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第四十六話

~前回までのあらすじ~

長エルフの器が完成するも、4体に増えた事が原因か、一気に弱体化。

そんな使えない骨共の介護をしつつ、T-rexのテイムを手伝って金を稼ぐ。

そして、チェストの整理時に掘りだしたダンジョンコアを使い、サポーターを作り上げた。

「という訳で、マンホールの蓋ことアサルトディスクだ」

「ほー、こんなシンプルなのがLP15億か」

「きゃわわ!!」

「萌え~」

 マサは性能に感心、ユキとアコは、蓋に猫が沢山乗ってる様にデレデレだ。

「で、どう運用するんだ?」

「取り敢えず適当に出撃させておくかな?ちなみに、一度の出撃で一時間稼働して、帰還したらPA内で三十分クールタイムを挟むそうだ」

「ほうほう、位置は解るのか?」

「そういえばそうだった、ちょっと待ってろ、ほら」

 蓋の位置表示を、メンバーに共有する。

「お、マップに映るようになったな」

「んで、戦利品はチェストに入れるよう設定っと」

「良いな、これで俺らがログアウト中でも、敵の素材を集め続けてくれるのか」

「そういう事だ。さて、折角だし、蓋の初陣に随伴しようぜ」

「良いぜ」

 マサを誘い、ユキとアコも来ることに。

「ねえ、一緒に白ちゃん達を連れてく事って出来るかな?」

「ん?自立ドローンにパーティーを組ませるのか?ちょっと見てみる…出来るな」

 という事で、アコの希望で、急遽、蓋をリーダーに白ちゃんズを率いらせる。

「凄いわね、賢いペットを中心に、パーティーを組ませて外に出せるのは知ってたし、お散歩機能を持ったサポーターが在るのも知ってたけど…」

 ホント多機能だな。

「ところで、ペットを別行動で出撃させると、どうなるんだ?」

「Lvが上がったり何か持ち帰ったりと、色々よ。でも、この子達のLvはほぼお金で上げてるけどね」

 まあ、今や普通の動物じゃ、ここらの敵には太刀打ちできないだろうしな。Lv700にもなれば話は違うんだろうが。

 なんにせよ、蓋に兎と犬と猫の計30体を率いらせ、その後をつける。


 PAを出て、蓋が先導し、その後を白い愛玩動物達がついていく様は非常に愛らしく、多くの人目を引く。

「カワイイ!!けど今更犬猫兎で独立行動?」

「おいおい、ちょっと無謀過ぎないか?」

 といった声がチラホラ聞こえてくる。

 だよな、俺も独立行動自体殆ど見た事ないし、犬猫兎は連れてる人も随分減ったしな~。

「大丈夫よ、Lv700もあれば、森の魔物相手でも、簡単には負けないから」

 と、アコは自信満々な様子だ。

 そんな感じで、小動物のパレードに追従し、行政地区を抜け北門からフィールドへ。

「何故に北側から?」

「解らんが、マッピングの為に、北から行くのが都合が良いと判断したんじゃ?」

 独立行動は、ルートの細かい設定が出来ず、連れ回したり、独立行動を繰り返す事で、自身又はパーティーの総合力で、ルートを決める様になるらしく、これはその準備行動かもしれない。

 北門からどこに向かうか見ていると、そのままホームの防壁沿いに時計回りで進み始める。

「このままホーム周辺だと不味くないか?」

 PvPに巻き込まれる事を危惧し、マサが問題提起。

「アコ、白モフ達はそこそこ戦えるんだよな?」

「そうね、30匹も居るから、私と同等Lvの悪党2~3人位なら何とか」

「想像以上に脆いわね…」

 ユキは大丈夫かな~?と心配している。

「了解、大丈夫だろう。蓋が何とかしてくれるさ」

 マサ達には、蓋のスペックはぼかして伝えてるので、いざ実戦となったら、驚いてもらおう。


「へへへ、なんだ?お掃除ロボにペットを引率させてるってか?」

 なんか、ガラの悪そうなのが立ちはだかる。

「先ずは丸い鉄板からひっくり返…グワー!!」

 言い掛けたところで、蓋の体当たりを受け、吹っ飛ぶ悪党。

 其処へ突撃する白モフの大群。

「うわ!?止め!!めっちゃモフモフ!!ぎゃああああ!!」

 悪党昇天。

「中々愉快な奴だったな」

「おいおい、随分凶悪なサポーターだな」

「ただでさえ狙いにくいのにあの速度で飛んでくるんだ」

「狙い撃つのは困難そうね…」

 それぞれの感想も出たところで、お次の悪党が登場。

 ガギィン!!

