第四十六話
~前回までのあらすじ~
長エルフの器が完成するも、4体に増えた事が原因か、一気に弱体化。
そんな使えない骨共の介護をしつつ、T-rexのテイムを手伝って金を稼ぐ。
そして、チェストの整理時に掘りだしたダンジョンコアを使い、サポーターを作り上げた。
「という訳で、マンホールの蓋ことアサルトディスクだ」
「ほー、こんなシンプルなのがLP15億か」
「きゃわわ!!」
「萌え~」
マサは性能に感心、ユキとアコは、蓋に猫が沢山乗ってる様にデレデレだ。
「で、どう運用するんだ?」
「取り敢えず適当に出撃させておくかな?ちなみに、一度の出撃で一時間稼働して、帰還したらPA内で三十分クールタイムを挟むそうだ」
「ほうほう、位置は解るのか?」
「そういえばそうだった、ちょっと待ってろ、ほら」
蓋の位置表示を、メンバーに共有する。
「お、マップに映るようになったな」
「んで、戦利品はチェストに入れるよう設定っと」
「良いな、これで俺らがログアウト中でも、敵の素材を集め続けてくれるのか」
「そういう事だ。さて、折角だし、蓋の初陣に随伴しようぜ」
「良いぜ」
マサを誘い、ユキとアコも来ることに。
「ねえ、一緒に白ちゃん達を連れてく事って出来るかな?」
「ん?自立ドローンにパーティーを組ませるのか?ちょっと見てみる…出来るな」
という事で、アコの希望で、急遽、蓋をリーダーに白ちゃんズを率いらせる。
「凄いわね、賢いペットを中心に、パーティーを組ませて外に出せるのは知ってたし、お散歩機能を持ったサポーターが在るのも知ってたけど…」
ホント多機能だな。
「ところで、ペットを別行動で出撃させると、どうなるんだ?」
「Lvが上がったり何か持ち帰ったりと、色々よ。でも、この子達のLvはほぼお金で上げてるけどね」
まあ、今や普通の動物じゃ、ここらの敵には太刀打ちできないだろうしな。Lv700にもなれば話は違うんだろうが。
なんにせよ、蓋に兎と犬と猫の計30体を率いらせ、その後をつける。
PAを出て、蓋が先導し、その後を白い愛玩動物達がついていく様は非常に愛らしく、多くの人目を引く。
「カワイイ!!けど今更犬猫兎で独立行動?」
「おいおい、ちょっと無謀過ぎないか?」
といった声がチラホラ聞こえてくる。
だよな、俺も独立行動自体殆ど見た事ないし、犬猫兎は連れてる人も随分減ったしな~。
「大丈夫よ、Lv700もあれば、森の魔物相手でも、簡単には負けないから」
と、アコは自信満々な様子だ。
そんな感じで、小動物のパレードに追従し、行政地区を抜け北門からフィールドへ。
「何故に北側から?」
「解らんが、マッピングの為に、北から行くのが都合が良いと判断したんじゃ?」
独立行動は、ルートの細かい設定が出来ず、連れ回したり、独立行動を繰り返す事で、自身又はパーティーの総合力で、ルートを決める様になるらしく、これはその準備行動かもしれない。
北門からどこに向かうか見ていると、そのままホームの防壁沿いに時計回りで進み始める。
「このままホーム周辺だと不味くないか?」
PvPに巻き込まれる事を危惧し、マサが問題提起。
「アコ、白モフ達はそこそこ戦えるんだよな?」
「そうね、30匹も居るから、私と同等Lvの悪党2~3人位なら何とか」
「想像以上に脆いわね…」
ユキは大丈夫かな~?と心配している。
「了解、大丈夫だろう。蓋が何とかしてくれるさ」
マサ達には、蓋のスペックはぼかして伝えてるので、いざ実戦となったら、驚いてもらおう。
「へへへ、なんだ?お掃除ロボにペットを引率させてるってか?」
なんか、ガラの悪そうなのが立ちはだかる。
「先ずは丸い鉄板からひっくり返…グワー!!」
言い掛けたところで、蓋の体当たりを受け、吹っ飛ぶ悪党。
其処へ突撃する白モフの大群。
「うわ!?止め!!めっちゃモフモフ!!ぎゃああああ!!」
悪党昇天。
「中々愉快な奴だったな」
「おいおい、随分凶悪なサポーターだな」
「ただでさえ狙いにくいのにあの速度で飛んでくるんだ」
「狙い撃つのは困難そうね…」
それぞれの感想も出たところで、お次の悪党が登場。
ガギィン!!
「馬鹿な!?」
ステルスアタックで狙撃を決めるも、蓋に対し全くダメージを与えられず、動揺している悪党。
すぐさま蓋が体当たりをかまし、追撃の白モフアタックでフィニッシュ。
「気のせいか?対物ライフルの直撃で、殆どダメージを受けてないような?」
「カス当たりじゃ?」
「…直撃だったわ…」
うんうん、良いリアクション。
「どうよ、俺の伝手は?」
「「「凄い!!」」」
蓋にとって、最高のデビュー戦になったな。
「しかし堅すぎだよな」
「まあな、でもメカニックが居ないから、戦場では回復できないんだよな」
「それは確かに弱点ではあるけど…」
「少なくとも、ホーム周辺で動かす分には十分すぎるわね」
そういえば、蓋がPvPで悪党を倒した場合、どうなるのかと思ってたら、キチンと報奨金が、蓋のインベントリにねじ込まれる様だ。
これは、とんだ金の生る木を手に入れてしまった様だ。
その後、他のメンバーにも蓋を紹介し、当面は自己判断で動いてもらう事に。
二日後。
「ああ、リーダーか」
「こんにちはマッド。どうした?」
「蓋がぶっ壊れてる」
「ええ!?」
ペットルームで、煙を吹いて屑鉄化したアサルトディスク。
「ん?メモか?」
『破壊され、此方に転送されてきたが、金目の物を持ってないし、ペット共も素材を持ってなかったから、そちらに送り返した。見積もりは350万。byタツキチ』
「マジか、ちょっと金目の物見繕って行って来るか」
「…解決できるのか、行ってら」
マッドに見送られ、破壊される直前までの戦利品を持って、タツキチを訪ねる。
「おう、来たか」
「ドローンには金目の物が何も積まれてなかったのか?」
「そら、破壊されたんだからロストしたんだろうが」
「あ、そうか」
「まあ、金庫機能を付ければ、ロストを避ける事は出来るけどな、キャパシティ的に諦めたんだわ」
「成程、性能は満足いくものだし、これ以上の贅沢は言わないよ」
「そうか。ほれ、破壊された時の映像だ」
