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第32話 生誕パーティー

前回のあらすじ

埋葬した

 

 二週間後。

 ステラ王国王都、レグルス。

 王都と言うだけあって、ヒトが多く賑わっている。


 そしてこの王都には、各街を治める領主達のマナーハウス的な屋敷が存在する。

 モンテーロ家も例外じゃない。


 俺達は明日開かれる王女殿下生誕パーティーに出席するために、昨日から王都に来ていた。

 そして王都滞在中は、モンテーロ家所有のマナーハウスで過ごすことになっている。


「クリスさん。明日のパーティーで着るドレス、どちらが良いと思いますか?」


 エンデはそう言いつつ、ドレスを両手に一つずつ持ちながらリビングに入ってくる。

 エンデの右手にはエメラルドグリーンの、左手にはサファイアブルーのドレスを持っていた。


 それらを一瞥し、俺は即答する。


「左手の青いドレスだな」

「その理由は?」

「姉さんが青色が好きだからだ。第一印象も少しは良くなるハズだ。あとはたぶん、エンデに似合う色合いだからだ」

「わたしへの理由が後付け感半端無いんですけど……分かりました。明日はこちらのドレスを着ることにします」


 エンデはそう言うと、リビングから出て行った。

 すると、ベルがはぁ……と溜め息を吐きつつ、俺に紅茶のおかわりを出す。


「……? どうかしたか?」

「いえ……ご主人様は女心が分からないなあ……と思いまして」

「まあ、俺は男だからな」

「そういう問題では……はぁ……」


 ベルは再び深い溜め息を吐いた―――。




 ◇◇◇◇◇




 翌日。

 俺とエンデは、王城へとやって来た。

 エンデは予定通り青いドレスを身に着け、髪も結い上げて同色のリボンで纏めていた。


 そんな彼女をエスコートしつつ、係の者の案内でパーティーが開かれるダンスホールへとたどり着く。

 中にはすでに大勢のヒトがいて、その中にはグランの屋敷で開かれた夜会で見掛けた顔もいくつかあった。


「やあ、クリスさん。避暑地で出会った以来だね」


 すると、ギルが俺に親しげに声を掛けてきた。

 俺も表面上は親しげに接する。


「お久しぶりです、ギルフォード殿。そちらもお元気そうで」

「うん。そう言えば……クリスさんは王女殿下の生誕パーティーに出席するのは初めてかい?」

「お恥ずかしながら……王族方に粗相がないように細心の注意は払いますが、少し心配で……」

「その時はボクがフォローするから安心していいよ」

「それはありがたい。私も少し気が楽になります」

「ところで話は変わるけど……避暑地でも話してた、招待状を送るってヤツ。良い機会だから今この場で渡しておくよ。期限は特に設けてないから、都合の良い時に来て欲しい。その時は歓迎するよ」

「ありがとうございます」


 礼を言いつつ、俺はギルから招待状を受け取り、内ポケットに仕舞う。

 それから雑談に講じていると、ざわざわと周りがざわつき始めた。


 そろそろか……と思いダンスホールの奥にある階段に目を向けると、そこから一組の親子が姿を現す。

 あそこから姿を現せる立場のニンゲンは限られる。そう――王族だ。


 金髪の男――この国の国王でもあるシャルルマーニュ義兄さんは、王らしい装束に身を包んでいる。

 その妃であるレティシア姉さんは、俺が『魔神』になる前と同じ黒髪で、青と白を基調としたドレスに身を包んでいる。


 その二人の娘であるリリーナは、姉さん譲りの黒髪だけど、一房だけメッシュのように義兄さんの金髪が受け継がれていた。ドレスは薄いピンク色で、フリルがあしらわれている。


 三人は階段の踊り場まで降りてくると、ホール内を見渡す。

 それだけで、ホール内はシン……と静まり返る。


「皆、今日は我が愛娘、リリーナの生誕パーティーに出席してくれたことを嬉しく思う。今日のパーティーは立食形式にしたので、どうか心行くまで楽しんで欲しい。……リリーナ、挨拶を」

「はい。……今日は私のためにお越し下さり、誠にありがとうございます。どうか心行くまで、パーティーを楽しんでいってください」


 リリーナははっきりとした声音でそう挨拶をし、ペコリとお辞儀する。

 まだ幼いながらも王族としての意識はあるのか、とてもしっかりとしていた。

 とても姉さんの娘とは思え――。


「ん?」


 姉さんが俺の方に視線を向けてくる。

 俺はフイッと目を逸らしつつ、自然な流れでエンデに話し掛ける。

 カンの鋭さは相変わらずらしい。


「エンデ。王女殿下は今年でいくつに?」

「十才になられましたね」

「そうか。まだ十才とはいえ、とてもしっかりしている」

「そうですね。やはり王族ともなれば、早熟なのですかね?」

「王族じゃないから分からないな」

「それもそうですね。もしくは、陛下方の教育が良かったとかですかね?」


 義兄さんはともかく、姉さんに限ってはそれはない……と言いかけ、止める。

 こんな所で、エドだとバレるのも馬鹿馬鹿しい。

 だから俺は、半分嘘が混じった答えを返す。


「きっとそうなのだろう。陛下も妃殿下も、人格者として有名だからな。そんな両親を持って産まれたんだ。王女殿下もきっとしっかりとした人物に成長するのだろう。将来が楽しみだな」


 リリーナの成長した姿なんて、高確率で見れないと思いつつ―――。






次回、姉襲来。




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