみる。
「ベッタラの肩書は?」
「俺は3回目の進化も済んでるから、《剣の達人Lv1》と《剣の王》だな」
「効果は?」
「達人Lv1が5回攻撃で、王が5回攻撃だ」
「つまり、一振りで10回ダメージが入るって事か?」
「肩書全部足すとそうなるな」
「実質火力10倍か」
「一応、メスだと[出血][失血]も狙えるから、火力以外にも恩恵が有るんだけどな」
デカブツ狩りには、活きてきそうだな。
「ベッタラのビルドは、一応剣士って事で良いんだよな?」
「うーん…純粋なと言われれば違うが、まあカテゴリー化するなら、他にないな」
何で、こんな聞き方、そして答になるかというと、ベッタラの覚醒させてきた、因子とパラメータが、かなり多岐に渡ってるからだ。
勿論、剣士系ビルドに相当するものに、一番覚醒数を割いてはいるが、所謂特化型と言える程は特化していないのだ。
ギフトだけ見ると、ガチガチの剣士系なんだけどね。
「まあ剣士って体でいくとして、ベッタラみたいな、武器が特殊な型って人口はどうんなんだ?」
「そうだな…特殊っていうと、ユニーク武器も含めてか?」
「あー…じゃあユニーク無しで」
「だったら20%位かね、ユニーク有だったら70%超えてるかもな」
「そんなに聖剣とかの、ユニーク武器が強いのか」
「滅茶苦茶な。だから、量産品の特殊武器2割、ユニーク5割、量産品王道武器3割が、剣士の得物の比率だな」
武器選びの時点で、結構人が分散する剣士。相当派生も多そうだな、なんて思ったが。
「それがそうでもなくてな、ユニーク武器、特に聖剣系は、性能を最大限発揮する為には、パラメータの選択にかなりの制限が掛かるんだ」
パミルのロケットマトックの様に、本来補正の掛からないパラメータで攻撃力が上がる等、様々な恩恵がある分、ストレートに近接向きのパラメータを選べなくなる、といった感じだ。
「成程、ユニークを得物に選んだ奴は、ある程度似たパラメータ構成に落ち着くって事か」
それなら、ビルドの派生もある程度は収まってる感じか。
「まあそれでも色んな型を見るけどな。例えば[剣士]のギフトだけでも【ショーテル】と【三太刀七太刀】を組み合わせて、盾使い絶対殺すマンとかな」
【ショーテル】は、敵が攻撃を防御した場合、ダメージの50%が貫通する。
【三太刀七太刀】は、相手が攻撃を3回防御した場合、追加で7回防御された事にする。
この2つを組み合わせれば、ガード中の相手に、3回斬り付ければ、150%+350%分のダメージが通る事になり、ガードを崩すまでも無くなるので、非常に攻めがやり易くなる組み合わせだ。
「あと[剣士]と最小限の準備だけで出来そうなのは…ああ、【木の枝を振り回す】でデバフ専用のナイフで殴るのもあったな」
【木の枝を振り回す】は、刀剣類の与えるダメージを半減させる代わりに、攻撃速度を50%上昇させた上にSTA消費を0にする。
これと、タップリデバフOPを付与したナイフで、敵を切り刻めば、簡単にデバフを与えられるだろう。
「まあ、これは剣士がと言うより、複合ビルドで採用される択だから、番外みたいなもんだけどな」
と締めくくった。
「ショーは進化何回目だ?」
「俺はまだ2回目ですよ」
「お、意外だな、貯金中?」
「そうですね、ある程度貯まったら、一気にLv上げをしようかと」
うんうん、少なくとも、一桁台は即越え出来た方が無難だな。
「俺の2つ目の肩書ですね?《バーバリアンLv1》にしました。効果は非金属の単一素材装備の性能を5倍。です」
「5倍は手堅いし強いな」
惜しいとしたら、パラメータ補正を含めた、最終値を5倍化するわけでは無い事か。
とはいえ[原始人]のスキルで武器防具に加算された数値分には、キッチリと乗るので、破格の効果には違いない。
「例によって聞くけど、[原始人]のビルド分布ってどんな感じ?」
「[原始人]ビルドは近寄って殴ってなんぼですからね~、でもキャスター型にする人も居るみたいですよ」
