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第三十六話

~前回までのあらすじ~

雪乃の複雑な事情が発覚し、改めて幼馴染と感動の再会だが…

2人で記憶を擦り合わせた結果、新たな謎が生まれ…

【早期発見】LPが80%以上の時、状態異常の蓄積を80%軽減。

[生命]6回目の覚醒で解放されたギフト。

 常にLPを80%維持するのは面倒だが、全ての状態異常に対し効果が有るのは便利。

 これの他に、色々と耐性を盛れば、無効化は無理でも相当状態異常にかかり難いキャラに出来そうだ。

 まあ、あくまで難いってだけなので、過信は禁物だがな。


【長生きの秘訣】満腹度が95以上の時に飲食をすると、LPが30%回復する。

[生命]7回目の覚醒で解放されたギフト。

 健康長寿が、健啖家なのを意識してるのかな?

 満腹度さえ満たせば、水でも上級ポーション並みの回復量を叩き出せる、優良ギフト。

 突出した強さは無いが、回復へのハードルを大幅に下げ、消耗品のコストを大幅に削減できるので、色々とすっきり管理しやすくなるかもしれない。


【核細胞保護】LPに割合ダメージを与える攻撃のダメージを33%軽減。

[生命]8回目の覚醒で解放されたギフト。

 これはヤバい。何がヤバいって、敵かプレイヤーが割合ダメージ攻撃を、使ってくる事が証明されてしまったからだ。

 幸い、これまでそんな攻撃は喰らわなかったし、使ってくる敵も人も知らないが、そう遠くない内に使い手と遭遇しそうだ。

 当然俺やカメキチさんには天敵なので、それをメタれるこのギフトは、是非とも取得しておきたいところだ。

 もし、取得できるギフト数に9か10の制限があるとしたら…1個は確保しておきたい。


【骨密度120%】状態異常[骨折]を無効化し、打撃ダメージを30%軽減。

[生命]9回目の覚醒で解放されたギフト。

 それぞれの[骨折]無効、打撃ダメージ30%軽減だと微妙過ぎるが、この二つが組み合わさってるのなら話は別だ。

 まず[骨折]無効なんだけど、これ自体は重装備を着込むなりすれば、割と防ぎやすい部類の状態異常なので、微妙。

 ダメージ30%軽減も、ギフトの効果としては低いので、微妙。

 そんな二つの効果だが、お互いの微妙な点を補い合っている。

 今しがた、[骨折]は防ぎやすいと言ったが、そもそも防いだところで如何にもならない状況が多い。

 なんせ[骨折]する状況って、大概大ダメージを受けて、そのまま追撃でおっ死ぬ場合が殆どだからだ。

 でも、打撃ダメージ30%軽減が有れば、ピンチから立て直しが出来るチャンスが増すし、[骨折]が効かなければ、逃げ足が衰える事も無い。

 [骨折]を防いだところで、一撃死じゃ意味がない、LPが多少残った所で[骨折]で身動きが取れなくても同じ、そんなお互いの至らない点を補っているギフトだ。


【生命】パラメータの[生命]を取得。キャラメイク時に[生命]を取得した場合、スキルの取得が可能になり、スキルも強化される。

[生命]10回目の覚醒で解放されたギフト。

 他の10個目のギフトと違い、[生命]はデフォルトで設定されているパラメータなので、これを取得した時点で上昇値二倍とスキルの強化が受けられる。

 そういう意味では、無駄がなくお得感満載なギフトと言える。

 覚醒数が10になり、スキルも強化されたとこに、このギフトを組み合わせれば、更なる強化を行なえるが…、その為だけに取るのはちょっとキツイか。

 俺の中では、[生命]を覚醒させるのは、【生への執着】を強化する事と、ビルド過程での安定の為でもあるので、今後このギフトを選ぶことは無いだろう。


【脱走マウス】マウスの攻撃が、相手の食料と飲料のコンディションにダメージを与える。

[観察]3回目の覚醒で解放されたギフト。

 これは使える場面が限定的だな。

 でも、PvPで相手の食い物飲み物を劣化させれるなら、嫌がらせとしては最上かもしれん。

 元々当たり判定が小さく、スキルLv50のLP強化も相まって、敵への接近は得意な使い魔なので、一定の活躍はしそうだ。


【酸の克服】マウスが酸ダメージを受けた場合、マウスのLPが回復する

[観察]4回目の覚醒で解放されたギフト。

 恩恵を得られるのがマウス限定なのがなぁ…。

 しかも効果がピンポイントなのがネックだ。

 その分効果自体は相当優秀だ。

 人伝でしか聞いた事が無いが、酸の地形ダメージあるロケーションもあるそうで、そういう場所で回復し続けながら戦える駒を得られると考えれば、使い道は十分にありそうだ。


【ハムスター】マウスの見た目がハムスターになり、木の実を集めるようになる。

[観察]5回目の覚醒で解放されたギフト。

 ハムスター好きには堪らないギフト…かもしれない。

 木の実収集がどれ程の物か分からないので、何とも言えない…。

 ただ、エリアの難易度に応じて集める木の実の等級や質が上がるなら。収集率も高いなら。十分使えるギフトじゃないかな?