「馬鹿な!?」

 ステルスアタックで狙撃を決めるも、蓋に対し全くダメージを与えられず、動揺している悪党。

 すぐさま蓋が体当たりをかまし、追撃の白モフアタックでフィニッシュ。

「気のせいか?対物ライフルの直撃で、殆どダメージを受けてないような?」

「カス当たりじゃ?」

「…直撃だったわ…」

 うんうん、良いリアクション。

「どうよ、俺の伝手は?」

「「「凄い!!」」」

 蓋にとって、最高のデビュー戦になったな。

「しかし堅すぎだよな」

「まあな、でもメカニックが居ないから、戦場では回復できないんだよな」

「それは確かに弱点ではあるけど…」

「少なくとも、ホーム周辺で動かす分には十分すぎるわね」

 そういえば、蓋がPvPで悪党を倒した場合、どうなるのかと思ってたら、キチンと報奨金が、蓋のインベントリにねじ込まれる様だ。

 これは、とんだ金の生る木を手に入れてしまった様だ。

 その後、他のメンバーにも蓋を紹介し、当面は自己判断で動いてもらう事に。


 二日後。

「ああ、リーダーか」

「こんにちはマッド。どうした?」

「蓋がぶっ壊れてる」

「ええ!?」

 ペットルームで、煙を吹いて屑鉄化したアサルトディスク。

「ん?メモか?」

『破壊され、此方に転送されてきたが、金目の物を持ってないし、ペット共も素材を持ってなかったから、そちらに送り返した。見積もりは350万。byタツキチ』

「マジか、ちょっと金目の物見繕って行って来るか」

「…解決できるのか、行ってら」

 マッドに見送られ、破壊される直前までの戦利品を持って、タツキチを訪ねる。

「おう、来たか」

「ドローンには金目の物が何も積まれてなかったのか?」

「そら、破壊されたんだからロストしたんだろうが」

「あ、そうか」

「まあ、金庫機能を付ければ、ロストを避ける事は出来るけどな、キャパシティ的に諦めたんだわ」

「成程、性能は満足いくものだし、これ以上の贅沢は言わないよ」

「そうか。ほれ、破壊された時の映像だ」

 ドローンのレコーダーには、悪党20人程に襲撃されてる、ペットと蓋が映っていた。

 簡単にまとめると、蓋の特性を逆手に取られ、弾幕で宙にお手玉され続けて撃破されている。

 確かに、軽くて吹き飛びやすいと、弾幕が濃い中では、延々と宙ぶらりん状態にされちゃうのか。

 ペット達も、悪党が多すぎて手も足も出ずに蹴散らされていた。

「こんな事が起きてたのか」

「ハハハ、如何に強力なドローンだろうと、所詮はサポーターだ。無敵とは程遠いというわけだ」

「そういう事だな。はい、修理費代わりの素材」

「おう。どれどれ、十分賄えるな。これは全部蓋の戦利品か?」

「ああ」

「なら十分黒字だな」

「でも、このまま粘着され続けると、キツイかも」

「そこは大丈夫だろう。小動物を痛めつけるとかなり重いペナルティがつくからな、余程の覚悟が無きゃ、冷えて直ぐに止める羽目になる」

 実際、タツキチの言う通り、以降蓋と白モフを狙う輩は、大幅に減っていった。

「それじゃ、また壊れたら宜しく」

「おう、また来いよ」

 エルフィンのホームを後にしPAに帰還した。


「無事に直ったべ」

 マッドや、居合わせたメンツに報告。

「ムムム、小動物をイジメるなんて!!」

 サチが憤慨中。

「まあ、今後は目に見えて減っていくと言ってたから、じきに狙われ難くなるだろう」

 それでも気が収まらないのか、シルクとトリオを引き連れ、悪党退治に出掛けて行った。

「ちゃっかりPvPガチ勢を連れてく辺りが強かだよな」

「ヒヒ…女は怒らすとおっかないね~。さて、面白そうだし俺も行って来るか」

 と、急に真面目なトーンで言い放ち、出撃するマッド。

「何気にマッドも怒ってるのか」

 確かに、白モフ達はうちのマスコットだからな、皆で可愛がってるもんな。

「じゃあ、俺も行ってみるか」


 ホームから出て、森に近づくと、悪党や魔物がわんさかと襲ってくる。

 ただ、よく見るとペットを一切狙わずに、蓋だけを攻撃する輩が多い事に気付く。

 奉仕量は増やしたくないけど、蓋を撃破したいという気迫は伝わって来る。

「そうまでして蓋を狙うのか」

 調べてみると、蓋を撃破した悪党は、大したペナルティを受けずに、バウンティポイントが870も付いたそうだ。

 PKに換算すれば約9人分で、対し奉仕量の増加は微々たるものだったそうだ。そりゃ、狙われるわけだ。

 思わぬ形で、悪党どもの格好の獲物になってしまった様だ。

 とはいえ、蓋を狩る為には、悪党側も群れる必要に駆られ、その結果目立つので、善人やMobの全てに狙われ易くなるリスクを伴う。

 決して、舗装された道とはいかないのだ。

 そんな道を、覚悟をって通ろうとする連中だからか、悪党の個々の力量が矢鱈と高い。

 でも、こちらもまともに戦う心算なんてないんで、数の暴力を押し付けに行く。

「ドッペル!連合!」

 フュージョンボックスをオンにし、敵に突っ込んで鍬を振るう。

 この際、悪党の一斉攻撃を受けるが、俺の[生命]は1926995200あり、フュージョンボックスの効果で、HP約2億、バリア三種も約1億もあるので、残りLPも12億程残り、まだ余裕が有る。

 そして、敵の陣形を畑で崩したとこへ、使い魔が一斉に雪崩れ込む。

 取り敢えず、牽制は成功したので、タブレットを3つ噛み、LPを9割方回復させる。

「そんじゃ任せた!!」

 敵を牽制し、使い魔をねじ込ませたら、次は仲間たちの番だ。

 サチは畑に<まきびし>を撒いて要塞化。

 シルクは適当に投網を繰り出し、悪党が休めないよう牽制。

 トリオは、持ち前の連携と、各々独創的なビルドの強みを押し付け、悪党の攻勢を削ぐ。

 マッドは、トリオにやられるか、投網の餌食になって、動きの鈍った相手を爆殺。

 蓋はこんな状況でも、一番ヘイトを集め、その隙にペット達が悪党の足元を崩していく。

 こんな感じで、蓋をしゃぶろうとする悪党をしゃぶること一時間。

 ボカン!!

