表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/36

学校 4

 あの後、どんな戦いが始まるか戦々恐々していたが、フィアとリーリヤは俺を挟んで時折視線を戦わす程度で意外にも平和にその日は終わった。


 まあ平和といってもクラスの男子からは怨みの篭った視線を向けられ、女子からは奇異の目で見られている時点で俺の日常は完全崩壊している訳だが。

 来栖なんて何処からか手に入れてきた藁で一日中藁人形を量産してやがったし。


「はー。なんでこんな事に……」

「なんでって、ゆっくんがフィアちゃんとリーリヤちゃんに、こ、告白したからでしょ?」


 最近すっかり定着したくるみとの下校時。

 なんだか最近唯一ほっとする時間だのだが、今のは聞き捨てならないぞ。


「はあ? なんでそんな話になってんだ!?」

「え? だって女の子達が噂してたよ。二股サイテーとか節操なしとか」


「勘弁してくれ。俺は告ってない」

「そうなの? じゃ、なんで?」


「なんでって……」

 そりゃまあ理由ははっきりしているんだよな。

 全部俺の胸に付いている誤配送品が原因だ。


 だけどここまで事が大きくなると下手に説明したらくるみにも被害が及びかねない。

 いや、既に本人が覚えていないだけでかなりの迷惑を掛けている。

 こいつの性格を考えると、事情を知ったら心配して首をつっこんで来るに違いない。

 もうこれ以上、こいつには迷惑掛けたくないんだよな。


「俺にもわからねえよ。ただあいつら俺の事を本当に好きって訳じゃないんだぜ」

「なんで分かるの?」


「いや、何と言うか、見てたら分かるだろ?」

「そうかなあ? 二人ともずっとゆっくんの事を見てたよ?」


 確かに見てたよ。


 ただし敵意の篭った目線でな。


「とにかく、あいつらが俺の事を好きじゃないのは確かだ」

「そ、そっかー。…………よかった……」


「? なにか言ったか?」

「う、ううん! それじゃまた明日ね!」


 そう言うとくるみは慌てて家に帰ってしまった。


「なんだよ? 変な奴だなー」

「あんたマジで言ってるの?」

「なにが?」

「なーんか面白くないから教えない」


 次の日の昼休み。


「来栖。食堂行こうぜ」

「ちょっと待ってくれ。もう少しで新しい藁人形完成するから」


「……お前まだつくってんの?」

「おう! 今度のはすげえぜ。なんせ魚沼産コシヒカリの藁だぞ」


「……産地で効果が変るなんて聞いた事ねえぞ」


 いや俺が知らないだけで実はその道では常識かもしれないけど(だとしてもいやな常識だ)

 つーか、呪うなよ。

 呪い返すぞこの野郎。


「ゆ、裕樹君。これ!」


 食堂に向かおうとした俺に、くるみが風呂敷に包まれた物を差し出してきた。


「なんだこれ?」

「そ、そのっ、作りすぎちゃったから。だからね、その、お、お弁当! 余らして駄目にしたら勿体無いから、食べて!」


 一気に教室がどよめく。


「おお! ついに本妻の反撃か!」

「しかしなんで荒川ばっかり……」

「くるみ頑張れ! ここで一気にけりをつけなさい!」

「その弁当俺にくれえー」


 なんだかよく分からんが、クラスの連中はどうも俺とくるみの関係を誤解してるっぽいな。


「さんきゅ。昼飯代が浮いてラッキーだぜ」

「食べ終わったら箱だけ返してね」

「おう」


 妙に浮かれながらくるみは自分の席に戻っていく。

 席に戻って風呂敷を開けると中から三段のお重が出てきた。

 確かにこれは作りすぎだ。


「おい来栖。ちょっと食べるか?」

「……うるさい。今、俺はまだ行ってない神社を検索中だ」


 こえーよ。

 つーか、まじで使用してるのかそのアイテム。

 ダークサイドに落ちた来栖はほっといてくるみの弁当を食べようとしたら、左右から気になる視線を感じた。

「フィア、ちょっと食べるか?」

「いらないわ。……なるほど弁当ね……」


 ぶつぶつ言いながらフィアは何かをメモしている。


「リーリヤはどうだ?」

「……いらない」


 そう言った瞬間、リーリヤのお腹が可愛らしく鳴った。


「沢山あるから助けると思って食ってくれよ」


 顔を真っ赤にしているリーリヤに弁当を差し出した。


「……仕方ない。これも妻の務め」


 そう言うと、結構な勢いでリーリヤは弁当を食べ始めた。


「……はああ」


 お花畑のエフェクトが見えそうなぐらい幸せそうな顔を浮かべている。

 もしかしてリーリヤあんまり飯食ってないのかな? 

 SVRの給料結構安いのかもしれない。

 結局、その日も割りと平穏に一日が終わった。


「ねえゆっくん。明日も作りすぎちゃう気がするから、お弁当用意してあげるね」

「おおさんきゅ。だけどアレはいくらなんでも作りすぎだと思うぞ」

「わかったー。気をつけるね」


 そう言い残してくるみはスキップしそうな勢いで家に入っていった。


「なんか知らんが、ご機嫌だなくるみの奴」

「馬に蹴られて死んじゃえ」


「なんでだよ!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