【抗体】使い魔の状態異常耐性が100%上昇。

[観察]6回目の覚醒で解放されたギフト。

 滅茶苦茶強い!!…と思う。

 でも、これを取るなら10回目で解放される【観察】で良いのでは?とも思ってしまう。

 勿論、両方取得すればそれだけ、使い魔を状態異常から守れるので、一考の価値は大いに有りなギフトだ。


「さて、一気にLv10000分一気に上げるとして、どう組み立てるか」

 金は有る。過程をすっ飛ばして再誕直前まで行けるのだから、普段ビルドの兼ね合いで、手が出せない因子やパラメータも覚醒出来るな。

「どうするか…」

 悩んでる最中、グループチャットでやり取りしているが、皆も同様に悩んでいる様だ。

 いつの間にかメンバー全員がチャットに参加し、再誕中となっていた。

 メンバーと情報交換をしつつ、ネットで情報を漁りつつ、ビルドを組み立て…。

「うーん、やっぱどんなビルドでも強いギフトは、必要覚醒数も多いな…」

 やはり、そう簡単には強力なギフトは解放できそうにないな。

 という事で、堅実に覚醒させる因子とパラメータを選ぼう。

「因子はこれで良いか」

 今回覚醒させた因子は、[獣人]2回[吸血鬼]2回は、戦闘面や使い魔の堅さを考慮すれば外せない。

 しかし悩ましい…もし、ギフトが予想通り9もしくは10個しか選べないのなら、既に構想はカツカツ…どころか半分瓦解してるしなぁ…

「…妥協も必要だな」

 そして選んだ残りの5回分は、[農家]3回[百姓]2回と振り分けた。

 そして嬉しい事に、[農家]の覚醒数が規定値に達し、スキルが強化された。

 スキルは後程紹介するとして…[農家]を覚醒させるのは今回が最後だろう。

 既に、取りたいギフトが埋まっているので、ギフトを取る余裕がない[農家]をこれ以上覚醒させる余裕がない。

 同様に、[百姓]もスキルの強化が済み次第、覚醒は止める心算だ。

 今後は、キャラメイク時の因子選択で重複なりして使っていく。

 なぁに、鍬が超絶高性能なのだ、因子の方が多少貧弱でも、他で補えば問題無いだろう。

「次はパラメータと」

 今回覚醒させたパラメータは、[生命]3[観察]4[跳躍]2とした。

 これで[観察]の覚醒数が10になったので、【観察】が解放された上に、覚醒数が7の時点でスキルも強化された。

 という事で、[農家]と[観察]のスキルの変化を紹介しよう。

 <品種改良>:生産速度2%上昇。→<品種改革>:生産速度4%上昇。

 <土壌改良>:生産数1%上昇→<土壌改革>:生産数2%上昇。

 <マウス1号>~4号:マウスの使い魔を使役。→<抵抗マウス1号>~4号:状態異常に強いマウスの使い魔を使役。

 となった。

 まあ、順当に強くなった形だな。


「因子は何を取るかな」

 キャラメイクに入り、ドンドン因子を選んでいく。

「[蛇使い]で1枠使って残り9…[養豚家]2[養蜂家]2[パイパー]2…これで残り3枠」

[蛇使い]は【蛇使い】が有るので1枠で十分だし、[農家]と[百姓]はそれぞれ2回ずつ覚醒させてるので、枠を使うまでもない。

 そして色々と解放されていたり、追加された因子を眺めていると、良いものを発見。

「ん?[植物人間]!!コレだ!!」

 という事で、[植物人間]に3枠使い、因子の選択を終了した。

 さて、この[植物人間]だが、なんと因子効果で酸防御力を5上げれるという、非常に有難い因子だ。

 スキルは<どこにでも生える>:[生命]が3上昇。<光合成>:保水度が80%以上かつ光を浴びている間満腹度が少しずつ回復。となっている。

 前者はガチ、後者は損は無いので取り敢えず取ってみる感じかな?

 本命は酸防御力の確保だが、スキルで[生命]を上げれるなら、十分ガチな因子だ。

 …これでまた取りたいギフトが出てきてしまった…悩ましいな。


「パラメータは…」

 直前までの、パラメータ構成は、それなりに満足してはいたが、やはりスキルを一切取っていない[筋力]がちょっと無駄かな。

 初期の頃は、ナイフで殴ってたから、その恩恵は大きかったが、現在は自身では一切直接攻撃はしないので、近接に補正を掛ける[筋力]は必要性が低い。

「他に魅力的な攻撃系パラメータが有れば乗り換えるが…」

 パラメータの一覧をスクロールしていき、良さげなものを探していると。

「ちょっとちょっと~、これ良いんじゃない~?」

 ふと目に留まった[声量]というパラメータ。

 効果は、声が大きくなり敵に狙われ易くなるという。

 大量の使い魔を引き連れ、壁役や遊撃をする俺には、中々良い感じだ。

 しかもこのパラメータ、カテゴリが攻撃に分類されてるので、使い魔の火力にも貢献出来、現状[筋力]の上位互換になるので、これを選ぶ事にした。

 スキルは以下の通りとなっている。

 <野次>:ヘイトを高める

 <怒鳴り>:敵を[恐慌]状態にさせ易くなる

 <雄たけび>:敵を[難聴]状態にさせ易くなる

 <声を潜める>:敵から見つかり難くなる

 スキルも中々粒ぞろいだし、今後に期待が持てるパラメータだ。


「さて、スキルを取っていくか」

 PAに戻り、皆と駄弁りながらビルドを組み立てていき、こうなった。

 名前:テツ。 Lv100  ★⁹ ☆⁹ 

 LP:2494578 STA:24000 COST:24000

 ギフト:【生への執着Lv1+1】【速度】【蛇使い】

 因子:[獣人★²][吸血鬼★²][農家★³][百姓★²]【[蛇使い]】[養豚家²][養蜂家²][パイパー²][植物人間³]

 パラメータ:[生命★³]40000[持久]10000[積載]10000[声量]10000[魔力]10000[制圧]10000[跳躍★²]30000[幸運]10000[観察★⁴]50000[園芸]10000【速度】10000

 スキル:<生命強化>Lv140 <生命増強>Lv140 <持久増加>Lv140 <積載増加>Lv140 <野次>Lv140 <怒鳴り>Lv140 <雄たけび>Lv140 <声を潜める>Lv140 <魔道人形>Lv140 <ゴーレム使い>Lv140 <圧制>Lv140 <殲滅>Lv140 <煽動>Lv140 <見せしめ>Lv140 <跳躍上昇>Lv140 <蛇の王>Lv140 <山亀>Lv140 <青龍>Lv140 <金甲>Lv140 <抵抗マウス1号>Lv140 <抵抗マウス2号>Lv140 <抵抗マウス3号>Lv140 <抵抗マウス4号>Lv140 <肥料追加>Lv140 <剪定>Lv140 <生存戦略>Lv140 <野生の息吹き>Lv140 <血の海>Lv140 <不死の眷属>Lv140 <高価な蛇壺>Lv140 <名工の蛇笛>Lv140 <品種改革>Lv140 <土壌改革>Lv140 <百姓魂>Lv140 <鍬の一振り>Lv140 <養養豚>Lv140 <過剰肥育>Lv140 <養蜂>Lv140 <分蜂>Lv140 <群鼠>Lv140 <誘導>Lv140 <どこにでも生える>Lv140 <光合成>Lv140

 アビリティ:[ドッペルゲンガー][種苗袋][ボロボロの防柵][死への免疫][スワンプマン]

 装備:[復興の道しるべ][シャツ][ズボン][阿修羅の骸][クアンタムフュージョンコントロールボックス][50フリーホルダー]