ドローンのレコーダーには、悪党20人程に襲撃されてる、ペットと蓋が映っていた。
簡単にまとめると、蓋の特性を逆手に取られ、弾幕で宙にお手玉され続けて撃破されている。
確かに、軽くて吹き飛びやすいと、弾幕が濃い中では、延々と宙ぶらりん状態にされちゃうのか。
ペット達も、悪党が多すぎて手も足も出ずに蹴散らされていた。
「こんな事が起きてたのか」
「ハハハ、如何に強力なドローンだろうと、所詮はサポーターだ。無敵とは程遠いというわけだ」
「そういう事だな。はい、修理費代わりの素材」
「おう。どれどれ、十分賄えるな。これは全部蓋の戦利品か?」
「ああ」
「なら十分黒字だな」
「でも、このまま粘着され続けると、キツイかも」
「そこは大丈夫だろう。小動物を痛めつけるとかなり重いペナルティがつくからな、余程の覚悟が無きゃ、冷えて直ぐに止める羽目になる」
実際、タツキチの言う通り、以降蓋と白モフを狙う輩は、大幅に減っていった。
「それじゃ、また壊れたら宜しく」
「おう、また来いよ」
エルフィンのホームを後にしPAに帰還した。
「無事に直ったべ」
マッドや、居合わせたメンツに報告。
「ムムム、小動物をイジメるなんて!!」
サチが憤慨中。
「まあ、今後は目に見えて減っていくと言ってたから、じきに狙われ難くなるだろう」
それでも気が収まらないのか、シルクとトリオを引き連れ、悪党退治に出掛けて行った。
「ちゃっかりPvPガチ勢を連れてく辺りが強かだよな」
「ヒヒ…女は怒らすとおっかないね~。さて、面白そうだし俺も行って来るか」
と、急に真面目なトーンで言い放ち、出撃するマッド。
「何気にマッドも怒ってるのか」
確かに、白モフ達はうちのマスコットだからな、皆で可愛がってるもんな。
「じゃあ、俺も行ってみるか」
ホームから出て、森に近づくと、悪党や魔物がわんさかと襲ってくる。
ただ、よく見るとペットを一切狙わずに、蓋だけを攻撃する輩が多い事に気付く。
奉仕量は増やしたくないけど、蓋を撃破したいという気迫は伝わって来る。
「そうまでして蓋を狙うのか」
調べてみると、蓋を撃破した悪党は、大したペナルティを受けずに、バウンティポイントが870も付いたそうだ。
PKに換算すれば約9人分で、対し奉仕量の増加は微々たるものだったそうだ。そりゃ、狙われるわけだ。
思わぬ形で、悪党どもの格好の獲物になってしまった様だ。
とはいえ、蓋を狩る為には、悪党側も群れる必要に駆られ、その結果目立つので、善人やMobの全てに狙われ易くなるリスクを伴う。
決して、舗装された道とはいかないのだ。
そんな道を、覚悟をって通ろうとする連中だからか、悪党の個々の力量が矢鱈と高い。
でも、こちらもまともに戦う心算なんてないんで、数の暴力を押し付けに行く。
「ドッペル!連合!」
フュージョンボックスをオンにし、敵に突っ込んで鍬を振るう。
この際、悪党の一斉攻撃を受けるが、俺の[生命]は1926995200あり、フュージョンボックスの効果で、HP約2億、バリア三種も約1億もあるので、残りLPも12億程残り、まだ余裕が有る。
そして、敵の陣形を畑で崩したとこへ、使い魔が一斉に雪崩れ込む。
取り敢えず、牽制は成功したので、タブレットを3つ噛み、LPを9割方回復させる。
「そんじゃ任せた!!」
敵を牽制し、使い魔をねじ込ませたら、次は仲間たちの番だ。
サチは畑に<まきびし>を撒いて要塞化。
シルクは適当に投網を繰り出し、悪党が休めないよう牽制。
トリオは、持ち前の連携と、各々独創的なビルドの強みを押し付け、悪党の攻勢を削ぐ。
マッドは、トリオにやられるか、投網の餌食になって、動きの鈍った相手を爆殺。
蓋はこんな状況でも、一番ヘイトを集め、その隙にペット達が悪党の足元を崩していく。
こんな感じで、蓋をしゃぶろうとする悪党をしゃぶること一時間。
ボカン!!
遂に蓋が破壊されてしまった。
あらかじめ、撤収の準備を進めてた俺らは、そのまま撤退。
かなりの戦果を叩き出し、無事PAに帰還した。
「えーっと、諸経費を引いて、一人頭220万の黒字になりました!」
「「「「「「うおおおおお!!」」」」」」
さて、皆が喜ぶ中、修理に向かう。
あまりに早いスクラップ化に、二三小言を頂いたが、無事修理完了。
修理から戻ると、アコもインしていた。
「アコ、お疲れさん」
「お疲れ様、テツ君」
「どうよ、白モフ達のLv、結構上がってるだろ?」
「凄いわね、この短時間で平均20も上がってるわ」
時間当たりの収益こそ、平凡な結果に終わったが、蓋の学習と、ペット達の経験値稼ぎを考慮すると、途轍もない大戦果となっている。
「俺はちょっと休憩するわ」
「分かったわ、また後で」
「おう、皆も一旦お疲れ」
『お疲れ!!』
こうして一旦ログアウトし、休憩を挟んだ。
休憩から、そのまま夕飯を済ませ、風呂にも入り、後は寝るだけの状態で再ログイン。
職人衆を残し、蓋とペットを含め出撃中らしい。
「皆は蓋についていってるのか」
「PvPとペットのLv上げが目的と言ってました」
パミルが代表で答えてくれる。
「了解、俺は何処に行こうかね」
どうせなら、殆ど行った事のない、北の雪原でも行ってみるか。
そうと決まれば、雪山を登り、マンモスの巣を素通りし、下山。
既にベースが建ち、攻略された北エリアだが、猛吹雪が荒れ狂う極寒地獄の雪原に到着。
環境ダメージが酷過ぎな上、攻略済みとあってか、人っ子一人見当たらない。
幸い、俺には[保温]OPが4つも有るので、少し肌寒い程度で、ダメージは微々たるものだ。
「しかし、本当に雪原のどこかにダンジョンなんて有るんかね…?」
そもそも、何で雪原に来たかと言えば、蓋の修理を頼みに行った際に、「他にもダンジョンコアのドローンがあればなぁ…」と呟いたところ。
「ん?なら探せば良いじゃないか、どの惑星にも未発見なだけで、天然由来や侵略由来のダンジョンが沢山ある筈だ」
という話を、ローレンスさんから聞いたのだ。
そして、一番発見の可能性が高いのが、ここ雪原だというのだ。