 遂に蓋が破壊されてしまった。

 あらかじめ、撤収の準備を進めてた俺らは、そのまま撤退。

 かなりの戦果を叩き出し、無事PAに帰還した。


「えーっと、諸経費を引いて、一人頭220万の黒字になりました!」

「「「「「「うおおおおお!!」」」」」」

 さて、皆が喜ぶ中、修理に向かう。

 あまりに早いスクラップ化に、二三小言を頂いたが、無事修理完了。

 修理から戻ると、アコもインしていた。

「アコ、お疲れさん」

「お疲れ様、テツ君」

「どうよ、白モフ達のLv、結構上がってるだろ?」

「凄いわね、この短時間で平均20も上がってるわ」

 時間当たりの収益こそ、平凡な結果に終わったが、蓋の学習と、ペット達の経験値稼ぎを考慮すると、途轍もない大戦果となっている。

「俺はちょっと休憩するわ」

「分かったわ、また後で」

「おう、皆も一旦お疲れ」

『お疲れ!!』

 こうして一旦ログアウトし、休憩を挟んだ。


 休憩から、そのまま夕飯を済ませ、風呂にも入り、後は寝るだけの状態で再ログイン。

 職人衆を残し、蓋とペットを含め出撃中らしい。

「皆は蓋についていってるのか」

「PvPとペットのLv上げが目的と言ってました」

 パミルが代表で答えてくれる。

「了解、俺は何処に行こうかね」

 どうせなら、殆ど行った事のない、北の雪原でも行ってみるか。

 そうと決まれば、雪山を登り、マンモスの巣を素通りし、下山。

 既にベースが建ち、攻略された北エリアだが、猛吹雪が荒れ狂う極寒地獄の雪原に到着。

 環境ダメージが酷過ぎな上、攻略済みとあってか、人っ子一人見当たらない。

 幸い、俺には[保温]OPが4つも有るので、少し肌寒い程度で、ダメージは微々たるものだ。

「しかし、本当に雪原のどこかにダンジョンなんて有るんかね…?」

 そもそも、何で雪原に来たかと言えば、蓋の修理を頼みに行った際に、「他にもダンジョンコアのドローンがあればなぁ…」と呟いたところ。

「ん?なら探せば良いじゃないか、どの惑星にも未発見なだけで、天然由来や侵略由来のダンジョンが沢山ある筈だ」

 という話を、ローレンスさんから聞いたのだ。

 そして、一番発見の可能性が高いのが、ここ雪原だというのだ。

「最近、あそこでダンジョン捜索をしたって話も聞かないし、発見報告も聞かないから、可能性は高いと思うよ」

「若いの、今度またダンジョンコアを見つけたら持ってきな、流石にタダでとは言えないが、格安で何か作ってやるからよ」

 タツキチも二号機の作製に意欲的で、もしもの約束をしてくれたので、一丁動いてみる事にしたのだ。

「…途方もねーな…」

 下山してから、黙々と雪原をローラーするが、あまりに広大な土地を練り歩くのは、気が狂いそうになる。

「こんな時、プロトタイプヘルメットがあれば…」

 今や、その戦闘データから、フュージョンボックスへと生まれ変わったかつての装備。

 数々のインチキ効果には幾度となく助けられたものだ。

 今回のダンジョン捜索も、ヘルメットの透視があれば、格段に見つけ易かっただろう。

「考えても仕様がないな」

 意味の無い回顧を止め、ダンジョン探しを続ける。


 ダンジョン探しを始めてから数日。

 相変わらず、吹雪で視界の悪い雪原を行く。

 ただ、望外な恵みに心躍る事もあったりと、意外に雪見散歩が癖になりつつある。

 ちなみに恵とは、超が付くほど希少な毒蛇、[スノーマンバ]の発見だ。

 何かに使い魔が反応し、襲い掛かるのを見ていたら、真っ白い見慣れた形をした蛇だもんだから、直ぐに手掴みで拘束。

 この際、噛まれたら、とんでもないダメージと共に、[凍傷]になったりと、散々だった。

 何とか蛇に噛まれないように握り直し、急いでペットマスターに連絡を入れると。

『直ぐに行くので絶対に放さないで!!』

 と言われたので、雪山の麓で待機。

 そしてやってきた彼らにテイムという形で譲渡。もの凄い喜ばれた。

 なんと、スノーマンバのテイム成功例の初だというのだ。

 スノーマンバは、熱に弱い代わりに、冷気に滅法強く、毒と氷属性の噛み付きが凶悪だという。

 あまりに希少で、存在がガセ扱いされてた事もあって、お礼に1億5000万も貰ってしまった。

 何気に凄い財力だよね。


「流石にポンポン見つかりはしないか」

 ダンジョンは見つからず、スノーマンバも見かけず、マッピングだけは淡々と進む。

 ちょこちょこ、非敵対の小動物を見かけ、癒されつつ歩いていると、突如積雪に呑み込まれる。

「なんだ!?」

 最初は、クレバスかなんかに落ちたのかと焦ったが、どうやら洞窟の入り口みたいだ。

 お!!っておもーじゃん?残念!!ただの熊の巣でした。

 イラっと来たが、熊の子供が可愛かったし、母熊も威嚇だけで、非敵対だったので、そのままスルー。

 …はせずに、一応中の確認をすると、やっぱり熊の巣だった。

 なんとなく、タダの洞窟ではない感じは見受けられるから、もしかしたらダンジョン跡かもしれない。

 真偽のほどは兎も角、これで少しは未発見ダンジョンにも希望が持てるというものだ。

 モチベーションが上がり、意欲的に捜索をする。

 そして二時間後。漸く転機が訪れる。

「ウォーン…」

 なにやら弱々しい象の鳴き声が聞こえてくる。

「こっちか…?」

 声を頼りに、吹雪の中を行くと、象の鳴き声がより大きく、そして複数聞こえる様に。

 現場に辿り着くと、20体を超えるマンモスが、ある一点を注視しながら、困惑した鳴き声を上げている。

「子供のマンモスが溝に嵌ってるのか?」

 マンモスを刺激しないよう、距離を測ってると、使い魔が一切反応しない事から敵じゃない事が判明。

 警戒はしつつ、近づいた事で状況を把握した。

「露出してるのが背中だけか…掴めるとこが無いのか」

 マンモスが敵対してない時点でお察しだろう。多分そういうランダムイベントだ。

「まあ、何かの縁だ。一肌脱いでやるか」


「こうもアッサリと解決するとは」

 子マンモス救出作戦を開始して十数秒。

 先ずは状況を確認しようと、子マンモスの傍に降り立ったら、いい具合に子マンモスの下に豚がワープしてきたんだろうな。

 その、持ち前の判定のデカさで、子マンモスが持ち上げられ、直ぐに群れのマンモスが引き上げ救出は終了した。

 言葉は通じないが、子マンモスからは、なんとなく感謝の意が伝わる鼻の抱擁を受けた。

 群れは、そのままその場に留まり休憩中。

 俺は、溝の中を調査し、奥に続いてる事を確認。

 子マンモスが詰まるだけあって、中々に狭い洞穴だが、少しすると広い空間に出る。

「おお~、広いけど…行き止まりか…ん?」

 だが隅々まで見てみると、元は通れた横穴が、崩落で塞がっているような箇所を発見。

「ゼ〇ダなら、爆弾で通れるようになりそうだな」

 如何にもな状態な瓦礫を見て、さあどうしようかと思案。

 取り敢えず、触ってみようと近づくと、瓦礫がシンボル化し、採取出来るように変化。

 意味が解らんが、進展があったという事で不問としよう。

 瓦礫を採取すると、シンボル1つ辺りから、[岩]という建材が320個ほど手に入る。

「こんな時に[幸運]の恩恵は要らないんだけどな~」

 岩のコストは1個20も有るので、これだけでとんでもなくコストを圧迫。

 試しに、岩を50個ほど破棄してみると、ゴロゴロと散らばってしまう羽目に。

