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第25話 復讐/グラン 前編

前回のあらすじ

グランの別荘に侵入した

 

 ギィッと小さい音を立てて、正面玄関の扉を開く。

 中は薄暗く、所々に蝋燭の炎が灯っているだけだった。

 俺は物陰に隠れ、連れてきたベルに手短に指示を出す。


「ベル。お前はルミナを発見次第、拘束しろ」

「殺さなくてよろしいので?」

「ああ。全ての罪をルミナに擦り付ける」

「畏まりました」


 ベルはそう言うと、音も無く闇に消えた。

 流石は暗殺者。姿を消す術に長けている。


 俺も俺で、細心の注意を払いつつグランを探し始めた―――。




 ◇◇◇◇◇




 ゴトン、という物音が廊下から響く。

 その音を聞き、就寝の準備をしていたルミナは部屋の外に出る。

 しかし左右を見渡しても、発生源らしき代物は確認出来なかった。


「気のせいだったのかしら……?」


 そう呟いた次の瞬間、ルミナの背後を取った黒衣の人物―ベルがルミナの身体を羽交い締めにする。

 そして声を上げられる前に、死なない程度に首を絞めてルミナの意識を刈り取る。


 その後、何事も無かったようにルミナを抱き抱え、ベッドの上に横たえる。

 そして音も無く、最初から自分がいなかったように部屋を後にした―――。




 ◇◇◇◇◇




 ほとんど真っ暗闇の廊下の先に、グランの姿を確認する。

 そして俺はある仕掛けを施した後、無用心にもアイツの前に姿を晒す。

 アイツも俺の姿を確認したようで、警戒心を露にする。


「こんな夜更けにいったい誰だ? 賊の類か?」


 そう言ってくるので、俺はフードを外して素顔を晒す。

 俺の顔を見て、グランは少なからず動揺した様子を見せる。


「クリス殿? 何故貴殿がオレの別荘に……」

「やあ、久しぶりだね、グラン。()から奪った資産は活用してるのかい? いや、してるか。妻を五人も囲ってるんだものね?」


 あえて昔の一人称でそう言うと、グランは激しく動揺する。


「な……何故お前がここに……!? オレ達が確かに殺した……いや、それ以前に、クリス殿は……!」

「ご明察。クリスは偽名だ。僕の本当の名前は――エド。エド・ダンティースだ。勇者パーティーに裏切られた、惨めな『虹の魔法使い』さ」

「どうやって生き返った!? あの高さから落下して、生きていられるハズがないっ!!」

「殺すんならちゃんと頭と胴体を切断しないと。そうじゃないと僕……いや、俺みたいに生き返るぞ?」


 エドの口調からクリスの口調に戻すと、グランは一歩二歩と後退りする。


「馬鹿な……不死だとでも言うのか……?」

「そう思うんならもう一度俺を殺してみたらいい。もっとも……今度は返り討ちにしてやるよ」

「ほざけええええええぇぇぇぇぇぇ!!」


 グランは壁に立て掛けてあった剣を手に取り、俺に真っ直ぐに向かってくる。

 そんなグランに向かって俺は冷静に、冷徹に魔法を放つ。


「《サンダーボルト》」


 俺の手の平から稲妻が放たれ、グランに直撃する……いや、直撃しようとしていた。

 紙一重の所で攻撃を見切り、グランは俺の稲妻を回避する。

 それを見て、思わず舌打ちをする。


 グランの戦闘センスは勇者パーティーの中でも群を抜いていて、初見の相手であってもまず負けないほどにはセンスが高い。

 しかも、近接戦闘だけなら『勇者』であるルナセールよりも一枚上手だった。


 つまる所――グランに接近を許してはいけない。


 俺はグランとの距離を一定に保ちつつ、後退しながら魔法を次々と放つ。


「《ファイアボール》、《エアロカッター》、《アースパイル》」


 炎の球は斬り伏せられ、風の刃は全て見切られ、土の杭は中ほどから横薙ぎに一閃される。


「エド! オレを返り討ちにするんじゃなかったのか!? お前の実力はこの程度か!?」

「何を勘違いしてる? 楽に殺したら復讐の意味が無いだろう?」

「……っ!? テメェは!!」


 言外に何時でも殺せると宣ったのが気に食わないらしく、グランは一層スピードを上げて俺との距離を詰めてくる。

 それを待っていた。


「あっ……?」


 すっとんきょうな声を上げ、グランは前のめりに廊下に倒れる。

 俺はゆっくりと、グランに近付いていく。


「な、にが……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 ようやく現実を認識したグランが、叫び声を上げる。

 グランの両足は、膝の辺りで綺麗に切断されていた。グランが転けたのも、コレが原因だ。

 そして俺の手には、弦の張られていない弓が握られていた。


 怒弓『サタナス』。

 相手の怒り状態に応じて、予め設置されている弦の切断力が上下するという、何とも凶悪な能力を有する『クライムシン』の変化形態の一つだった。


 そして俺は、『クライムシン』をさらに形態変化させる。


 傲剣『ファーライド』。

 この剣で付けた傷は癒えることなく、相手に永遠の苦しみを与え続ける能力がある。

 副次効果として、『ファーライド』で付けた傷に重ねて傷を負わせると、痛みが倍加される効果も持つ。


 その剣で、グランの両足の切断面を傷付ける。


「ぐっ……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「五月蝿いな。少し黙れ」


 グランの頭を踏みつけ、強制的に黙らせる。

 ついでに、グランの利き手である右手にも『ファーライド』を突き刺して、剣を握れなくする。


 さあ。

 楽しい楽しい復讐(パーティー)の始まりだ―――。






『クライムシン』の変化形態はそれぞれ、七つの大罪の名称とそれに対応する悪魔の名前を掛け合わせています。


色槍『ラストデウス』→色欲/ラスト+アスモデウス

怒弓『サタナス』→憤怒/ラース+サタン

傲剣『ファーライド』→傲慢/プライド+ルシファー


残りの四つの形態もお楽しみに。




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