「最近、あそこでダンジョン捜索をしたって話も聞かないし、発見報告も聞かないから、可能性は高いと思うよ」
「若いの、今度またダンジョンコアを見つけたら持ってきな、流石にタダでとは言えないが、格安で何か作ってやるからよ」
タツキチも二号機の作製に意欲的で、もしもの約束をしてくれたので、一丁動いてみる事にしたのだ。
「…途方もねーな…」
下山してから、黙々と雪原をローラーするが、あまりに広大な土地を練り歩くのは、気が狂いそうになる。
「こんな時、プロトタイプヘルメットがあれば…」
今や、その戦闘データから、フュージョンボックスへと生まれ変わったかつての装備。
数々のインチキ効果には幾度となく助けられたものだ。
今回のダンジョン捜索も、ヘルメットの透視があれば、格段に見つけ易かっただろう。
「考えても仕様がないな」
意味の無い回顧を止め、ダンジョン探しを続ける。
ダンジョン探しを始めてから数日。
相変わらず、吹雪で視界の悪い雪原を行く。
ただ、望外な恵みに心躍る事もあったりと、意外に雪見散歩が癖になりつつある。
ちなみに恵とは、超が付くほど希少な毒蛇、[スノーマンバ]の発見だ。
何かに使い魔が反応し、襲い掛かるのを見ていたら、真っ白い見慣れた形をした蛇だもんだから、直ぐに手掴みで拘束。
この際、噛まれたら、とんでもないダメージと共に、[凍傷]になったりと、散々だった。
何とか蛇に噛まれないように握り直し、急いでペットマスターに連絡を入れると。
『直ぐに行くので絶対に放さないで!!』
と言われたので、雪山の麓で待機。
そしてやってきた彼らにテイムという形で譲渡。もの凄い喜ばれた。
なんと、スノーマンバのテイム成功例の初だというのだ。
スノーマンバは、熱に弱い代わりに、冷気に滅法強く、毒と氷属性の噛み付きが凶悪だという。
あまりに希少で、存在がガセ扱いされてた事もあって、お礼に1億5000万も貰ってしまった。
何気に凄い財力だよね。
「流石にポンポン見つかりはしないか」
ダンジョンは見つからず、スノーマンバも見かけず、マッピングだけは淡々と進む。
ちょこちょこ、非敵対の小動物を見かけ、癒されつつ歩いていると、突如積雪に呑み込まれる。
「なんだ!?」
最初は、クレバスかなんかに落ちたのかと焦ったが、どうやら洞窟の入り口みたいだ。
お!!っておもーじゃん?残念!!ただの熊の巣でした。
イラっと来たが、熊の子供が可愛かったし、母熊も威嚇だけで、非敵対だったので、そのままスルー。
…はせずに、一応中の確認をすると、やっぱり熊の巣だった。
なんとなく、タダの洞窟ではない感じは見受けられるから、もしかしたらダンジョン跡かもしれない。
真偽のほどは兎も角、これで少しは未発見ダンジョンにも希望が持てるというものだ。
モチベーションが上がり、意欲的に捜索をする。
そして二時間後。漸く転機が訪れる。
「ウォーン…」
なにやら弱々しい象の鳴き声が聞こえてくる。
「こっちか…?」
声を頼りに、吹雪の中を行くと、象の鳴き声がより大きく、そして複数聞こえる様に。
現場に辿り着くと、20体を超えるマンモスが、ある一点を注視しながら、困惑した鳴き声を上げている。
「子供のマンモスが溝に嵌ってるのか?」
マンモスを刺激しないよう、距離を測ってると、使い魔が一切反応しない事から敵じゃない事が判明。
警戒はしつつ、近づいた事で状況を把握した。
「露出してるのが背中だけか…掴めるとこが無いのか」
マンモスが敵対してない時点でお察しだろう。多分そういうランダムイベントだ。
「まあ、何かの縁だ。一肌脱いでやるか」
「こうもアッサリと解決するとは」
子マンモス救出作戦を開始して十数秒。
先ずは状況を確認しようと、子マンモスの傍に降り立ったら、いい具合に子マンモスの下に豚がワープしてきたんだろうな。
その、持ち前の判定のデカさで、子マンモスが持ち上げられ、直ぐに群れのマンモスが引き上げ救出は終了した。
言葉は通じないが、子マンモスからは、なんとなく感謝の意が伝わる鼻の抱擁を受けた。
群れは、そのままその場に留まり休憩中。
俺は、溝の中を調査し、奥に続いてる事を確認。
子マンモスが詰まるだけあって、中々に狭い洞穴だが、少しすると広い空間に出る。
「おお~、広いけど…行き止まりか…ん?」
だが隅々まで見てみると、元は通れた横穴が、崩落で塞がっているような箇所を発見。
「ゼ〇ダなら、爆弾で通れるようになりそうだな」
如何にもな状態な瓦礫を見て、さあどうしようかと思案。
取り敢えず、触ってみようと近づくと、瓦礫がシンボル化し、採取出来るように変化。
意味が解らんが、進展があったという事で不問としよう。
瓦礫を採取すると、シンボル1つ辺りから、[岩]という建材が320個ほど手に入る。
「こんな時に[幸運]の恩恵は要らないんだけどな~」
岩のコストは1個20も有るので、これだけでとんでもなくコストを圧迫。
試しに、岩を50個ほど破棄してみると、ゴロゴロと散らばってしまう羽目に。
仕方なく回収し、外に出て岩を破棄。
そして再び採取して、外へ出て破棄。
これを繰り返してると、マンモスの群れが、岩を運んで積み始める。
「壁でも作るのかな?」
ちょっと面白いので、更にペースを上げて、石を届けてやる。
暫らく時間を掛け、全てのシンボルから採取し、一旦外へ出る。
「おお~!!滅茶苦茶立派な壁が出来てる。けどちょっと不安定だな」
意外と、隙間が出来ないように積んではいるが、やはりマンモスの建築技術(?)だと、これ以上はきついのかもしれない。なんて思ってると。
『マンモスの居住地作りを手伝おう!!』
という、クエストが発生。
目的はマンモスの住処を作る事、手段は不足してる建材を届けよう。というものだ。
瓦礫の先も気になるが、先ずはこちらを解決してからにするか。
「まさか、必要な建材を瓦礫の先で集める事になるとは」
居住地作りに手を貸すと決め、クエスト概要を見ると、建材の在りかがMAPに表示され、確認すると瓦礫の先だと判明。
なんとなく、得した気分になりつつ、瓦礫を撤去した事で露わになった穴へ侵入。
「敵はナメクジ…久々のスラグ系か」
