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第67話 復讐の果て

前回のあらすじ

ルナセールを倒した

 

 二週間後、ステラ王国王都のレグルス。

 そこにある王城前の大広場には、中央にある処刑台を囲むようにして大きな人だかりが出来ていた。


 その理由は、今日この場で前代未聞の処刑が執り行われるからだった。

 今回処刑されるのは、『勇者』とまで呼ばれたルナセール・アポロニアだった。

 そして今回の処刑には、王族であるシャルルマーニュとレティシアが立ち会う事となっていた。


 処刑開始時刻通りに、『グリムリーパー』の面々が姿を現す。

 彼等に左右を挟まれる形で、ルナセールは処刑台を登っていく。右腕が無いからか、左腕は直接身体に縄で巻き付けられていた。


 ルナセールが処刑台に上がり切った後、今回の処刑を取り仕切るシャルルが口を開く。


「これよりルナセール・アポロニアの処刑を執り行う。被告はカストールの街で長期間に渡り、何の罪も無い同街の住人を殺害して回った。その被害者の人数は少なくとも五十人以上。これは前例が無いほどの大量殺人である。そしてこの行いは、『勇者』を名乗るに値しないとして、冒険者ギルドからの称号の剥奪、並びにギルドからの永久追放が言い渡されている。……被告の行いは非人道的だとして、国王陛下から直々に死刑を言い渡された。この判決に異義を唱える者は?」


 シャルルはそう問い掛け、大広場を見回す。

 しかし誰一人として、異義を唱える者はいなかった。


「……く。くはははははははは……」


 その時、ルナセールが突然笑い声を上げる。

 突然の出来事に、シャルルは思わずルナセールに聞き返していた。


「何がおかしい?」

「はははははは……どうせ処刑されるんだ。冥土の土産に、何故私がそんな事をしたのか語ってやろう。……蒙昧なる貴様らもしっかりと聞くが良い! 私達勇者パーティーが犯した罪をな!」


 ルナセールは大声でそう宣い、大広場を見回す。

 そしてその声量のまま、十年以上前に引き起こしたエドの殺害を告白した。


 この告白は、大広場に集まっていた人々にとっては衝撃的な内容だった。

 何故なら、当時の出来事は『虹の魔法使い』がその身を以て仲間を逃がしたという美談になっていたからだった。


 その内容とはまるっきり違うルナセールの告白に、誰もが困惑していた。

 そしてそれは、シャルルマーニュも同様だった。


「……レティ、大丈夫かい?」

「ええ……ありがとう、シャル」


 (エド)を殺されたと知ってショックを受けているであろう(レティシア)を心配し、抱き寄せる。

 しかしレティシアはあまりショックは受けていないものの、シャルルマーニュの心遣いには感謝しており、彼に身を委ねる。


 しかしそんな二人の耳を疑うような事が、ルナセールの口から発せられる。


「そして私達は誓った! この国を乗っ取ると! その為には今の王族には消えてもらうと! 国王も! 王妃も! そして王女も例外じゃ無かった! 何処かの誰かにその計画は邪魔されたがな! はは、ははは、ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

「……の野郎……!」


 シャルルマーニュが彼にしては珍しく口汚く罵っていると、レティシアが無言で彼の傍を離れる。

 そして無言で処刑台の方へとゆっくりと歩いて行く。

 その無言の気迫に気圧されたのか、誰一人としてレティシアの歩みを止める者はいなかった。


 黒髪の死神が歩み寄って来ているとは知らず、ルナセールは更に言葉を重ねる。


「貴様ら! 白髪赤目の黒衣の男には気を付けろ! その男こそが私達の計画を阻止した張本人だ! その男の名は――」


 しかしそこでルナセールの声が途切れる。

 何故なら――レティシアが『グリムリーパー』のメンバーから奪った……もとい、借り受けた剣でルナセールの首を切断したからだった。


「あたしの大切な家族に手を出そうとした報い、地獄で償いなさい」


 そう言い、レティシアはビュッと剣を振って刀身に付着した血を払った。


 そしてこれ以降、ルナセール、グラン、ギルフォードの三人は、王国を乗っ取ろうとした稀代の大罪人として、歴史にその名を刻んだ―――。




 ◇◇◇◇◇




 夜中にふと、目が覚める。

 すると窓辺に、クリスさんが立っていた。


「クリス、さん……?」

「エンデ。最後に別れを言いに来た」


 その言葉を聞き、わたしの意識が一気に覚醒する。

 わたしはベッドの上で身体を起こしたまま、クリスさんに尋ねる。


「何故そんな事を……」

「俺の復讐が終わったからさ。俺がエンデの傍にいるのは復讐が終わるまでだ。そういう契約だっただろう?」

「ですけど、突然過ぎますよ」

「だろうな。だがこれは俺のケジメでもある」

「ケジメ、ですか……?」


 そう聞き返すと、クリスさんは頷く。


「ああ。ここまで支えてくれたエンデに対して、一言も告げずに消えるのは忍びないと思ってな。今までありがとう。これは俺の嘘偽りの無い本心だ。エンデには本当に感謝している」

「そんな……感謝される事なんて……それに、わたしはクリスさんにずっと一緒にいて欲しいです」

「それは出来ない。俺は全ての復讐が終わったらエンデの前から消えると決めていた」


 クリスさんの意志は硬い。目を見れば分かる。

 だからわたしは、自然とその言葉が口から零れた。


「なら……なら、わたしも連れて行って下さい!」


 わたしのその言葉に、クリスさんは―――。






エド/クリスの答えは……。


そして一応次回が最終回になるんですが……いつかのあとがきでも語ったように、二つのエンディングがあるんですよ。


どちらにするか悩みに悩んで出した結論が――『悩むのなら二つ出せば良いじゃない』、です。


なので最終回は豪華(?)二本立てです!

片方だけ読むも良し、両方読むも良しです。お楽しみに!




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