 気付いたと思うが、【生への執着】が【生への執着+1】となっている。

 これは先程[生命]を覚醒させたときに、13回目を迎えたので、強化されたのだ。

 この状態で、【生への執着】の効果は、LPが6%以下の時に[生命]が1100%乗算。となり、【生への執着Lv1】だと、LPが12%以下の時に[生命]が2200%乗算。となる。

 したがって、LPが240万を超えたこの状態で【生への執着】と[死への免疫]を発動させると、LP85万程で[生命]が1億7千万程まで跳ね上がる。

 これが、従来のままだと、70万程で1億6千万程になる計算なので、条件の大幅な緩和と1千万程の上昇幅となったわけだ。とんでもない強化だな。

 多分この状態になれば、使い魔がやられる事は無いんだろうな。


 折角なので、追加や解放なりで、新たに選択肢に出ていた因子やパラメータの中で、面白い物や良さげなものも紹介しておく。

 先ずは因子から触れて行こうか。

[首長竜]物理、魔法、属性防御力が50上昇。

 <アイスブレス>:CA<アイスブレス>を使用可能。

 <サンダーブレス>:CA<サンダーブレス>を使用可能。

[ジャッカロープ]相手の視線を遮った場合、5%の確率でステルス状態になる。

 <逃走名人>:中腰、匍匐時の移動速度が2%上昇。

 <頭突き>:CA<頭突き>が使用可能。

[天狗]ジャンプの距離が20%延びる。

 <芭蕉扇>:CA<芭蕉扇>を使用可能。効果は<ブラストウィンド>と同じ。

 <神力招来>:CA<神力招来>を使用可能。10秒間パラメータが30%上昇。

[モンゴリアンデスワーム]敵の下半身へのダメージを40%上昇。

 <振動感知>:地上に居る存在が、マップに映りやすくなる。

 <鋭い嗅覚>:有機物がレーダーに映りやすくなる。

[スナリーガスター]近くの敵を[呪い]状態にする。

 <腐ってもドラゴン>:物理防御力を3上昇。

 <呪いの爪>:[呪い]状態の相手に与えるダメージが2%上昇。


 見ての通り、[天狗]以外は全て倒した事のあるUMAだ。

[首長竜]は、因子効果自体もかなり強力で、スキルもCAでブレスが使えるようになるという、攻防のバランスが良い因子だ。

[ジャッカロープ]は逃走特化の因子と見せかけておいて、<頭突き>を擁しているので、ビルド次第と<頭突き>の性能次第で化けるかもしれない。

[天狗]はジャンプの距離(高さではない)を伸ばせ、スキルも<ブラストウィンド>と同じ効果のCAにパラメータブーストCAとバランスが良い。

[モンゴリアンデスワーム]は、スキルは索敵に長けていて強力だが、因子効果は癖が強くてビルドを選ぶ感じか。

[スナリーガスター]も癖が若干あるが、近くに居る敵に[呪い]を蓄積させるのは地味に強く、呪い状態にダメージブーストをするスキルも優秀だ。

 こんな感じで、アプデの影響なのか、かなり多くの因子が解放されていたので、今後のビルド次第で採用するかもしれない。


 お次はパラメータを紹介していこう。

[歌唱]歌に補正が掛かる。

 <発声練習>:歌に補正が掛かる。

 <喉の保護>:喉の状態異常耐性を上昇。

 <子守歌>:敵が歌の範囲内に居る場合、STA回復速度が遅くなる。

 <校長先生の話>:敵が歌の範囲内に居る場合、STA回復量が減る。

[鋼人]数値がコストを上回った車両武器を装備できる。

 <鋼人上昇>:[鋼人]が1上昇。

 <鋼人増加>:[鋼人]が0.5上昇。

 <タンク役>:戦車専用の武器の攻撃力を1%上昇。

 <まるで小枝>:歩兵用火器の反動を軽減

[脚力]蹴りの威力に補正。

 <脚力上昇>:[脚力]4上昇。

 <脚力増加>:[脚力]を3%上昇。

 <ローキック>:敵の下半身に対するダメージ上昇。

 <ミドルキック>:敵の胴体へのダメージを上昇。


[歌唱]はマイクを装備し、決まった歌詞を歌う事で発動するスキルやCA魔法の総称だ。

 このパラメータはそんな歌に補正を掛けるものなのだが、これまで歌の使い手と共闘した事が無いので、分からないが、STA回復阻害のスキルが有ったので、デバッファーとして活躍できそうなポテンシャルが有ったので、紹介してみた。

[鋼人]は、結構特殊なパラメータで、例えば[鋼人]の数値が10000だった場合、それ以下のコストの車両武器を歩兵装備として装備できるようになるというものだ。

 あのバグスターのダンジョンで火を噴いた、デストロイヤーの主砲ですら、条件を満たせば装備出来るので、弾代が捻出できるのなら、間違いなく強いだろう。

[脚力]は、両手が塞がっていても、威力のある近接攻撃を出せるということで、使い道がありそうだったので、紹介してみた。

 でも、[脚力]だけじゃ碌に火力が出せないだろうから、[筋力]の代わりに入れる意味がなかったので、採用しなかった。


「良し、検証に行って来るか」

『行ってら~』

 皆も各々検証に行くようで、思い思いに別行動へと移る。

「森じゃ人も多いし敵もちょっと力不足だし」

 少し考え、砂漠に向かってみる事に。

 モンゴリアンデスワームが出てくる場所まで着いたので、ワーム相手に色々試す事に。

「<声を潜める>の効果は…地味に効いてる様だな」

 これまでなら、とっくに襲われてもおかしくない距離でも、まだ襲われていないので、ヘイトを高める<野次>は、あくまで見つかっている時のみ適応される様だ。

「良いね、見つかり難いならそれに越した事はない」

 それから少々進み、ワームを相手取ってみたが、<野次>の効果か、豚の次に狙われ易くなった気がする。

 お陰で使い魔がノーマークになり、ダメージ効率は高かった。

 次は使い魔の火力だが、【[蛇使い]】のキングコブラがイカレタ火力になっていて、これまで討伐に一時間掛かっていてワームを、三十五分で仕留めてしまった。

 これは、他の使い魔の火力が、スキルLvの上昇に因って上がった事も要因だが、この速度はキングコブラの火力が最も影響が大きいのは明らかだった。

[幸運]の使い魔も相変わらず精強で、ガーディアンもぶっ壊れだし、蜂も数が480に増え、鼠とマウスも地味に活躍していた。

【生への執着】も試してみたが、[生命]1億7千万の補正を受けた使い魔は、不沈艦の如くしぶとさを誇り、釣り出したワームを倒すまでに、蜂が5~60体やられただけで、討伐できてしまった。

