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第二十九話

~前回までのあらすじ~

メンバーとギフトの情報を共有。

そして、各々実戦でギフトの有用性を証明していく。

「おっし!!大型メスの力を見せちゃる!!」

 早く出番が来ないかとウズウズしていたベッタラが、速足で前に出て行った。

 ウツボカズラの様な植物に果敢に挑みメスを×字に交差。これだけで決着が付いた。

 見た感じの火力では、パミルと大差ない感じだが…。

「パミルの[ロケットマトック]って攻撃力幾つ?」

「約7000ですね」

「だとして2300のメス×2も足りないが…斬属性だから通りも良いのかな?」

「相性は有るでしょうけど、やはり生粋の戦闘職との差ですね」

 一手の火力がほぼ同じな上に、ベッタラにはパミルを遥かに上回る手数が有るからな。

「流石に本職の俺が職人のパミルに負けるわけにはいかないさ」

 この僅かな時間で、十数体もの植物を切り捨てたベッタラが、上機嫌で戻って来た。

「メスの耐久度はどうだ?」

「これで二本とも六割ほどだな」

「そうか、火力は十分すぎる事が判ったが、やはり継戦能力が課題か」

「だな。まあ、暫くは何本も持ち歩いて凌げば良いさ」

「一本当たりのコストは軽いのか?」

「150だ、決して低くはないが、攻撃力2300なら破格の低コストと言える」

 150か。強化に伴うコストの増加は元のコストに比例するからな。そう考えれば強化の余地も多分に残されてるし、良い武器だな。

「俺としては、一本当たりのコストを2000まで鍛えて、耐久値が三倍火力が二倍位まで、引っ張り上げられれば上出来だな」

 それも今後の金策次第だがな、と締めくくり、次に人の番に。


「ヒヒ…俺の番だな」

 すると、即両手に不安な感じのする薬品を持って特攻するマッド。

「ヒヒヒヒ!!爆弾ゲームだ!!」

 全身十字植物に張り付かれ、滅多打ちに遭いながらも敵の中心地に辿り着く。

「ボカーン…」

 丁度力尽きたマッドの手から薬品が零れ落ち、それぞれ五個づつに増え地面に衝突し爆発。

 当然その大爆発に巻き込まれ、敵は全滅した。

 数分後合流したマッドによる解説。

「どうだ?【厳重管理】が有れば、こういった自爆特攻なんて戦法も取れるんだぜ?」

「確かに途中で薬品が破壊されることは無かったな」

 これならマッドの耐久力さえ確保できれば、確実にタッチダウン出来るが。

「どう考えても最後っ屁な手段だよな」

「ヒヒ…まあな、流石に余裕がある内からはやらねえよ」

「なら良いんだが…なんだか常習性を感じたんだが?」

「[散歩の神]のお陰で奇襲性も高まったし、今後に期待しといてくれ…ヒヒ」

 まあ、良いけどね。


 マッドに変わり、ラークが前に出て戦闘を披露。

「想像通りのだけど、こうして実際に見てみると、攻める箇所を限定されるのってかなりキツイな」

 頭部と脚部はかなりの重装甲な防具故に、部位ダメージも殆ど通らずに、装甲の薄い胴は鉄壁の盾に阻まれ攻撃が通らない。

 そして敵の間隙を縫って繰り出される、堅実な<スラッシュ>や<シールドバッシュ>がトレントを粉砕する。

 ただこれは本人の力量もあってこその戦法とも言える。

 いくら重装とは言え、頭部に攻撃を受けるのは好ましい事では無いからな。

 だがラーク達は日々対人戦で剣戟のスキルを高めている。全ての攻撃は無理でも、ある程度の攻撃は顔をそむける、首を曲げる等の最小限の動きだけで、躱す若しくは受け流して見せている。

 こうなると敵は狙いを下半身に切り替えるが、それこそラークにとってはカモでしかない。

 重装甲の下半身となら、相打ち上等で押し切れるので、そのまま重い一撃を浴びせるまでだからな。

 この火力も胴防具のコストが浮いた分を、剣に回してるこそだ。

「やっぱ武器はコストが許す限り良いのを使うべきですね」

「お疲れさん、敵の処理速度が上がった分も加味しても、マジで鉄壁だったな」

「ありがとうございます。それでもやっぱ克服できそうにない弱点も浮かび上がりましたね」

「と言うと?」

「どうしても対多での決定力と安定性が足りないんですよ」

 確かに結構な酸と毒を受けてるように見える。

「何もあれもこれもって欲張る必要は無いだろ」

「いえいえ、そうも言ってられませんよ?今後のPVPシーンを考えれば、時間が経てば経つ程周りが強力な使い魔やペットを使うようになれば、対多の対策は決して怠る事は出来ません」

 これは、ショーのオーロックスや、マンバ系の毒蛇等を言ってるのかな。

「流石に数で押されると、毒や酸も盾で防ぎきれないか」

「ええ、そういう意味ではテツさんは俺にとっては天敵ですね。毒爆撃してくる蜂とかどうしろと」

 こればっかりは覆せない相性差と割り切って欲しい所だが…その内何か対策を取るんだろうな。


 続いてトリオの二番手ワイドの番だ。

「では行きますね」

 ラーク同様、複数を相手取り立ち回りを開始するワイド。

 コチラはラークと違い、上下厚手のミリ服に、各所にゴツいプロテクターを装着した重装だ。

 その分武器はショートソードとカイトシールドと、やや劣る感じか。

 同じ盾剣スタイルだが、前と違いそれぞれ構成が違う今は、戦い方がそもそも違っていた。

「ラークは常に敵に肉薄し、盾と無敵ヶ所、部分的な重装を使いゴリ押していたが、ワイドは距離を取る感じなのか」

 ワイドに比べ、圧倒的な有利要素がない分、接近には慎重なのかな?