 仕方なく回収し、外に出て岩を破棄。

 そして再び採取して、外へ出て破棄。

 これを繰り返してると、マンモスの群れが、岩を運んで積み始める。

「壁でも作るのかな?」

 ちょっと面白いので、更にペースを上げて、石を届けてやる。

 暫らく時間を掛け、全てのシンボルから採取し、一旦外へ出る。

「おお~!!滅茶苦茶立派な壁が出来てる。けどちょっと不安定だな」

 意外と、隙間が出来ないように積んではいるが、やはりマンモスの建築技術(?)だと、これ以上はきついのかもしれない。なんて思ってると。

『マンモスの居住地作りを手伝おう!!』

 という、クエストが発生。

 目的はマンモスの住処を作る事、手段は不足してる建材を届けよう。というものだ。

 瓦礫の先も気になるが、先ずはこちらを解決してからにするか。


「まさか、必要な建材を瓦礫の先で集める事になるとは」

 居住地作りに手を貸すと決め、クエスト概要を見ると、建材の在りかがMAPに表示され、確認すると瓦礫の先だと判明。

 なんとなく、得した気分になりつつ、瓦礫を撤去した事で露わになった穴へ侵入。

「敵はナメクジ…久々のスラグ系か」

 こいつ等は[スノースラグ]という、寒冷地の低温多湿地帯に生息する生物で、こいつのドロップする粘液が、接着剤として使える様だ。

 他にも、丸々と太ったネズミも大量に居て、こいつ等の脂肪やゼラチンも必要だという。

 他に必要な素材としては、粘土や砂利等で、全部この洞窟で産出した物限定に指定されている。

 これと言って、難しい事は要求されないので、片っ端からナメクジと鼠を駆除しつつ、シンボルから採取を行い続ける。

 集めた資源をマンモズに届け、一旦ログアウト。

 休憩後に周囲を確認すると、素材を使い尽くしたマンモスが、所在なさげにソワソワしている。

 俺は俺で、状況がリセットされて無い事に安心しつつ、作業を再開。

 結局、この日は作業を終える事が出来ずに、持ち越しとなった。

 そして翌日の午前中に、十分な素材が集まった様で、素材の要求はストップ。

 マンモスの作業が終わるの待つばかりに。


 さて、時間が出来たので、先程、洞窟の更に奥に見つけた穴に挑む事に。

 穴に入り、早速敵に遭遇。

 引き続き、鼠とナメクジが相手なのだが、全てが魔物化していた。

 まだ断定できないが、ダンジョンの可能性が高くなってきた。

 只の生き物の鼠やナメクジは、エリアの補正で強かったとはいえ、軽くあしらえる程度だった。

 しかし、魔物化したこいつ等は別で、普通に使い魔達といい勝負をしやがる。

 なんせ、鼠は勿論、ナメクジもジャイアントスラグみたいな巨大なものではなく、普通のナメクジサイズでいて、強さがうちのペット達と然程変わらないという凶悪さ。

 一体幾つ特殊能力を持ってるのか、堅いし攻撃は当たらないし、数は尋常じゃない程多いしで、中々先に進めない。

 極め付けは、落とす素材も少ないという嫌がらせ満載な仕様。

 ただ、悪い事ばかりではなく、強い上に数の多い魔物を相手取ってるからか、『ファミリアコーザー』の熟練度が溜まり、プロ試験への挑戦権を獲得。

 金銭的旨味は少ないが、ライセンス的には相当に美味しい。

 本当なら、直ぐにでもライセンスの更新に向かいたいが、熟練度はある程度持ち越せる筈なので、もう少し粘る事に。

「ダメだ!!魔物の濁流が激し過ぎて先に進めねぇ!!」

 穴に入り、ある程度進んだところで、敵の密度が更に酷い事になり、一進一退状態に陥り、最高到達点から進めなくなってしまった。

「仕方ない、区切りも良いし、一旦外へ出ようか」

 外に出て、マンモスの作業もまだ続いているので、一旦ライセンスの更新をする為、ホームへ帰還した。


 ライセンスの発行所へ向かい、『ファミリアコーザー』のプロ試験を受ける。

 試験内容は認定員と変わらず、直ぐに終了。

 当然合格し、プロに昇格した。

 そのまま、雪原にとんぼ返りすると、居住地が出来上がっていた。が。

『更なる拡張』というクエストに発展。

 どうやら、最初に運んだ岩が大量だった為、更に強固な居住地に発展出来る様だ。

「で、必要な素材が魔物化した鼠とナメクジか、なんというご都合主義」

 早速、先程の素材を足元へ破棄。

 マンモスがそれらを鼻で捏ね繰りながら、壁に塗り付けていく。

 この分だと、まだまだ素材が足りないだろうから、洞窟に潜る。

『ファミリアコーザー』がプロとなった事で、使い魔のリスポン速度が上昇し、先程足止めを喰らっていた箇所よりは、少しずつだが先に進めるようになった。

 やっぱ、戦いは数と、その数を如何に無駄なく戦線に送り込めるかが重要だな。

 一進一退の攻防の中、一進が敵を倒した時なら、一退は使い魔が倒され穴が空いた時となるが、『ファミリアコーザー』のプロ昇格で、その穴が空く時間が短縮され、一退が無くなり一進を続けられる。

 更に踏み込んで言えば、このライセンスと[養蜂家]の相性は最高に良い。

 どれだけ、供給元の俺が強くなろうとも、元が弱い上に補正も極端に低く設定されてる蜂にとって、リスポン速度の上昇は、戦闘の機会が増える分、火力の上昇と同義となる。

 つまり、蜂の総火力が増えた事で、他の使い魔の被害が減り、押し戻され難くなった結果、進める様になったというわけだ。

 さて、この間にも素材が溜まり続け、いっぱいになりそうなので、一旦置きに戻る。


「お、壁が分厚くなって気持ち高くなったな」

 最初は、マンモスが住むには、少々心許ない感じだった石垣が、分厚くなり見た目にも頼もしい感じに。

「これ、もしかしたら他の建材を置いたら、まだ使ってくれたりするのかな?」

 一度気になるとどうしようもないので、雪原に在った雑木林に行き、木材を採取。ついでに土なども採取しておく。

 戻り置いてみると、全ての素材に手を着け始めるマンモス達。

 どうやら正解だったみたいだ。なんとなく、このままだと中途半端な砦になりそうだったからな。

 夜。作業を効率化させるために、サチとワイドを招集。

 この2人は、ノーコストで範囲攻撃が可能なので、雑魚狩りには最適な人材だ。

 3人で、鼠とナメクジの魔物に突撃し、じゃんじゃん素材を量産。

 魔物の素材が溜まると、畑と2人を残し、素材を置いてから雪原を散策し、別の建材を集める。

 畑の持続時間が切れそうになると戻り、また魔物狩りと穴の探索を再開。これを繰り返す。

 招集メンバーを入れ替えつつ数日。

 メンバー勢揃いで、マンモズの里の完成を祝う。

 追加で進呈した、数々の雪原産の素材に依り、マンモスが寝泊まりできる程の、立派な屋根付き宿舎が完成。

 その周囲にも、当初よりも格段に立派になった石垣が存在感を放つ。

 一頻り祝賀ムードを堪能し、俺らのメーンイベントへと突入する。

 それと同時に、これまでの功労への見返りをマンモスから徴収する。

「じゃあシルク、例の物を」

「はいです」

 シルクに声を掛け、今回必要な物を出してもらう。

 その名も[超長い丈夫な綱]という道具で、名前の通り、クッソ長い丈夫な綱となっている。

 まどろっこしい説明もなんなので、端的に言うと、今回やろうとしてるのは、昔話の[おおきなかぶ]だ。

 というか、クエスト概要にも、おおきなかぶって表記されてるんだよな。

 じゃあ何でそんな事をしなければって話。ダンジョンコアが壁に嵌って取れない。以上!!