 討伐時間も三十分を切り、稼ぎも上々だ。

 その後、フォレストへ跳び、酸を浴びてみたが、酸防御力が15ある時点で、ホーム近辺の雑魚からは酸ダメージを受けなくなり、最前線の雑魚からも、これまでは2~30万は受けていたところ、多くて5~6万程度のダメージしか受けなくなっていた。

 やはり[植物人間]はガチ因子だった。…<光合成>だけは、ドッペルと相性が悪いので微妙だが。


 二時間ほどで検証を終え、PAに帰還。

「どうだった?」

 丁度全員揃っていたので、再誕について意見交換をする。

 そして、百聞は一見に如かずという事で、何時だかのように全員のギフトと最新ビルドを見せ合う事にした。

 場所はバグスターの北部にした。

 例によって俺が先陣を切って戦って見せた。

「ど、毒がヤバ過ぎる」

「凄いですね…LP85万で瀕死扱いで【生への執着】が発動するんですね」

「これ、勝ち目が有るのはマサさんとアコさんとサチさん位ですね…」

 といった感じで、皆俺自身のタフさや、追い込まれてからの本領発揮っぷりに若干引いていた。

 まあ、皆より1回分再誕回数が多いから、当然と言えば当然だが。

 そういう意味では、Lv上げに金をつぎ込む事の強みが、ここに来て再び現れた結果と言えるか。


「マサは今回どんなギフトを?」

「俺は【圧縮波】っていう[ミノタウロス]3つ目のギフトを選んだぜ。こいつは攻撃範囲が半減する代わりにノックバックが3倍になるっていう効果だ」

「…やっぱ反射ダメ対策か?」

「そうだ、単体なら兎も角、一度に複数の反射持ちを巻き込んだ時には、確実に死ねるからな…」

 最近、高難度エリアには反射持ちが普通に混ざる様になっているので、これまでMOB相手には猛威を振るって来た鬼リーチ系のビルドが、壊滅的な被害を受けている。

「確か反射ダメを軽減するギフトも有ったよな?」

 俺がうろ覚えな記憶で口にすると、すかさずベルから補足が入る。

「[モンク]の【反撃対策】ですね。反射ダメを30%軽減しますね」

「そうなんだけど、それ[モンク]の9つ目のギフトじゃん?流石にそれの取得まで目指したら首が回らんよ」

 マサは今後を見据え、浪漫より堅実さを選んだ様だ。

 それから肝心の戦闘に移ったが、半減程度ではまだまだ範囲攻撃は健在で、迫りくる蟲を寄付けずに遥か後方へと吹き飛ばしていた。

「守りは最強だけど…テンポ悪いな」

 一々遥か後方に敵が吹っ飛んでいくので、余程火力を盛らない限り、戦闘が長引いてしょうがない

「そこは完全に割り切ってるから大丈夫だ。まあ今後のビルドで改善出来たら御の字だ」


「今度は私ね、今回は【魔法接射】っていう、距離が近い程魔法のダメージが上がる、[魔導士]の4つ目のギフトにしたわ」

「そらまたアグレッシブなギフトにしたな。具体的にはどの位上がるんだ?」

「最大で3倍ってなってるわね」

 うわぁ…ギフトの構成的に、キャスターとしては低火力だという、ユキのビルドでも馬鹿みたいに火力を出してる<ファイアーオーブ>や<アイススピア>が、更に3倍か。

 それに、この2つの魔法は、拡散する魔法なので、至近距離で当てた方が威力が出る関係上、耐久重視のユキとはシナジーが抜群と言えるか。

「ところで、キャスターも反射は天敵だと思うんだが、どうするんだ?」

「[ダークニンバス]と[旋風]で削るわ、この二つの反射なら、【生命の泉】の自動回復で十分対処できるし」

「成程、ここに来て低火力かつ持続ダメージの攻撃が株を上げてるわけか」

 そして戦闘だが、一撃必殺を地でいく火力を見せつけ、蟲共を蹴散らしていた。


「私の番ね。これまで利便性、戦力強化と来たけど、今回は守りを固める為に【獣人】を選んだわ」

「確かに、かなりバランスの良いチョイスだな」

 弓と矢のコスト軽減、主力因子の強化、そして打たれ強さを強化。

 ギフト3つ中、2つが火力系では無いので、火力は相当落ちる事になるが、死に難いバランスの取れたアーチャーなら、戦力としては十分すぎる。

「本当は、別のギフトを選びたかったんだけどね、それには打たれ強さも不可欠で、仕方なく遠回りする事にしたわ」

 そのジレンマ分るわ~。

「あ、戦闘に関しては、特に変わり映えは無いから」

 と言いつつも、これまでにないレベルで[生命]が高くなっているので、被弾をものともしない精神で、至近距離からの射撃で大ダメージを与えていた。

「なんだかんだで、堅さは強さに直結するな~」

 やはり、無被弾が原則のビルドでも、もしもへの備えは大事だと、改めて認識出来た一幕だった。


「僕は【聖なるメイス】という、メイスが魔法の触媒になる、[神官]の6つ目のギフトを選びました」

「お、遂に殴りヒーラー的なのになるのか」

「ええ、使い魔での自衛も考えたのですが、やはり自分で殴った方が遥かに強いと思いまして」

 確かに、使い魔を火力にするには、色々と面倒が多いからな。パラメータの構成、スキルの変化、弱体化等の補助等、手間が多いのだ。

 その点、自身の攻撃、ひいては近接攻撃は。関連パラメータが2つ程有れば、雑魚戦では困らない程度には火力が出るので、悪くはないと思う。

「最近、CT(クールタイム)を短縮するギフトも判明してきてるけど、時間短縮よりも、空いた時間の有効利用で行くのか」

「そうですね…今後は判りませんが、現時点で判明しているギフトでは、無駄が多すぎまして…」

「確かにどう考えてもキャスター、ヒーラー向けの因子じゃないもんな」

 幾らギフトが強力でも、シナジーの薄い因子やパラメータを覚醒させるのは厳しいよな。

 戦闘に入り、ボコボコと蟲を叩きのめすベル。

「メイスって結構火力出るんだな」

 一応ハンマーだし、ベルのメイスは強化済みで、攻撃力が4000程有るそうだ。


「パミルはどんなギフトを?」

「私は[鉱夫]の9つ目の【擦り傷は勲章】という、斬撃ダメージを50%軽減するギフトにしました」

「おお~、五割カットは強力だな」

「そうですね、ただ現在のゲームシーンでは、単一属性の攻撃をしてくる敵の方が稀なので、他の属性軽減ギフトを取るか、重複させて無効化まで漕ぎつけて漸く真価を発揮。といったところですね」

