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第40話 帰路

前回のあらすじ

毒殺失敗!

 

 それからも、手を変え品を変え、犯人―十中八九ルイス―は俺のことを毒殺しようとしてきた。

 しかしその尽くを、俺の『魔神』としての能力が無効化していた。


 そして今日、俺達はプロキオンの街に帰ることとなっていた。


「この度は本当にありがとうございました。とても充実してました」

「そう言ってもらえて嬉しいよ。また機会があれば遊びに来て欲しい。歓迎するよ」

「ええ。その時には是非」


 エンデとギルがそう言葉を交わしている間に、ベルは馬車に荷物を積み込んでいた。

 ギルは俺達と握手を交わし、用事があるからと俺達の前から立ち去って行った。

 今この場には、見送りとしてルイスが残っている。


「エンデさん、クリスさん。またのお越しをお待ちしております」

「はい。次がいつ頃になるかは分かりませんが、また来たいと思います」


 そう言い、エンデとルイスは握手を交わす。

 そしてルイスは、今度は俺の方に手を差し出してきた。


「主人共々、貴方方の来訪をお待ちしておりますね」

「そうですか……」


 そう言いつつ、俺はルイスの手を握る。

 そしてそこで、言葉という刃を突き付ける。


「……貴女が身籠っている子もカッコウだと、ギルフォード殿に露呈しないといいですね?」

「……っ! クリスさん、貴方やっぱり……!」

「はて、何か言いましたか? それでは我々はこれにて」


 そう言い残し、何が何だか分かっていない様子のエンデの肩を掴んで馬車に乗り込む。

 そして御者台のベルに合図を送り、ギルの屋敷を出発して帰路に着いた―――。




 ◇◇◇◇◇




「クリスさん。さっきのはいったい何だったんですか?」


 ギルの屋敷が見えなくなった辺りで、エンデがそう尋ねてくる。

 ルイスとネメラに関する事はまだエンデに話していなかったから、当然の反応だった。

 だから俺は、魔法袋の中から件の日記帳を取り出し、エンデの方に差し出す。


「これは……日記帳、ですか? しかしいったい誰の……」

「読んでみれば分かる。俺がさっきルイスに掛けた言葉の意味もな」

「……読ませていただきますね」


 エンデはそう言い、俺から日記帳を受け取る。

 そしてパラパラと日記帳を読み進め、それに合わせてエンデの表情も険しくなっていく。


 同性か異性かでも、ネメラの日記の感じ取り方は違うのかも知れない。

 まあ、エンデは倫理観はしっかりしている方だとは思うから、嫌悪感くらいは抱くかも知れないが……。


 そんな事を思っていると、エンデはパタンと日記帳を閉じる。

 そして無言で、日記帳を俺の方に差し出してくる。

 それを受け取りつつ、エンデに尋ねる。


「どうだ、理解したか?」

「ええ。クリスさんがルイスさんに掛けていた言葉の意味の方は。ですけど……ネメラさんの行動は同じ女性として微塵も理解出来ませんし、理解したくもありません」

「……随分と言うな?」


 普段あまり見ることが無いエンデの厳しい物言いに、俺は思わずそんな感想を零す。

 するとエンデは肩を竦め、持論を述べる。


「だってそうでしょう? 身を固めたのなら、たとえどんな理由があろうとも他の男性に身体を許してはいけないんですよ。それが普通です。昔の恋心が再燃してしまったとしても、です」

「まあ……エンデの言っていることが普通だよな」

「そうでしょう? それにルイスさんもルイスさんです。父親が分からない子供を身籠っているとか、正気を疑いますよ。わたしだったら耐えられません」

「それは同じ女としてか?」

「そうですけど……ネメラさんとルイスさんを同じ女性としてはもう見れないですね。出来ることなら、ルイスさんとはもう二度と顔すら合わせたくないです」

「……ボロクソに言うな」


 ここまで口悪く言うエンデの姿が珍しく、俺は目を見開きポツリと呟く。

 そんな俺の呟きが聞こえていないのか、エンデも窓の外を眺めながらポツリと呟く。


「……そんなに、夫以外の男性の子供を妊娠したいと思うのでしょうか? わたしには到底理解出来ない思考です」

「ヒトそれぞれってことなんじゃないのか?」

「だとしても、わたしは愛したヒトとの間に子供が欲しいですよ。個人的な希望ですけどね? ……それで、ギルフォードさんへの復讐の手段は見付かりましたか?」

「ああ。今回の旅行で思い付いた」


 そう言い、俺はギルへの復讐の手段を告げる。

 それを聞き、エンデは若干引いていた。


「うわぁ……クリスさん、ヒトの心が無いですね」

「『魔神』だからな」

「そういう問題では……はぁ……」


 エンデは大きな溜め息を吐く。

 エンデが「ヒトの心が無い」と評したということは、とても有効な手段だということだ。

 明確な基準があるのはありがたい。


 しかし一つだけ問題があるのは、その手段が最大の効果を発揮するのはしばらく先になってしまうことだった。

 それならそれで問題は無い。


 せいぜい、その時まで偽りの幸福の中にいることだ、ギル。

 その時が来たら、お前を絶望の底へ叩き落としてやろう―――。






いったいどんな手段でギルに復讐するのか?

色々と予想しておいて下さい。




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