 状況は理解できたと思うので、ユキ、サチ、ワイドを引き連れ、ダンジョンを駆け抜ける。

 その後を、綱を運ぶメンバーが追従し、核の間に綱の先端が届けられる。

 既に核の間の敵は殲滅済みで、後はこちらの準備を済ますだけだ。

 綱の先端には、吸盤が付いていて、それをコアに吸着。

 さて、おおきなかぶごっこを始めるか。


「こっちの準備は完了した」

『了解、始めるわね』

 アコに連絡し、マンモスに引っ張る様に指示を頼む。

 一応補足するが、アコは、動物と意思の疎通が出来る道具を持っているので、指示役に回っている。

 少しすると、弛んでた綱がピンと張り、コアの埋まってる壁がミシミシと唸りを上げる。

 そして唐突に湧き出す魔物たち。

 一応、アコと職人衆以外は居るので、急遽応戦。

 只問題があって、自分の身を守ればいいだけではなく、綱も守る必要があるからだ。

 綱を齧る鼠、綱を粘液で腐食させようとするナメクジ。

 念の為と、シルクが丈夫に作ってくれてたから、どうにか瞬殺を免れたが、このままだと綱が千切れてしまう。

 しかし困った。敵が小さいせいで、馬鹿火力のベッタラとショーが機能不戦に陥り、かといって面を制圧するような手段も持たないので、戦力がガタ落ちだ。

 マンモスの御守はアコに一任し、職人衆も総動員して綱を守る。

 ってか、何時になったらコアは壁から抜けるんだこれ?

 対策不足も祟って、長くはもたない。

 嫌な空気が漂い始めた頃、綱がブチっと音を立て千切れる。それと同時にコアも、しゅぽんと間抜けな音を立て、壁から抜けた。


 湧きの止まった敵を殲滅し、コアを回収。

「やったな」

「おう」

 マサが労いの言葉を掛けてきたので、軽く応じる。

「これで蓋の二号機を作るんですよね?」

 ベルの最終確認、って程じゃないが、質問にイエスと答える。

「少しでも、壊され難くしたいからな」

 ダンジョン攻略を始めてからの数日間で、既に4回スクラップにされた蓋。

 ペット達のLvも上がり、悪党たちの労力も上がってる筈なのに、一向に撃破狙いの輩が減らない。そんな状況に終止符を打ちたいが、果たして。

 アコと合流し、マンモスの見送りを背に、PAに帰還。

 またしても、スクラップ化した蓋が目に入る。

「…取り敢えず修理に行って来るわ」

 皆に、苦笑しながら送り出され、タツキチを訪ねた。


「凄いな、この短期間でどんだけ壊されてるんだよ」

「さあな、一応収支はプラスだけど。さて、新しいダンジョンコアを持ってきた、見積もりを出してくれ」

「お、もう新しいコアを見つけて来たのか。こいつと同じで良いなら、工賃は6500万だ」

「6500万ね、じゃあ修理費と合わせて6850万即金で」

「毎度」

 金を渡し、アサルトディスクの修理と二号機の制作を依頼。

 タツキチ曰く、同じものを作るなら、ノウハウがある分、四日後(明日)には完成するとの事だ。

 そして翌日には、修理済みの蓋と蓋二号機を受け取りPAに帰還。

 早速、蓋二号も独立行動パーティーに編入し、解き放つ。

 三十分後。PAでは、スクラップ化した二機の蓋の姿が!!

「なんで!?」


「フフフフ…いや、笑い事じゃないね、…プププ」

 笑いを堪えきれぬローレンスさん。

 あの後直ぐに、二機の修理費を掻き集め、タツキチの下を訪れ、レコーダーの映像を確認。

 その中で、悪党どもの凄まじい執念の成せる業が、記録として収められていた。

 どれだけペット達にやられようと、一切の反撃を行わず、蓋だけを執拗にリフティングするという、その情熱を他に向けられないのか…そんな光景が繰り広げられていた。

「こりゃ中々エンタメ度の高い映像だな。どうだ?この映像を100万で買い取ってやろうか?」

「…貰えるもんは貰っておくか…」

「でもま、良いじゃないか。見た感じペットのLvは凄い勢いで上がってるんだろ?」

「ええ、まあ」

 確かに、総合的には大分黒字なんだが…釈然としないなぁ…

「それで、ペット達のLvはどうなってる?」

 PAに帰還し、アコにペットのLvを訪ねる。

「凄い上がってるわ、一番高い子でLv897まで上がってるわ」

 ちなみに、そのステータスはこんな感じ。

 名前:シフォン。 種族:兎。 Lv897。 コスト897。

 LP89700 STA89700

 攻撃力89700 防御力44850

 こんなのが、沢山の特殊能力を身に着けた上で30体も居るんだから、悪党側の被害も相当だろう。

「他の子も平均Lvは800を超えてるわ」

「そうなると、金でLvを上げるよりは、蓋の修理費を経費にして、悪党狩りで上げた方が金も時間もお得って事か」

「間違いないわね、お金なら私、おじょ…ユキ、シルク、サチ、おりょうさんもカンパするから引き続き頼むわ」

「今後の事を考えると、先行投資する方が良いか」

 修理費用は、女性陣が手厚く保証するというので、今後は蓋の損壊を気にせず、悪党にぶつけ続ける事にした。


 数日後、何度も蓋を破壊されつつも、悪党にぶつけ続けた結果、兎のシフォンのLvが1000を突破。

 ここまでくると、単体でも森の魔物相手にいい勝負が出来る様に成り、悪党相手にも痛痒を与えられる程度にはなった。

 蓋の方も、一号機がそこそこ学習してきたのか、破壊される前に戦利品を持ち帰る確率が上がってきていて、修理費の捻出が多少は楽になった。

 こうなって来ると、ペット運用にも欲が出てきて。

「うーん」

「どうしたんだ?」

「このままペット達のLvを上げていくと、ペットルームだけじゃコストを賄えなくなるのよ」

「ああ…うちにはもう、殆ど拡張の余地が無いからな」

「そうなのよね…元々無理言って増築して貰ったから、これ以上は…厳しいわよね?」

「まあ厳しいには厳しいけど、どうせこれ以上大がかりな増築は無いだろうし、残りをペットルームに割いても良いんじゃないか?」

 一応、職人衆にも聞いたが、現状の設備で間に合ってるから、構わないとの返答が。

 という事で、残り3枠しかなかったスペースに、ペットルームを増築。

 これで、うちのカンパニーの設備は、全て埋まった事に。

「これ以上は、コーポレーションにするしか無いな」

 NPC絡みの、面倒な柵が生まれる事を懸念して、避けていたが、そろそろ本格的に検討するべきかもな。


 ここに来て、我がカンパニーは、ペット部門の強化に乗り出した。

 理由は単純。強力なサポーターを所有できれば、将来性に優れるからだ。

 現在、ペットルームが4つ有り、総Lvは86。ペットコスト43000となっている。

 で、ペット30体の総コストが、約53000で、足りなくなっていた。

 なので、先ずは最初のペットルームをLv100に改築。これで総コストは50150となり、更にアコがカンパを募り、総Lvを130に上げ、65000にした事で、暫くの間は余裕だろう。