 確かに、今戦っている蟲共でさえ、攻撃が斬撃と打撃の混合なので、斬撃50%軽減しても、実質25%軽減程度の効果しか見込めないからな。というか…。

「重複出来るんだ」

「ええ、条件は不明ですが、普通に一回取得していれば、次回以降の再誕時には、【擦り傷は勲章Lv1】が出るそうですよ」

 そして戦闘へ移行するが、相変わらず馬鹿みてーな火力で蟲をぺしゃんこにするパミル。

 蟲の主なダメージソースは噛み付きやハサミなどの斬撃なので、ギフトの恩恵を大いに生かし、蟲を蹂躙していった。


 次はシルクの番だ。

「私は[裁縫職人]の8つ目のギフト、【真冬のセーター】にしたです」

「温かそうなギフトだな、効果は?」

「近くの敵に毎秒500ダメージと、5%の確率で[スタン]付与です」

 名前とは裏腹に、かなりエゲツナイ効果だった。

 ちなみに[スタン]は、[麻痺]と互換関係の状態異常で、[スタン]は数秒間行動不能。[麻痺]は数分間動作が極端に鈍くなる状態異常だ。

「運が良いと、[スタン]から[スタン]に繋がるわけか」

 そんな考察を裏付ける様に、その後の戦闘で、投網と[スタン]で身動きを封じられた蟲共が、500の固定ダメージと、使い魔の攻撃で、ボコボコにされるという光景を見せてくれた。


「俺の番だな。俺は[剣士]の2つ目のギフト、【剣の意地】を取得した。効果は刀剣類の耐久度が低い程攻撃力に倍率が掛かるんだが、最大で300%乗算だと」

「300%乗算!?阿保じゃねえの!!」

「な。俺も思ったが、まあ普通武器が壊れそうな状態で使う奴は居ないからな」

 それはそうだ、壊れかけの武器は、かなり火力が落ちるからな。300%乗算して漸く本来の1.5倍程か?

 ま、そもそも大型メスに壊れかけなんて半端な状態が、ギフト無しに成立しないからな。ある意味とんでもないシナジーを発揮していると言える。

「確か、無策だと10回で破損だよな?」

「ああ、んで【剣の声を聞く】で40まで引き延ばすから、最大火力が出るのは35振り目の、259%乗算されてる時だ。そしてそっから壊れるまでの5回は通常火力って感じになるな」

「ほ~、思ったより管理もし易そうだし、爆発力は凄そうだな」

「それを今から見せてやるぜ」

 そうして前に出て、蟲と戦い始めるベッタラ。

 最初の1~2振り辺りまでは、これまで見てきた火力と大差は無かったが、一振り辺り7.5%ずつ攻撃力が上がっていくので、3体目以降の蟲は一切の抵抗を許さずナマス切りにされていた。


「さて、サチはどんな感じにしたんだ?」

「勿論<まきびし>の強化よ。…と言いたいところだけど、私自身の生存力を上げる事にしたわ」

「まあ、<まきびし>でダメージを取るには、接近も必要だしな」

「そうなのよ、そんで選んだギフトだけどね、[生命]の【生命+1】よ」

「ほ~+1か[生命]を20回も覚醒させたのか」

「だって、因子は兎も角、[罠師]ビルドには、これと言って必要なパラメータってないからね、パラメータの覚醒は全て[生命]に注ぎ込んでいるわ」

「そりゃまた…ちなみに2回目のスキル変化は?」

「まだね、噂では25回目で起こると聞いてるけど」

 25回か…再誕3回目までの、覚醒27回分の内、殆ど費やせば最短で取れるって訳か。

「そこまで徹底していれば、効果も凄そうだな…」

 マジで凄かった。

 押し寄せる蟲の大群相手に、真っ向から突っ込んで、足元に強引に<まきびし>をねじ込むさまは、罠とは一体…と考えさせる光景だった。


「…俺の番か、今回は[薬剤師]の9つ目のギフト、【万能薬】を取得した…効果は状態異常の罹患時間を三十秒短縮する…」

「おお…比較的効果の短い状態異常の、初期症状なら実質無効化出来るのか」

「そうだ…[スタン]ならLv2、[混乱]ならLv1までなら、即解除だな」

「成程、雑魚戦では無類の強さを誇るギフトだな」

「…だな、ボスは状態異常も強力だから、過信は禁物だ…」

 残念ながら、実演で威力を見せるには不向きなロケーションと敵だったので、活躍の機会はまたの機会にとなったが、頼もしいギフトだ。


 お次はトリオの先陣を切ってラークが登場。

「俺は【百獣の王Lv1】を取りました、効果は鼻下から肋骨までの胴囲を完全無敵にします」

「凄いな、めっちゃぼうぼうじゃん」

「そんな鬣のライオンが居たら珍獣扱いですよね」

 きっと動物園のトップアイドルになれるな。

 ちなみに、[獣人]の覚醒数が15以上なので、+1なんだと。

 只のLv1だと、口元からバストトップまでの範囲らしい。

「これで防具を更に更新出来ました」

 前回は、フルフェイスのヘルメットにチョッキ、下半身は重装甲だった。

 今は頭部はハンヘルタイプの防具、胴は鉄板を仕込んだような腰巻、下半身は相変わらず重装甲という出で立ちだ。

「見た目は弱そうだな…」

「ええ…でも防御力だけならそれぞれかなり上がってますし、何より武器が相当強力になりました」

 確かに。剣も盾も見た目こそ変わり映えしないが、その破壊力と堅牢さに更なる磨きが掛かっていた。

「ん、盾に毒と酸対策を?」

 蟲の毒や酸を盾で防ぐラークだが、依然とは違い、大部分をカットしている様だ。

「強化で両方の耐性を引くまで相当粘りましたよ…」

 その顔は、ガチャの沼を泳ぎ切った男の顔をしていた。

 そんな苦労の甲斐も大いにあり、苦手とされる攻撃にもある程度対応してきてはいたが。

「やはり数にはまだまだ対応しきれませんね」

 と締めくくっていた。


 トリオ二番手のワイドが登場。

「俺は[跳躍]1つ目のギフト【メテオマン】を取得しました」

「確か着地時に衝撃波を出すやつだっけ?」

「それです。正直これだけだとそこそこ止まりなギフトですけど、あと3つ程ギフトを取るとかなり化けますね」

「大器晩成なんだ。早速見せてよ」

 戦闘に移り、実演してくれるワイド。

「STAが三本もあるとジャンプし放題だな」

 先程から、ピョンピョンと飛びながら、高所から強力なアクティブスキルやコンバットアーツで、バンバン爆撃をかましつつ衝撃波を発生させるラーク。

 みたところ、衝撃波は中々の範囲に、そこそこのダメージと怯み、よろけ、ノックバックと揃っていて、着地を狩ろうとする蟲が、中々近づけずにいる。

 そして宙に居るワイドに毒や酸が飛んでいくが、三次元機動するワイドに易々当たるわけもなく、当たっても盾である程度カットされてしまうので、【真祖】で[生命]をブーストしてるワイドには、致命傷足り得ない。