[原始人]は、因子効果で石器、木製武器の攻撃力が50%上がるので、木で杖を作れば、魔法も強くなる。
そして、ギフトのラインナップには、【松果体】という魔法のクールタイムを十秒短縮するモノがあり、意外とキャスターに向いてたりする。…というか…。
「ギフトでクールタイム十秒短縮?」
「ええ、Lv1~2にして+2にすれば、リチャージラグさえ如何にか出来ればクールタイム三十秒以下の魔法は連射可能になりますね」
「マジか…[原始人]なのに、キャスターにもなれるのか」
「ただ[原始人]の解放条件が結構大変何で、今から始める新規が、じっくりビルドは考えたりしなければ、中々辿り着く事は無いでしょうけどね」
「そうだな、確か百時間以上近接戦闘をして、有史黎明期を想起させるような要素を取り入れると解放だっけ?」
「確定では無いですけど、俺も【原初の農耕牛】を取ってから、選択できるようになったんで、概ね合ってる筈です」
「キャスターやりたいのに、最初は近接で遊ばなきゃならない上に、有史黎明期関連を取り入れるって曖昧な条件がまた…」
「ホントですよね、俺の場合、ギフトで満たせましたけど、装備なのかパラメータなのか因子なのか、そもそもどれが有史黎明期なのか、仮に符合したとして、取り入れてからの時間なのか戦果なのか、謎過ぎますよね」
「薬草の種の価格は…一粒11200円か」
翌日、シーラから報酬を貰い、幾らかの現金が有るので、消化しようと仕入れに来たが。
「高いなぁ…って11400円!?今値上がった!?」
リアルタイムで、値上がりの瞬間を目撃する程、薬草…というか換金物の需要が高騰。完全にデフレ脱却だな。
「取り敢えず[死霊の腰掛の駒菌]と[甘露草の種]でも買っておくか」
薬草も儲かるんだが、この2つの方が費用対効果が遥かに高いので、所持金を全て換えておいた。
「さて、採取巡りをするか」
最初に採取したシンボルが復活する頃合いなので、順番に巡っていく。
そして、森の深層で汚染された鉱脈を掘ってたら、アースの攻略度が100%に。
「このタイミングで!?」
もう、嫌な予感ヒシヒシで、急いで撤収に掛かるが、早速化け物の群れに襲われる。
「うおわ!多頭の蛇!?」
頭が1、2…5つとか、ちょっとしたヒュドラじゃねーか!!
しかも、そんなのが軽く10体は襲ってくる。
「せめて少しは猶予をくれよ!!」
100%になった途端にテコ入れ発動で、難易度爆上がりとか勘弁して。
だが、案外楽に勝てるかも。なんて思ったがそんなわけなく、ちゃんと糞強いヒュドラの群れ。
3000を超える蜂に囲まれ、デバフまみれで燃え続け、マウスに纏わり付かれ、同士討ちが発生しても、ものともせず此方を噛み砕こうとして来る。
俺も、想定外の事態に、リソースが足りていないが、先ずはドッペルと百姓を召喚。
一気に周囲を有利な地形に変える。
更に、デカブツ相手は任せろとばかりに、最近活躍の機会が無かった、<神の使い>の大蛇10体が果敢にヒュドラに襲い掛かる。
流石、一番最初に変化したスキルの使い魔だ。畑も相まって見事にヒュドラの侵攻を止めてくれた。
これで、後は作業となればよかったのだが、今度は発光する巨大な熊の群れに襲われる。
これには、<島亀><黒いダイヤ><皇虫>が対応してくれ、ガーディアン4体が魔法で援護。
そして、残りの使い魔も、それぞれ標的を定め向かって行った。
流石に二度目の増援は無く、十数分の膠着の後、1体目のヒュドラが落ちると、立て続けに蛇と熊を撃破。
数分後には、敵を全て処理し、何とか一息つく。
「さ、急いで戻らなきゃ」
ここで事故って素材ロストはマジで笑えないので、最短距離を突っ切る。
それでも七色に発光する大蛇や、不法投棄者の成れの果てのゾンビなどに襲撃され、中々安全圏に辿り着かない。
しかも、こんな時に限って悪党にも絡まれ、かなりヤバい状態に。
「こりゃ大損か…」