 後は、今のペットのLvを極限まで上げていくか、数を増やしていくかの二択をどうするかだ。

 コスト的には、まだまだ余裕が有るとはいえ、いずれは限界が訪れる。

 あ、勿論カンパニーのままだったらという、但し書きは付くけどね。

 その時に、個の性能か、数の力か、どちらが優れているのか…。

 どっちも一長一短で、最低限戦えるなら数が居た方が何かと融通が利くだろう。

 逆に、歯が立たないなら、数なんて意味を成さないだろうし。

 要はバランスなんだよな。

 だからと言って、両方伸ばした結果、どんな状況にも半端な効力しか発揮できないとか、目も当てられんし…。

 いや~、悩ましいな。


 質か数か。この問題をアコと協議した結果、数を取る事に。

「(数が多い方が)絵的に可愛いから」

 の、鶴の一声で即決した。

 そうと決まれば動きは速い。アコがペットの確保に動き始めた。

 そして、あっと言う間に犬猫兎を各2匹ずつ、ほか…テイムしてきた。

「近場が魔境化してる中、よくスタンダードな、しかも白で統一出来るな」

「気合よ」

「それで、この新しいのはどうするんだ?」

「取り敢えず、それぞれLv50に上げてから、牽引させるわ」

 こうして、新たな仲間を加え、蓋とペットが遠征もとい近征に出掛けて行った。


 そして一時間後。

 奇跡的に蓋両機が生還し、新顔も生還。

 全体的にLvを上げているが、やはり新規加入の6体の上り幅が大きく、平均で20程Lvを上げた。

 後はアコに任せて、俺は金を稼ぎながら、ついでにダンジョンコアでも探すか。

「一応、ダンジョンコアの相場を調べてみるか」

 …

「分かってたけど高いな…」

 最低価格でも1つ200億で、買うのは余程のあぶく銭が入った時くらいだろうな。

「ってか、結構流通してもんだな」

 しかも、ダンジョンコアを使った装備なんかもあって、リストを眺めてるだけでも楽しかった。

 金策の合間合間に、ダンジョンコアの出所を見てると。

「アースの海底で採取」「NPCから貰った」「ドラグーンの火山内で拾った」等々、多岐に渡る入手経路に驚く。

 ダンジョン以外でも、何にもないロケーションを散策中に拾えることも有るというし、一番衝撃だったのが。

「【早起きは三文の得】の効果で、ホーム内で拾った」という情報。

 まさか、ここにきて神ギフトだと判明するとはな。当然確率は激渋なんだろうけど、人より入手機会が多いのは、羨ましいな。

 さて、色々と情報を漁った事だし、金策に集中するか。


 金策中、強化も忘れ、半ば空気化してたガーディアンを思い出し、バグスターで蟲人間を相手取る。

 相変わらず糞強くて辟易するが、何時までも先送りにするわけにもいかない。

 そろそろ、本腰入れて鍛え直しに掛るべ。

 蟲人間に、何度も血の海に沈められつつも、気概を持って絡み続ける。

 死に戻りが多く、時間当たりの稼ぎは今一歩だが、吸魂の発生率も悪くなく、着実に骨の強さが戻りつつある。

 次の日も、そのまた次の日も蟲人間を狩り、漸く4体掛かりで阿修羅時の強さに比肩する様に。

 魔法の威力も、発動速度、連射速度も改善され、辛うじて弾幕と称せる程度に。

 魔法自体、対単体魔法の中では、強力な部類に入り、実ダメージの程はアレとして、衝撃力は十分。

 そんな魔法の弾幕が形成された事で、蟲人間の動きを大幅に制限。

 数日前と比較して、蟲人間戦がグッと楽になった。

 一度軌道に乗れば、後は野となれ山となれ。

 安定して蟲人間を狩れるようになり、骨の強化が捗る。

 更に、並行して行っていた金策が成就し、20億の積み立てが完了。

 ホルダーを強化し、名称が[100フリーホルダー]となった。

 新たに50コスト分ランタンを積めるようになり、どうするか考えてると。

「これあげる」

 と部長からスチールランタンを5個拝領。

 これで、計10個のランタンを腰に提げる事に。完全に変人だな。


 ランタン10個体制で蟲人間に挑む。

「うっは!!デバフが倍になると、ここまで違うのか」

 もうね、ダメージの通りが全然違うのよ。

 今までは、ランタンでデバフを掛けつつ、[制圧][包囲]でじっくりと弱体化させて、やっとまともにダメージが通り始めてたというのに…今では最初から使い魔の攻撃が徹る徹る。

 弱体化が響いてるのか、人形のモルヒネ光線も僅かに機能し、畑の包囲網と合わさり、蟲人間の行動を完封。

 油断さえしなければ、最早カモと成り下がった蟲人間をしゃぶりまくる。

 そのまま終日までバグスターに籠り、骨の強化に取り組み、更に強さを取り戻す事が出来た。


「今日もやってくか」

 昨日に引き続き、バグスターで蟲人間とやり合う。

 一時間当たり5体の蟲人間を狩り、少しずつ効率が上昇し、時間当たりの討伐数も6体、7体と増えていく。

 絶好調で戦い続けるとこ四時間。

 ガーディアンの強さは、四分割前を越え、非常に頼りになる存在へと昇華された。

 休憩を挟んでから、更なる強化を目指し、蟲人間を追いかける。

 どうも、蟲人間をターゲットにする奴が増えてるようで、ホームのあるエリアでの遭遇数が激減。

 仕様がないので、北の荒野エリアに向かうと、エリアの境目はすっかりと文明に浸蝕されてしまっているが、少し中心地へ向かえば、未だに蟲の跳梁跋扈する魔境であることは変わらなかった。