 そのまま鉄壁の守りとジャンプに依る間合い管理、STAを潤沢に使った飛び道具で、蟲を圧倒してみせた。

 以前、手数を気にしていた風だったが、どうやら吹っ切れて別の強みを選んだ様だ。


 トリオのトリはショーだ。…既に見た目がおかしい事になっているが、取り敢えず聞いてからにしよう。

「今回は、[原始人]の3つ目のギフト、【革の鎧】を取得しました」

「うん、先ず[原始人]が何か説明頼む」

 流石に未知過ぎて分からん。

「[原始人]はいつの間にか解放されていたので、解放条件は判りません。効果は石器、木製武器の攻撃力を50%上昇。スキルは<石器使い><革の服>、効果はそれぞれ石器武器の攻撃力を10上昇、防具をけていない時に、革製のアパレルの防御力を30上昇させます」

 数値だけ見るとぶっ壊れだけど、石器限定に、防具無しの革アパレル限定かぁ…。

「そこで今回のギフト、【革の鎧】ですよ」

 俺の思考を呼んだように、話を続けるショー。

「こいつの効果は、革製の防具をアパレル扱いにするという物です。こうなれば当然スキルは各部位の防具に適応されます」

 って事はスキルLv130で3900×装備ヶ所か…革は布程じゃないが、魔法に強いから、属性をカバーできれば鬼のような防御力を得られるのか。

「それにしても、随分と愉快なビジュアルになったものだな」

 巨大な農耕牛を引き連れ、石斧と石の盾を持ち、全身革尽くしの防具。変質者だな。

 そして戦闘のお披露目では、見た目とは裏腹な圧倒的な火力と堅さで蟲を蹂躙。

 石斧を振り下ろせば蟲がひしゃげ、石盾をぶち当てれば蟲が吹き飛んでいった。

 ただ、戦いぶりは極めて地味で、特殊性に乏しいので、絡め手には弱いかもしれない。


 お次はサーモン。

「俺の番か、俺は今回【制式装備】を取得した。人型従魔がショートソード、バックラー、レザーアーマー一式をノーコストで装備するって効果だ」

「ほうほう、ノーコストでか」

「しかも、流石ギフトだけあって、初期装備に近い見た目だけど、性能は相当強化された物に相当するから、人型従魔を多く運用するなら大変お得だな」

 そのまま戦闘へと移行し、【制式装備】の威力を見せつけられた。

 先ずショートソードだが、少なく見積もっても攻撃力1000は有りそうで、オークがそこそこ堅い蟲をズタズタにしていた。

 バックラーも中々強力で、6~7割位のダメージを軽減している。

 そしてレザー一式も全身で各種防御力2000程は有りそうだ。

「これ、装備をカスタマイズしたらどうなるんだ?」

「ああ、それなら検証したが、見た目は今の状態固定で、カスタム分の補正がステータスに反映されるんだ」

「お、重ねてカスタム出来るのか。それは強力だな」

 他のギフト2つのお陰で、LPも2倍、HPにバリア三種も完備してるので、継戦能力が段違いに上がっている。

「ワームはどうした?」

「勿論強化を進めているさ、コストが浮いた分、耐久力を伸ばしてるのさ」

 この分なら、近い内に改善されたワームを拝めるかもしれんな。


「それでは私の出番ですね」

 お次はおりょうさんの登場。既に劇的な変化が見て取れるが…。

「私は[紺屋]の5つ目のギフト、【シロ】を取得しました」

 先程からおりょうさんの傍にハアハアいってる柴犬。こいつが【シロ】か。

「真っ青だけど?」

「そうですね、でもアオではなく【シロ】です」

 そう、名前とは違い、目の前の柴犬は青色という、なんとも言えないカラーリングなのだ。

「多分ですけど、元々は白かったけど、染色液の入った瓶に落ちた。という設定では?」

 フムフム成程、…とはならないなぁ…。まあいいか。

「ギフトの説明にはなんてありました?」

「『真っ青な柴犬の使い魔を使役する』とありました」

「何故にそれで選んだし」

「いや、凄く可愛かったので」

 確かに可愛いけどさ~。

「それで?実際の所どんな感じでした?」

「テツさんが以前使役していた<シープドッグ>、アレを超強化した感じですね。それと私がダメージを受けると傍にワープしてきますね」

「お~、全然ネタじゃなかった」

 そして戦闘に移行し、<シープドッグ>同様に当たり判定の小ささを活かしたアタッカーとして大活躍していた。

[パイパー]無しでも十分な速度に、ギフト由来で異常に高いスペックなお陰で、蟲を複数相手取っても十分耐える。

 更に、目立つ為かヘイトも高いので、デコイとしてもかなり優秀ときた。

 可愛くて便利で強い。【シロ】は非常に優秀なギフトだった。


「では俺がトリを務めますね」

 最後はカメキチさんが締めてくれる。

「俺は、[生命]8つ目のギフトの【核細胞保護】を取得しました」

「お!!一足先にそれに行きますか」

「やっぱ我々みたいな高LPビルドは絶対に抑えたいですよね」

 俺も、つい先ほど解放出来たが、近い内に絶対に取りたいギフトの1つだ。

「カメキチさんは[生命]の覚醒数は?」

「現在丁度18で、+1になってますよ。数値は39%ですね」

「39%!!+幾つまで上げれば50%に届くのかなぁ」

「確かに、1つのギフトを3回も取るのは負担ですもんね」

 なんせ、俺の場合、【生への執着】と[死への免疫]が発動した場合。割合ダメージが1%貫通しただけで170万ものダメージを負うからな。絶対に100%カットしたいのだ。