こいつ等は[スノースラグ]という、寒冷地の低温多湿地帯に生息する生物で、こいつのドロップする粘液が、接着剤として使える様だ。
他にも、丸々と太ったネズミも大量に居て、こいつ等の脂肪やゼラチンも必要だという。
他に必要な素材としては、粘土や砂利等で、全部この洞窟で産出した物限定に指定されている。
これと言って、難しい事は要求されないので、片っ端からナメクジと鼠を駆除しつつ、シンボルから採取を行い続ける。
集めた資源をマンモズに届け、一旦ログアウト。
休憩後に周囲を確認すると、素材を使い尽くしたマンモスが、所在なさげにソワソワしている。
俺は俺で、状況がリセットされて無い事に安心しつつ、作業を再開。
結局、この日は作業を終える事が出来ずに、持ち越しとなった。
そして翌日の午前中に、十分な素材が集まった様で、素材の要求はストップ。
マンモスの作業が終わるの待つばかりに。
さて、時間が出来たので、先程、洞窟の更に奥に見つけた穴に挑む事に。
穴に入り、早速敵に遭遇。
引き続き、鼠とナメクジが相手なのだが、全てが魔物化していた。
まだ断定できないが、ダンジョンの可能性が高くなってきた。
只の生き物の鼠やナメクジは、エリアの補正で強かったとはいえ、軽くあしらえる程度だった。
しかし、魔物化したこいつ等は別で、普通に使い魔達といい勝負をしやがる。
なんせ、鼠は勿論、ナメクジもジャイアントスラグみたいな巨大なものではなく、普通のナメクジサイズでいて、強さがうちのペット達と然程変わらないという凶悪さ。
一体幾つ特殊能力を持ってるのか、堅いし攻撃は当たらないし、数は尋常じゃない程多いしで、中々先に進めない。
極め付けは、落とす素材も少ないという嫌がらせ満載な仕様。
ただ、悪い事ばかりではなく、強い上に数の多い魔物を相手取ってるからか、『ファミリアコーザー』の熟練度が溜まり、プロ試験への挑戦権を獲得。
金銭的旨味は少ないが、ライセンス的には相当に美味しい。
本当なら、直ぐにでもライセンスの更新に向かいたいが、熟練度はある程度持ち越せる筈なので、もう少し粘る事に。
「ダメだ!!魔物の濁流が激し過ぎて先に進めねぇ!!」
穴に入り、ある程度進んだところで、敵の密度が更に酷い事になり、一進一退状態に陥り、最高到達点から進めなくなってしまった。
「仕方ない、区切りも良いし、一旦外へ出ようか」
外に出て、マンモスの作業もまだ続いているので、一旦ライセンスの更新をする為、ホームへ帰還した。
ライセンスの発行所へ向かい、『ファミリアコーザー』のプロ試験を受ける。
試験内容は認定員と変わらず、直ぐに終了。
当然合格し、プロに昇格した。
そのまま、雪原にとんぼ返りすると、居住地が出来上がっていた。が。
『更なる拡張』というクエストに発展。
どうやら、最初に運んだ岩が大量だった為、更に強固な居住地に発展出来る様だ。
「で、必要な素材が魔物化した鼠とナメクジか、なんというご都合主義」
早速、先程の素材を足元へ破棄。
マンモスがそれらを鼻で捏ね繰りながら、壁に塗り付けていく。
この分だと、まだまだ素材が足りないだろうから、洞窟に潜る。
『ファミリアコーザー』がプロとなった事で、使い魔のリスポン速度が上昇し、先程足止めを喰らっていた箇所よりは、少しずつだが先に進めるようになった。
やっぱ、戦いは数と、その数を如何に無駄なく戦線に送り込めるかが重要だな。
一進一退の攻防の中、一進が敵を倒した時なら、一退は使い魔が倒され穴が空いた時となるが、『ファミリアコーザー』のプロ昇格で、その穴が空く時間が短縮され、一退が無くなり一進を続けられる。
更に踏み込んで言えば、このライセンスと[養蜂家]の相性は最高に良い。
どれだけ、供給元の俺が強くなろうとも、元が弱い上に補正も極端に低く設定されてる蜂にとって、リスポン速度の上昇は、戦闘の機会が増える分、火力の上昇と同義となる。
つまり、蜂の総火力が増えた事で、他の使い魔の被害が減り、押し戻され難くなった結果、進める様になったというわけだ。
さて、この間にも素材が溜まり続け、いっぱいになりそうなので、一旦置きに戻る。
「お、壁が分厚くなって気持ち高くなったな」
最初は、マンモスが住むには、少々心許ない感じだった石垣が、分厚くなり見た目にも頼もしい感じに。
「これ、もしかしたら他の建材を置いたら、まだ使ってくれたりするのかな?」
一度気になるとどうしようもないので、雪原に在った雑木林に行き、木材を採取。ついでに土なども採取しておく。
戻り置いてみると、全ての素材に手を着け始めるマンモス達。
どうやら正解だったみたいだ。なんとなく、このままだと中途半端な砦になりそうだったからな。
夜。作業を効率化させるために、サチとワイドを招集。
この2人は、ノーコストで範囲攻撃が可能なので、雑魚狩りには最適な人材だ。
3人で、鼠とナメクジの魔物に突撃し、じゃんじゃん素材を量産。
魔物の素材が溜まると、畑と2人を残し、素材を置いてから雪原を散策し、別の建材を集める。
畑の持続時間が切れそうになると戻り、また魔物狩りと穴の探索を再開。これを繰り返す。
招集メンバーを入れ替えつつ数日。
メンバー勢揃いで、マンモズの里の完成を祝う。
追加で進呈した、数々の雪原産の素材に依り、マンモスが寝泊まりできる程の、立派な屋根付き宿舎が完成。
その周囲にも、当初よりも格段に立派になった石垣が存在感を放つ。
一頻り祝賀ムードを堪能し、俺らのメーンイベントへと突入する。
それと同時に、これまでの功労への見返りをマンモスから徴収する。
「じゃあシルク、例の物を」
「はいです」
シルクに声を掛け、今回必要な物を出してもらう。
その名も[超長い丈夫な綱]という道具で、名前の通り、クッソ長い丈夫な綱となっている。
まどろっこしい説明もなんなので、端的に言うと、今回やろうとしてるのは、昔話の[おおきなかぶ]だ。
というか、クエスト概要にも、おおきなかぶって表記されてるんだよな。
じゃあ何でそんな事をしなければって話。ダンジョンコアが壁に嵌って取れない。以上!!