 しかもだ。北エリアの蟲のステータスは、本来であれば、今の俺には歯牙にもかけない程度のものだった筈。それが馬鹿みたいに強化されていて、蟲人間の率いる軍団にしゃぶられ敗走。

 試しに、その足で東西南も跨いでみたが、北と同じで、ホームのエリア以外の難易度が急上昇していた。

「身も蓋も無くいえば、コンテンツの焼き増しか」

 いや、素材の質が上がってるから、寧ろウェルカムなんだけどね。

 という事で、蟲人間対策を一段引き上げる。

 何のことはない、聖水を使うだけだ。

 アンデッドじゃないのに、なんで聖水が効くのか言われても、知らん!!そういうもんだと思っとけ。

 まあ、効くと言ってもダメージが入るのではなく、動きが聖水の質に応じて止まるんだ。

 脳内補完で、寄生された人の魂に作用してると思う事にした。

 で、蟲人間の動きが止まれば、蟲の統率は瓦解。その隙に美味しく頂くのだ。

 結構懐に響く戦法なのだが、続けていれば確実に戦力が増すと解っているので、躊躇う理由がない。先行投資と割り切っている。

 それに、うちは『ジャックオーランタン』の手に依るリフォームで、クラフトに聖水効果を付与できる。

 つまり、元手はお安くなっているのだ。


「ついでにこいつも試してみるか」

 ホームで渡された試供品の殺虫剤。

 こいつで蟲をある程度倒すと、テスターとしてお金が貰えると言われ、参加してみた。

 殺虫剤と言っても、麻酔銃のシリンジャ―が、殺虫剤に換わってるだけの物で、使い方に困る事も無く、効果も悪くはなかった。

 取り敢えず、フィードバックとして、腕に括り付けて使えるよう、要望を出してみた。

 どうしても、鍬で両手が塞がっている関係上、スムーズな使い分けが出来ないからね。

 すると、テストの担当者が、技術者を呼び、急拵えながらも、俺の要望に沿う物を用意してくれた。

 当然デメリットもあって、骨鎧との干渉を避ける為、小型化した為、射程の激減に加え、シリンジャ―も小型化に伴い弱体化。

 正直、試すまでもなく欠陥品だと思うが、金を積むと言われれば仕方ない。

 結論としては、両手が塞がっていても、咄嗟に使える飛び道具は便利だが「これは無い」だ。

 更なる改善案として、単発使い捨てにして、射程と薬量を増やした方が良いと進言。

 すると、またしても急拵えでアイデアを現物化。

 構造もシンプルで、腕に括り付け、強い衝撃を与えると、一回こっきりの射撃が可能な、使い捨て腕部砲的な物となった。

 コチラは、使いどころは限られるが、十分に使えると確信。

 両腕に付けていたので、二射分を蟲人間に浴びせ、弱体化に成功。

 射程も弾速も薬効も、プロトタイプにしては中々の塩梅だ。

 という、これらのフィードバックに、担当者は満足した様で、150万円貰えた。


 一旦休憩を挟み戻って来ると、先程の使い捨て腕部砲が、既に商品化されていた。

 お値段お1つ25万円。高いけど、コストも50と安く、装備故に死んだときのロストも心配ないし、幾つか持っておくと良いかも。

 見てると、結構な人が行きがけに買っていっているので、評判も上々な様だ。

 さて、俺も荒野での蟲人間狩りを再開。

 毎回、開幕で聖水が上手く当たるかどうかの運頼みにはなるが、決まればそのまま押し切れるので、時間当たりの討伐数を4で安定させることに成功。

 なんとか、蟲人間狩り継続に漕ぎ付けたわけだ。

 それから数日で、ガーディアンの強化も進み、荒野の蟲人間も、聖水無しで安定して狩れるようにはなったが、如何せん現状伸ばせる火力が、ガーディアン頼みなので、そろそろ3回目の進化をするか。


「そんじゃ3回目の進化っと」

 先ずは肩書選択からしちゃおう。

 今回新たに選択できるのが、《生命信者》と《使い魔フリーク》で、前者が[生命]の覚醒数50増、後者が使い魔の復活STAを50%軽減リスポン速度を50%上昇、となっている。

「うーん、《デコ畑》《アンタッチャブルファーム》も魅力的だが、覚醒数50はヤバ過ぎるでしょ」

 破格の覚醒数の魅力には抗いきれず、《生命信者》を選択。

「次は再覚醒と…今回は因子パラメータ共に3回ずつか」

 さて、どう振り分けようかと思案。

 一応、【引換券】の使用を問われたが、今回は使用を見送る事にした。

 ふと[百姓]の2回目のスキル変化に必要な覚醒数が10回と思い出す。

「現在の覚醒数が7…決まりだな!!」

 因子はこれで良いとして、パラメータはどうするか。

「[観察]の2回目変化が15回で、今13回だから[観察]に2回、あと1回は…[生命]で良いか」

 …いや待てよ…どうせ[生命]は肩書で大幅に上げれてるんだし、ここは別のパラメータを上げた方が良さそうだ。

「ここは[幸運]を上げておくか」

 という事で、残りの1回分は[幸運]に振り分けた。

 これで進化は済んだので、Lvを10に上げ、PAに引き上げる。

 各種パラメータとポイントが3000有るので、遣り繰りし、こんな感じになった。

 名前:テツ。 Lv10

 LP:128278020 STA:4500 COST:5100

 肩書:《生命フリーク》《生命マニア》《生命信者》

 ギフト:【生への執着Lv1+15】【速度】【蛇使い】【ドリス】【核細胞保護Lv1+14】【獣人+1】【吸血鬼+1】【植物人間】【引換券Lv1】

 因子:【[獣人★22]】【[吸血鬼★25]】【[蛇使い★10]】【[植物人間★10]】[農家★8][百姓★10][養蜂家★6][パイパー★5][養豚家★2][羊飼い★]

 パラメータ:[生命★153]462000[持久]3000[積載]3000[幸運★21]66000[観察★15]48000[魔力★7]24000【[速度]】3000[制圧]3000[跳躍]3000[解体]3000[包囲]3000

