第23話 計画
前回のあらすじ
ファリナ達を籠絡した
しばらくしてエンデ達がやって来て、軽く事情を説明する。
そしてファリナ達を新たに加えて、プロキオンの街へと戻って行く。
ちなみに、ファリナ達が乗っていた馬車にはある工作を仕掛けていた。
それを見たグランがどんな反応をするのか気になるが……俺の予想だと、大した反応は返ってこないだろう。
むしろ、邪魔だと思っていた側室達を体よく排除出来たと思うかもしれない。
そんなことを考えつつ、俺達は屋敷へと戻ってきた。
フレディとパンジーには、途中で加わったファリナ達の護衛分の報酬も上乗せすることと、後日報酬をギルドを通して支払うことを確約した後に解散してもらった。
アイツらのせいで人間不信気味になった俺だけど、また護衛の依頼を頼みたいと思いたくなるほどには二人の気風はとても良かった。
ファリナ達には応接室で待って貰いつつ、俺はエンデに俺達の部屋へと連れて行かれた。
そして部屋に入って早々、エンデから尋問を受ける。
「クリスさん。ファリナさん達にいったい何をしたんですか?」
「何、とは?」
「とぼけないでください。ファリナさん達のクリスさんを見る目が、明らかに異性として認識している目でした。晩餐会の時はそんなことは無かったんですから、今日クリスさんがファリナさん達に何かしたと考えるのが妥当では?」
本当にエンデは頭がよく切れる。
そんなエンデなら早々口を割ることはないと思いつつ、俺は魔法袋の中から『クライムシン』を取り出す。
「……? それは?」
「あるヒトから譲り受けた武器だ。この中にある権能の一つに、異性の意識に干渉して倫理観諸々を崩壊させる能力がある」
「……それを使ってファリナさん達を籠絡したと?」
「端的に言えばそうなる」
そう答えると、エンデは眉間にシワを寄せる。
「ハア……本当に籠絡するとは……しかもほとんど強制的みたいなモノじゃないですか……」
「そうとも言うな」
「そうとしか言えないんですよ……」
エンデはやれやれと言った風に肩を竦めた後、打って変わって真面目な表情で俺の目を真っ直ぐに見つめる。
「……それで、クリスさん。ファリナさん達をどうするつもり何ですか?」
「まずファリナ達から内部情報を引き出す。そしてグランが一人になりそうなタイミングを見つけ出す。そしてそこで――俺が、グランを殺す」
「おおよそは理解しました。その時のアリバイ作りにはファリナさん達にも協力してもらいましょう」
「そうだな」
秘密の会話を終え、俺とエンデは応接室へと向かった―――。
◇◇◇◇◇
応接室に入ると、ファリナ達はソワソワとした様子で俺達を……と言うより、俺のことを待っていた様子だった。
その証拠に、俺が部屋に入るなりファリナ達はパアッと顔を綻ばせる。
だけど俺の傍らにエンデがいることに気付き、キュッと表情を引き締める。
今更そんなことをしても遅いと思うのだが……口には出すまい。
俺とエンデが並んでソファーに腰掛けると、ベルがスッと紅茶を出してくれた。
ソレを一口口に含んで喉を潤してから、ファリナ達に話し掛ける。
「それでは早速で悪いが、グランの今後の予定などは把握しているのか?」
「それはあたしが」
すると、ドーラがスッと手を挙げる。
視線だけで先を促すと、ドーラは続ける。
「グランはルミナと一緒に、王都に向かう予定だ。その途中、別荘がある街に泊まることになっている。襲撃するならそのタイミングしかない」
「別荘と言っても、守衛はいるだろう。その辺りはどうなんだ?」
「多い時でも十人ほどしかいませんよ」
ドーラに代わり、レイラがそう答える。
最大でも十人程度なら、俺一人でも何とかなる。だが過信はしない。
決行当日は、ベルも連れていくことを密かに決める。壁兼身代わりとして。
「そうか……グラン達がいつ王都に向かうかも分かっているのか?」
「二週間後に」
俺の質問に、今度はミーナが答える。
「それじゃあ最後だ。別荘がある街は何て言う街だ?」
「シェリアクの街です」
今度は、ファリナがそう答える。
それを補足するように、隣に座るエンデも口を開く。
「シェリアクの街なら、ここからでも比較的近い距離にありますね。二日もあれば着きますよ」
「そうか」
これで決まった。
日付も、場所も把握した。
後は俺自身の手で、グランを殺すだけだ―――。
いよいよ、復讐の時が来ます。
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