 そう思っていたら、突如ラークが動いた。

「<波動剣>!!」

 技名と共にショートソードを横一閃。振り抜いた剣の軌道そのままの剣圧が、実体を伴い敵に向かい、見事トレントを真っ二つに切り裂いてみせた。

「おお!?如何にもファンタジーな技が出てきたな」

 そもそもあんな技が在ったんだと思ってたら、ラークが補足してくれた。

「アレは<波動剣>というCAで、剣で遠隔攻撃が出来るんですが、消費STAがめっちゃ重いんですよ」

 ラーク曰く、その消費STAは300%。盾防御にも回避にも攻撃にもSTAを使うなら、確かに使い辛いかもしれん。

「でも【神獣の加護】が有れば、STA超過は避けれるから気軽に撃てると」

 しかし流石消費STA300%のCAだ、遠隔は火力が落ち気味だが、STA消費量で行動に補正が掛かるこのゲームで、通常のショートソードの10~15倍ものSTAを消費するだけあって、威力はピカ一だ。

 再び視線をワイドに移すと、遠隔の硬直に合わせキノコ達が襲い掛かる。

「甘い!<シールドインパクト>!!」

 初めて見る技に、先程と同じ様にラークに目配せ。親切に解説してくれた。

 これも矢鱈とSTAを消費するが強力なCAで、<シールドバッシュ>の互換だそうだ。

 ヒット時に対象に<シールドバッシュ>と同じダメージを与え、同時に爆発を起こし、範囲ダメージとノックバックを引き起こすCAだそうだ。

 これにより、直撃したキノコは爆散し、他のも大ダメージを受け後方に吹っ飛んでいった。

「成程、潤沢なSTAと持久戦を仕掛けられるだけの[生命]が有るからこそ、防御と大技のみで戦えるのか」

 そう。ワイドは通常攻撃を一切行わず、スキルやCA等の大技のみで敵を駆逐しているのだ。

「どうでしたか?」

「派手だし強かったよ」

 そして意見交換をし、問題点を洗い出す。

「やはり、火力を大技依存にしてる分、手数も総火力も貧弱なのがキツイか」

「ですね、次のギフトは基本的な火力を賄うものにでもしようかな」

「そんなに現状の通常攻撃の火力に不満があるのか…」

「リスクに見合ってないんですよね。折角STAが三本分もあって、たったの消費15%の攻撃をしたばっかに、何かしら差し込まれてダメージを負うとか盾持ってる意味も薄くなるし馬鹿らしいですよ」

 チョット極端な気もするが…分からなくも無いかな。

「同じリスクなら、ハイリターンを選ぶってか」

「ええ。尤も、今後のビルド次第では、通常攻撃の隙を減らして盾でやり過ごせるようになる可能性も有るんで、臨機応変にする心算ですよ」


 さて、トリオ最後のショーの番だ。

「では、オーロックスが如何に使える使い魔か見ててくださいよ」

 と意気込んで前に出たは良いが、中々位置取りに苦戦している模様。

 無理も無いか、牛と同様に完全にランダム移動だから、都合よく壁に出来るとは限らないんだよな。

「お、でも流石に覚悟して選んだだけは有るか、強引に敵に宛がい始めたぞ」

 自分で動かないなら、敵を都合良いように誘導すれば良い。そんな簡潔な考えの下、素早く敵を引き連れオーロックスをすり抜けたショー。

 その間多少のダメージを負ったものの、既に【生命の泉】により全快している。

 そして始まった壁を挟んでの一方的な攻防。

 堅すぎるオーロックスへの攻撃を諦め、迂回してきた蔦で出来たメデューサボールのような敵を切り捨てるショー。

 そして回り込む敵が増え、反対側の敵が減るや否や、オーロックスを通過して反対側に逃げ、最後尾の植物を仕留め、再びお見合いと鬼ごっこを開始。

 そのままおんなじ事を繰り返し、敵を殲滅して終了。

「こうして実際に見てみるとイヤらしい戦法だよな」

 俺の使い魔の運用とは違ってるので、非常に参考になる。

「堅いしかなりのサイズだったでしょう?」

「あれだけの攻撃に晒されて一回だけしかやられてないもんな。それに想像よりずっと巨大だった」

 マジでアフリカゾウ一頭分くらいのスペースを埋めてたからな。

「ユキなら押し切れそうか?」

「私の火力と手札じゃキツイわね…テツ君と違って、本人が詰めて来るのは相性的に無理かな」

 オーロックスを唯一瞬殺できそうなユキに聞いても、勝負となると厳しそうな様子だ。

「マサならどうだ?」

「そうだな、相性差で多分イケるだろう」

「そうですね、マサさん相手だと、オーロックスが意味ないんで無理ですね」

 多少のリーチや広範囲なら、十分壁として機能するだろうが、流石に100m以上の範囲だと無意味だわな。

「逆にワイドは絶対に無理だな、STA三本と[生命]二倍は崩しきれん。ラークなら五分…かな」

 同じ盾剣の三人相手でも、相性差でこうも感想が変わるんだから面白いな。


「うい~、俺っちの出番だぜ」

 使い魔とは根本から運用が異なる従魔、その従魔の生存率を更に高めた成果を皆に見せつける。

「んじゃあ<オーク>召喚×2!!」

「「フゴ――ッ!」」

 急所と関節部だけプロテクターを付け、木の盾にバットを持ったオークが2体現れた。

「おおっと、さっきより少しだけ装備が充実してる」

「無いよりマシだからな」

 そんな半裸オークが植物に寄生され、甲羅にラフレシアを背負った亀に突撃。

「フゴフゴ!!」「ゴアーーー!!」

 雄たけびを上げながら巨大な花びらとその下の甲羅を叩き割る。

 ものの数秒で亀を仕留め、お次は蠢く藪に吶喊。棘や種の弾幕に晒されるも構わず肉薄し力づくで引き裂いていった。

「従魔のスペックでHPにバリア三種はマジで堅いな」

「ああ、特にゴブリンやオークといった人型は賢いからな。しっかりとバリア三種の残量を管理しながら戦うのも、強さに磨きを掛けているな」

 オークは時間いっぱい活躍し、送還されていった。

「それでいて手元にはゴブリン2体を温存してるんだから大したもんだ」

「まあな、こいつ等は索敵も含めて生命線だからな、前線は為るべくオークとコボルドに任せたいところだな」

 今も周囲の警戒を怠らないゴブリン2体が頼もしい。


「では私の番ですね」

 薙刀を携え前に出るおりょうさん。

 一見着物のみの紙装甲に見えてしまうが、実際はアンダーウェアにインナーと更なるアパレルを着込んでいる様で、その性能は先程見せて貰った着物のスペックに比肩するそうだ。