 スキル:<生存義務>Lv50 <野生の脈動>Lv50 <不死の根源>Lv50 <精鋭部隊>Lv50 <高価な蛇壺>Lv50 <名工の蛇笛>Lv50 <岩にも生える>Lv50 <超合成>Lv50 <品種改革>Lv50 <土壌改革>Lv50 <百姓連合+1>Lv50 <鍬術教育>Lv50 <戦闘蜂>L200 <増蜂>Lv50 <軍鼠>Lv50 <煽動者>Lv50 <養豚>Lv50 <過剰肥育>Lv50 <羊の群れ>Lv50 <シープドッグ>Lv50 <生命超強化+1> <生命超増強+1> <生命強化+2>Lv50 <生命増強+2>Lv50 <持久増加>Lv50 <積載増加>Lv50 <神の使い>Lv50 <島亀>Lv50 <黒いダイヤ>Lv50 <皇虫>Lv50 <移植マウス1号>Lv50 <移植マウス2号>Lv50 <移植マウス3号>Lv50 <移植マウス4号>Lv50 <魔道人形1号>Lv50 <魔道人形2号>Lv50 <ゴーレム1号>Lv50 <ゴーレム2号>Lv50 <圧制>Lv50 <殲滅>Lv50 <煽動>Lv50 <見せしめ>Lv50 <跳躍上昇>Lv50 <基礎の撤去>Lv50 <大黒柱撤去>Lv50 <屋根の撤去>Lv50 <壁の撤去>Lv50 <足止め>Lv50 <投降呼びかけ>Lv50 <兵糧攻め>Lv50 <火計>Lv50

 アビリティ:[ドッペルゲンガー][種苗袋][ボロボロの防柵][死への免疫][スワンプマン][超純度ヒアルロン酸]

 装備:[復興の道しるべ][シャツ][ズボン][靴][帽子][100フリーホルダー] *[御霊の器][フュージョンボックス] コスト不足で解除中。

 Lv10にして、LP1億超えという異常事態。《生命信者》半端ねぇぜ。

 さて、変化した[百姓]と[観察]のスキルに触れようか。

 先ず[百姓]のスキルは、<百姓連合><跡継ぎ教育>が、<百姓連合+1><鍬術教育>に変化。

 効果は、<百姓連合+1>が百姓を四分間召喚で、<鍬術教育>は百姓の能力を上げ鍬で戦えるようにする。というものになっている。

 連合の方は、単純に持続が倍になって、使い勝手が向上。教育の方は、能力と行動パターン次第と言ったところか。

 次は[観察]の変化で、<抵抗マウス1号>~4号が、<移植マウス1号>~4号へと変化した。

 効果は、<抵抗マウス1号>時の状態異常耐性を引き継いだまま、パラメータ補正を強化、というものになっている。

 シンプルで強力な変化で、検証が楽しみだ。

 あとは…【生への執着Lv1+15】と【核細胞保護Lv1+14】の効果も紹介。

 執着は、発動条件が40%に緩和され、最終値へ5000%乗算。

 保護は、割合ダメージを3986066%カットという、わけのわからないものに。

 最後に、執着免疫の発動LPだが、LPが70%…9千万を切った辺りで発動し、[生命]が約120億まで上昇する筈だ。


 さて、検証を行なおうか。

 場所は、比較的平和な渓流で行う。ホームに近いとPvPに巻き込まれてしまうからね。

 早速<百姓連合+1>を発動。そのまま二分近く待つと、再使用可能となったので、もう一度発動。

 そして、最初の1体目が消える直前に、3体目を呼び出し、1体目が消滅。

「成程、都度発動していけば、常に百姓を2体展開出来るのか」

 これは凄まじい強化だ。問題は戦闘を行うようになるというものだが…。

 そして結果から言えば、良くも悪くも、といった感じだ。

 戦闘しちゃう分、耕作を怠けるが、戦闘力は悪くないし、前に出る分畑を広くするチャンスでもあるからな。

 多少運が絡むけど、2体展開出来てる時には、有難みのある変化かもしれない。

 マウスの方は、補正が強くなった事で、そうだな…<家族蛇>の小蛇位のスペックになった感じ、要は、相当強くなったって事だ。

 小さい当たり判定で、中型サイズの使い魔クラスのステータスで、足元をウロチョロしつつ、同士討ちまで誘発するのだから、増々強力な使い魔に変貌してくれた。


 検証を終え、PAに帰還すると、マサからこんな報告が。

「お、戻ったか。なんか蓋が妙に柔かったんだが…テツが進化したせいなのか?」

「あ…」

 そういえば、俺の[生命]の補正を受けてるんだった。

「仕方ない、暫くは誰かの随伴を必須にするか」

「それが良いだろう」

 という事で、蓋のルーティーンを変更。

 さて、早いとこLvを上げる為にも、金策に励むか。

「とは言ったものの、流石にLv10のままじゃキツイよな」

 せめて、もう30程上げなければ、満足に採取マラソンも出来ないからな。

 仕方ないので、貯めてきた素材やら何やらを放出し、費用を変出してLvを40まで上げた。

 これで、[御霊の器]と[フュージョンボックス]を装備し、十分な空きコストを確保出来た。

 早速、アースを含めた各惑星の、今の自分でも回れるロケーションを片っ端から回る。

 最近、また物の価値が上がってきているので、値上がりが期待できる物、加工で付加価値を付けれる物は保管。変動が期待できない物を売り捌く。

 思ってた以上に、物の価値が上がっていて、五時間ほどで4000万を稼ぎ、Lvを45に上げた。


 あれから一週間とちょっと経つが、物価は上がり続け、随分とLv上げを助けられ、なんとカンストの130まで上げ切れた。

 流石に、4度目の進化にはもう少し間を置くが、近い内に。

 で、どうやってここまで短期間でLvを上げ切ったかと言えば、懐かしの薬草栽培を再開したのだ。

 その時、ギルドと一悶着あったが、ハイエルフ達の恐ろしい報復に遭い、結果、俺らに都合の良い取引レートが制定。

 マッド謹製のポーションを売るだけで、簡単に数百万単位の富が転がり込んできて、左団扇状態だった。

 今は、取引額が一定を越えた事で、契約が満期を迎え、正常な額での納品になったが、インフレの煽りで、近い内にまたフィーバーしそうだ。

 そんな、うちみたいに色々と自前で用意できるところには、良い環境で、Lvも戻った事で、蓋が大活躍し、更に富が転がり込む。

 現在俺の[生命]は約60億。進化前の3倍程に増えた事で、蓋のLPも元の3億+32億で35億になっている。

 これには流石の悪党共も悶絶してる様だが、寧ろ付け狙われ度は以前より増してるようだ。何故だ。

 他にも色々とあったが、大きな変化と言えるのは、こんな所かな。

次回も二週間で上げれたら良いなぁ…


コメントや誤字脱字修正有難う御座います。

ホント、世の仕事から会議が無くならないわけですよね。

顔が青くなる程問題点があっても、自分では気付けないんですから。

では、また次回。

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[気になる点] 今更だけど蓋の生命補正は使い魔みたいに生への執着の効果はあるのだろうか...? あるのなら主人公が常にLPを発動圏内に調整しておいたらさらに蓋が暴れそう
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