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告白(2)


「信用してもらえないってことか」

「そういうことではないのだけれど」

「そうじゃなくて、“そういう意味で”信用がないんだろうな、って」

「アルカに“そういう意味での”信用がないんじゃないのよ。私の場合、欠落しているの。だから時間の無駄だと言っているのよ」

「僕はレイスが好き」


 真正面から、真っ直ぐに見つめられながら言われて、動揺した。

 と、突然なに。

 動揺したが、私の働いたことのない表情筋のおかげか、アルカに伝わってはいないみたい。


「どきっとした?」

「ときめきはなかったわね」

「うーーん。さすがレイス。まあ、いいか。レイスが僕に『相応しくない』って言うのは、なんか意外と言うか。それでこそっていうか」

「……?」


 目を細めて私を見る。

 愛しいとか、尊敬とか、そんなモノが含まれている眼差し。

 私にはもったいない視線。

 絶対に私じゃない方がいいと思う。

 同じ熱量で、同じ気持ちを返してあげられない。

 アルカの気持ちをちゃんと考えるとは言ったけれど、もうすでにそれがめんどくさい、と思っている自分がいる。

 やはり私なんかに少女漫画みたいなキラキラとした恋愛は一生無理だと思う。

 絶対に私以外にした方がいい。


「逆に燃える」

「は?」


 割とガチの「は?」が出た。

 こいつなにを言い出している?


「レイスの初恋、僕が頑張ればもらえるってことでしょう?」

「う……うん? ま、まあ……確かに初恋も、ない、か? そ、そうね……?」

「でしょ!」


 つまり絶対私を諦めないマンが爆誕してしまった?

 こ、こいつ……!

 さすが乙女ゲームの男主人公。

 ポジティブが天元突破してやがる。

 こっちとしてはだいぶ迷惑。

 めんどくさい……いや、でも……一応ちゃんと向き合うって、考えるって決めちゃったしなぁ……。


「はあ……。わかったわ。私自身も歩み寄りをしてみる。でも、三年頑張っても無理だったら諦めて。あなたの時間を奪うことになる。それは私も嫌だから」

「わかった!」


 本当かなぁ?




 ◇◆◇◆◇




 数日後、入植希望者が到着し、各々家を決めて新生活が始まった。

 みんな新しい生活に目を輝かせ、新しい畑や牧場作りに励んでいる。

 私が手を貸したら、彼らのためにならない。

 彼らの仕事は彼らのやりたいようにやってもらう。

 再建しなければならない村や町はここだけではないからね。


「おーい! レイス嬢ー!」

「レイスーーー!」

「あら」


 そして今日は魔力抜きに行っていたアーカーとエルワーズが帰って来る。

 アーレシュア王国に依頼していた物資や食糧を持ってきてもらう日でもある。

 アガレスに転移陣を設置してもらったから、今日はその試運転だ。

 牧場の側に食糧、村の入り口に物資の転移陣を設置したので、アーカーとエルワーズに運び込んでもらう。

 村には若い男性がいないので、荷運びは大変かな、と思ったのだけれど、そこは魔族の皆さん。

 女性であっても身体強化でアーカーよりも多くの荷物を片手で持ち上げ、運んでいく。

 その様子にわかりやすくアーカーがショックを受けていたが、まあまあまあまあ。

 私に報告していなかったが、アーカーはやはり先日アガレスに残して行った時、自暴自棄になって暴れた難民たちを鎮圧し、騎士としての矜持を見せ、彼らを鼓舞したらしい。

 アーカーのイベントだ。

 私に報告するまでもない、と思ったのかあとからこっそり人伝に聞いたのだが、ずいぶん格好いいことを言っていたらしいので照れ臭かったのかも?

 まあ、そのおかげで難民の中には故郷再建を誓って出ていく人が出たとか出ないとか。

 それはそれとして、そんなふうに騎士として一皮剥けたアーカーの心を、魔族女性の身体強化はあっさりへし折りに行っている。

 頑張って折り直して立ち直ってくれ、アーカー。

 ま、アーカーは後回しでいいだろう。

 重要なのは、私の腰にダイレクトアタックしてきた、この小さな女の子。


「ルナーシャ。来ちゃったの?」

「えへへへへー! 来ちゃった! だって、聞いて! あの王子から手紙や使者がひっきりなしに来るのよ! ウザイって!」

「あらあら」


 頭撫でて! と言われるのでルナーシャの淡いピンクの髪を撫でる。

 祖父母に育てられたせいなのか、はたまた私が甘やかしすぎた弊害なのか、記憶の中の『覇者の集い』よりも幼く、甘えん坊な気がする。

 まあ、でもケビンがまさか辺境まで手紙や使者を送るほど諦めが悪いなんて。

 あれだけキッパリと振られたのに、さすがに執着が強すぎやしないだろうか?

 陛下や王妃様はご存じなの?

 一度釘を刺した方がいいかも?


「レイス嬢、少しいいですか?」

「このままでいいかしら? なに? エルワーズ」

「ええ、その……実は……」


 非常に言いにくそうにしながら、エルワーズが見せてきたのは私が二人に持たせたディブレからの目録の写し。

 物品の名前と、ディブレが必要希望数として記載した数字の横に、入荷数を記入してもらっている。

 それによると……想像以上に数が少ない。

 かき集めるのにも時間はかかるだろうし、国に金額を請求するから手間がかかる。

 それはわかるけれど、私を送り出してから陛下はすぐに魔族国への支援を決定し、ある程度まとまった食糧や物資を集めてくれていたはずなのだけれど……。


「思った以上に、その……少ないわね」

「はい。我々も抗議したのですが、ケビン殿下の差金のようでして」

「はあ?」


 思い切り怪訝な声が出てしまった。

 ケビン? 支援物資を渡さないように、アーレシュア王国の商会に通達していたということ?

 どうしてそんなことを?

 魔族国への支援は陛下の決定よ?



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