「参ります!!」

 飛来した十字植物を、薙刀を軽く振り上げ両断。

 その後も敵が間合いに入ると同時に一刀両断し、有機肥料を量産していった。

「パミルもそうだったが、おりょうさんもえらい高火力っすね」

「そりゃ強化を重ねたアパレルといえど、アーマーの類に比べればコストは安いですからね、その分この薙刀にコストを掛けてますから」

 聞くととギフトこそクラフトに特化しているが、因子とパラメータはバランスよく振ってる分、装備さえ良ければ普通に戦えるとの事だ。

 実際おりょうさんの薙刀は。斬属性のみだが攻撃力は4800も有るという。

 こう聞くと、職人の方が金策に優れて、得意分野の装備は一級品を用意できる分、戦闘でも有利なんじゃと錯覚しそうになるな。

「これでもまだまだ不足してるんですよ。近くアウターウェアとしてケープか褞袍の完成を目指してますね」

 更に帽子やマフラーにマントと、まだまだ幾らでもアパレル関係での強化の余地があるので、今後のおりょうさんの躍進に期待だ。


「それじゃトリは俺ですね」

 ズルズルと這いずりながら前に出るカメキチさん。

 圧倒的なLPとダメージカットを誇る彼は、なんら臆することなく敵の集団目がけ突っ込んで行く。

 全身に植物たちの攻撃を受け、咳込みながらも一体、また一体とへし折り引き千切り数を減らしていく植物たち。

 動きこそノロノロとしているが、圧倒的な怪力で相手を引き裂く様は、古いゾンビ映画のゾンビの様だ。

 それからそこそこの時間を掛け、敵を殲滅したカメキチさんがポーションで一息ついて戻って来た。

「お疲れ様、いや~相変わらずの堅さですね」

「そこが俺のアイデンティティですからね」

 だとしても、再誕してLvも半ば位の現状で、あれだけのしぶとさを見せつけたのだ。素直に賞賛に値すると思う。

 以前も触れたが、移動速度という快適さに直結するステータスを犠牲にしてまで、真似出来るかと言われたら出来ないと言わざる負えない。

 強力が故にデメリットも尋常ではないからな。

「後は火力をどう補うか…だな」

 結局のところ、この問題に行きつくのだ。

 カメキチさんは完全な戦闘職である以上、金を稼ぐ手段も戦闘に依存する。

 だからこそ、効率を求めて火力を上げる、移動速度を上げる、手数を増やす、リーチや範囲を増やす、射程を伸ばす等、戦果を得るまでの時間短縮に繋がる要素が必須なのだが、彼にはそれらが無い。

「そこなんですよね…、今は皆さんと狩りに出たり、闘技場のファイトマネーで稼げはしますが、金策の自由度が低い事には変わりないですからね」

 やはり、周りと時間が合わなかったり、稼げそうな戦闘が無ければ停滞もやむなしか。

「それでもポーションの消耗も減ってるので、収支としては大分儲かってるので何とかなってますよ」

 まあ、そうでなければLv上げもままならんわな。

「いずれにせよ自分で決めた道なんで、代償は甘んじて受け入れてますよ」


 一通り全員の戦いぶりを披露しあい、そのままダンジョンの攻略に移る。

 陣形としては、攻撃に耐えれる人は前衛か遊撃、耐えれない人は遊撃か後衛と、かなりざっくりした基準で決める。

 結果、全員が遊撃という適当極まるところに落ち着いてしまったが、まあ良いだろう。

 寧ろこれだけ前衛同士や後衛同士であっても、ビルドやスタイルに差があるのだから、助け合いの精神さえ持ってれば、各々好きに戦った方が楽しいし強い筈だ。

 一応取り決めとして、仲間4人以上の視界に入るように動く事を条件にしておいた。

 これなら知らぬ間に窮地に陥ったりすることも、防げると思ったからだ。

 さて、そんな緩い感じでダンジョンをフラフラしつつ、草刈に精を出す。

 未だこのダンジョンの攻略方法は不明だが、敵を倒して意味がない事は無いだろうという事で、殲滅戦を意識して動く。

 アコが敵を集める為、<挑発の御旗>を四方に放つと、旗技とアビリティの効果で犬が出現し、大量の植物を誘い出す。

 そうして集めた敵を、各々好きな手段でフルボッコにし、素材に換えていく。

 そんな感じの攻略が、このダンジョンおいて正解だった様で、それほど深いくは潜っていないのだが、ボス級の敵に遭遇した。

「背中にラフレシアを背負った縞猪か」

 それも巨大な猪が寄生されていて、ラフレシアも殊更巨大だった。

 突然現れたそいつは、当然気を利かしてくれる事も無く突然襲い掛かって来た。

 さあ、猪狩りといきますか。


「堅さ自慢は前に、火力自慢は隙を見て攻撃を、それ以外は支援妨害をしてくれ」

 号令を出し、俺、ユキ、シルク、盾剣トリオ、カメキチさんが前に出る。

 先ず突っ込んでくる猪を止める必要があるので、その役目は俺とサーモンの従魔で請け負う。

 なんせラフレシアを背負ってるからな、ガスマスクも兼ねてるヘルメット装備の俺、臭気が効かない従魔で開幕を凌ぐ。

 ラフレシアの臭気で、弱い使い魔が麻痺や気絶に追い込まれ、突っ込んできた猪にボーリングのピンみたいに蹴散らされるが、大した問題ではなく、そのまま<蛇の王>と<青龍>、<調教>の象を宛がう。

 <ゴーレム使い>の引き寄せは、ボスの耐性に阻まれてか効果を見せず、<魔道人形>の麻痺光線も効き目はイマイチな様子。

 其処へオーク2体が駆け付け、寄生猪を包囲する。

「初手は貰うわね」

 包囲が完成した直後、アコが反撃の一撃を見舞う…が。

 キィン!!と甲高い音に阻まれ損害を与えられずに終わった。

「あのエフェクトは…皆!あいつはBAR持ちよ!そして多分だけどSHIにARMも持ってるわ!!」

 そんなアコの推察は、続いて繰り出されたユキの<クラスティオーブ>とマサの攻撃で、その三種が消し飛んだことで、それぞれのゲージが可視化され証明された。おまけに。

「HPまで持ってんのか…しかもHPまで自動回復してるのか!!」

 可視化された五つのゲージの内、LP以外のゲージがどんどん回復していく。

 いつぞやのマンモスに比べたら、遥かに楽な相手と言えるが…比較対象が規格外すぎて意味の無い比較になってるな。


「良し、大分安定してきたな。後は惰性で仕留めきれれば良いんだけど」

「まあ、何かしらの発狂要素は持ってるだろうな」

 現在、俺の[幸運]の使い魔とサーモンの従魔とショーのオーロックスで、猪の周囲を完全にブロック。

 これらは奴の臭気の影響を受けない為、強力な壁として機能している。

 そしてその後ろから、[蛇使い]の毒、マサの通常攻撃、ユキの[瞑想]込みの魔法、サチの<まきびし>で削りに徹している。

 他のメンバーはメンバーで、増援の植物の処理に奔走。全員が己が持てる全力で事に当たっている。

 それから程なく猪が発狂。やはり簡単には型に嵌めれないか。と思っていたが。

「ありゃ?状態異常と部位破壊が効きすぎてまともに動けない感じか」

 猪が陥ってる状態異常と部位破壊は多岐に渡る様だが、特に効いているのが頭部破壊による脳震盪と盲目、脚部破壊による歩行障害と転倒、毒の浴び過ぎによる猛毒等、ボスであっても堪えるラインナップだ。

