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第55話 暗殺者組織の壊滅 前編

前回のあらすじ

ベルが直談判を取り下げて戻ってきた

 

 アイギス子爵夫人、つまりルイスか。

 前にギルの屋敷に泊まった時も俺の毒殺を企んでいたようだったから、それだけネメラに関する事柄を隠しておきたいのだろう。


「それと一つ訂正があります」

「……? 何だ?」

「暗殺対象には旦那様だけでなく、奥様も入っています」

「……! 何故わたしまで!?」


 ベルの告白にエンデが驚きの声を上げるが、俺も驚きを隠せなかった。

 エンデがネメラに関する事柄を知ったのは、屋敷を後にしてからだ。

 だからルイスがエンデもあの事を知っている事を知りようがないハズだ。


 いや、それよりも……。


「……ベル、正直に答えろ。お前が俺達の前から姿を消したのは、俺とエンデの暗殺を命じられたからか?」

「…………はい」

「お前を雇っていたグランはもう死んでるだろう? 俺達の暗殺を依頼したのがルイスだったとしても、その依頼を何処で請け負った?」

「……実は」


 それからベルは、自分が所属している暗殺者組織についてつまびらかに説明した。

 ベルの説明には納得したが、少し分からない所もあった。


「ベルの説明は理解出来た。しかし何故だ? 妹の命が大切なら、何時でも組織を抜ければ良かっただろうに」

「組織から抜けた者は皆、リーダーの手で闇に葬られるんですよ。だから組織から抜ける事は出来ませんでしたし、抜けようとしてもその度に妹の命を引き合いに出されて、抜けるに抜けれない状況だったんです」

「なるほど……」


 そのリーダーとやらは、俺とは別のベクトルでの外道らしい。


「だから自分と妹が生き延びるために、俺達を暗殺しようとしたのか?」

「……本当はしたくなかったんです。でも……殺さないと妹もいつか殺されてしまいますし……わたしにはもう、どうしたらいいのか分からないんです……」


 ベルはそう言うと、一筋の涙を零す。

 その涙を見て、俺はある決心をする。

 だけどそれを行動に移すには、ベルの同意も必要だった。


「ベル、一度だけ聞く。組織を抜けたいか?」

「……はい」

「その組織を壊滅させてでも、妹と一緒に生き延びたいか?」

「……はい」

「分かった」


 俺はそう言い、ベルの上から退く。

 拘束から解放されたベルは、何が何だか分からないと言った風に俺の事を見上げてくる。

 そんなベルに対して、告げる。


「その組織がある場所まで案内しろ、ベル。俺がその組織を壊滅させてやる」


 俺自身の復讐が最重要で最優先すべき事柄だけども。

 一度くらいは、他人のための復讐も良いだろう。

 それが、今まで俺に付き従ってくれた従者(ベル)のためなら、尚更に―――。




 ◇◇◇◇◇




 五日後。

 ベルの案内で、暗殺者組織が根城にしているという古代都市までやって来た。


 物陰に隠れて探査魔法でヒトの気配を探るが、ざっと百人くらいはいる。

 その中でも一際強い反応が、街の中央部の地下から発せられている。その反応が恐らくリーダーとやらのモノだろう。


「ベル。お前は妹の保護を最優先しろ。暗殺者共は俺が相手する」

「それは良いですけど……大丈夫ですか?」

「そんじょそこらの暗殺者に俺は殺せない。それに俺が前は何て呼ばれてたか、忘れたわけじゃないだろう?」

「……はい。ですけど、くれぐれも無茶はしないで下さいね? 奥様が悲しみますから」

「善処しよう」

「では」


 ベルはそう言うと、俺の前から去って行く。

 俺も物陰から出て、堂々とその姿を晒す。

 隠れ潜んでいる気配から、僅かばかりに動揺した空気が伝わる。


 ……最初は派手に行くか。


 そう考え、そのあまりの威力から冒険者時代にも片手で数える程度にしか使わなかった、広範囲殲滅型攻撃魔法を発動させる。


「《エクスプロージョン》」


 カッと光ったのも束の間、ドォォォン!! という身体の芯にも届くほどの大きな振動を伴った爆発が巻き起こる。

 その爆発に巻き込まれて一気に二十人以上の反応が消え、爆発に巻き込まれなかった者も爆風には抗えず吹き飛ばされる。


 先制攻撃としては上々だろう。

 俺は『クライムシン』を構え、その形状を大鎌にする。


 食鎌『グラゼブブ』。

 その能力は――。


 俺の放った魔法の範囲から何とか免れた暗殺者達が、一斉に俺に襲い掛かってくる。

 不審人物を一刻も早く排除しようとするその動きは正しい。

 しかし悪手だ。相手の能力もまだ分からない内は。


 俺は『グラゼブブ』で飛んできた短剣を、魔法を一撫でし、吸収する。

 そして俺に接近してきた暗殺者の肌を軽く撫でると、暗殺者は糸が切れた操り人形のように突然地面に倒れ込んだ。


 食鎌『グラゼブブ』の能力。

 それは、物理的・魔法的問わずあらゆる攻撃、あらゆるモノを無力化・吸収するといった能力だった。

 この鎌で刈り取れる対象には、生物の命すらも含まれる。

 だから暗殺者は一撫でされただけで命を吸収され、その人生に幕を降ろした。


 そして吸収出来るという事は、放出も出来るというわけで……。


 俺は魔法をある程度『グラゼブブ』で吸収した後、暗殺者達に向かって何倍にも威力を倍増させて放出する。

 自らが放った魔法が何倍もの威力となって牙を向き、暗殺者達は為す術も無く次々と魔法の餌食となっていく。


 そこから確実に仕留めるため、俺自身の魔法でトドメを丁寧に差していく。

 そうして一人、また一人と暗殺者達を丁寧に丁寧に消して回った―――。






これで『クライムシン』の全ての形態が出ましたね。


ちなみに、

食鎌『グラゼブブ』→暴食/グラトニー+ベルゼブブ

です。




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