宇宙へ 3
「なあ、宇宙って思ってたよりつまらん所だな」
地球を発って20時間ぐらいか、もう振り返ってもどれが地球か良く分からない。
月を越えた辺りまでは結構テンション高かったんだけど、その後は見事に何も無い、ずーっと変わらない景色が続いている。
「なんかこうも景色が変わらないと進んでる気がしねえな。ちゃんと飛んでるのか?」
「当たり前じゃない。宇宙のサイズ舐めてんじゃないわよ」
「ワープとか出来ねえの?」
「マンガの見過ぎね。ワープが出来ない事はこの時代でも証明されているはずよ」
まじかよ。
夢も希望もねーな。
「そろそろ私の索敵範囲にリトルサターンが入るはずよ」
「そういや地球からは探知出来なかったんだよな? 未来の機械の癖に」
「今すぐ酸素止めるわよ! 大体私は広域殲滅タイプだもの。索敵偵察は本来、ヘルズピンクの仕事で私は専門外。分かった?」
「ネーミングセンスが最悪なのは良く分かったぜ」
「いちいちトゲがあるわね……あ、対象を確認したわ、ってこれ…………」
「どうした?」
答える代わりにモニターにCIAで見たのと同じ隕石が映し出された。
「やっぱり。これ『ジェノサイダー拡張キットシリーズ⑨ メテオが来るぜ、ヒアウイゴー』
だわ!」
「なんでヒップホップ的なノリで地球滅亡させようとしてんだよ! つーか、それじゃなんだ? 今回の危機っておもちゃのせいなの?」
なんだか緊張が一気に緩んでしまった。
「おもちゃって言っても隕石その物は本物だから舐めてもらっちゃ困るなー」
「なんで誇らしげなんだよ。なんか一気にやる気なくなったなー。こんなの使わなくてもジェノキャノンで吹き飛ばしたらいいんだろ?」
「無理ね」
「なんで?」
「このキットは協力プレイが前提なの。戦隊全員が揃って使える超必殺技じゃないと破壊できないわ」
「無駄にめんどくさい設定つけてんじゃねえよ! はあ、それじゃやっぱりコイツで軌道をずらすしかないのか」
「それしか方法はないわね」
「……これって正体がおもちゃだったって事、言わない方がいいよな?」
「別に私達が悪いわけじゃないけど、その方が無難ね」
その後たっぷり20時間以上掛けて、ようやくリトルサターンに到着した。
「さすがに実物はでけえな」
他に比べる物がない宇宙空間においても、直径20キロの塊ともなると、その巨大さが伝わってくる。
「絶対回避ラインまでそんなに余裕ないわよ」
「早速ぶちかましてやろうぜ」
CIAから指定されていた座標に向かい、アトミックリングを設置する。
「設置完了」
一旦、リトルサターンから距離を置く。
「それじゃいくぜ。ぽちっとな!」
ボタンを押し込んだが反応が無い。
「!? まじかよ!? いやまだこいつがある!」
予備に渡されていたスイッチを取り出す。
フィールさんありがとう!
「これで終わりだーー」
再びボタンを押し込む。
「…………何も起きないわね?」
「ふざけんなよフィールゥーーーー!」
多分フィールのせいじゃ無いとは思うが、ボタンを連打しても一切反応が無い。
「距離が離れすぎているのかも!?」
ボタンを連打しつつリトルサターンに近付いてゆく。
「ねえ、これってリモコンの意味ないんじゃない?」
気がつけばアトミックリングの傍にまで戻ってきてしまった。
「くそー、直接押すボタンはないのかよ!」
アトミックリングを調べてみるが、それらしいものは見当たらない。
「そりゃ、押したら確実に死ぬボタンなんか付けないでしょ」
「どーすんだよ。CIAに連絡しようにも通信とどかねえし、何か方法は……」
「! ……遅かったみたい。たった今、絶対回避ラインを過ぎたわ。今から爆発させても地球衝突のコースからは外れない」
頭が真っ白になる。
どういう事だ?
失敗したって事か?
そんな、俺が失敗したら…………
「……なあ、これっておもちゃだよな? という事は地球に近づいたら安全装置とかで止まったり消えたりするんじゃ?」
「そんな物付いてないわよ。だって私の時代じゃこんな隕石脅威でも何でも無いもの」
じゃあ本当にこれで終わりって事?
……親父も母親もくるみもフィアもリーリヤも皆死んでしまうのか?
「ふざけんなぁーーーーー!!」