 其処に出血や疲労なども蓄積していれば、最早助かる道は無い。

 そんなこんなで、最初の突撃が最初で最後の見せ場であった猪は、あっさりと討ち取れてしまった。

「楽勝だったな」

 とはいえこれまでの消耗も考えると、これ以上はリスクも高いので、PAに帰還した。


「ふう、みんなお疲れ」

 戦利品を無事持ち帰り、各々寛ぎだすメンバー。

 俺もユキとアコとログアウトし、夕食後に再びログイン。

「さて、金策でもするか」

 そしてやって来たのは勿論地底湖。牧草栽培に精を出すのだ。

「おおう…なんという激戦地だこと」

 LPを調整し、いざアッシーの住処に踏み込んだら、目に入って来たのはプレイヤー対アッシーの大激戦だった。

 両勢力が、一進一退の攻防を演じるのを暫し眺め、自分の作業を開始する。

 しかし、以前目を付けておいた畑スポットは既に抑えられており、比較的安全そうな場所での栽培は無理だと判断。

 幸い各所でドンパチしているので、自分が真っ先にターゲットになる事は無いだろうし、今のステータスなら守りに徹しさえすれば、アッシー相手に畑を守る事も十分可能だろう。

 そう考え、例によって端っこにより前進。途中で開墾しながら更に前進。

 もしかして、自分はアッシーのブラックリスト入りをしてるかも、とか思ったがそんな事も無く、無事に最前線の畑スポットを発見。

 水際のきわっきわのギリだったが、三ヶ所畑を確保できた。

「それじゃやってきますか」


 流石のアッシーも、攻撃して来ない無害な俺より、敵意剥き出しの連中の方が優先らしく、今の所は一切攻撃に晒されずに、牧草を量産出来ている。

「うっま!ウマー――!」

 あまりの効率の良さに笑いが止まらない。

 暫くして、漸く俺にも矛先が剥きだしたが、距離があるうちはポークフィールドでブレスをシャットアウト。近づけば凶悪な使い魔の射程に入るのでしゃぶられ逃走。

 十分すぎる程の安全マージンに増々作業が捗る。

 そんな感じで三十分程経った頃、虫の知らせというか、嫌な予感がしたので撤退を開始。

 直後、俺が思ってたようなハプニングでは無く、単純に一番数の多かった集団が敗走し、戦場は一気に阿鼻叫喚の地獄絵図に発展した。

「なんとなくアッシーの新手が、とか思ったが、普通に瓦解しただけだったか」

 如何にもこのゲームに毒されて、疑う事が常習化してきたような気がするな。


 PAに帰還し、今回の収穫物の相場をチェック。

「うーん…やっぱ牧草の価格が落ちてきてるな」

 先程見た光景を想えば、致し方無いのは分かるが…事態が動くのが早すぎるよ。

「普通に売るのが困難なら加工してみるか」

 という事でマッドとおりょうさんを招集。

「なんだ?」「なんでしょう?」

 2人に事情を説明し、協力を仰ぐと同時に構想も伝える。

「ふーん…?牧草に味付けしたり薬品を染み込ませたいねぇ…ヒヒ、面白そうだ」

「ですね、是非やってみましょう」

 と、2人の協力も得る事が出来たので、いざ実践へ。

「それで?味付けって何をどうするんだ?」

「マッドは調味液を、おりょうさんはそれを染み込ませるのをやって頂きたい」

「調味液ねえ…」

「一応イメージとしては、酸味の効いた黒糖味を考えてるんだが、出来るか?」

「…まあ出来ない事は無いが…」

 取り敢えず、俺が材料を一通り見積もって、マッドに整えて貰う。

 [乳酸黒糖液]:酸味甘味塩味の効いた黒糖ベースの液。 満腹度30% 保水度-10% コスト1。

「おお、良いんじゃないか?それじゃおりょうさんお願いします」

「賜りましたわ」

 乾燥機に掛けた牧草に、調味液を浸して出来たのが。

 [牧草黒糖味]:家畜を太らせるのに最適な牧草。 コスト1。

「あれ?」

「思ってたのと違う…?」

「肥育農家向けの商品になりましたね…」

 気を取り直して薬品漬けにも挑戦。

 [牧草ポーション味]:草食動物に受けが良いポーション。 コスト1。

「こっちはまあ、想定通りかな?」

「いや…、受けが良いってどういう事よ?」

「今調べましたが、ペットの好感度に影響するらしいですね」

 つまり、機嫌も取れてLPも回復出来るのか。

「じゃあ販売してみるか」

 取り急ぎ百個ずつ製造し、一つ1000円にて出品。そして数分。

「うーん?ジワリと売れてる感じか」

「…まあ、売れてるなら良かったぜ」

「これは…儲かりますか?」

「「微妙…」」

 多分これ以降作る事は無いだろうな…。


 翌日。

 昨夜作った牧草の加工品を確認すると。

「一応完売してるのか」

 ログで見てみると、終始ジワ売れが続き、今朝方には完売した事が判る。

 一方そのまま売りに出した牧草はと言うと、此方もまた完売していた。

「やっぱそのまま売った方が儲かるのは間違いないか」

 さて、PAには誰も居ないし、[エルフィン]にでも行ってみるか。

「へろー」

「あらテツさん、廃都の攻略でもするのですか?」

「いや?取り敢えず出禁が解けたかの確認なんだけど」

 干潟に停泊している潜水艦を訪ね、シーラと情報交換をする。

「そちらはもう大丈夫ですよ、それにしても面倒な事になりましたね」

「全くだよ」

「まあ、うちとしては既にホームの守りは万全ですし、困る事は無いんですが…こちらに攻め込まれると緑地化が無駄にされそうなのが困りますね」

「ああ…俺の力作、環状牧草地が踏みにじられるのか…、…、…別にいいか」

「えー…」

「どうせ一部以外は再開発するんだろ?だったら多少禿げても良いじゃん」

 なんて思ってたんだが、どうもそうでは無い様で。

「緑が無いと、雨が降っても大地に水気が行き渡らないんですよ、それに酸素濃度もいつまでたっても正常に戻らないですし」

 そんな感じで、牧草地は防衛対象になるらしく、結構ピリピリとしてる様だ。

「まあ、取り敢えず現場の視察に行って来るわ」

 潜水艦のテレポーターから現地に跳んだ。


「フム、今の所は平和だな」

 そのままホームの外を目指してると。

「おーい、俺も行くぜ」

「お供しますよ」

 マサとベルが追って合流してくれたので、3人でパーティーを組んで出発した。

「道路も増々充実してきたな」

