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第61話 復讐/ギルフォード 前編

前回のあらすじ

父親違いの双子が産まれた

 

 ギルフォードは自室で頭を抱えていた。

 というのも、三日前に産まれた双子の片割れが原因だった。

 双子の兄の方はギルフォード譲りの青髪だったが、妹の方がギルフォードともルイスとも似ても似つかない燃え盛るような赤い髪だったのだ。


 この髪色は身内にはいなかったが、知り合いにはいた。そう、グランだった。

 そんな事があるのかと疑問に思いつつも、ギルフォードは出産直後のルイスにグランとの関係があったのかどうか問い質した。

 ルイスは否定も肯定もせず、ただ黙ったままだった。


 しかしギルフォードには、ある種の確信があった。

 何故なら、彼の手元には謎の人物(クリス)から渡されたネメラの日記帳があったからだった。


 そこに書かれていた内容は信じがたい内容ではあったが、筆跡がネメラのモノであったから信じざるを得なかった。

 そして愛していた妻達に裏切られ続けていた事実を知り、ギルフォードの情緒は不安定になっていた。


 ギルフォードは頭を掻きむしり、ポツリと呟く。


「何故……どうしてボクがこんな目に遭わなくちゃいけないんだ……」

「その疑問に答えてやろう」


 自分以外の声が響き、ギルフォードはバッと顔を上げる。

 すると目の前に、開け放した窓からフードを目深に被った黒衣の人物が立っていた。

 その人物はフードに手を掛けると、素顔を晒す。

 その顔を見て、ギルフォードは目を見開く。


「お前は……いや、貴方は……」

「やあ、ギル。大変な事になってるみたいだね。()が助けてあげようか?」

「……っ!? そんなハズはない! そんなハズは……」


 驚き、ギルフォードは椅子から転げ落ちる。

 そして黒衣の人物から距離を取るように後退りする。

 そんな中、何故今まで気付かなかったのか? とギルフォードは自問自答していた。


 彼の目の前にはクリス……いや、エドが恐ろしいほどににこやかな笑みを浮かべ立っていた―――。




 ◇◇◇◇◇




 まるで幽霊でも見たように恐怖に顔を歪めるギルの姿を見て、俺は内心ほくそ笑む。


「風の噂で聞いたよ? 双子が産まれたんだって? おめでとう」

「な……何故クリスさんがエドの……いや、それ以前に、何故エドが生きてるの!? あの時ボク達が殺したハズ……!」

「それは今はどうでもいい。……それで、僕からのプレゼントは喜んでくれた?」

「……ネメラの日記帳の事?」

「そうだよ。ねえ、どんな気分? 自分が愛していたと思っていた女が、実は他の男、しかも同じパーティーの仲間と関係を持っていたなんて?」

「……エドに答える義務はない」

「それに、キミの子供だと確実に言えるのは双子の片割れだけだよね? ねえ、どんな気分なの? 子供が三人いても、その内の二人が他の男が父親なんて?」

「答える義務はないと言っただろう!」


 普段温厚なギルがここまで怒りを露にする辺り、余程許せない気持ちでいっぱいなのだろう。

 なら、その背中を押してやろう。


「ねえ、ギル。そんなキミに一つ提案があるんだ」

「……内容にもよる」


 聞く耳は持ってくれるらしい。

 それが地獄への道行きとも知らずに……。


 俺は『レンヴィア』を手に、提案という名の洗脳を施した―――。




 ◇◇◇◇◇




 その日の夜。

 ギィ……と、ギルフォードが無言でルイスがいる部屋へと入る。彼の腕には、バニラが眠るように抱き抱えられていた。

 突然部屋の中に入ってきたギルフォードに、ベッドの上で上体を起こしていたルイスはビクッと肩を揺らす。


「あ……あら、ギル。突然入って来ないで下さい。びっくりするでしょう?」

「そうだね……」

「……? 何でバニラを抱き抱えてるんですか?」

「母親の下に送ろうと思ってさ」


 ギルフォードはそう答えると、ややぞんざいにベッドの上へと投げる。


「あ……ちょっと! 危ない……えっ?」


 バニラの肌に触れたルイスは、その冷たさに驚きの声を上げる。

 よくよく見ると、バニラの首には何者かに絞められたような跡が残っていた。


「あの……ギル? バニラはどうしたんですか?」

「殺した。ボクの実の子供じゃないのに今まで育ててたのが異常だったんだよ」

「殺したって……貴方の娘でしょう!?」

「違う。グランとネメラの子供だ。カッコウなんでしょ、バニラは?」


 ギルフォードの口から出るハズの無い言葉が飛び出し、ルイスは動揺する。

 その間に、ギルフォードは双子が眠る揺り籠の近くまで移動していた。


「な、何でその事を……」

「ボクが知らないとでも思った? 暗殺者組織に調査を依頼すれば、妻の不貞なんてすぐに分かる。そうだろう、グランが死ぬ直前までグランと肉体関係のあった誰かさん?」

「……っ!? ち、違っ……! 私はギルを愛してる! 本当なの! 信じて!」

「どう信じろと? こんな子供まで産んで?」


 ギルフォードはそう言うと、双子の女児の方を揺り籠の中から抱き上げる。


「それは……何かの間違いよ……」

「ボクは青髪で、ルイスは赤茶色だ。それでどうしたらこんな綺麗な赤髪の子供が産まれるんだい?」

「だから、間違いだって……」

「確かに間違いだよね。グランの胤で孕んだっていうのは」

「ち……違うわよ! その娘も貴方との間に出来た子供……」

「もういいよ、ルイス」


 ギルフォードはそう言うと、ゴキリと産まれたばかりの赤子の首を折った―――。






長くなりそうだったので分割しました。

今回の復讐は、殆どクリス/エドの手は汚れません。




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