状況は理解できたと思うので、ユキ、サチ、ワイドを引き連れ、ダンジョンを駆け抜ける。
その後を、綱を運ぶメンバーが追従し、核の間に綱の先端が届けられる。
既に核の間の敵は殲滅済みで、後はこちらの準備を済ますだけだ。
綱の先端には、吸盤が付いていて、それをコアに吸着。
さて、おおきなかぶごっこを始めるか。
「こっちの準備は完了した」
『了解、始めるわね』
アコに連絡し、マンモスに引っ張る様に指示を頼む。
一応補足するが、アコは、動物と意思の疎通が出来る道具を持っているので、指示役に回っている。
少しすると、弛んでた綱がピンと張り、コアの埋まってる壁がミシミシと唸りを上げる。
そして唐突に湧き出す魔物たち。
一応、アコと職人衆以外は居るので、急遽応戦。
只問題があって、自分の身を守ればいいだけではなく、綱も守る必要があるからだ。
綱を齧る鼠、綱を粘液で腐食させようとするナメクジ。
念の為と、シルクが丈夫に作ってくれてたから、どうにか瞬殺を免れたが、このままだと綱が千切れてしまう。
しかし困った。敵が小さいせいで、馬鹿火力のベッタラとショーが機能不戦に陥り、かといって面を制圧するような手段も持たないので、戦力がガタ落ちだ。
マンモスの御守はアコに一任し、職人衆も総動員して綱を守る。
ってか、何時になったらコアは壁から抜けるんだこれ?
対策不足も祟って、長くはもたない。
嫌な空気が漂い始めた頃、綱がブチっと音を立て千切れる。それと同時にコアも、しゅぽんと間抜けな音を立て、壁から抜けた。
湧きの止まった敵を殲滅し、コアを回収。
「やったな」
「おう」
マサが労いの言葉を掛けてきたので、軽く応じる。
「これで蓋の二号機を作るんですよね?」
ベルの最終確認、って程じゃないが、質問にイエスと答える。
「少しでも、壊され難くしたいからな」
ダンジョン攻略を始めてからの数日間で、既に4回スクラップにされた蓋。
ペット達のLvも上がり、悪党たちの労力も上がってる筈なのに、一向に撃破狙いの輩が減らない。そんな状況に終止符を打ちたいが、果たして。
アコと合流し、マンモスの見送りを背に、PAに帰還。
またしても、スクラップ化した蓋が目に入る。
「…取り敢えず修理に行って来るわ」
皆に、苦笑しながら送り出され、タツキチを訪ねた。
「凄いな、この短期間でどんだけ壊されてるんだよ」
「さあな、一応収支はプラスだけど。さて、新しいダンジョンコアを持ってきた、見積もりを出してくれ」
「お、もう新しいコアを見つけて来たのか。こいつと同じで良いなら、工賃は6500万だ」
「6500万ね、じゃあ修理費と合わせて6850万即金で」
「毎度」
金を渡し、アサルトディスクの修理と二号機の制作を依頼。
タツキチ曰く、同じものを作るなら、ノウハウがある分、四日後(明日)には完成するとの事だ。
そして翌日には、修理済みの蓋と蓋二号機を受け取りPAに帰還。
早速、蓋二号も独立行動パーティーに編入し、解き放つ。
三十分後。PAでは、スクラップ化した二機の蓋の姿が!!
「なんで!?」
「フフフフ…いや、笑い事じゃないね、…プププ」
笑いを堪えきれぬローレンスさん。
あの後直ぐに、二機の修理費を掻き集め、タツキチの下を訪れ、レコーダーの映像を確認。
その中で、悪党どもの凄まじい執念の成せる業が、記録として収められていた。
どれだけペット達にやられようと、一切の反撃を行わず、蓋だけを執拗にリフティングするという、その情熱を他に向けられないのか…そんな光景が繰り広げられていた。
「こりゃ中々エンタメ度の高い映像だな。どうだ?この映像を100万で買い取ってやろうか?」
「…貰えるもんは貰っておくか…」
「でもま、良いじゃないか。見た感じペットのLvは凄い勢いで上がってるんだろ?」
「ええ、まあ」
確かに、総合的には大分黒字なんだが…釈然としないなぁ…
「それで、ペット達のLvはどうなってる?」
PAに帰還し、アコにペットのLvを訪ねる。
「凄い上がってるわ、一番高い子でLv897まで上がってるわ」
ちなみに、そのステータスはこんな感じ。
名前:シフォン。 種族:兎。 Lv897。 コスト897。
LP89700 STA89700
攻撃力89700 防御力44850
こんなのが、沢山の特殊能力を身に着けた上で30体も居るんだから、悪党側の被害も相当だろう。
「他の子も平均Lvは800を超えてるわ」
「そうなると、金でLvを上げるよりは、蓋の修理費を経費にして、悪党狩りで上げた方が金も時間もお得って事か」
「間違いないわね、お金なら私、おじょ…ユキ、シルク、サチ、おりょうさんもカンパするから引き続き頼むわ」
「今後の事を考えると、先行投資する方が良いか」
修理費用は、女性陣が手厚く保証するというので、今後は蓋の損壊を気にせず、悪党にぶつけ続ける事にした。
数日後、何度も蓋を破壊されつつも、悪党にぶつけ続けた結果、兎のシフォンのLvが1000を突破。
ここまでくると、単体でも森の魔物相手にいい勝負が出来る様に成り、悪党相手にも痛痒を与えられる程度にはなった。
蓋の方も、一号機がそこそこ学習してきたのか、破壊される前に戦利品を持ち帰る確率が上がってきていて、修理費の捻出が多少は楽になった。
こうなって来ると、ペット運用にも欲が出てきて。
「うーん」
「どうしたんだ?」
「このままペット達のLvを上げていくと、ペットルームだけじゃコストを賄えなくなるのよ」
「ああ…うちにはもう、殆ど拡張の余地が無いからな」
「そうなのよね…元々無理言って増築して貰ったから、これ以上は…厳しいわよね?」
「まあ厳しいには厳しいけど、どうせこれ以上大がかりな増築は無いだろうし、残りをペットルームに割いても良いんじゃないか?」
一応、職人衆にも聞いたが、現状の設備で間に合ってるから、構わないとの返答が。
という事で、残り3枠しかなかったスペースに、ペットルームを増築。
これで、うちのカンパニーの設備は、全て埋まった事に。
「これ以上は、コーポレーションにするしか無いな」