 牧草地の一部は既に跡形もなく、立派な道路に変貌し、道路わきには立派な監視塔や検問所が立ち並び、生半可な魔獣ではホームに爪を立てる事すら出来ないだろう。

 そんな道路の前方から大型の輸送車が向かってくる。貨物部分に巨大なキマイラを乗せて。

「やあやあこんにちは」

 輸送車を運転していたのはローレンスさんだった。荷台の獲物も彼が仕留めたそうだ。

「流石にこれだけ巨大だと、通常種とは桁違いに強かったね~」

 それじゃ、と意気揚々ホームに入っていった。

「相変わらず規格外な人だな」

 エルフが車両を運転するという、非常にシュールな光景を後に、数日ぶりに渓谷へ到着した。

 アンデッドの影響下から解放されたからか、以前よりずっと雰囲気が明るくなった渓谷。

 だが打って変わって、難易度がおかしい事にもなっていた。

「何で入り口近辺でバレットフライが!?」

 たったの3人、しかも不意打ち気味に蝿の大群にしゃぶられ、のっけから大ピンチの俺ら。

「と、兎に角[ドッペルゲンガー]!!<鍬の一振り>!!」

 急いで頭数を確保し、守りの陣を敷き姿勢を低く保つ。

「クソッ!キリがないぜ!!」

 斧で大気を切り裂きながら、蝿を蹴散らすが一向に数が減らない事へ、苛立ちを募らすマサ。

「このままじゃジリ貧です。ここは一気に突破して逃げましょう」

 サチの不在により、完全に後手に回り良いように弄ばれてしまっている。

 少しして、蝿の濁流によりドッペルが[スワンプマン]を発動し、瞬間的にこちらが数で上回り状況が好転。

 何とか血路を切り開き窮地を脱する事に成功した。


「ハア…何とかなったな…」

 息も切れ切れで帰路に就き、ホームに辿り着いたので情報収集。

「渓谷の異常?ああ、アレが本来の渓谷の姿だよ」

 暇そうなローレンスさんを捕まえ、事情を説明し話を聞く。

「勿論不浄の地となっていた時も危険だけど、アンデッドの影響で在来種が減少又は著しく弱体化してたからね、今の渓谷こそが本来の姿なんだ」

 なんとまあ。

「じゃああの蝿の異常発生は…」

「ああ…アレの被害に遭ったのかい…?それは…お気の毒様…」

 何かを察したような、遠い目をするローレンスさん。

「まあ…渓谷がかつての凶悪な姿を取り戻すのは、何も悪い事ばかりじゃないよ」

 元々は谷底には川が流れていて、数多くの希少で凶悪な生物や魔獣が存在し、それらが齎す素材は[エルフィン]の発展に多大な貢献をしてきたそうだ。

「そんな渓谷が、雨量の増加、不浄からの解放と元に戻りつつあるのか…感慨深いね」

 そんな感じで状況は分かったので、PAに引き上げる事にした。


「流石に今の俺らじゃ無謀だよな、ありゃ」

「全員揃えばイケるだろうが…入り口であれじゃなあ」

「[エルフィン]の攻略をするにしても、渓谷は暫くスルーですね」

 3人の意見が一致し、暫くは少人数でも挑戦は控える事となった。

 という事で何処か別の場所に向かう事に。

「こういう時こそギルドに行くべきだよな」

 何か面白い事でもあるかも、とギルドに入り依頼を物色中。

「[格納庫]の害獣駆除でもやるか?」

「どれ、…なんか報酬が矢鱈良いのが不安なんだが」

「そこはかとない罠の予感」

 確かに妙な引っ掛かりは感じるが、他に良さげな依頼も無いしな~。

「2人は[格納庫]に入った事は?」

「「あるよ」」

「俺は無いんだよ、一応立ち入り許可書は発行しといたけど」

「んじゃあ行ってみるか?」

「そうですね、一度は見ておくのも良いと思いますし」

 こうして2人の好意で、格納庫行きが決まった。


「なんとなく想像してたが…すんごい惨事だな」

 俺達の目に飛び込んできたのは、粘菌の様な物体が害獣、PCNPC問わず無差別に襲っている光景だった。

「お、お前達援軍か!?急いで奴を撃退するぞ!!」

 現地に居たNPCに捕まり、粘菌退治に駆り出されてしまった。

 どの道、乗りかかった船だから良いんだけどね。

 その間も粘菌はどんどん増え続け、俺達は整備区画を追われる形になった。

「現在整備区画は奴らの支配下にある、我々はなんとしても奴らを殲滅し、格納庫に秩序を取り戻さねばならない!!」

 あれよあれよという間に話が進み、いつの間にか来ていたお偉いさんの演説を聞いている。

 そして人類側の反撃が始まり、俺達も適当に粘菌と戦い始めた。

「ああ、こういう系か」

 先ず物理が非常に効き辛いという、不定形にありがちな耐性。

「チッ、イマイチ攻撃が通じてねぇな」

 物理一辺倒なマサはこの通り、力を発揮しきれていない。

「回復しますね、<ライトヒール>、そして<フューチャーヒール>」

 逆にベルはいつも通りの活躍を見せてくれた。

 そして俺だが、特に変わり映え無くいつも通り、使い魔を嗾けるだけだ。

 そんな感じで、戦い続け十数分。漸く掃討戦に移行し、程なく決着が付いた。

「終わってみれば、人手も多かったし楽な依頼だったな」

 これで報酬5万なら、新規組には美味しい依頼だろう。

 尤も、初期組には物足りないので、さっさと次の行動に移る。


「今度は森で狩りでもするか」

 近場だし、今の俺らには程良い緊張感のある場所だろうし。

 2人も賛成し、早速現地に向かった。

「まだこの辺は綺麗な自然のままだな」

 未だに不法投棄が絶えず、汚染が進行中の森だが、ここ等浅層ではその影響は見られない。

「だが確実に生態系には影響が出始めてるな」

 初期の浅層は、兎や犬が主流で、今では浅層で熊や大蛇が散見されるようになってきた。

「歯応えは有るけど、これじゃ中々進めないな」

 引っ切り無しに襲ってくる熊に大蛇。更に相応に強化された兎や犬も混ざり、どうにも敵の壁が厚すぎて先に進めない。

 そんな中、G戦隊からのお誘いが来たので、逆に森の攻略に引きずり込んだ。

「「「こんにちは」」」

『こんにちは』

 互いに挨拶を済ませ、いざ再挑戦。

「やっぱ戦いは数だよな」

 G戦隊が敵を攪乱分断し、各個撃破出来る様に成り、戦闘が格段に楽になった。

「良し、このままガンガン進むぜ!!」

 と意気込んだは良いが、やはりそう簡単に行くわけにもいかず。

「マジかよ…中層でゴブリンの群れかよ…」

 運が良いのか悪いのか、中層に入った途端30体以上のゴブリンと遭遇。