どういう訳か、悪党の火力が尋常じゃなく低いお陰で命拾いしているが、時間の問題だ。
そう諦めた時、援軍が現れる。
「おお!!!蓋1号蓋2号か」
大量の白モフを引き連れ、森を散策していた蓋2機が、俺の窮状に駆けつけてくれた。
「よーし、今までの仕返しをタップリさせて貰おうか」
なんて余裕こいてたんだが、蓋2機がアッサリと撃沈。ここで漸く悟。
(ああ…火力が低かったのは、割合ダメージを主力にしてて、攻撃力を全然上げてないからか)
しかし、そんな悪党も、ペットの波の呑まれ消えていった。
相手もさぞかし「何で割合ダメが入んねぇんだよ!!」って思っただろうな。
ペットの牽引を引き継いで、PAに帰還した。
蓋を修理し、ペットと再編成し、仕分けを済ませ、一息。
「アッハッハッハ、くすぐったい!!」
ペットルームから、アコの愉快な声が聞こえてくる。
「テツ君戻ったのね」
ユキも居るので、3人で深層の素材回収を再開する。
「うわぁ…ヒュドラに七色に光る大蛇に光る巨熊?ヤバさに更に磨きが掛かったわね」
「かったいわね!!矢を普通に撃っても全然減らないわ」
「ヤバいだろ?俺の場合、採取中にいきなりこうなったからな」
でも、今は3人いる居る上に、物資をしっかりと用意してきたお陰で、先程とは負担の度合いも全然違う。
なので、採取の傍ら、2人のビルドの話に。
「ユキは今進化何回目だ?」
「私?今3回目よ」
結構Lvを上げてたんだな。
「肩書は《省魔導士Lv1》と《魔生フリーク》よ」
《省魔導士Lv1》が、魔法のクールタイムを五十秒短縮。《魔生フリーク》が[生命]と[魔力]の覚醒数を20増やす。という効果だ。
「おお、魔法のクールタイム五十秒短縮か、これで<ファイアーオーブ>系と<アイススピア>系は連射可能になったのか」
「残念ながら、リチャージラグがあるから、そっちの対策もしないと連射は出来ないわ」
ユキはギフトを、防御系と攻撃系で固めてるからな。
「一応、装備で対策は出来るけど、そこまでしなくても、私には[ダークニンバス]と[旋風]が有るから、無理してオーブとスピアの連射に拘る意味もないのよね」
確かに。リチャージラグっつっても、<ファイアーーオーブ>と<アイススピア>ならたかが知れてるから、攻撃以外にも意識を割いていれば、自然と過ぎる程度の時間だから気にする必要も無いか。
「それじゃ本題に入るけど、今のキャスターの分布ってどんな感じだ?」
「火力重視とか防御重視かって事よね?そうね、火力特化が6、防御重視が3、それ以外が1って感じかしら」
「へ~、やっぱ火力特化が圧倒的に多いのか」
「敵を早く倒せればその分安全だからね」
「ユキは防御重視で良いんだよな」
「ええ、自衛出来る程度に堅くがモットーよ」
キャスターにしては、火力が大人しめなユキだが、自衛力はピカ一だからな。
「大まかな分布は解ったが、その中でどんな型が居るんだ?」
「今人気のだと、【サンダーストーム】【ブリザード】【コメット】【メテオ】のどれか、又は全部取り入れた多属性火力特化が人気かしら」
それぞれ魔法に、雷、水、炎等の属性を追加するギフトを採用し、幅広い相手に有利を取れるビルドが人気のようだ。
「他にも【魔力の糸】【泥の増量】で、<魔道人形>と<ゴーレム使い>の使役数を増やして、使い魔と協力するビルドも、最近伸びてきてるわね」
「今じゃ、殆どの人が[獣人]を採用してるから、使い魔のSTA消費は足枷でもなんでもないから、ホント使い魔が増えたよな」
「お陰で壁が増えて面倒だわ。あとは…威力を捨てて、リチャージラグを解消して、弾幕を張るのも増えてる様に見えるわね」
「クールタイムを0にして、リチャージラグのSTAペナルティとSTA回復ペナルティ両方を解消か、相当ギフトと覚醒数に偏りが出るな」
「そうなのよ、でも傍から見る分には、凄い気持ちよさそうなのよね」
そりゃ、本来三十秒に1回の魔法を、ポンポン撃てるんだから、爽快だろうよ。