 だから、39%で3回よりも、50%越えで2回で済めば良いのだが…覚醒回数的にそこまで持っていけるか…。

 さて、カメキチさんの戦闘は、何も変わっていないので、割愛。

【核細胞保護】が活躍出来る場面はまだ来てないからな。


 適当に連携の確認をし、少しの間蟲共を存分に退治し帰還。

 休憩を挟んで再開し、マサ、ユキ、アコ、おりょうさん、カメキチさんと港に来ている。

「これが海上基地にもなる拠点艦(ベースシップ)か…」

「とんでもないデカさだな」

 全長1㎞もの巨体を見上げ、俺とマサが呟く。

 拠点艦は、これといって兵器の搭載も無く、空母とも違い、滑走路等も存在しない。

 だだっ広い平らな面に、艦内部への出入り口が数カ所あるだけだ。

 では、この船の存在意義はというと、人員の輸送と居住空間の確立である。

 そしてその乗組員こそが、拠点艦の鉾であり盾であるのだ。

 現在、この拠点艦の出港式が執り行われ、これから初陣というタイミングで、大勢の人たちと一緒に乗り込んでいる。

「目的地は、真っ直ぐ東に向かった海域だとさ」

「ふうん?でもなんだってそんな海のど真ん中に行くんだか」

「えーっと、目的は入植拡大に向けての、海路の安全の確保だって」

「つまり海の脅威を取り除くって事かしら?」

 前方の大海原を見ると、随伴艦隊と思しき大小様々な艦がごった返している。

 程なくして、拠点艦も出港。そもそも脅威がなんなのかも知らないまま、海原に誘われる。


 当初、新型フェリーなんかの処女航海的なノリだったのだが、そんな呑気な雰囲気は出港数分で消え去った。

『大王蛸に大王烏賊が群れで来たぞ!!』

 艦内アナウンスで新手の襲来が告げられ、艦上は阿鼻叫喚の地獄絵図に。

 少し遡る。

 航海開始から数分。記念すべき最初の敵は、[大カジキ]という10m弱の巨大なカジキマグロだった。

 こいつが魚雷の射程外から一気に浮上し、艦隊の陣形を蹂躙。

 既に巡洋艦が消火作業に当たるなど、中々の被害が発生していたが、重機関銃を搭載したガンボートの分隊が素早く処理。

 被害もこれ以上広がらずに済んだか。と思ったが、そんな事は無く、冒頭の襲撃まで海産物の洗礼が続いている。

 これまでは、周囲の艦隊が素早く討伐してくれていたが、今回はそうもいかず、俺ら生身の戦闘員に出番が回って来た。

「今更だが、艦上って畑は…」

 取り敢えず、サクッと甲板に鍬を振るってみる。すると、さも当たり前の様に甲板が畑に早変わりした。

「都合良いけシュール過ぎる!」

 ともあれ、これで地上と同じ様に、堅牢な陣を敷けるので、ありのままを受け入れよう。


「良し、耕作は問題ない。何処で迎撃する?」

 既に、蛸と烏賊の脚が艦体に取り付いているが、外側にいる人たちが応戦しているので、少しだけ猶予があるので、仲間に相談。

「今から外側に向かっても遅いだろ、それに俺らの中じゃ、海中で戦えるのはカメキチさんだけだ、引きずり込まれるリスクを高める位なら、内側の方がいいだろう」

「そうね、テツ君は使い魔、マサ君は範囲攻撃、私は魔法、アコは弓で攻撃手段はある程度確保できてるしね」

「おりょうさん、カメキチさんはカウンター狙いでいいものね」

「ええ、任されましたわ」

「最悪、俺が海中に行けばいいですしね」

 大まかな作戦も決まり、艦の中心へ向かい、更に密度の薄い場所で陣を構築した。

 比較的安全な筈の中心地だったが、大王蛸と大王烏賊脚は、容易に甲板上の俺らまで届いてきた。

「危ない!!此処まで届くのかよ」

 既に、結構な人が海に引きずり込まれ、犠牲になっている。

 俺達は、豚のお陰で難を逃れ、畑に身を潜めながら脚と戦っている。

 しかし、敵の規模は大きく、艦隊も常に襲い来る新手に手いっぱいで、蛸烏賊に構っていられず、歩兵だけの攻撃では討伐が遅々として進まない。

 この状況に対し、司令部の下した決断は撤退だった。

 この撤退戦も容易ではなかったが、どうにか港に帰港する事が出来た。


 PAにて、俺、マサ、カメキチさんで反省会中。

「アースの海、デンジャラス過ぎる」

 戦艦擁する艦体に、歩兵数千人規模で、たった三十分で敗走とか…。

「まあ、歩兵の…俺らの海上戦の不慣れさと、圧倒的な物量差が招いた当然の結果だろう」

「まあな…どいつもこいつも10~20m級で、しかも海中に居るんだから、足場があるだけマシとはいえ、やっぱ数が足りて無かったよな」

「そうですね、拠点艦がもう数隻、艦隊もその分増えたのなら、今回の数倍の敵が来ても何とかなりそうですね」

 兎に角、連携もクソもない程追い込まれてたからな。

 頼みの綱の艦隊が、完封されていた以上は、歩兵でどうにかしなくちゃならんかったんだけど、俺らは俺らで周囲は海、しかも化け物だらけじゃ無理だ。

「そもそも拠点艦が必要だったのか」

「要るだろ、いざという時の避難に使えるし、長い航海になった時に、快適な居住空間は乗組員の士気にも影響がでるしな」

「不意に、各艦で欠員が出る事も有るし、そういう時に物資と人を大量に載せて置けるのは、実用性以上に精神的負担が減ると思います」

 成程、未開の惑星の危険な海域を進むのだから、多少コストが嵩んでも、あらゆる資源に余裕を持たせる事が、開拓の近道かもしれない。


 野郎3人でも駄弁りに一区切り付いたタイミングで、ベルとサーモンが休憩から戻る。

 そのまま5人でフォレストに向かう。

 これと言って目的は無く、程良い難易度を求めた結果、ここになった。

「お、横移動用のポータルが出来てるぞ」

「そういえば、フォレストの攻略度が20%になってましたね」

 ホームの存在する地域の攻略が完了したので、今後は残り5つの地域の攻略に移るのだが、空路が使いづらいフォレストでは、陸路で行くのが一般的だが、大気浄化塔の無いフォレストで、車両の多用はリスクが高く、それでは徒歩での移動となってしまう。