 矢鱈と強化されていたゴブリン相手に、抵抗虚しく全滅を余儀なくされた。


「流石にあの規模の群れを相手取るには数が足らな過ぎたか」

「そうね…メイジにファイターにソルジャー…上位種ばっかりじゃ無理だわ」

 こうなると森もLvを上げるまでキツイので、仕方なく[バグスター]に向かう事に。

 その際、サーモンとカメキチさんが合流し、10人パーティーでダンジョンに挑む。

「マッドが毒腺を欲しがってたからな、沢山狩るぞ」

 ダンジョンに入り、早速そこらじゅうで戦闘が発生していた。

「それでも以前より数が少ないな、戦場は既に下層に移ってると見て間違い無いな」

 それだけ上に来る敵が減っているという事だろう。兎に角下に降りよう。

 下る程敵の襲撃が増え、少しして下方から戦闘音が聞こえてくる。

「前線に着いたようだな、打ち合わせ通り、ガチらないで摘まみ食いでいこう」

 金を稼ぐだけなら、換金率の良い素材を持ち帰れればいい訳だから、今回は毒蟲を集中的に狙っていく。

 すると早速、百足と蜘蛛が襲って来たので返り討ちに、中々幸先が良いぞ。

 その流れで、良い感じに敵が流れてくる部屋に辿り着き、そこで定点狩りを始める。

「良いポジションね、退路も確保できてるし」

 レイナさんが言うように、直ぐに退却出来る位置に陣取れている。

 それでいて、退路に蟲が沸いてないか、サーモンに常に調べさせてるので、いざという時に足元を抄われる事も無いだろう。

「グギャギャ」

「ん、テツやん、ゴブリンが退路に何かあると訴えてるぞ」

 早速サーモンから報告が上がったので、俺が単独で調べに向かう。

「どれ…蝦蛄が壁の中で待ち受けているな」

 ヘルメットのスキャナーで透視し、敵の存在を看破。

「マサは連れてきてないからランタンを使うか」

 壁にピタッと寄り添い、ランタンの範囲に螻蛄を入れる。

 すると攻撃扱いにより、潜伏していた螻蛄が一斉に溢れ出てきた。

「ちと数は多いが…何とかなるな」

 ドッペルを出し原木畑を拵え、螻蛄を迎え撃つ。

 地形デバフで[速度]を殺されてるので、火力と堅さで螻蛄をねじ伏せる。

 先ず目の前の壁から這い出てきた螻蛄を瞬殺、直ぐにその近辺も同様に処理し、囲まれることを回避。

「ギギャギャ」「ギャイーー!!」

 良いタイミングでサーモンのゴブリン2体が援軍で到着。 これで勝敗は決まったな。

 十分な空間さえ確保できれば、これまで培ってきた経験で、蟲共に絶え間無く使い魔を嗾けるなど造作もない事だ。

 所詮戦闘に特化してない蟲など個々のステータスは大した事は無く、終始圧倒し決着が付いた。

「流石サーモン、ベストタイミングだったぜ」

「そりゃよかった」

 皆の元へ戻り、再び摘まみ食いに参加。

 俺らが素材集めに勤しんでる間も、下層からは激しい戦闘音が絶え間なく聞こえてくる。

 そして程なくして、一際大きな衝撃音が響くと、周囲に大量の蟲が沸いて来た。

「おいおいおいおい!!いくら何でも唐突に過ぎるぞ」

 他所から来る、壁から這い出て来る、といった感じではなく、文字通り何事も無く湧いて来たのだ。

「多分ですが、ボスが出現したのでしょう」

 ベルが回復を仕込みながら、そう言ちる。

 突然湧いた蟲に対して俺らが採った行動は、勿論逃走だ。

 幸いと言うか、付近の湧いた蟲は即座にリスキルの刑に処し、急いで退路の部屋に向かい、此方に沸いていた蟲も苦戦しながらも殲滅。

「良し、急いで退却するぞ」

 今のLvじゃとてもじゃないが、最前線の攻防には混ざれないからな。

 そして先を目指す人たちとすれ違いながら、地上に出る事が出来た。

 そのままPAにまで戻り、解散してログアウトした。


 週末。

「さて、一気にLvを上げるか」

 この数日間、金策に励んだ甲斐あって、Lvを上げまくれるだけの資金が集まった。

 そして覚醒二回分Lv上げを行い、覚醒七回転生九回Lv100まで一気に上げた。

 そして現在のステータスはこうだ。

 名前:テツ。 Lv100 ★⁷ ☆⁹ 

 LP:1227400 STA:17600 COST:17600

 ギフト:[生への執着²]

 因子:[獣人★²][吸血鬼★²][蛇使い★³][農家²][百姓²][養豚家²][養蜂家²][パイパー²]

 パラメータ:[生命★]16000[持久]8000[積載]8000[魔力]8000[制圧]8000[幸運]8000[速度★⁶]56000[観察]8000[栄養]8000[保水]8000 ※数値はスキル等の影響を除いたものです。

 スキル:<生命増加>Lv120 <積載増加>Lv120 <魔道人形>Lv120 <ゴーレム使い>Lv120 <圧制>Lv120 <殲滅>Lv120 <煽動>Lv120 <見せしめ>Lv120 <持久増加>Lv120 <蛇の王>Lv120 <山亀>Lv120 <青龍>Lv120 <金甲>Lv120 <マウス1号>Lv120 <マウス2号>Lv120 <マウス3号>Lv120 <マウス4号>Lv120 <早食い>Lv120 <食の安全>Lv120 <吸収効率>Lv120 <食い溜め>Lv120 <早飲み>Lv120 <一服>Lv120 <ソムリエ>Lv120 <マリアージュ>Lv120 <生存戦略>Lv120 <野生の息吹き>Lv120 <血の海>Lv120 <不死の眷属>Lv120 <蛇壺>Lv120 <蛇笛>Lv120 <品種改良>Lv120 <土壌改良>Lv120 <百姓魂>Lv120 <鍬の一振り>Lv120 <養養豚>Lv120 <過剰肥育>Lv120 <養蜂>Lv120 <分蜂>Lv120 <群鼠>Lv120 <誘導>Lv120

 アビリティ:[ドッペルゲンガー][種苗袋][ボロボロの防柵][死への免疫][スワンプマン]

 装備:[タングステン鋼の鍬][シャツ][ズボン][阿修羅の骸][試作型アンデッド殲滅用ヘルメット][50フリーホルダー]


 といった感じになった。

 因子はあれこれと手を出すのを止め、少ない種類を重複させて運用する方針に変えた。

 その結果、これまで一度も重複させた事が無かった[養豚家]と[養蜂家]と[パイパー]を重複させたので、この後の検証が楽しみな一方、[聖人]を切った事で、対アンデッド戦でのパワーダウンが懸念される。

