第44話 撃退の後で
祝! 1万PV突破!(記憶が正しければ自作品最速)
これからも精進して参ります!
前回のあらすじ
魔物の群れの撃退に成功した
その日の夜。
街では大々的に祝勝会が開かれていた。
あちこちでドンチャン騒ぎが起きていて、戦闘前の緊張感が嘘のように消え去っていた。
ちなみに、祝勝会の費用は全てモンテーロ家が持つと、エンデは宣言していた。
そんなエンデは、冒険者ギルドと騎士団のお偉方との会食に出席していた。ついでにメルシアもそれに出席している。
俺は用事があると断って、欠席した。
「あ! クリスのダンナ! お疲れ様でした!」
「貴方の指揮のお陰で生き延びることが出来ました!」
「クリスさん、お疲れ様です!」
「クリスさん強いッスね! どうやったらそんな強さを……」
ある人物を探して街中をさまよっている時、冒険者達から次々と声を掛けられた。
それら一つ一つに返事と労いの言葉を掛けていく中、ようやく見付けた。
ソイツは道の隅の方に、目立たないように佇んでいた。
黒いローブのせいでもあるのか、誰もその存在に気付いていない素振りを見せる。
俺が足早に近付くと、ソイツは俺に気付いてその場から立ち去ろうとしていた。
「待って下さい。昼間はお疲れ様でした。協力感謝します」
「……いえ」
俺の言葉に、ソイツは一言だけ言葉を返す。
正体がバレたくないのだろうが、メチャクチャバレている。
「少し話しましょう。付いてきて下さい」
そう言い、俺はソイツを路地裏に連れ込む。
周りにヒトがいないか確認した後、俺はソイツに普段通りの口調で話し掛ける。
「……こんな所で何してるんだ、リア?」
「ぼ……私はファリアという名前です。リアという名前では……」
「バレバレなんだよ。俺がリアの太刀筋に気付かないとでも思ったのか?」
そう言うと、リアは観念したようにフードを外す。
「バレないと思ったんだけどなぁ……」
「馬鹿言え。あれだけ派手に魔物を屠ってて、どうして俺にバレないと思った?」
「だってほら、エドは指揮を執ってたからさ。ぼくの事なんて気付かないだろうなぁ……って思って、ちょっとだけ本気出して戦ってた」
「だからって一撃で倒しまくるヤツがいるか……って、そうじゃない。何でリアはこの街にいる?」
「エドの復讐がどんな結末を迎えるのか、少し気になっちゃって」
「そうか……俺の邪魔はしないんだな?」
「うん。協力もしないけど、エドの敵にもならないよ」
「それだけ分かればいい」
そう告げ、俺はリアの前から立ち去る。
しかし数歩進んだ所で、俺は再びリアの方を振り向く。
「……? 何?」
「たぶんこうして顔を合わせるのは最後だろうから伝えておく。俺に……僕に『魔神』の力を授けてくれた事、そして『クライムシン』を譲ってくれた事、本当に心の底から感謝している。この恩は一生忘れない」
「そっか……ならぼくも、最後だと思うから伝え忘れていた事を伝えるよ。ぼくはエドの事が……好き、だったよ。あの十年間はぼくにとっては本当に幸せな時間だったよ」
「そっか……リアのその想いには応えられないけど、受け止めておくよ」
「うん。それだけでぼくには十分だよ。……それじゃあね」
「ああ、それじゃあ」
互いに自分の胸の裡に秘めていた想いを告白し、俺達はその場で別れた。
もう二度と、互いの人生が交錯しないと確信しながら―――。
◇◇◇◇◇
会食の帰り道。
メルシアさんと向かい合う形で馬車に乗っていると、唐突に彼女が口を開いた。
「……ねえ、エンデさん。少しいい?」
「……? はい、何でしょうか?」
「クリスさんって……エド、なの?」
その言葉を聞き、わたしは内心動揺する。
その通りです、と肯定してもいいけど、メルシアさんの口振りからして確証にまでは至ってないように思える。
だからここは、知らんぷりを決め込む。
「ヒト違いでは? それにエドさんは十年前に、不慮の事故で亡くなったハズでは?」
「そうだけど……でも、クリスさんはエドとしか思えないのよ」
「面影が似ているからなどの理由では?」
「そうなのかしら? でもそれにしては……」
どうしてそこまでクリスさんの事を気にするのだろう?
昔の恋心が燻っているのだとしても、メルシアさんは今はもう結婚して子供もいる身なのだから、他の男性の事など考えないようにするのが普通だと思う。
それでも考えてしまうという事は……未練が残っているのだろう、恐らく。
「……もし仮にクリスさんがエドさんと同一人物だとして、それが今のメルシアさんと何か関係でもあるんですか?」
「……? どういう事?」
「今のメルシアさんは旦那さんも、お子さんもおられる身です。たとえ昔恋人関係だったとしても、エドさんの事を想うのは筋違い……一般的な倫理に反しているのでは?」
「ルナシアの事は母親として愛してるけど、ルナセールの事はそんなに愛してはいないもの。あたしが心の底から愛してる男性はエド一人だけ。だから……」
「……、……」
言いかけて、止める。
自己中心的な思考回路のメルシアさんに苦言を呈したい気持ちは山々だけど、今この場で言うべきじゃない。
落とす時は、より高い所から。きっとクリスさんもそう考える。
それに、わたしの持論でもあり、よく言われる『子供は夫婦の愛の結晶』という言葉。
で、あるならば……ルナシアさんを産んだメルシアさんは、ルナセールさんをほんの一欠片でも愛していたという事の証明になるのではないか―――。
エンデの思考回路もクリス/エドに似てきましたね。
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