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第34話 海に行こう

前回のあらすじ

姉襲来

 

「あ、あはは……すごくその……すごい方でしたね」


 レティシア姉さんが去った後、エンデは苦笑いを浮かべながらそう言う。


「はっきりとはた迷惑なヒトだって言っても問題はないぞ」

「王妃様に対してそんなことは言いませんし、思いもしませんよ」

「そうか」

「それに、クリスさんが仰ってくれた通りですね」

「何がだ?」

「青いドレスを選んで正解でした。王妃様にも褒められたので」

「まあ、姉さんには顔を覚えられたと思うぞ」

「またお会い出来る機会はあるのでしょうか? 今度はゆっくりとお話がしたいです」


 ()()姉さんとまた会いたいとは、エンデは少し変わっている。

 そう思うが、口には出さなかった―――。




 ◇◇◇◇◇




 姉さんの突然の来訪があった翌日に王都を発ち、プロキオンの街へと戻る。

 王都とプロキオンの街は、馬車で三日ほど掛かるくらいの距離が離れていた。


 いつも通りベルが従者として俺達に付き従い、道中の護衛に視察の時にも雇ったフレディとパンジーを再び雇っていた。

 馬車の中で俺はエンデと、今後の予定について話し合う。もちろん、防音・防聴・防視の三重の結界を張ってだ。


「街に戻ったらどうするんだ?」

「とりあえず、今抱えている仕事を出来る限り早めに終わらせることが先決ですね」

「……ギルから貰った招待状があるからか」


 俺がそう言うと、エンデはコクリと頷く。


「ええ。何時でも良いと仰っていたらしいですけど、こういうのは早めに行くべきだと思うんです」

「それには同感だ」

「それと、個人的な理由ですけど……デネブの街には一度訪れたいと思っていたんですよ。今まで海を見たことが無いので」

「本当か?」

「はい」


 意外とは思ったが、プロキオンの街は内陸部にあるし、訪れる機会が多いであろう王都やプロキオン近隣の街も、全て内陸部にある。

 生活がそこだけで完結してしまっているのなら、確かに海を見る機会は無いだろう。


 ……ん? 海を見たことが無い……?


 俺はちょっとだけ、ほんのちょっとだけイヤな予感がしつつも、エンデに尋ねる。


「……エンデ。一応念のため聞くが……流石に泳げたりは出来るよな?」

「……」


 フイッと、エンデは無言で目を逸らす。

 まさか図星だったとは……。


「はぁ〜……デネブの街に行ったら、少しだけ泳ぎ方を教えてやる」

「お……お手柔らかにお願いします」


 その年まで泳げないことが恥ずかしかったのか、エンデの耳は赤かった―――。




 ◇◇◇◇◇




 街に戻り、エンデは宣言通り抱えている仕事を早めに終えていく。睡眠時間を削ってまでも。

 そんなに海に行きたいのか……。


 そして街に戻った二週間後に、デネブの街に向けて出発した。

 エンデはこの瞬間を心待ちにしていたのか、ウキウキとはしゃいでいる様子を隠そうともしていなかった。


「そんなに楽しみか、海が」

「はい、それはもう!」


 いつもより元気に、エンデは答える。

 年甲斐もなくはしゃいでいて疲れないのだろうか?

 そう思うのは、俺は海を見慣れているからだろう。

 勇者パーティーの一員として各地を回っていた時、海辺の街には何回か立ち寄ったことはある。

 だからエンデほど、テンションは上がっていない。


「今からそんなにテンションを上げていると、街に着いた時に疲れるぞ?」

「それでは、少し眠りますね」


 エンデはそう言うと、俺の隣に移動してくる。

 そして自分の頭を、俺の肩に乗せてくる。


「おい」

「少し寄り掛からせてください。今日の宿がある街に着くまでの間、です……から……」


 言葉尻がしぼんでいき、エンデは規則正しい呼吸を繰り返す。

 睡眠時間を削っていたのと、日頃の仕事の疲れ、それとテンションが高かった反動もろもろが合わさってすぐに眠りに就いたのだろう。


 邪険にすることも出来ず、俺はエンデに寄り掛かられたまま窓の外の風景を眺め――ようとして、王都からプロキオンの街に戻る途中で立ち寄ったベガの街で、ドーラ達からもたらされたモノがあることを思い出した。


 俺はエンデを起こさないように気を付けつつ、魔法袋の中からソレを取り出す。

 ソレは、一冊の日記帳だった。

 日記帳の裏には、ネメラという名前が書かれていた。


 このネメラというのは、ギルの前妻に当たる人物だった。

 ネメラは生前ルミナと交流があったらしく、自身の死後遺品の一部はルミナが引き取ったらしい。この日記帳もその中の一つだった。


 ドーラ達から役に立つと言われて渡されはしたが、今日の今日まで中を見てはいなかった。

 道中することもないので、日記帳を開く。

 すると中には、とても信じられないことが書かれていた。


 ある意味では衝撃的な内容のソレを読むと同時に、俺はギルへの致命傷となりうる武器を手に入れたことに、自然と口角が上がった―――。






クリス/エドが手に入れた武器とは?


ちなみに、エンデの年齢設定は二十代前半くらいに設定してます。

クリス/エドを含む勇者パーティーはそれからプラス十才、レティシアはさらにプラス二才です。




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