 今回はパラメータも変更し、[体力][傀儡]を切って、[栄養][保水]を採用。

 本当は、火力系のパラメータを採用するべきだったのだろうが、どうせ転生すれば変えられるからと、これまでと毛色の違うものにも手を出してみたのだ。

 そんな[栄養]は食べ物の使用速度と効果を[保水]飲料の使用速度と効果を上昇させる。

 それぞれのスキルの効果だが、先ずは[栄養]のスキルから。

 <早食い>は食料の使用速度が上昇。

 <食の安全>は食料を使用する時に無手時間を追加。

 <吸収効率>は食料使用時にLPの回復。

 <食い溜め>は食料のバフ時間の延長。

 次に[保水]のスキルで。

 <早飲み>は飲料の使用速度が上昇。

 <一服>は飲料使用時に無敵時間を追加。

 <ソムリエ>は飲料のバフの効果が上昇。

 <マリアージュ>は食料のバフ中に、飲料のバフの効果が上昇。

 というものになっており、リソースの消費こそ前提だが、かなり強力なモノとなっている。

 そして覚醒に関しては、因子は[蛇使い]を二回、パラメータは[生命]を一回[速度]を一回覚醒させた。

 これで、次回の再誕時には、ギフト【速度】が解放されるので、これを選べばパラメータの[速度]を切れるので、またビルドの幅が広がるので楽しみだ。

 という事で、Lv上げも済んだ事だし、検証を始めて行こうか。


「おおう…凄まじい大群だなこりゃ」

 ホームから出た途端、俺の傍でポップする夥しい数の蜜蜂たち。

 その数は416、これだけ居れば、[制圧]の<煽動>の条件である、区画内での数の優位を確実に満たせるため、これまで以上に敵の衰弱を速める事が出来るだろう。

 早速そんな蜂達を森の熊さんに嗾けてみた。

「グヲオオオオ!!!」

「ブーーーン!!!」

 威勢よく威嚇する熊に対し、圧倒的な数で全身に群がる蜂との攻防はアッサリと決着が付いた。

 最初の数秒こそ善戦していた熊だが、目に見えて衰弱していき、最期は眠るように息を引き取って逝った。

 見ていて背筋の凍る光景だが、戦果は十分すぎる程だ。

 続いて大蛇にも嗾けてみたが、結果は同じであった。

 本来であれば、パラメータから[体力]と[傀儡]が消え、防御は下がりLPも下がり、かなりの弱体化を余儀なくされていた筈だ。

 だが[養蜂家]の因子を重複した事で、スキルの効果と使い魔の能力補正が上昇。これにより軽い攻撃ならば一撃は耐え、火力に関しては明らかに上昇しているので、このような圧倒的な蹂躙劇になったのだ。


「次は豚の検証だな」

 流石にこのまま浅層に居ては、他の使い魔が獲物を狩ってしまうので、奥に進む。

 今回はゴブリンこそ出なかったが、見るからにヤバそうな色に、毛が変色した兎の群れに遭遇し、豚の検証が始まった。

 毒々しい紫色に染まった兎が、異常なまでに大きくなった豚に噛み付く。すると目に見えて肥大化し、攻撃した兎が判定に弾かれ飛んで行った。

 重複に因り、これまで以上にデカい豚が、これまで以上の勢いで肥大化する様は正に圧巻。

 しかも堅さも相当に増していて、破裂する頃には20m位まで肥大化してたんじゃないかな?

 これならアッシー相手に、LPを減らす必要すら無く、牧草金策が出来るのではないか。


「次は[パイパー]の検証だな」

 改めて、<誘導>により速度が上がった使い魔を見る。

 これまで以上に素早く動く使い魔、蜂も当然凄い速さなのだが、マウスと鼠がかなりいやらしい動きとなっていて、小柄で足元を超素早く駆け回るから、敵の狙いが定まらないのが良く解る。