ユキの現状とキャスターの流行も掴めたし、今度はアコのビルドに触れる。
「アコはどうだ?」
「私は今2回目のLv120よ」
「3回目に向けて貯金中か」
「ええ。で、肩書は《ゴールド免許Lv1》よ。Lv1の効果は、速度ペナルティが40%のダメ軽減が60%に強化されてるわ」
「エグイ効果だな」
「お陰で、装甲は薄い方だけど、全然やられないわ」
そりゃ、物理、魔法、属性ダメージ60%カットで、【獣人】があれば、早々死ぬ事も無いだろうよ。
「それで、[ケンタウロス]軸のビルドの話よね」
「そうそう、アコは弓とランスの使い分けにしたけど、人気はどうなんだ?」
「ボチボチね、単純な破壊力なら、関連因子にパラメータ特盛の弓が最強なんだけど、手数と突破力とか考慮すると、ランスは魅力的だから、二刀流は人口を伸ばしてるわね」
「ふむ、やっぱ矢を一発撃つのと、ランスの一突きじゃ手数は違うか」
「まあ、弓も狙わなければ、連射できるけど、必中の心掛けだとどうしても手数は落ちるわね」
大規模戦なら、取り敢えず撃つでもいいが、少数戦なら狙ってなんぼだよな。
「何より良いのが、ランスは爽快感が有るのよ、<チャージ>で超高速状態で敵を串刺し、弓じゃ出来ない芸当だからね」
それに、【コメディームーブ】と【重装甲】で、<チャージ>を逃走に使えるのも最高だと言う。
「【半馬の騎士】で<チャージ>の速度と威力が3倍だから、囲まれても一瞬で敵を串刺しにして、囲みを抜けれるわ」
普通は、紙装甲になりがちなビルドでは無理なムーブでも、[ケンタウロス]の覚醒数が多く、ダメージ軽減を盛ってると、普通は生き残れない場面でも、生き残れるようになるのは素晴らしい。
「こんな感じで、私はどちらかと言うと防御偏重の二刀流だけど、火力特化の人も居るわね」
他には【背を許す】という、人を背負っても不自由なく動ける効果の、[ケンタウロス]8つ目のギフトを使い、縦横無尽に仲間を輸送するビルドもある様だ。
「あとは【馬の蹴り】っていう、蹴った相手を20%でダウンさせるっていう、地味に凶悪なギフトも有って、遠距離は弓で、近距離はケリでハメ殺すっていう、中々エグいビルドも人口を伸ばしてるみたいね」
20%でダウンはヤバいな。その分リーチの短い蹴り限定なんだが、元手0で打てる事を考えるれば、アウトレンジで対処したい。
…弓持ち相手にアウトレンジとか、本末転倒だな。
ちなみに、【馬の蹴り】は[ケンタウロス]9つ目のギフトだ。
「良し、素材の回収も済んだし、とっとこずらかろう」
PAに戻り、素材を持ち帰ったら、次は東の森へ向かう。
繊維系素材が欲しいシルクも加え、テコ入れ後初の樹海に突入。
開幕から、変異してモヒカンやらアフロやらリーゼントやらの、矢鱈と憎たらしい髪型のチンパンジーに煽られ、胸がキュンキュンする。
それでいて、半端に強くて半端に賢いのが、俺達の思考を蕩けさす(熱さで)。
「まあ、所詮は猿のやる事だ、それもゲームの中の話だ」
「うん、平静を装っているけど、チンパンを執拗に追いかけた後だと、説得力皆無です」
兎に角、クールダウンも済んだ事だし、素材を回収する。
そして、例によってシルクのビルドの話へ。
「私は3回目の進化を済ませてるです。肩書は《聖獣の裁縫職人》と《聖獣の裁縫頭》です」
効果は《聖獣の裁縫職人》が[獣人][聖人][裁縫職人]の覚醒数を10、《聖獣の裁縫頭》が20増やすというものだ。
「一度に3つもの因子の覚醒数を増やせる肩書もあるのか」
俺も、割と雑多に覚醒させてるし、もしかしたらそういった肩書が増えてるかも。
「さて、シルクは何ビルドって言えば良いんだ?」
実際、シルクの因子の覚醒数、ギフトの構成から、[獣人][聖人][裁縫職人]を均等に割り振ってるので、○○ビルドって呼称がし辛いのだが…。
「強いて言えば、投網職人…です」