NPC絡みの、面倒な柵が生まれる事を懸念して、避けていたが、そろそろ本格的に検討するべきかもな。
ここに来て、我がカンパニーは、ペット部門の強化に乗り出した。
理由は単純。強力なサポーターを所有できれば、将来性に優れるからだ。
現在、ペットルームが4つ有り、総Lvは86。ペットコスト43000となっている。
で、ペット30体の総コストが、約53000で、足りなくなっていた。
なので、先ずは最初のペットルームをLv100に改築。これで総コストは50150となり、更にアコがカンパを募り、総Lvを130に上げ、65000にした事で、暫くの間は余裕だろう。
後は、今のペットのLvを極限まで上げていくか、数を増やしていくかの二択をどうするかだ。
コスト的には、まだまだ余裕が有るとはいえ、いずれは限界が訪れる。
あ、勿論カンパニーのままだったらという、但し書きは付くけどね。
その時に、個の性能か、数の力か、どちらが優れているのか…。
どっちも一長一短で、最低限戦えるなら数が居た方が何かと融通が利くだろう。
逆に、歯が立たないなら、数なんて意味を成さないだろうし。
要はバランスなんだよな。
だからと言って、両方伸ばした結果、どんな状況にも半端な効力しか発揮できないとか、目も当てられんし…。
いや~、悩ましいな。
質か数か。この問題をアコと協議した結果、数を取る事に。
「(数が多い方が)絵的に可愛いから」
の、鶴の一声で即決した。
そうと決まれば動きは速い。アコがペットの確保に動き始めた。
そして、あっと言う間に犬猫兎を各2匹ずつ、ほか…テイムしてきた。
「近場が魔境化してる中、よくスタンダードな、しかも白で統一出来るな」
「気合よ」
「それで、この新しいのはどうするんだ?」
「取り敢えず、それぞれLv50に上げてから、牽引させるわ」
こうして、新たな仲間を加え、蓋とペットが遠征もとい近征に出掛けて行った。
そして一時間後。
奇跡的に蓋両機が生還し、新顔も生還。
全体的にLvを上げているが、やはり新規加入の6体の上り幅が大きく、平均で20程Lvを上げた。
後はアコに任せて、俺は金を稼ぎながら、ついでにダンジョンコアでも探すか。
「一応、ダンジョンコアの相場を調べてみるか」
…
「分かってたけど高いな…」
最低価格でも1つ200億で、買うのは余程のあぶく銭が入った時くらいだろうな。
「ってか、結構流通してもんだな」
しかも、ダンジョンコアを使った装備なんかもあって、リストを眺めてるだけでも楽しかった。
金策の合間合間に、ダンジョンコアの出所を見てると。
「アースの海底で採取」「NPCから貰った」「ドラグーンの火山内で拾った」等々、多岐に渡る入手経路に驚く。
ダンジョン以外でも、何にもないロケーションを散策中に拾えることも有るというし、一番衝撃だったのが。
「【早起きは三文の得】の効果で、ホーム内で拾った」という情報。
まさか、ここにきて神ギフトだと判明するとはな。当然確率は激渋なんだろうけど、人より入手機会が多いのは、羨ましいな。
さて、色々と情報を漁った事だし、金策に集中するか。
金策中、強化も忘れ、半ば空気化してたガーディアンを思い出し、バグスターで蟲人間を相手取る。
相変わらず糞強くて辟易するが、何時までも先送りにするわけにもいかない。
そろそろ、本腰入れて鍛え直しに掛るべ。
蟲人間に、何度も血の海に沈められつつも、気概を持って絡み続ける。
死に戻りが多く、時間当たりの稼ぎは今一歩だが、吸魂の発生率も悪くなく、着実に骨の強さが戻りつつある。
次の日も、そのまた次の日も蟲人間を狩り、漸く4体掛かりで阿修羅時の強さに比肩する様に。
魔法の威力も、発動速度、連射速度も改善され、辛うじて弾幕と称せる程度に。
魔法自体、対単体魔法の中では、強力な部類に入り、実ダメージの程はアレとして、衝撃力は十分。
そんな魔法の弾幕が形成された事で、蟲人間の動きを大幅に制限。
数日前と比較して、蟲人間戦がグッと楽になった。
一度軌道に乗れば、後は野となれ山となれ。
安定して蟲人間を狩れるようになり、骨の強化が捗る。
更に、並行して行っていた金策が成就し、20億の積み立てが完了。
ホルダーを強化し、名称が[100フリーホルダー]となった。
新たに50コスト分ランタンを積めるようになり、どうするか考えてると。
「これあげる」
と部長からスチールランタンを5個拝領。
これで、計10個のランタンを腰に提げる事に。完全に変人だな。
ランタン10個体制で蟲人間に挑む。
「うっは!!デバフが倍になると、ここまで違うのか」
もうね、ダメージの通りが全然違うのよ。
今までは、ランタンでデバフを掛けつつ、[制圧][包囲]でじっくりと弱体化させて、やっとまともにダメージが通り始めてたというのに…今では最初から使い魔の攻撃が徹る徹る。
弱体化が響いてるのか、人形のモルヒネ光線も僅かに機能し、畑の包囲網と合わさり、蟲人間の行動を完封。
油断さえしなければ、最早カモと成り下がった蟲人間をしゃぶりまくる。
そのまま終日までバグスターに籠り、骨の強化に取り組み、更に強さを取り戻す事が出来た。
「今日もやってくか」
昨日に引き続き、バグスターで蟲人間とやり合う。
一時間当たり5体の蟲人間を狩り、少しずつ効率が上昇し、時間当たりの討伐数も6体、7体と増えていく。
絶好調で戦い続けるとこ四時間。
ガーディアンの強さは、四分割前を越え、非常に頼りになる存在へと昇華された。
休憩を挟んでから、更なる強化を目指し、蟲人間を追いかける。
どうも、蟲人間をターゲットにする奴が増えてるようで、ホームのあるエリアでの遭遇数が激減。
仕様がないので、北の荒野エリアに向かうと、エリアの境目はすっかりと文明に浸蝕されてしまっているが、少し中心地へ向かえば、未だに蟲の跳梁跋扈する魔境であることは変わらなかった。
しかもだ。北エリアの蟲のステータスは、本来であれば、今の俺には歯牙にもかけない程度のものだった筈。それが馬鹿みたいに強化されていて、蟲人間の率いる軍団にしゃぶられ敗走。
