表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/69

第29話 避暑地

前回のあらすじ

ルミナが処刑された

 

 ルミナの処刑から一ヶ月が経過した。

 当然だが、俺がグラン殺害の真犯人だとは誰にも気付かれていない。


 グランが死んだことでベガの街の領主が一時的にいなくなったが、この度ドーラが新しい領主に任命された。

 後見人として、俺も時々ベガの街の様子を伺いに行っていた。


 グランとルミナ亡き後のダール家の後見人になること。

 それが、エンデに話していた「例の件」の詳細だった。

 ドーラ達は俺に都合が良いように動いてくれる駒と成り下がったから、実質ダール家を乗っ取ったと言ってもいい。


 そして俺は、次の復讐に取り掛かる準備をしていた―――。




 ◇◇◇◇◇




 馬車から降りると、高原らしい爽やかな空気が肌を撫でる。

 街中と違い、幾分か暑さが和らいでいるような気がする。


 俺はエンデに連れられ、モンテーロ家の別荘がある避暑地へとやって来ていた。

 エンデによると、毎年この時期になると長期休暇も兼ねて避暑地を訪れるらしい。

 長期と言っても、一週間ほどの滞在期間ではあるが……。


「ここの景色は変わりませんね」


 馬車から降りたエンデが、そう口にする。

 エンデの格好は、白のノースリーブワンピースに、同色のツバ広の帽子という、誰がどう見ても貴族令嬢のような見た目だった。

 まあ、こんなでも一つの街の領主ではあるが……。


 別荘の方も、プロキオンの街にある本邸よりは一回りくらい小さいが、それでも大きいことには変わらない。

 それから、庭先の花壇は手入れされているのか、色とりどりの花が咲き誇っていた。


「荷物は中に運んでおきます」

「ええ、お願いね、ベル」


 当然の如く俺達の護衛として付いてきたベルは馬車の荷台から、俺とエンデの荷物を下ろす。

 そして別荘の方へと向かっていくベルを眺めていると、エンデが話し掛けてくる。


「クリスさん。わたしと一緒に少し散歩しませんか?」

「どうしてだ?」

「……少しでも夫婦らしいところを見せつけておかないと、別荘に勤める使用人に怪しまれるかもしれないからですよ」


 俺の方に身体を寄せ、そう呟く。

 確かに見掛けだけでも、夫婦らしいところは見せつけておいた方がいい。

 俺に疑いの目が向けられないように。


「……そうだな」


 俺はそう答え、エンデの手を握る。

 俺の突然の行動に、エンデは頬を紅潮させる。


「クリスさん……突然握ってこないでください。ビックリしますから……」

「そうか。今度から気を付けよう。……それで、オススメの散歩コースとかはあるのか?」

「はい、案内しますね」


 落ち着きを取り戻したエンデに手を引かれ、俺は避暑地を散歩することになった―――。




 ◇◇◇◇◇




 木漏れ日が射す並木道を歩いていると、意外な人物と遭遇した。


「あれ。モンテーロ伯爵とクリスさんじゃないか」

「ご機嫌麗しゅう」


 ギルと、彼と腕を組んで歩いているルイスとばったりと出くわした。


「こんにちは、アイギス子爵。ルイス夫人も」

「ギルフォード殿とこんな場所で出会うとは……なんたる偶然でしょうか」

「本当にね。……そっちも夫婦水入らずでデートかい?」


 ギルはそう言い、俺達の繋いでいる手に視線を向ける。

 それを受け、エンデは少し慌てた様子を見せる。


「えっと、これは……」

「私達はまだ新婚ですからね。エンデにお願いしてこの辺りの説明がてら、散歩デートをしていたところです」

「じゃあ、クリスさんからデートに誘ったってことかい?」

「そうですね」


 事実とはまるっきり異なるが、別に悪影響はない。


「アツアツだね。これも新婚だからかな?」

「アツアツなのは、そちらも同じでは?」

「まあ、否定はしないよ。……それで、二人共何処かに行くとかの予定は?」

「……? いえ……ぶらぶらと散歩するだけですが……」


 ギルの質問の意図が分からず、俺は内心首を傾げる。


「それじゃあ、ボクの別荘に案内してあげるよ」

「それは……突然お邪魔してご迷惑ではないのですか?」

「大丈夫だよ。それに避暑地とは言え暑いことに変わりはないから、水分補給も大事だよ?」


 暗にお茶のお誘いを受けているらしい。

 俺はエンデの方に目を向けると、彼女は無言でコクリと頷く。


「それではギルフォード殿のお言葉に甘えさせていただきます」

「分かった。それじゃあ付いてきて……と言っても、すぐそこなんだけどね」


 そう言うギルの後を、俺達は追う。

 ギルの弱点となる話が聞ければいいが……あまり期待しないでおこう―――。






貴族と言えば別荘。別荘と言えば避暑地。

そして避暑地と言えば……身元不明の白骨化した死体!(←は?)




評価、ブックマークをしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 金田一さんか頭脳は大人さんを呼ぶだけで、、
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