「分かり辛い呼称だな、でも戦闘時に一番多く取ってる行動だから、それが無難なのか」
正直、[裁縫職人]自体が戦闘系の因子じゃない以上、単体で戦闘員としては成立しづらいが、一応深堀するか。
「攻撃力とかは、他で補うにしても、【真冬のセーター】以外にも、戦闘に役立つギフトは他にも有ったよな?」
「うーん…[裁縫職人]だけだと、【荒い縫い目】と【防刃服】位しか無いです」
【荒い縫い目】は3つ目のギフトで、効果は敵のアパレルの耐久値を3倍削る。
【防刃服】は9つ目のギフトで、効果は斬撃ダメージを50%カットする。
「まあ、計3つ戦闘に使えるギフトが有れば十分だろう」
それに、どれも優秀な効果だから、ビルドの構成時に、寄り道してまで取る価値が有るかは兎も角、無理なく取れるのなら選択肢には充分に入って来ると思う。
「で、[裁縫職人]としては、選択肢が少なかったが、[聖人]だとパラメータ特盛以外だと、何が出来るかな?」
「[聖人]は凄いです。選択肢が多すぎて文字通り十人十色です」
先ず代表的なのは、シルクの採った選択でもある、【お告げ】と【神の落とし子】に依る、パラメータの超ブーストが挙がる。
「他ですと、【讃美歌】で味方を強化したり、【血肉の施し】で足の速い食料を持ち歩いたり、【聖餐】で強力なバフアイテムを現地調達したりと、色々あるです」
【讃美歌】範囲内の味方のパラメータが10%上昇。
【血肉の施し】食料飲料の痛む速度が50%遅くなる。
【聖餐】一時間毎に、食べると様々なバフを受けれるパンとワインを入手する。
といった感じで、少々特殊だが、非常に強力なギフトが揃っている。
「あとは、<代行の剣>と<代行の盾>を強化する、【御身の剣に】【御身の盾に】を軸にした方も人気です」
【御身の剣に】<代行の剣>の使役数を2倍にする。
【御身の盾に】<代行の盾>の使役数を2倍にする。
これらも、シンプルだが、Lvと+値を上げていけば、凶悪な使い魔軍団を使役出来るので、強力なギフトだ。
「こうしてみると、[聖人]は戦闘に役立つギフトを、かなりバランスよく持ってるんだな」
「ですです。【血肉の施し】と【聖餐】だけで戦闘から金策を賄ってる人も居る位、奥が深いです」
チンパンジーを存分に蹂躙し、素材もタンマリと持ち帰る。
シルクはそのまま作業に移り、ユキとアコも別行動に入る為、パーティーを解散した。
俺も俺で、次は渓谷とその上流のシンボルでも巡ろうと、準備をしてると、パミルとサチが合流。
3人で砂金集めに出発した。
渓流で、鷲や猪に熊とじゃれ合いながら、ビルド談議に移行。
「パミルとサチは、今どの段階?」
「私は3回進化済みです」
「私も3回進化してるわよ」
「成程、肩書は?」
「私は《宝石商マニア》と《鉱石商見習い》にしました」
「私は、《生命信者》と《罠師フリーク》にしたわ」
《宝石商マニア》[宝石商]の覚醒数を20増やす。
《鉱石商見習い》[鉱夫]と[宝石商]の覚醒数を20増やす。
《生命信者》[生命]の覚醒巣を50増やす。
《罠師フリーク》[罠師]の覚醒数を20増やす。
という効果になっている。
「ほう《鉱石商》は初めて聞くけど強いな。そして、サチは2回目にして《生命信者》を取れるのに、3回目に今更《罠師フリーク》を選んだのか」
「確かに、今更覚醒数20ばかしは勿体なく見えるかもだけど、無駄じゃないわよ、ね?パミル君?」
「ええ、私の《鉱石商》等がそうですが、複数の因子やパラメータの合計覚醒数で、選択出来る様になる肩書が結構あるので、単純な効果だけでは無いですよ。それに、テツさんは《生命フリーク》が勿体なかったかも言う時がありましたが、もしかしたら《生命フリーク》を経由しないと取れない肩書とかも有るかもしれないので、現段階では無駄とは言えませんよ。実際、一見下位互換で取る意味の無さそうな肩書が、後に条件の1つと判明した事例も在ります」
ほー、そんな事になってたのか。
