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第47話 復讐/メルシア 前編

前回のあらすじ

狂気の宴の始まりだ!

 

「んんんーーーっっっ!!!」


 人差し指を折られたルナシアはくぐもった悲鳴を上げる。

 それを見て、メルシアが叫ぶ。


「エド! ルナシアに何もしないんじゃなかったの!?」

「何もする気は無かったさ、メルシアがルナシアを殺す事が出来ればな。でもそうしなかった。だから俺がメルシアの代わりにルナシアを殺してやるんだよ。永遠に近い痛みを与えながらな」

「ひ……非道い! ヒトの心が無いの!?」

「あるわけないだろう、そんなモノ。十年前にルナセール達に殺されてからは」

「な……何でそこでルナセールの名前が出てくるのよ?」


 そう問い掛けてくるメルシアに対して、俺は真実を教えてやる。


「俺は確かに十年前冒険者達に襲われたさ。仲間だと思っていたルナセール、グラン、ギルフォードの三人にな。その三人に、『イフの大迷宮』の深層に叩き落とされた」

「な……何かの間違いよ! ルナセール達が仲間に対して、そんな事……」

「するハズがないと? 寝言は寝て言え。現に三人に殺された俺がそう言ってるんだ。真実以外の何物でもない」

「そ……そうだとしても、誤解かもしれないし……」

「グランは金銭を、ギルフォードは屋敷を、そしてルナセールは俺からメルシアを奪うためだけに俺を殺した。そんな奴等を仲間だと思えと? 俺はそこまでお人好しじゃない。……ああ、良かったじゃないか。メルシアはルナセールからは愛されていたんだから。だからルナシアが産まれた事も別に不思議じゃない。……それでもメルシアの罪は消えないがな」

「あ……あたしに何の罪があるって言うの!?」


 真実も告げ、両手を床に縫い付けられているにも関わらず、メルシアはまだ気丈に振る舞っていた。

 だから、その心を徹底的に破壊する。


「そもそもの話、何故ルナセールとまぐわった? メルシアには当時、俺という恋人がいたハズだよな?」

「だからそれは、一時の気の迷いで……」

「だからってそう易々と恋人でも何でもない男に身体を許すのか。とんだアバズレ女だな、メルシアは」

「ち、違っ……!」

「何が違う? どう違う? 現にメルシアはルナセールとまぐわった結果、ルナシアを産んでいるじゃないか。口ではどれだけ否定の言葉を並べ立てようと、ルナシアという存在がいる限りその言葉は全て嘘で、虚構だ。俺がメルシアの立場だったら、何年、何十年でもメルシアの帰りを待つ。たとえ死んだと伝えられていたとしても。だけどメルシアはそうせず、自分を慰めてくれた男に身体を許した。過去の自らの軽率な行いを反省……いや、反省しなくてもいい。どうせメルシアは現実から目を背ける」


 そう言い、メルシアの手から『ファーライド』を引き抜く。

 そして形態を、長剣から大剣へと変化させる。

 その大剣で、メルシアの手の傷を浅く抉る。


「うっ……!」

「反撃したいのなら一撃だけ許そう。殴るも良し、魔法で攻撃するのも良しだ。ただし一回だけだ。娘を救いたいのなら、俺を一撃で殺す他無いぞ?」

「……! 《アイシクルパイル》!」


 氷柱で俺を串刺しにしたかったのだろう。

 だが――メルシアの魔法は不発に終わったし、せっかくのチャンスを棒に振った。


 強剣『マリード』。

 この大剣で傷付けた対象から、自分が指定したモノ―五感や臓器、魔力など―を永久的に奪い去るという権能を持つ、『クライムシン』の変化形態の一つだった。


 その権能で、メルシアから魔力を永遠に奪い去った。

 これでメルシアはもう、魔法を二度と使う事が出来なくなった。

 そうなるように誘導していたし、魔法で攻撃するように予め手を傷付けさせていた。


 俺はメルシアに更なる苦痛を与えるために、『マリード』でルナシアの左腕を浅く斬る。

 その後、メルシアが逃げないように、『ファーライド』に再び変化させて両手をまた床に縫い付ける。


「ぐっ……今度は何をする気……あああああああああっ!!」


 ポキリとルナシアの左中指を折ると、メルシアも悲鳴を上げてのたうち回る。


『マリード』のもう一つの権能。

 それが、『マリード』で傷付けさせたモノ同士の感覚を共有化させるというモノだった。

 この権能でメルシアとルナシアの感覚を共有化させ、ルナシアの痛みがメルシアにも伝わるようにした。


 あくまで感覚の共有化だけだから、メルシアの指は折れてはいない。

 しかし痛みは感じてもらう。


 ポキ、ポキ、ポキリと、左手の残りの親指、薬指、小指も折っていく。

 ルナシアは声にならない悲鳴を上げ、メルシアは指を折られる痛みを感じる度に悲鳴を上げる。


「い……痛い、痛いのぉ……エド、許して……許してよぉ……」


 両目から大粒の涙を流しながら、メルシアがそう言ってくる。

 俺はメルシアの前まで移動し、しゃがむ。

 そしてニコリと微笑み――絶望の底に叩き落とす。


「許さない。メルシアは俺が与えたチャンスを棒に振ったんだ。せいぜい娘の感じる痛みを、その言葉通り我が事のように感じながら後悔しろ」

「や……止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて!! ルナシアにはもう非道い事はしないで!! 謝るから!! あたしが悪かったから!! だから……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 メルシアの戯れ言に耳を貸さず、ルナシアへと再び近付く。

 ルナシアは俺の事が怖いのか、イヤイヤと首を激しく左右に振りながら涙を流していた。

 そんなルナシアに対して、そっと耳打ちをする。


「キミがこんな目に遭っているのはそこにいるキミの母親のせいだ。だから恨むのなら、自分の母親を恨みなよ?」


 そう言い、ルナシアの右手の親指以外の指を一気に折る。

 ルナシアは激しく身悶え、メルシアは大きな悲鳴を上げる。


「ベル、アレを出せ」

「はい」


 ずっと影に徹していたベルが、魔法袋の中に仕舞っていたソレを俺に手渡す。

 ソレ――ペンチを受け取り、ルナシアの唯一無事な右親指を掴む。


「うっ……ああああああ……それで今度は何をするつもり……?」

「こうするのさ」


 メルシアの問い掛けにそう答え、俺はペンチでルナシアの爪を剥いだ―――。






爪剥ぎは某なく頃にシリーズを連想する作者です。


ちなみに

強剣『マリード』→強欲/グリード+マモン

です。




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