 <群鼠>の方は堅く強くなってる程度で、さしたる差は無いが、一撃耐えるかどうかの違いが出てくれば、活躍具合は劇的に変わって来るだろう。


「次は食料バフを試してみるか」

 この為に[豚の生姜焼き]を用意してきたので、早速実食。

「おお!!こんなに早く食えるようになるのか」

 生姜焼きをササっと完食し、ステータスを見る。

「うん、満腹度が92%まで回復してるな」

 この生姜焼きは、OP[STA上昇10%]のみで、効果は満腹度40%回復のみだが。

「直前の満腹度が20%だったから、1.8倍に効果が上がってるな」

 そしてバフの効果は…満腹度の回復と同じで1.8倍で[STA上昇18%]になってるな。時間は…二時間十二分…元が一時間だからちゃんと伸びてるな。

 今の[栄養]が8000だから、1/100%補正が掛かるって事か。

「今度は飲料か」

 取り敢えず、[栄養ドリンク]:STAを一定時間10%上昇。OP[保水を10%回復]を飲んでみた。

 すると、食料のバフ中で、<マリアージュ>も機能して、一時間STAが42%上昇となっていた。

 残念ながら、バフでは無いOPの効果は変わらず終いだった。

 効果はあくまで、説明文に記載されてるもの限定で、バフに関してはOPでも強化されるらしい。

「うん、[栄養]のスキルは持続性[保水]のスキルは効果上昇に優れてるな」

 これは、食料はバフが付くコストが安くて腐らない物を、飲料はコストが安くて飲料自体に強力な効果が付いてる物が望ましいな。

 幸い調理設備は充実してるので、程々の物なら量産自体は容易いだろう。

 まあ、管理や遣り繰りが面倒なので、一時だけかもしれないけど楽しんでみるか。


「さて…[蛇使い]の火力を見ていくか」

 前の状態でもかなりヤベー火力だった[蛇使い]の使い魔。

 更に二回覚醒させたことで、重複数はおよそ三倍。果たしてどれ程の火力に化けているのか。

 他の使い魔が別の敵を狙うように誘導し、大蛇に毒蛇をぶつけてみた。

「…は?」

 始まってものの数秒で大蛇が溶けた。「シュルルル」と威嚇する大蛇に「ペッ」「ペッ」と毒を吹きかけ、それで決着が付いた。

「ヤベー…」

 この火力は病みつきになるな。


 最後に一応[生への執着]の発動条件も調べ、大体36万前後で発動する事が判った。

 それほど[生命]が上がったわけでは無いので、こんなものだろう。一応この時の[生命]は約8000万だった。

「ただいま~」

 検証も済み、PAに戻りユキと合流。

「他の皆は?」

「皆各々出掛けて行ったわよ」

 という事で、2人で金策に出掛ける事に。

「今熱いのはアッシー狩りか[バグスター]のダンジョンだな」

 アッシーはつい先日、初めての討伐がなされ、今怒涛の勢いで素材が市場に出回り方々を熱くさせている。

 一方蟲のダンジョンも、いよいよ大詰めで、何度もボスに挑んで弱点の解析をしている様だ。

「なら敢えて他に行くのも良さそうね」

「そうだな、2人だと…森のダンジョンでNPCについていくか?」

「それが良さそうね」

 そうと決まれば現地に向かう。


「んーと、あっちに10人向こうに12人か、なら俺らは此処を進むか」

 あまり後ろをコソコソと付いて回るのも邪魔だろうから、合間を縫ってそれとなく助け合いをする事に。

 森に入り、早速俺らから見て北西の部隊が戦闘に突入。

 俺らもその場に留まり、余計な横槍が入らないように敵を倒す。

 敵を殲滅し、再び進めば今度は北東の部隊が戦闘に入り、同じ感じで終了。

 時間が経つにつれ、一定の距離を保って戦うNPCやプレイヤーが増えてきて、良い感じに奥に進軍。

 道中、他の部隊が中ボスらしき、寄生された猪を撃破し、全体の士気が向上し更に勢いづく。

 それでも衛星やドローンでの撮影が不可で、全体像が掴めていない森だ。

 まるで攻略の糸口が見えてこず、襲撃や罠はどんどん凶悪なものへと変貌していく。

 俺とユキのコンビも遠に三軍落ちし、後方で討ち漏らしの処理を請け負っていた。

「これはこれで気楽で楽しいよな」

「そうね、それにテツ君の収穫物がかなり美味しいしね」

 作物は勿論だが、重複させた[養豚家]と[養蜂家]に因って齎される豚肉とハチミツの品質が相当に向上し、ユキとマタギ勘定しても十分な収入も見込めるので、無理に前線で体を張る必要は無かった。

 その後も植物の素材やら収穫物やらがどんどん集まり、そろそろ帰るかという時。

「おーい!!大量の寄生体が沸いたぞ!!全員気を付けろ!」

 と強敵が大量発生したとの情報が拡散された。

「一応周りと連携出来るように、ゆっくりと下がろうか」

 俺達は孤立しないようにゆっくりと出口に向かい南下し、あと少しで出口というところで寄生体に襲われた。

 幸い付近にはNPCも沢山居り、一度戦った猪相手だったので、これと言って苦戦もせずに対処出来た。

 そのままPAに帰還し、荷物の整理を行い再び出撃する。


「さて、今度は何処に行こうか?」

 ユキと行き先を検討中、アコがログインし合流。

「お疲れさん」

「こんばんは、疲れたわ~」

 更にシルクとトリオが合流し、7人パーティーになった。

「これなら更に森の奥へ進めそうだな」

 他の6人も森行きに賛成したので、再び森のダンジョンへ向かう。

 そして探索を開始し、どんどん奥に進んでいく。

 まだほんのりと明るい浅層部分は、トリオが無双し障害の無いまま進み、雰囲気の違う所まで来た。

「全容が掴めてない分、浅層中層の区分が良く判らないわね」

 そんなアコの呟きに便乗。

「だな。少なくとも全体の面積から言えば、まだまだ浅層なんだろうが…そもそもどこまでがダンジョンかも判らんから判断付かないな」

 仲間と会話を楽しみながら暫く進み、先程撤退した辺りまで到着。

「やっぱ人数増えると早いし楽だね~」

 此処から更に先に進むと、敵も更に凶悪になり、トレントがHPを持つようになり、一層面倒になる。

 寄生体も遭遇頻度が上がり、先日戦ったラフレシア猪と再度遭遇。

 だが俺もこの数日で覚醒二回分強くなり、仲間も同様にLvアップしてるので、あっさりと撃破。

 お陰で損耗も微々たるもので、そのまま探索を継続する事に。

 少しして、向こう側からNPCの一団が歩いてくる。

「やあこんにちは」

 挨拶と共に始まる情報交換。

「我々は森を横断してきたけど、コアに相当する物や、ダンジョンボスを見なかったから、恐らくこのダンジョンは、リソースを枯渇させるタイプのダンジョンだと思われる」

 と大変有用な情報をくれ、ベースに伝えて来ると言い去っていった。

「という事は、別に無理して中心部で戦う必要は無いのか?」

「そんな事は無いでしょ。結局敵を倒せば倒す程、ダンジョンのリソースを削れるんだから、ダンジョンのリソース回復速度を上回って消耗させるなら、より奥で戦う必要があるでしょ」

 と、ユキは深い箇所で戦う事を提唱。

 まあ、俺もそれには賛成だし、アコにシルクにトリオも稼ぎ的にもそれが良いと言うので、このまま中心地を目指す事に。


「敵も罠も激しいな、おい」

 引っ切り無しに飛来する十字植物に、ラフレシアを背負った亀や猪の大群。

 それらを迎え撃つ俺らの足元に、強引に罠を張っていく蔦や根。

「もうっ!!焼いても凍らせても次から次へと!!」

 うねうねと目の前で堂々と罠を拵える触手枠にキレるユキ。

「あああ…旗矢は高いのに…」

 状況が状況だけに、値の張る旗をガンガン投入するアコ。

 このままじゃ赤字なのか、気持ち姿が透けて見えてくる。

「フフフ、[多重縫い]で強化された網は頑丈なのです!!」

 一方元手タダの投網で、十字植物やトレントを無効化してご満悦なシルク。

 自身は守りも堅く、使い魔も優秀な為、安定して戦果を出し続けている。

「そい!!」「<シールドインパクト>!!」「モ~」

 盾剣トリオもガンガン前に出て植物共を切り伏せている。

「皆張り切ってるな~」

 そんな俺は皆の後ろで菌類を栽培し、使い魔を前線に供給する事に専念。

 豚が皆のダメージを背負い更には敵の接近を阻み、<ゴーレム使い>がキノコを生やしたゾンビを引き寄せ<魔道人形>が拘束し、ガーディアンが切り伏せる。

 <青龍>と蜜蜂が十字植物を相手取り、<山亀>と<金甲>がトレントや歩行キノコを抑え、<蛇の王>は大物を喰らい、マウス達は状態異常をものともせず、戦場を縦横無尽に駆け回る。

 そんな使い魔達や他の皆を抜いて俺に近付けたとしても、ランタンの多重デバフに畑の防御に足止めされ、手の空いたガーディアンに切り伏せられるのがオチだった。

 後嬉しい誤算だが、敵の罠に重ねて開墾すると、罠を消せることが判明。

 これにより<鍬の一振り>で一度に多くの罠を解除出来、精神的アドバンテージを大幅に稼げ、一層戦闘に余裕が出来ていた。

「ふう、これだけ倒せば十分だろう、コストもヤバいし戻ろう」

 流石に全員のコストがいっぱい寸前なので、戦闘を切り上げ帰還した。

次回は二週間くらいで。


三十話目前にして、そろそろ齟齬や粗が目立ち始めたと思いますが、

アップデートでいつの間にか変わったんだとでも思っておいてください。

(ちょっと自力では収拾つかないかな…)

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