「って事は、最下位互換の《生命好き》にも意味が有るかもしれないのか」
話に出た《生命好き》の効果は、[生命]の覚醒数を10増やすという、肩書の中ではかなり弱い効果となっている。
「ええ。というか既に何かの条件だったような…ああ、《生命推進班》というのが有りますね、効果は[生命]のギフトを+3するです」
「+3かぁ…実質《生命マニア》の下位互換…」
「単体で見ると、やはり弱く見えますが、そこから派生するなら話は変わりますよ」
「今判ってるだけでも、《生命推進班》の上位互換《生命推進係》があって、効果は+6よ」
「覚醒数こそ上がれないけど、+6は《生命信者》を超えた強化値か、それなら人によっては有りな選択肢か」
尤も、俺の場合は、ギフトの強化も大事だが、普通に[生命]の上昇値が上がる覚醒数も大事だから、余程重大な情報が出ない限り、今から《生命好き》を取る事は無いだろう。
「そもそも、下位互換の肩書って、上位互換が選べる状態で取得できたっけ?」
なんか、上位互換に置き換わって選べなかった気がするが…。
「その場合、一度上位版を取得すれば、次回進化時に、選択肢に復活しますよ」
そうだっけ?しっかりと見て無かったわ。
ってか、最初から、《生命マニア》や《生命ラブ》(《生命信者》の下位互換)を取れる奴の場合、態々遡ってかなきゃならんのか、なんてメンドクサイこと。
やっぱ、俺には無縁な話だったわ。
それでも、下位互換でしかなさそうな肩書に、意味が有るかもしれない事が解っただけ、収穫は有ったな。
一見意味の無さそうな肩書が、強力な肩書への通過点になり得ると知ったとこで、改めて2人のビルドの話へ。
「パミルは、[鉱夫]と[宝石商]の混合ビルドだけど、他のビルドってどんな感じなの?」
「そうですね、[鉱夫]なら、【ボディークラッシュ】【アーマークラッシュ】【シールドクラッシュ】【バリアクラッシュ】っていう、つるはしで攻撃した場合、それぞれHP、ARM、SHI、BARを0にするギフトを軸にするのが人気ですね」
パミル曰く、これらのギフトのLvや+値を上げていくと、0にしたHP等の回復阻害が付与され強化されていくとの事で、特化すればHPにバリア3種持ちをメタれるビルドになれるという。
「あとは[宝石商]ですと、【クリスタルゴーレム】と【ルビーシールド】以外で戦闘に役立つのは、【ダイヤモンドシャープナー】だけですね」
こいつは、攻撃してきた相手の武器の耐久度を、2%低下させるという、凶悪な効果だ。
「成程、それぞれのギフトの可能性は大きいけど、[鉱夫]と[宝石商]の組み合わせだと、結構選択肢は狭そうだな」
「ですね、裏を返せば、それぞれのギフトを組み合わせたビルドは多いですね」
例えば、[宝石商]なら、採取で宝石が出易くなるので、金策にも良いし、自前でアクセサリを用意できるし、【クリスタルゴーレム】と【ルビーシールド】が非常に強力なので、前衛から後衛まで、サブとして覚醒させる人が増えてるそうだ。
確かに、こうしてメリットを羅列すると、無駄が無いんだよな。
「[鉱夫]なら、やはり覚醒1回で取れる【強靭な肺】がダントツの人気ですね。勿論覚醒数を伸ばした先にある、【剣にも劣らない】【擦り傷は勲章】も強力なんですが、[宝石商]と違って、因子とスキルの効果が、つるはしを使わない場合、ちょっとシナジーが薄いのがネックですかね」
コチラは、[宝石商]程ビルドに自由度は生まれないが、やはり【強靭な肺】を1回の覚醒で取れるようになるってのが、最大のメリットだな。
…それは[鉱夫]ビルド、又は複合ビルドと言えるかは兎も角…
「サチの[罠師]ビルドだと、殆ど選択肢はないのかな?」
「ふふん、ところがどっこい、[罠師]には捨てギフトが1つもないから、他の因子やパラメータのギフトの兼ね合いを考えると、選択肢は無限大だわ」
「確か、サチが取った[罠師]のギフトは【ダイヤモンド加工】【小型化Lv1】【罠師Lv2】で3種だったよな?」
