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第37話 鎌掛け

前回のあらすじ

海だーーー!

 

 翌日。


「あの……ちょっと恥ずかしいですね……」


 そう言うエンデの格好は、水着だった。

 朝食を摂った後、エンデに海水浴がしたいからと言われ、水着に着替えてプライベートビーチにやって来ていた。


 そんなエンデの水着は、青を基調にしたビキニタイプの水着だった。腰にはパレオを巻いている。

 ちなみにベルは、黒いワンピースタイプの水着を着ている。

 俺もハーフパンツタイプの水着を身に着け、半袖のパーカーを羽織っている。


「そうか?」

「そうですよ。こんな薄着で人前に出ることなんて無かったものですから」

「そうか。ならこれから慣れればいい」

「うっ……はい」


 エンデは頬をほんのりと赤く染めながら、コクリと頷く。

 それから、エンデに泳ぎを教えたりなんなりしている内に、太陽が中天に差し掛かっていた。


 海から上がると、今日の昼食であるバーベキューの準備をしていたベルの近くにはギルとルイスの姿があった。


「やあ。楽しんでいるみたいだね」

「ええ。お陰様で」

「ここで見ていたけど……夫婦仲は睦まじいみたいだね」

「そうですか?」

「うん。羨ましい限りだよ」

「あら、ギル。それでは私と貴方の仲が悪いみたいではありませんか」


 するとルイスが、ギルをからかうような口調でそう言う。


「そんなことはないよ。ボクはルイスを愛しているし、ルイスもそうだろう?」

「ええ。ですけど……そういうのは場所を弁えて仰って下さい。モンテーロ伯爵達の前ですよ?」

「わたし達は気にしてませんよ。ですよね、クリスさん?」

「ああ。なので存分に愛を囁かれては?」

「……この話はここでお終いにしようか」


 ギルはそう言い、強引に話を変える。


「それと、今朝市場から仕入れた新鮮な魚介類もあるから、沢山食べて欲しい。きっと気に入ると思う」

「それは楽しみです」


 そう言っている傍から、ベルが野菜やら魚介類やらを次々と金網の上に乗せて焼いていく。

 魚介類特有の香ばしい匂いが漂い、食欲を刺激される。だけどまだ焼けないようだ。

 なので、雑談に講じる。


「そう言えば……ルイス夫人はご懐妊されたとか。遅くなりましたがおめでとうございます」

「ありがとうございます。と言っても、まだお腹も少し大きくなったばかりで、出産はもう少し先になりますけどね」

「ギルフォード殿にとっては第二子となられるのですよね?」

「そうだね。また我が家が賑やかになるよ」


 ギルはそう言い、屈託の無い笑みを浮かべる。

 真実を知らないとこんな笑みを浮かべられるとは……現実とは残酷なモノだ。同情は全くしないが……。


 すると、ベルが焼けたと言うので、俺は最初に貝類から食べていく。

 魚介類特有の塩気があり、焼いただけであってもとても美味かった。


 わいわいと喋りつつ食べ進め、俺はこの辺りかと思いアレを話し始める。


「そう言えば……避暑地で少し不思議な出来事に遭遇したのですよ?」

「不思議な出来事? それはいったい?」

「私が寝付けなかった夜に、ギルフォード殿に教えてもらった雑木林に夜の散歩に向かったのですよ。少し身体を動かせば眠くなると思い。そこでですね……見付けたんですよ」

「見付けた? 何を?」

「骨を、です」


 事の経緯を知っているエンデとベルは驚かなかったが、ギルは目を見開き、ルイスはビクッ! と肩を大きく揺らす。

 あの日記帳に書かれていた通り、ルイスはあの遺骨に心当たりがあるようだ。


「骨……?」

「ええ、骨です」

「雑木林にあったってことは……動物の?」

「ある意味では動物の骨ですね」

「ある意味? ……まさか」

「恐らく想像通りかと。その骨はですね……人骨、だったのですよ」


 俺がそう言った瞬間、ザクッという音が響く。

 音のした方を見ると、ルイスが取り皿とフォークを落としてしまっていた。

 そんな彼女の顔色は真っ青になっていた。


「ルイス、大丈夫かい?」

「え、ええ……だいぶショッキングな内容だったモノだから……」

「確かに食事時にする話ではありませんでしたね。申し訳ない」

「いや、謝らなくても大丈夫だよ。……ルイス。気分が悪いのなら屋敷に戻るかい?」

「ええ……そうさせていただきますね。では」


 そう言って立ち去ろうとするルイスに向かって、俺は最後に鎌を掛ける。


「カッコウ」

「……っ!?」

「……? カッコウ?」


 ルイスは大袈裟に思えるくらいに肩を大きく竦め、ギルは首を傾げる。やはりか……。


「いえ……カッコウみたいな鳥が飛んでいたのですけど、見間違いだったようです」

「そっか……ルイス?」

「あ……いえ。私は屋敷で休ませていただきますね」


 ルイスはそう言い、屋敷へと戻って行った。

 今の問い掛けで俺は確信し、日記帳に書かれていた内容も真実だということが分かった。


 日記帳には、ネメラは元々はグランの恋人だったが、些細な行き違いから別れたらしい。

 そしてその後にギルと親しくなり結婚までした。そこまではいい、よくある話だ。

 そこからがだいぶ闇が深い。


 ネメラはある時、グランと偶然再会し、昔の恋心が再燃してしまったのか、一夜を共にしてしまったらしい。

 そしてその時に、表向きはギルとの間に出来た子供ということになっている娘のバニラを妊娠した。


 カッコウというのは、バニラの事を指す、ネメラとルイスの間でだけ通じる隠語だった。

 自分の卵を他の鳥の巣に産み付ける生態のカッコウを、托卵で産んだ(バニラ)の隠語にするのはある意味ではピッタリだった。


 そしてこの話がどうルイスと繋がるのか。

 ネメラとルイスは実は従姉妹関係で、ルイスは元々グランの愛人だったらしい。


 その事実も、ネメラがグランと一夜を共にして子供を孕んでしまったことに対してルイスに相談していたことも日記帳に事細かに記されていた。


 そして恐ろしいのは、ネメラは自分が亡くなったらルイスにギルの後妻として収まるようアドバイスを送っていたことだった。

 そのアドバイスがどうなったかは……もう判明している。


 それと、ベルにギル周りの情報を集めさせている時に、ルイスに関する情報も仕入れていた。

 何でも、ルイスはグランが俺に殺される直前まで愛人……いや、不倫関係を続けていたらしい。

 それから何年か前に、半年以上人前に姿を現さず、田舎に引っ込んでいた時期があったようだ。


 ベルはとても優秀で、その時期の事も調べ上げていた。

 どうやら、グランとの子供を妊娠・出産までしたらしい。

 けれども、その子供がどうなったのかまでは分からなかったようだ。


 これまでの情報を整理すると、ルイスは恐らく産まれたばかりの赤ん坊を殺して、あの避暑地の雑木林の中に遺棄したに違いない。

 俺が人骨の話をしていた時に顔色が悪かったのが、それを物語っている。


 それともう一つ。

 ルイスはつい最近までグランと不倫関係にあった。

 であれば、今ルイスが孕んでいる子供はギルのではなく、グランの(たね)で授かった可能性が十分に高い―――。






一気に昼ドラっぽくなりましたね……どうしてこうなった? (←オイ、作者)




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