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第39話 毒殺実行

前回のあらすじ

クリス/エドを毒殺しよう

 

 昼食後も海水浴を満喫―主にエンデが―し、屋敷へと戻る。

 そして潮でベタついた身体を早く綺麗にしたくて、客室に備え付けてある浴室に向かおう……としたところで、浴室前のドアでエンデと鉢合わせる。


「……クリスさん」

「何だ?」

「身体がベタベタするので、シャワーを浴びたいんですけど?」

「奇遇だな、俺もだ」

「なのでその、先を譲ってくれると嬉しいのですけど?」

「それは出来ない相談だな。俺も早く潮を流したい」

「な、なら……一緒に入りますか?」

「別にいいぞ」

「そうですか。いい……って、ええええええっ!?」


 自分で提案したくせして、エンデは顔を真っ赤にして驚きの声を上げた―――。




 ◇◇◇◇◇




 どうしてこうなったのだろう?

 わたしは自問自答していた。


 何でか、クリスさんと一緒にシャワーを浴びることになってしまった。

 クリスさんはわたしに裸を見せることに抵抗は無いのだろうか?

 わたしは少し抵抗があって、大事な部分は自分の手で覆い隠していた。


「先に使わせてもらうぞ」


 恥ずかしがっている内に、クリスさんが先にシャワーを使う。

 クリスさんがわたしに背中を向けたその時、背中に傷があるのを見付けた。

 昼間はクリスさんの正面か横にしかいなかったから、全然気付かなかった。


「クリスさん。背中のこの傷は?」

「ん? ああ……冒険者時代に、ちょっとな」

「そうですか……何と戦ったらこんな傷が?」

「ドラゴンの群れだな」

「そうなんですか……って、えっ? ドラゴンの群れ?」


 クリスさんの言葉を聞いて、わたしは驚きを隠せなかった。

 ドラゴンと言えば、高ランクやベテラン冒険者でも討伐が難しいと言われるくらいに強力な魔物だった。


 そんなドラゴンの、しかも群れと戦って、大きな傷一つくらいしか目立った傷を負ってないとは……やはり勇者パーティーの元メンバーは実力が高い。


 そんなことを思っていると、クリスさんがシャワーの栓を閉めてわたしの方を振り向いてきた。


「俺は終わったぞ。……身体を洗って欲しいって言うんなら手伝うが……」

「だ……大丈夫です! 自分で洗えます!」

「そうか」


 クリスさんはそう言うと、浴室から出ていった。

 わたしはシャワーの栓を捻り、熱いお湯を頭から被る。

 ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、クリスさんの手でわたしの身体を洗って欲しかったなぁ……と後悔しながら―――。




 ◇◇◇◇◇




 夕食時になり、食堂へと向かう。

 上座にはギルが座り、ギルから見て右手側の席にルイスが座っている。

 俺とエンデは、左手側の席に並んで座る。


 前菜やスープが順番に運ばれ、とうとう今夜のメインディッシュが運ばれてきた。

 今日は魚だった。ちなみに昨日は肉料理だった。


 メインディッシュは魚の包み焼きで、包みを開いた時に香草と蒸された魚の匂い、それとソースの匂いが鼻腔をくすぐる。

 匂いだけでも、美味そうというのが理解出来た。

 そしてナイフとフォークを手に取り、一口大に切り分ける。


「わっ、美味しいです」

「それは良かった」


 エンデの率直な感想に、ギルはそう返す。

 ルイスも微笑ましそうにエンデを見つめ、チラチラと俺の方……というか料理の方に視線を送っていた。


 ……これは、もしかしたら……。


 そんな事を思いつつも、俺は切り分けた魚を口に含む。

 確かに美味い。美味いが、これは……毒、か?


 チラリとエンデの方を見るが、順調にフォークを進める様子を見てエンデの方には毒が盛られていないことを理解する。遅効性の毒の可能性も捨て切れないが……。

 となると……俺個人に対してか。理由も、犯人も見当が付く。


 だが残念だったな。

『魔神』となった今、あらゆる状態異常は一つの例外も無く全て無効化される。

 これは不死に近い超回復能力の副次効果だとリアは言っていた。


 だから俺は普通に、何事も無かったようにフォークを進める。


「確かに美味いですね。我が家でも同じ料理を食べたいと思うくらいには。そうだろう、エンデ?」

「そうですね。差し支えなければ、レシピを教えていただいても?」

「いいよ。後で料理長に伝えておく。帰り際にまでは渡せると思う」

「ありがとうございます」


 それからは、表面上は和やかな雰囲気で夕食を楽しんだ。

 ルイスが怪訝そうな視線を俺に送っている事以外は―――。






今の所「和」の要素は皆無なので、「箸を進める」じゃおかしいよなぁ……と思い、「フォークを進める」にしました。

意味合い的には間違ってはいない、ハズ……。




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