「ええ、じゃあ残りの7種も踏まえて話しましょう」
【毒まきびし】<まきびし>に毒攻撃力5を追加し相手の毒防御力を5低下させる。
【酸まきびし】<まきびし>に酸攻撃力を5追加し相手の酸防御力を5低下させる。
【ゴム加工】<まきびし>が受ける打撃ダメージを無効化する。
【かえし加工】敵が<まきびし>の範囲外に出ても三秒間ダメージ判定が続く。
【超合金製】<まきびし>にLPを5万加算。
【増量】<まきびし>の設置数が1増える。
【藪蛇】<まきびし>が破壊されると味方のニシキヘビが出現する。
「って言うのが有るのよ。で、聞いてて分かると思うけど、どれか1つ、又は複数組み合わせても強力なギフトばかりなのよね」
そんな中でも、サチが良く見る様になったというビルドを教えて貰う。
「やっぱ一番見るのは【増量】【藪蛇】の組み合わせね」
破壊すると、ギフト由来の強MOBが出るという面倒を相手に押し付け、一気に盤面制圧を図るという、非常に強力なビルド。
「でも明確な弱点もあってね、<まきびし>を撒ける数が増えたところで、撒く速度を上げる手段が今の所無いから、相手の処理速度次第で、途端に無力なビルドに成り果てるのよね」
成程、<まきびし>を撒いて破壊させ蛇を出そうが、都度瞬殺されると、撒くのが追い付かないし、撒いてる最中は何も出来なくなるのか。
「そういった切実な弱点も有るから、別の型も人気を伸ばしていてね」
それが、【超合金製】【ゴム加工】【ダイヤモンド加工】を組み合わせた。高耐久力<まきびし>ビルドだ。
「この型は、火力は無いし、カバーできる範囲も広くは無いけど、牽制の分野においては相当強みが増してるわ」
サチが言うには、最近はその場復活のギフトやら肩書やらアビリティやら装備やらを持ってる人が増え、その場復活した瀕死の敵を即処理出来る、物持ちの良い<まきびし>の活躍が目立つのだという。
「当然、相手の心理を読んで<まきびし>を撒く場所を見極める大変さは有るけどね」
そりゃそーだ。いくら止めに向いてるといっても、都合よく相手が範囲内に入ってくれるでは無いからな。逆に言えば、復活持ちを範囲内から遠ざける事が出来るとも言えるか。
「あとは、【毒まきびし】と【酸まきびし】で、ただでさえ稼ぎにくい毒と酸の防御にデバフを掛けるのもアリだわ」
この型は、[罠師]だけでは完結しない分、ハマれば威力を発揮するビルドだ。
例えば、毒と酸攻撃が出来る様に成る[スライム]と組み合わせたり、毒攻撃が強力なマンバ系のペット、酸攻撃が強力な食人植物系の従魔と組み合わせても良しと、組み合わせのパターンも幅広い。
「ただ、この型は近づいてなんぼな所があるから、相手次第では結構終わってるから、ソロには向かないビルドよね」
サチが、今のビルドに行きついたのは、結局のところ1人でも動ける事を重視した結果という事なんだろうな。
自身の打たれ強さを[生命]で賄い、因子の覚醒は殆ど[罠師]に回し、火力とギフトの効果を盛る。
打たれ強さと火力は裏切らないからな。
サチの話を聞き終え、渓流のシンボル巡りも完了し、PAに帰還。
サチは金策に、パミルはクラフトに移行、俺はマサと談笑。
其処へ、マッドとおりょうさんが合流。
流れでビルドの話へ。
「俺の新たな肩書か…《爆弾魔》に《駄目科学者Lv1》だ」
《爆発魔》爆発を起こした際のの威力と範囲が3倍になる。
《駄目科学者Lv1》薬品を使用すると、50%の確率で大爆発を3度起こす(自傷ダメージは0)。
「また随分と攻撃的で癖のある構成だな」
どんだけ爆発に賭けてるんだよ。
「私は《着物の第一人者》にしました」
《着物の第一人者》装備中の着物系アパレルを解除されなくなり、コストが半減する。
「それに比べておりょうさんのまともな事」
でも、何気に装備解除とか、怖い情報が出てきてるな。
先ずは、マッドから話を聞く。