試しに、その足で東西南も跨いでみたが、北と同じで、ホームのエリア以外の難易度が急上昇していた。
「身も蓋も無くいえば、コンテンツの焼き増しか」
いや、素材の質が上がってるから、寧ろウェルカムなんだけどね。
という事で、蟲人間対策を一段引き上げる。
何のことはない、聖水を使うだけだ。
アンデッドじゃないのに、なんで聖水が効くのか言われても、知らん!!そういうもんだと思っとけ。
まあ、効くと言ってもダメージが入るのではなく、動きが聖水の質に応じて止まるんだ。
脳内補完で、寄生された人の魂に作用してると思う事にした。
で、蟲人間の動きが止まれば、蟲の統率は瓦解。その隙に美味しく頂くのだ。
結構懐に響く戦法なのだが、続けていれば確実に戦力が増すと解っているので、躊躇う理由がない。先行投資と割り切っている。
それに、うちは『ジャックオーランタン』の手に依るリフォームで、クラフトに聖水効果を付与できる。
つまり、元手はお安くなっているのだ。
「ついでにこいつも試してみるか」
ホームで渡された試供品の殺虫剤。
こいつで蟲をある程度倒すと、テスターとしてお金が貰えると言われ、参加してみた。
殺虫剤と言っても、麻酔銃のシリンジャ―が、殺虫剤に換わってるだけの物で、使い方に困る事も無く、効果も悪くはなかった。
取り敢えず、フィードバックとして、腕に括り付けて使えるよう、要望を出してみた。
どうしても、鍬で両手が塞がっている関係上、スムーズな使い分けが出来ないからね。
すると、テストの担当者が、技術者を呼び、急拵えながらも、俺の要望に沿う物を用意してくれた。
当然デメリットもあって、骨鎧との干渉を避ける為、小型化した為、射程の激減に加え、シリンジャ―も小型化に伴い弱体化。
正直、試すまでもなく欠陥品だと思うが、金を積むと言われれば仕方ない。
結論としては、両手が塞がっていても、咄嗟に使える飛び道具は便利だが「これは無い」だ。
更なる改善案として、単発使い捨てにして、射程と薬量を増やした方が良いと進言。
すると、またしても急拵えでアイデアを現物化。
構造もシンプルで、腕に括り付け、強い衝撃を与えると、一回こっきりの射撃が可能な、使い捨て腕部砲的な物となった。
コチラは、使いどころは限られるが、十分に使えると確信。
両腕に付けていたので、二射分を蟲人間に浴びせ、弱体化に成功。
射程も弾速も薬効も、プロトタイプにしては中々の塩梅だ。
という、これらのフィードバックに、担当者は満足した様で、150万円貰えた。
一旦休憩を挟み戻って来ると、先程の使い捨て腕部砲が、既に商品化されていた。
お値段お1つ25万円。高いけど、コストも50と安く、装備故に死んだときのロストも心配ないし、幾つか持っておくと良いかも。
見てると、結構な人が行きがけに買っていっているので、評判も上々な様だ。
さて、俺も荒野での蟲人間狩りを再開。
毎回、開幕で聖水が上手く当たるかどうかの運頼みにはなるが、決まればそのまま押し切れるので、時間当たりの討伐数を4で安定させることに成功。
なんとか、蟲人間狩り継続に漕ぎ付けたわけだ。
それから数日で、ガーディアンの強化も進み、荒野の蟲人間も、聖水無しで安定して狩れるようにはなったが、如何せん現状伸ばせる火力が、ガーディアン頼みなので、そろそろ3回目の進化をするか。
「そんじゃ3回目の進化っと」
先ずは肩書選択からしちゃおう。
今回新たに選択できるのが、《生命信者》と《使い魔フリーク》で、前者が[生命]の覚醒数50増、後者が使い魔の復活STAを50%軽減リスポン速度を50%上昇、となっている。
「うーん、《デコ畑》《アンタッチャブルファーム》も魅力的だが、覚醒数50はヤバ過ぎるでしょ」
破格の覚醒数の魅力には抗いきれず、《生命信者》を選択。
「次は再覚醒と…今回は因子パラメータ共に3回ずつか」
さて、どう振り分けようかと思案。
一応、【引換券】の使用を問われたが、今回は使用を見送る事にした。
ふと[百姓]の2回目のスキル変化に必要な覚醒数が10回と思い出す。
「現在の覚醒数が7…決まりだな!!」
因子はこれで良いとして、パラメータはどうするか。
「[観察]の2回目変化が15回で、今13回だから[観察]に2回、あと1回は…[生命]で良いか」
…いや待てよ…どうせ[生命]は肩書で大幅に上げれてるんだし、ここは別のパラメータを上げた方が良さそうだ。
「ここは[幸運]を上げておくか」
という事で、残りの1回分は[幸運]に振り分けた。
これで進化は済んだので、Lvを10に上げ、PAに引き上げる。
各種パラメータとポイントが3000有るので、遣り繰りし、こんな感じになった。
名前:テツ。 Lv10
LP:128278020 STA:4500 COST:5100
肩書:《生命フリーク》《生命マニア》《生命信者》
ギフト:【生への執着Lv1+15】【速度】【蛇使い】【ドリス】【核細胞保護Lv1+14】【獣人+1】【吸血鬼+1】【植物人間】【引換券Lv1】
因子:【[獣人★22]】【[吸血鬼★25]】【[蛇使い★10]】【[植物人間★10]】[農家★8][百姓★10][養蜂家★6][パイパー★5][養豚家★2][羊飼い★]
パラメータ:[生命★153]462000[持久]3000[積載]3000[幸運★21]66000[観察★15]48000[魔力★7]24000【[速度]】3000[制圧]3000[跳躍]3000[解体]3000[包囲]3000
