ロシア 7
ちょっと少なめです。
次の日の学校、連日の寝不足で授業をほとんど寝て過ごす事になってしまった。
だって仕方ねーじゃん、ロシアから帰ってきたら朝の5時だったんだぜ。
フィアには眠気覚ましにいいわよって銃の的にされるし、どこから持ってきたのか、くるみが俺に毛布を掛けようとしてクラスがざわついたり、来栖には硫酸を掛けられそうになったりと、まあつまりはいつも通りだった訳なんだが、リーリヤは今日も休んでいた。
家には帰らずにコンビニに寄ってそのままリーリヤの家に向かったら、ちょうどアパートの前で寝巻きに上着を羽織っただけのリーリヤと出くわした。
「よっ、もう起きて大丈夫なのか?」
「……うん」
「そんな格好でどこ行ってたんだ?」
「……ゴミ捨て」
「ふーん。まあ、元気になってなりよりだ。これ、せっかく買ってきたから食べてくれよ」
「……ありがと」
「じゃあな」
リーリヤにコンビニの袋を渡して帰ろうとしたら、腕を掴まれた。
「……ちょっと寄って行って」
そのまま腕を引かれて、リーリヤの家に連れ込まれた。
「……どうぞ」
カップ麺の容器に水を入れて出された。
この家の食器事情を考えるとこれは嫌がらせではなくて、もてなしてるんだよな?
「……今日の昼に孤児院から連絡が入った」
正直、それはかなり聞きたい情報だった。
ヴォルクは信頼できそうだったが、なんせ腐ってもマフィアな訳だし。
「……借金の利子計算が間違ってて、お金が返ってきた」
「へえー。ちなみにいくら?」
「……3000万円」
やるなー、迷惑料込みって所か。
やっぱあの人なんでマフィアなんかやってんだろ?
とにかくそれだけのお金があれば孤児院も安泰だろう。
「そりゃすげえな。良かったじゃん」
「……良く分からない事がある」
「なにが?」
「……お金を渡された時に極東の若いサムライによろしくって伝言されたそう」
思いっきり水を噴いてしまった。
「……園長先生は心当たりがないって。……なにか知ってる?」
あの野郎、俺が係ったって知ったらリーリヤがまた要らん重荷を背負いそうだったから黙ってたのにー
「さ、さあ? クロサワ映画のファンとかなんじゃね?」
「……ふーん」
表情がない奴が半目で見つめて来ると妙な迫力があるな。
「そ、そおいや、何を捨てたんだ?」
この家に捨てる物など無かったはずだが。
「……レーション」
言われてみればあの悪魔のパッケージが詰まっていた箱が消えていた。
「おお! ようやくあの拷問が終わるのか! つーか、良く考えたらリーリヤが俺に弁当を用意する必要その物が無くなったんだっけ」
「……なんで?」
「なんでって、もう無理して金稼ぐ必要ないんだろ? やっとロシアに帰れるじゃん」
「……任務は辞めない」
「なんで!?」
「…………裕樹と本当に結婚したくなったから」
「まじかよ!?」
やべえ、自分でも顔が赤くなっているのがはっきり分かるぞ。
「………嘘」
そう言ってリーリヤが微笑んだ。
なんかさらに泥沼が深くなった気がする。
なんでこうも俺が望んでいるのと違う方向へ毎回毎回いくかねえ。
やはり一度脱線した人生はそうそう簡単には修正できないらしい。




