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廃村(3)


 というわけで自分の[空間倉庫]と魔法陣を接続。

 これで[空間倉庫]の中の素材をすべて自動で使うことができる。

 魔法陣にはこの土地の落下物なども修繕に使えるように書き込み、建物の持つ記憶も魔力で接続して再現可能にして――。


「生活魔法、[修繕]、[清掃]、[清浄]、[復元]」

「「は!?」」


 四つの魔法を同時発動。

 まあ、わかってはいる。

 普通は四つも魔法を同時に使うことはない。

 でも、めんどくさいから手っ取り早く終わらせたいじゃん?

 一つ一つの魔法は生活魔法として魔族国では一般的なものであり、アーレシュア王国の下級貴族や市井に下った元貴族の収入源でもある。

 なんで私が使えるかって?

 普通に便利だから。

 あと、ルナーシャとアルカに魔法を教える時に、無属性の生活魔法は教えるのに最適だった。

 二人とも『故郷に帰ったら使えそう!』とするする覚えてくれたわよ。

 実際魔王討伐の旅の最中もすごく役に立ったもの。

 ただ、今回は規模を二階建ての大きな屋敷に設定したからかなりの魔力を消費することになる。

 自然魔力を取り込み、自然に魔力を回復することはできるけれど……れどやはりこれだけの魔力消費は魔物肉を食べて回復した方が早い。

 今日も魔物肉の焼肉ね。じゅるり。

 シンプルな岩塩を削ったお塩で、ジューシーに肉汁滴る五センチぐらい分厚いステーキをもぐもぐいただきたい。

 何種類かのハーブと岩塩を混ぜたクレイジーソルト風味の塩でもいいわね。

 海が近かったら魚を獲って魚醤を作って、いつかそれでブレイドホーンホルスタインのステーキをいただくという、ささやかな夢がある。

 あとすき焼き。

 すき焼き食いてえーーーー。

 ボア系の豚肉風味肉も好きだけど、やはり多少レアでもブレイドホーンホルスタインを食べたい。

 一頭、丸ごと。

 [空間倉庫]に保管しておけば腐ることもないし、脳みそとか目玉とか臓器系はさすがにドラゴンの餌にでもするとして……食べられるお肉は少しずつ食べたい。

 あ、やばい、牛肉のこと考えたらチーズ牛丼食べたくなってきた。

 牛丼屋ならねぎ盛り牛丼が好きだった。食べたい。

 なんでこの世界に米がないの?

 日本産の乙女ゲームならあれよ、米。

 でもヒヨリ鳥というクソビビりの小型陸鳥も一度でいいから食べたい。

 魔族国にしかいないという、レアな魔物。

 絶対美味しい焼き鳥になると思う。

 塩でいただくか、タレでいただくか。

 とりももとねぎま食いてえーーーーー。


「お、お家が……村長のお家が……!」

「生活魔法とはいえ、魔法を四つも同時に使うなんて、なんて無茶を……! いくら魔力が多いといっても――」

「大丈夫よ。家の中を確認しましょう。大雑把に魔法で修復したから、直っていないところがあると思うの。とりあえず今日寝る場所の確保だけはちゃんとしておきたいけれど……」


 というわけで家探し。

 一通り見てみたがベッドも大きな穴の空いた天井も綺麗に直っている。

 うん、これなら今日寝る分には問題なさそうね。


「すごい! ベッドふわふわ!」

「シーツもまるで洗い立てだ。どうなっているんだ、これ?」

「意外と部屋数が多いわね。じゃあ、私この鍵つきの部屋に泊まるわね」

「じゃ、じゃあ俺たちは一階の部屋にするか」

「そうですね。えっと、夕飯は……というか、これからどうするんですか!?」

「一度アガレスに戻って、ディブレ様にこの村の再建の許可をもらうわ。まあ、でも他の地域の街道も敷かなければならないから、アーカーかエルワーズのどちらかにはここに残ってこの子たちのお世話をお願いしたいのだけれど」


 そう言うと、当然の如くアーカーはエルワーズを見下ろす。

 まあ私とアーカーとエルワーズだったら一番安心感のあるエルワーズが一番よね。

 エルワーズも「僕が残りますよ」と言ってくれる。


「「頼んだ」」

「……はあ。やっておくことはありますか?」

「そうね。一応日時の指定はしておくけれど、多分ルナーシャとアルカが私の指定日時を無視して突撃してくると思うから、相手をしておいてくれるかしら? マイキーとナシュの畑を浄化しておいてくれると助かるわ」

「ああ、わかりました。……聖人と聖女をそんなふうに言えるのは、世界でもあなただけでしょうね」

「まあ、そうかもね」


 その日の夜、美味しく残りのボア肉を焼いて食卓に出し、マイキーとナシュの二人にたらふく食べさせ寝かしつけたあと外に出る。

 屋敷は直したけれど、他の建物はそのまま。

 だから一軒一軒、村長宅と同じように直していく。

 小さな村だから、魔力半分くらい残してほぼ修復完了。

 問題はこの村に住んでいたほとんどの人は亡くなっているか、近隣の村や町に避難していった。

 その中で、どのくらいこの村出身の人が生き延びているのかはわからない。

 そのあたりもディブレに調べてもらわなければ。


「さすがに疲れたし、そろそろ寝ようかな」


 んーと背伸びをしてから、ふと、手が温かく感じる。

 人に触れられた時の……アルカに握られた時の感覚が蘇った。

 思わず自分の手を見下ろす。

 アルカ、レイス()が好きなのか。

 まあ、DLC主人公のアルカにとってはレイスくらいしか攻略対象がいないからな。

 なにせ、イカれているだけでなく腐ってもいる乙女ゲームといっても、一応乙女ゲームだからね。

 女キャラなんて私と主人公しかいない。

 その主人公もアルカ自身の実妹。

 選択肢がレイス()一択だもんな。

 それが可哀想。


「まあ、でももう、ストーリーは終わってるしね」



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