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第26話 復讐/グラン 後編

前回のあらすじ

復讐開始

 

 俺はまず手始めに、グランの右手の指全てを逆方向に折る。

 ポキポキッという軽い音とは対照的に、グランは大きな悲鳴を上げる。


「ぐっ……ああああああああああああああああああ!!」

「本当に五月蝿いな。少しくらい我慢しろよ。それでも勇者パーティーの一員か?」


 そう言いつつ、グランの髪を掴んでおもいっきり廊下に頭を叩き付ける。


「ぶっ……オレがいったい何をしたっていうんだ!」

「……自分の立場が分かってないみたいだな」


 俺は冷静に、冷酷にそう言うと、『ファーライド』の柄を握る。

 そしてスーッと、滑らかな手応えでグランの右肘辺りまで斬り裂いていく。


「ああああああああああああああああああああああああ!!」

「お前達勇者パーティー全員には罪がある。パーティーの一員であった俺を、私利私欲のために裏切ったというな。だから地獄の底から蘇って、罰を与えに来た」

「……? 全、員、だと……?」


 額に滝のように脂汗を流し、右腕を押さえながらグランがそう尋ねてくる。

 そんなグランの左肩に『ファーライド』を突き刺し、俺は答えてやる。


「ぐっ……!」

「ああ、全員だ。メルシアも例外じゃない」

「お前を殺したのはオレ達三人じゃないか! メルシアは――」

「確かにあの件はメルシアには無関係だ。だけど彼女自身にも、罪がある」

「いったいどんな……」

「これから死ぬグランには関係ないことだ」


 そう言い、左肩から『ファーライド』を抜く。

 そしてそのまま、グランの左腕を肩の辺りから切断する。


「あ……ああああああああああああああああああ!! 腕が! オレの腕がああああああああああああああああああ!!」


 グランは床をのたうち回り、鮮血がバシャバシャと飛び散る。

 廊下には、両膝からのと左肩、それと右腕の傷口からの流血で血の池を形作っていた。


「さて……そろそろ楽にしてやろう。せいぜい死ぬその瞬間まで、地獄の苦しみを味わえ」


 俺は『ファーライド』を構え直し、止めを刺すべくグランに近付く。


「……死ぬのはお前だ、エド!」


 グランはそう言うと、床に落としていた剣を口で咥え、その切っ先を俺の胸元目掛けて突き出してくる。

 俺はそれを、あえて受け入れた。


 グサッと、剣は俺の胸を貫く。

 グランは勝ち誇ったような笑みを浮かべ――そして絶望の色に染める。


「……これで終わりか?」


 何てことはない、本当に何でもないように俺がそう言うと、グランは剣の柄から口を離す。

 そして力無く、床に仰向けで倒れ込む。


 さすがの俺も、『魔神』の力がなければ今の攻撃は致命傷だった。

 でも、それだけだ。

 即死級の攻撃でもなければ、『魔神』の力で回復は出来る。


 俺は胸の剣を引き抜き、グランにゆっくりと近付く。

 グランにはもう、抵抗しようなどという意識すらもないようだった。


「ば……化け物め……」

「その化け物を生み出したのは他でもない、グラン達だ。自分達の仕出かした罪の重さを自覚して、罰を受け入れろ」


 俺はそう言い、『ファーライド』でグランの胸を突き刺す。

 ビクンとグランの身体が一度大きく跳ねた後、そのままピクリとも動かなくなった。


 剣を引き抜き、ビュッと振って血を振り払う。

 さて。最後の仕上げといこうか―――。




 ◇◇◇◇◇




「………………んっ」


 ルミナが目を覚ますと、そこは別荘の廊下の一角だった。

 彼女は壁にもたれ掛かり、その手には血濡れの剣が握られている。

 それから寝間着も、血によって赤く染められていた。


 そして彼女の目の前には、血の池に沈む、変わり果てた姿で事切れたグランの遺体が横たわっていた。


「あ……ああああああ……」


 カランと剣を落とし、血塗れの手で自身の顔を覆う。


 ルミナは昨夜、ひょんなことからグランと口論になった。

 そしてカッとなって、廊下に立て掛けてあった剣でグランを惨殺した。

 妻に斬り掛かられると思っていなかったのか、グランは大した抵抗を示すことはなかった。


「あ……ああああああ……いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 早朝の爽やかな空気を引き裂くように、ルミナの甲高い悲鳴が別荘の中だけでなく、外にも轟いた―――。




 ◇◇◇◇◇




「……上手くいったか」


 別荘からは死角になる物陰に身を隠し、ルミナの悲鳴を聞きつつ俺はそう呟く。


 ルミナは今頃、自分がグランを殺したと思っているだろう。

 そういう風に記憶を書き換えた。


 怠杖『スロウベル』。

 対象の記憶に干渉し、自身に都合が良いように記憶を書き換える能力を持った、『クライムシン』の変化形態の一つだった。


 その能力を用いて、ルミナの記憶を書き換えた。

 ついでに、別荘の中にいた使用人全員の記憶も書き換えて、俺とベルの姿を見ていないという風にした。

 これで俺がグランを殺した犯人だとバレる心配はない。


「戻るぞ」

「はい」


 ベルにそう声を掛け、音も無くその場を後にした―――。






グラン殺害。


ちなみに、

怠杖『スロウベル』→怠惰/スロウス+ベルフェゴール

です。




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