「そうだな…俺のようなビルドの派生だと…、…そもそも俺のビルド自体、枠組みが曖昧だった…ヒヒ」
爆弾ビルドには違いないが、構成自体が結構雑多に取り入れてるからなぁ…。
「じゃあ、爆発物を主力にしてる連中のビルドだと?」
こう切り出すと、幾つかの候補を挙げてくれた。
「真っ先に出てくるのが…やっぱ擲弾系だな、手投げからランチャー使用まで色々と」
「成程、そして守りの手段も多岐に亘ると」
「ああ」
決まった因子やパラメータ内で完結しないなら、派生は無限と言っても過言では無いか。
「それでも、ある程度は安定を取るから偏るけどな…」
ああ、因子は火力を、パラメータは防御を重視って感じになるって事か。
「火力と守りをある程度偏らせる方が、安定感あるもんな」
まあ、大概はLPとSTA回復を伸ばせる[獣人]…つまり因子で防御を伸ばすが、サチの様に[持久]が要らないビルドなら、パラメータで防御を担うのも可能だろう。
勿論、俺みたいに因子パラメータ双方から、バランスよく覚醒させるのも大勢いる。
さて、話を戻すか。
「それでだ…先ずは角度の話からするか」
「角度?」
「…要はどの位置から仕掛けるか…だ」
匍匐から、直立から、跳躍中から、果ては飛行しながら。成程、確かにそれぞれ角度が全然違ってくるな。
「まあ、ぶっちゃけどれも一長一短だから、ビルドに依る位に思ってればいい」
被視認性、回避率、索敵範囲、有効射程、色々絡み合ってるからなぁ。
「次は何を重視するかだな…一撃の重さ、範囲、妨害性能…炸裂、焼夷、ガス、色々とあるぞ」
そして、これらの選択を広げられるのは、マッドのような薬品を自前で用意できるビルドの特権だ。
普通は、ランニングコストの関係で、種類を絞る必要がある。
「そして、爆発物の形態だな」
投擲、射出、設置と、これまた一長一短だ。
「…大体前提知識が出揃ったか。で、最初に戻るが、人口の多い擲弾系ビルドだと、威力と射程に優れたグレネードランチャーが人気だな」
投擲にはない、リロードという弱点はあるものの、射程である程度補えるし、何より弾速と威力の高さはデメリットを上回るメリットだ。
「他にも色々とあるが、設置タイプも強いぞ」
兎に角、威力と範囲に優れる代わりに、自身を危険に晒す事がデメリットとして圧し掛かる。でも威力は折り紙付き。
こんな感じで、色々と選択肢がある中で、採用する因子やパラメータ、取得するギフトや肩書でも大きく変化するので、爆発物ビルドにはテンプレと言えるものは未だに無い様だ。
「では、おりょうさんお願いします」
「賜りました。とはいえ私のビルド…着物ビルド?こう言うとなんか変ですね」
着物ビルド!!織ってる人みたいだな、いや、おりょうさんは実際織ってるけど。
「[紺屋]を軸にしたビルドで戦闘と言うと、私が取得してるギフトで完結してるので、あまり多くは語れないのですが…」
と前置きしたうえで。
「[紺屋]自体が、自前で良質なアパレルを用意するのに役立つので、その延長で【シロ】を取得する流れは増えてるようですね」
強力なアパレルを用意しつつ、強力な使い魔を使役出来るので、汎用性も高く、無駄が少ないのは魅力的だ。
一方【魔導士殺し】は、効果こそ魔法ダメ40%カットと強力だが、着物装備時限定なのがネックだ。
そう考えると、[紺屋]だけでは、柔軟なビルドを組むのは無理なのかもしれないな。
次回は…二週間でいけるよう努めます。
コメントにあった、蓋に対する補正の話ですが、書いてる時に一瞬考えたような気がしますが、すっぽり頭から抜けてました。
改めて、本来の[生命]を参照という事にしておきます。
あと、非常に気まずい話題ですが、作中でユキが<クラスティオーブ>!!とか言ったりしますが、本来ならスキル変化で魔法の名前も何かしら変わって無ければおかしい話なんですが…
これもすっかり抜け落ちてました。
これについては、その内強引に解決させるので平にご容赦を。
ではまた次回で。