 そこで、隣接する地域までを、直線(惑星は球体なので、正確には直線ではない)で結ぶ道筋を整備し、その区間をポータルで行き来できるようにしたようだ。

 早速アーチ状のゲートを潜ると、身体が勝手に直進を始め、目まぐるしく景色が移ろいでいく。

 …尤も、左右どこを見ても森なので、景色は同じなのだが。

 そして十秒程で移動が終わり、ポータル周辺だけが切り開かれた、深くて薄暗い森の入り口に辿り着いた。

「フォレストに最初に来た時もこんな雰囲気だったな」

 流石にポータル周りだけあって、警備も厳重。一種のセーフティーゾーンなのか、薄暗いが非常に穏やかな空間となっている。

 そんで、ちょっとエリアから遠ざかった瞬間。恐ろしい程の数のクロスイーターにしゃぶられ、セーフティーゾーンへと逃げ込んだ。


「油断してたとはいえ酷い」

 確かに、ハッキリと悲鳴怒号が響き渡っていたが、まさか安全圏を出た途端ああなるとは。

「マサの範囲攻撃も通じてないとか」

「いや、通じてないわけじゃないんだ。奴らの飛来速度が速すぎるせいで、間隙を突かれるんだ。それに、あいつらがそこらの空間で、前触れもなくフッとポップしてるのを見た。あれじゃリーチが有ろうと関係ないわ」

 マジか、ザ〇みたいに亜空間転移してるようなもんか。…流石に撃ち返しはしてこないよね?

 フラグでした。

 意を決し、最初から全力で守りを固め、バトルフィールドへ出向き、クロスイーターを迎え撃つ。

 流石に基本的なスペックが上がっただけならば、分かってさえいれば対処は可能。

 そのまま奥に進んでいたのだが、ここで問題発生。

 そう、クロスイーターが撃ち返してくる様になってしまった。

 しかも、貫通弾で超高速弾ときたもんだ。

 幸いダメージは、一発10で固定(あくまで現状は)で、そこまで痛くはない。

 でも、撃ち返し弾を喰らうと、怯みよろけが高確率で発生し、連続で喰らうとノックバックやダウンまで追い込まれるので、下手するとそのまま畑や豚の範囲外まで押し出されるので、マジで瞬間瞬間が命がけだった。

 今は、何とか安全圏まで退避出来てるので、援軍が到着するまで待機中だ。


「お待たせしました」

 G戦隊に連絡を入れたところ、助っ人を快く引き受けてくれたので、彼女らと共同戦線を張る。

「…という感じで、冗談抜きで最悪な部類の環境なんで、頑張りましょう」

「それは…控えめに言って地獄ですね…」

 G戦隊にヤバさを伝え、改めて戦場へと足を踏み入れた…が。

「ちょっと様子を見ようか」

 俺達が此処へ来た当初は、それほど人も居らず、そこそこの地獄で済んでいた。

 しかし現在。先程よりグッと人が増え、クロスイーターが激増。

 更に先に進むと、そこら中から撃ち返しの流れ弾が飛んできて、最早攻略どころではなかった。

「あ、もしかして先に進むだけなら簡単かも」

 ちょっとした思い付きだが、試す価値はありそうだ。


「考えてみれば、撃ち返しをしてくる相手をやり過ごすというのは、割と常套句でしたね」

 レイナさんが感心したように俺を称える。

 作戦は実にシンプル。クロスイーターを一切倒さず、畑を伸ばし匍匐で進むというものだ。

 あ、使い魔は勝手に攻撃しちゃうけど、撃ち返しは倒した本人に向かうので、俺自身に跳んでくることはない。

 まあ、流れ弾云々言い出したらキリが無いけどね。

 それに、蜂が良い仕事をし、クロスイーターを宙へ誘導するし、そのまま倒しても撃ち返しを避ける程の当たり判定なので、凄い頼りになる。

 偶に傍に落ちてくるクロスイーターは、カメキチさんが外側に放り投げてくれるので、かなり安全に進む事が出来ている。

 いつの間にか、俺らが作った畑に色んな人が駆け込み立て籠もっているが、俺が修復していないから、長くはもたないだろう。

 こんな状況でも、使い魔が頑張って敵を倒すので、素材もウハウハだ。

 無理をして金目の物を漁る必要もなく、俺達は深い森の中を、畑に埋まりながら進んでいった。


 暫く進むと、漸くトレント等の御馴染みの敵も登場。

 流石にこいつ等は撃ち返しはしてこなかったが、代わりにダメージ反射をしてくるので、マサが大いに苦戦…はしなかった。

「まさか態々[攻撃力低下]のオプション付きの武器を用意してくるとは」

「いつまでも、反射にビビってたら何も出来ないからな」

 ギフトで攻撃範囲をノックバックに変換したマサだが、対策はそれだけに止まらず、「そもそも反射されるダメージが無ければ良いじゃん」と言い、武器攻撃力0、パラメータ補正が掛からない斧を用意したマサ。

 どう考えても、昨日今日思いついた手じゃないな、コレは。

 そう尋ねると。

「まあな、不意な反射に対して範囲は絞った所で、反射を封じるわけじゃないからな。んで、[ミノタウロス]の売りはもう一つ、ノックバックお強化がある」

「だから、ノーダメージでも、ノックバックは生かせるって事か」

 いやぁ、考えたものだ。

 元々、[ミノタウロス]の因子は、他の火力系の因子に比べれば、攻撃力自体には期待できない因子で、その代わりに範囲とノックバックっていう、圧倒的なアドバンテージが有った。

 が、ここ最近はちょこちょこ反射持ちが増え、その範囲の広さ故に、迂闊に殴る事が死に直結する事も増えてきていた。

 勿論、それは他の火力職も同じだが、他が対象を狙える分、[ミノタウロス]は制御不能で苦境に立たされていた。

「それをまさかこんな手法で乗り越えるとは…でもそうなると、ギフトで範囲を絞ったのは勿体なくないか?」

「いや、確かに範囲半減は痛いんだが、ノックバック3倍は、ボスや耐性持ちの雑魚を吹っ飛ばすのに、どうしても必要だったんだ」

 そう言いながら、迫って来たトレントを追い返すマサ。

 確かに、以前のままだったら、巨体のトレントは、ノックバックが効き辛かったが、今回はしっかりと吹っ飛んでいった。

 そんな感じで、普通だったら使い物にならない糞武器がだが、ノックバックという強みと、攻撃力0だと反射ダメが発生しないという抜け道を得て、[ミノタウロス]が再び暴れ出す兆しを見せ始めた。

次回も二週間程で。


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