スキル:<生存義務>Lv50 <野生の脈動>Lv50 <不死の根源>Lv50 <精鋭部隊>Lv50 <高価な蛇壺>Lv50 <名工の蛇笛>Lv50 <岩にも生える>Lv50 <超合成>Lv50 <品種改革>Lv50 <土壌改革>Lv50 <百姓連合+1>Lv50 <鍬術教育>Lv50 <戦闘蜂>L200 <増蜂>Lv50 <軍鼠>Lv50 <煽動者>Lv50 <養豚>Lv50 <過剰肥育>Lv50 <羊の群れ>Lv50 <シープドッグ>Lv50 <生命超強化+1> <生命超増強+1> <生命強化+2>Lv50 <生命増強+2>Lv50 <持久増加>Lv50 <積載増加>Lv50 <神の使い>Lv50 <島亀>Lv50 <黒いダイヤ>Lv50 <皇虫>Lv50 <移植マウス1号>Lv50 <移植マウス2号>Lv50 <移植マウス3号>Lv50 <移植マウス4号>Lv50 <魔道人形1号>Lv50 <魔道人形2号>Lv50 <ゴーレム1号>Lv50 <ゴーレム2号>Lv50 <圧制>Lv50 <殲滅>Lv50 <煽動>Lv50 <見せしめ>Lv50 <跳躍上昇>Lv50 <基礎の撤去>Lv50 <大黒柱撤去>Lv50 <屋根の撤去>Lv50 <壁の撤去>Lv50 <足止め>Lv50 <投降呼びかけ>Lv50 <兵糧攻め>Lv50 <火計>Lv50
アビリティ:[ドッペルゲンガー][種苗袋][ボロボロの防柵][死への免疫][スワンプマン][超純度ヒアルロン酸]
装備:[復興の道しるべ][シャツ][ズボン][靴][帽子][100フリーホルダー] *[御霊の器][フュージョンボックス] コスト不足で解除中。
Lv10にして、LP1億超えという異常事態。《生命信者》半端ねぇぜ。
さて、変化した[百姓]と[観察]のスキルに触れようか。
先ず[百姓]のスキルは、<百姓連合><跡継ぎ教育>が、<百姓連合+1><鍬術教育>に変化。
効果は、<百姓連合+1>が百姓を四分間召喚で、<鍬術教育>は百姓の能力を上げ鍬で戦えるようにする。というものになっている。
連合の方は、単純に持続が倍になって、使い勝手が向上。教育の方は、能力と行動パターン次第と言ったところか。
次は[観察]の変化で、<抵抗マウス1号>~4号が、<移植マウス1号>~4号へと変化した。
効果は、<抵抗マウス1号>時の状態異常耐性を引き継いだまま、パラメータ補正を強化、というものになっている。
シンプルで強力な変化で、検証が楽しみだ。
あとは…【生への執着Lv1+15】と【核細胞保護Lv1+14】の効果も紹介。
執着は、発動条件が40%に緩和され、最終値へ5000%乗算。
保護は、割合ダメージを3986066%カットという、わけのわからないものに。
最後に、執着免疫の発動LPだが、LPが70%…9千万を切った辺りで発動し、[生命]が約120億まで上昇する筈だ。
さて、検証を行なおうか。
場所は、比較的平和な渓流で行う。ホームに近いとPvPに巻き込まれてしまうからね。
早速<百姓連合+1>を発動。そのまま二分近く待つと、再使用可能となったので、もう一度発動。
そして、最初の1体目が消える直前に、3体目を呼び出し、1体目が消滅。
「成程、都度発動していけば、常に百姓を2体展開出来るのか」
これは凄まじい強化だ。問題は戦闘を行うようになるというものだが…。
そして結果から言えば、良くも悪くも、といった感じだ。
戦闘しちゃう分、耕作を怠けるが、戦闘力は悪くないし、前に出る分畑を広くするチャンスでもあるからな。
多少運が絡むけど、2体展開出来てる時には、有難みのある変化かもしれない。
マウスの方は、補正が強くなった事で、そうだな…<家族蛇>の小蛇位のスペックになった感じ、要は、相当強くなったって事だ。
小さい当たり判定で、中型サイズの使い魔クラスのステータスで、足元をウロチョロしつつ、同士討ちまで誘発するのだから、増々強力な使い魔に変貌してくれた。
検証を終え、PAに帰還すると、マサからこんな報告が。
「お、戻ったか。なんか蓋が妙に柔かったんだが…テツが進化したせいなのか?」
「あ…」
そういえば、俺の[生命]の補正を受けてるんだった。
「仕方ない、暫くは誰かの随伴を必須にするか」
「それが良いだろう」
という事で、蓋のルーティーンを変更。
さて、早いとこLvを上げる為にも、金策に励むか。
「とは言ったものの、流石にLv10のままじゃキツイよな」
せめて、もう30程上げなければ、満足に採取マラソンも出来ないからな。
仕方ないので、貯めてきた素材やら何やらを放出し、費用を変出してLvを40まで上げた。
これで、[御霊の器]と[フュージョンボックス]を装備し、十分な空きコストを確保出来た。
早速、アースを含めた各惑星の、今の自分でも回れるロケーションを片っ端から回る。
最近、また物の価値が上がってきているので、値上がりが期待できる物、加工で付加価値を付けれる物は保管。変動が期待できない物を売り捌く。
思ってた以上に、物の価値が上がっていて、五時間ほどで4000万を稼ぎ、Lvを45に上げた。
あれから一週間とちょっと経つが、物価は上がり続け、随分とLv上げを助けられ、なんとカンストの130まで上げ切れた。
流石に、4度目の進化にはもう少し間を置くが、近い内に。
で、どうやってここまで短期間でLvを上げ切ったかと言えば、懐かしの薬草栽培を再開したのだ。
その時、ギルドと一悶着あったが、ハイエルフ達の恐ろしい報復に遭い、結果、俺らに都合の良い取引レートが制定。
マッド謹製のポーションを売るだけで、簡単に数百万単位の富が転がり込んできて、左団扇状態だった。
今は、取引額が一定を越えた事で、契約が満期を迎え、正常な額での納品になったが、インフレの煽りで、近い内にまたフィーバーしそうだ。
そんな、うちみたいに色々と自前で用意できるところには、良い環境で、Lvも戻った事で、蓋が大活躍し、更に富が転がり込む。
現在俺の[生命]は約60億。進化前の3倍程に増えた事で、蓋のLPも元の3億+32億で35億になっている。
これには流石の悪党共も悶絶してる様だが、寧ろ付け狙われ度は以前より増してるようだ。何故だ。
他にも色々とあったが、大きな変化と言えるのは、こんな所かな。
次回も二週間で上げれたら良いなぁ…
コメントや誤字脱字修正有難う御座います。
ホント、世の仕事から会議が無くならないわけですよね。
顔が青くなる程問題点があっても、自分では気付けないんですから。
では、また次回。




