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宇宙へ 2

 ついてきちまったものは仕方ねえ、話を進めよう。


「それで? 俺は何をしたらいいんだ?」

「先に質問なのですが、荒川様は大気圏外、つまり宇宙でも活動可能ですか?」


 1万メートルまでは行った事あるけど、宇宙はどうなんだろ?


「なあ、お前って宇宙行けんの?」

「当たり前じゃない。余裕よ」


 胸にめり込んだ頼もしい相棒が答えた。


「え? 今の何? 誰と喋ったの!?」

「……女の声」


 フィアとリーリヤが騒ぎ出した。

 くるみは黙っていたが、頭が事態に追いついていないだけだろう。

 そういやこいつら実際に俺がインフェルノレッドになっている所、見たこと無いんだっけ。


「落ち着けって。今のはサポートAIの声だよ」

「女ってのが気に食わないわね」


「「……同感」」


 なぜか女性陣全員から睨まれた。


「質問を続けても? 宇宙での移動速度はどれくらいになりますか?」

「そうね、時速20万キロくらいかしら」


 速すぎてイメージが湧かねえ、新幹線の何倍なんだ?


「素晴らしい。これで人類は助かります!」

「話が見えねえな。俺は何をすればいいんだ?」


「オリオンの代わりに核弾頭をリトルサターンまで運んでいただきたいのです」

「オリオン?」


 オリバーがリモコンを操作すると、でかいロケットエンジンの左右に丸い翼みたいな物がついた写真が表示された。


「これがオリオンです。合衆国がスペースシャトルの代わりとして開発していました。しかし出せるスピードは時速6万キロ程度、オリオンでは時間内に絶対回避ラインまで核を運べない。そこで荒川様の登場と言う訳なのです」


「なるほどね。……しかしこれ隕石をジェノキャノンで吹っ飛ばしたほうが早くね?」

「サイズによるわ。これどのくらいの大きさなの?」


「直径20キロです」


「大きいわね。さすがにジェノキャノンでもそのサイズは無理よ」

「じゃ、やっぱり軌道を変えるしかないか」


 さすがの未来兵器でも無理な事はあるんだな。


「やっていただけますか?」

「そりゃ、やらないって訳にはいかねーじゃん」


 するとそれまで黙って聞いていたくるみが口を開いた。


「あの、良く分からないんだけどこれって凄く危ない仕事なんだよね? ゆっくんは大丈夫なの?」


 オリバーがリモコンを振りながら答えた。


「もちろんリスクはあります。しかし核弾頭の起爆は離れた所からリモコンで行うので直接、荒川様に危険が及ぶ事はありません」


「だってよ」


 不安そうにしているくるみの頭をぽんと軽く叩いてやる。

 だがフィアもリーリヤも不安そうな表情を浮かべたままだった。


「大丈夫だって。ちょっと宇宙の彼方まで荷物を届けるだけじゃん。ぱっと行ってすぐ帰ってくるよ」

「では早速ですが、まず国際宇宙ステーション(ISS)まで行ってください。もうすぐ弾頭の準備が完了するはずです」


 急いで俺達はCIAが借りていたビルの屋上に出た。

 最近なにかと屋上に縁があるな。


「変身」


 初めてインフェルノレッドになった俺をみて、フィアとリーリヤの目が丸くなる。

 くるみの目は回っていた。


「それじゃちょっと地球を救ってくるわ」


 一気に大空へと駆け上る。

 CIAのサーバーとリンクさせているので、ISSの場所がカーナビの様に表示される。


「よし、まずはここに行くぞ」

「りょーかい」


 ISSはすぐに見つかった。

 テレビで見たとおり、丸い筒が幾つか繋がった部分を中心に巨大なソーラーパネルが何枚も付けられた未来的な形をしている。


『来たな、ヒーロー』


 いきなり通信が入った。

 ステーションの近くにある、丸い物体の傍で宇宙服の人物が手を振っている。


「どうも」


『俺はフィール。そしてこいつがヒーローに運んでもらうアトミックリングだ』


 丸い物体は良く見るとラグビーボールのような形をした物を綺麗に円状に繋げた物だった。

 恐らくボールの部分が核弾頭なんだろう。


『そしてこれが起爆スイッチだ。間違っても今押すなよ? 予備と合わせて二つある』


 起爆スイッチはリレーのバトンみたいな棒の先にボタンがついている単純な造形だった。


『アトミックリングの内側に手摺を付けておいたから、ヒーローが中に入って押す形になる。何か質問はあるかい?』

「無いかな」


『いいね。お茶も出さずに客を送り出すのは我が家の家訓に反するんだが、時間がなくてね。悪いが早速コイツを運んでもらえるかい?』

「了解。帰ってきてからゆっくりお茶をもらうよ」


『オーケー、最高のヤツを用意しておくよ。それじゃ頼んだぜヒーロー』


 フィールが突出した拳に俺の拳を軽く当て、アトミックリングの中心に入り手摺を掴む。


「それじゃ行きますか」

「りょーかい」


 俺たちはアトミックリングごと一気に最大戦速まで加速した。


 背中に背負った母なる星を守るために。


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