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第20話 視察 その3

前回のあらすじ

復讐対象にメルシアが加わった

 

 途中、小型の魔物達に襲われるも、フレディとパンジーが対応してくれたお陰で無事にスカーレットの村にたどり着いた。

 俺とエンデが馬車から降りると、この村の村長とおぼしき人物が出迎える。


「ようこそお越し下さいました、領主様」

「ご機嫌麗しゅう、村長さん。それで早速ですが、村の中の案内をしていただいてもよろしいでしょうか?」

「はい。それではどうぞこちらに」


 村長を先頭に、俺達は村の中を進んで行く。

 村長は村の状況を説明し、エンデはそれに耳を傾けている。

 その時に俺は早速、村の中の異変に気付いた。


「この村は魔物か何かに襲われたのか?」

「……? どうしてですか?」

「半壊してる家屋や、明らかに何かと戦ったような痕跡が所々にあるからだ。それもここ最近の出来事だろう」


 エンデの問い掛けにそう答えると、村長だけでなくフレディとパンジーも驚きを露にする。


「確かにその通りですが……よくお気付きになられましたね」

「観察眼はヒト一倍優れているので」


 あながち間違いじゃない。

 冒険者をしていたから、自然と身に着いた。

 それも何度も死線をくぐっていれば、ほんの小さな異変でさえも気付くようになる。


「……戦闘痕なんてあったか?」

「……あの家の近くのがソレっぽいけど……アタシでも見落としてたわよ」

「……Aランク冒険者のオレ達よりも観察眼が良いのか……」

「……過去に冒険者の経験があるとか?」


 現役の冒険者二人から何か疑惑を持たれてるが、ここで変に否定すると二人の疑惑を肯定する羽目になる。

 だから俺は、二人の疑惑は見逃す……いや、聞き逃す? ことにした。


「村長。何かに襲われたのですか?」

「ええ、まあ……野盗に襲われました。数は二十人いたかどうかですかな」

「村人に被害などは?」

「奇跡的にも死者はおりません。怪我人は何人かおりますが……」

「こう言うのも何ですけど、不幸中の幸いでしたね。しかし怪我人だけとは……村人達が撃退したのですか?」

「いえ……我々は手も足も出ませんでした」


 俺はエンデと村長の会話を聞きつつ、近くの戦闘痕のある場所にしゃがむ。

 そしてジッと痕跡を観察する。


「ベル。お前はコレをどう見る?」

「村人達のモノでないとするなら……野盗のモノか、もしくは第三者のモノではないでしょうか? しかしこの痕跡は……」

「ああ。十中八九魔法によるものだろう」


 俺は立ち上がり、村長に尋ねる。


「村長殿。この村が野盗に襲われた当時、この村に余所者はいましたか?」

「余所者、と言うほどではないのですが……乱入者は一人いました。その方が野盗を撃退してくれたのです」

「その乱入者の特徴は覚えていますか?」

「忘れようにも忘れられませんよ、あの方は。何せ全身黒づくめのローブを羽織って、白い仮面を着けていたのですから」


 ……なんだか最近聞いたことのある特徴だった。

 俺はさらに質問を重ねる。


「その黒衣の仮面の人物は、魔法の扱いに長けていましたか?」

「ええ、はい。獅子奮迅、一騎当千とはこういうヒトのことを言うのかと感心したほどですよ」

「その人物は名乗っていたりとかは?」

「残念ながら……野盗を撃退したら足早に去ってしまわれたので」

「そうですか……貴重な話、ありがとうございます。……すまない、邪魔をした」


 エンデにそう謝罪を入れると、彼女は首を左右に振る。


「いえ。クリスさんのお陰で、貴重な話を聞けたので」

「そうか」

「それでは村長。説明の方を続けて下さい」

「はい」


 それから、村の視察を再開した―――。




 ◇◇◇◇◇




 その日の夜。

 俺はベッドの縁に腰掛け、昼間の視察と村長の話していた内容を頭の中で整理していた。


 ちなみに俺とエンデは村長の厚意で、村長宅に泊まっていた。

 ベル達三人は、この村の冒険者向けの小さな宿屋に泊まっている。


「クリスさん。何か気になることでも?」


 湯上がり後に髪をブラッシングしていたエンデが、そう尋ねてくる。

 俺は顔を上げないまま、彼女の問い掛けに答える。


「ああ。誰にも言ってないが……いや、フレディとパンジーは薄々気付いてるかもな。件の黒衣の人物の戦闘能力は非常に高い。勇者パーティーのメンバーに比肩するほどにな」

「それほどなのですか?」

「ああ。冒険者じゃないエンデにはピンと来ないかもしれないが、そもそも多対一なんて戦闘にすらならない。ニンゲンが相手でも、魔物が相手でもな。二対一ならともかく、三対一になった時点で一の方が勝てる確率はグンと低くなる。そして多の方の数が大きくなればなるほど、一が勝てる確率も相対的に低くなっていく」

「ああ……分かりました。今回の場合でしたら、二十対一で勝てる方がおかしいと?」

「そうだ」


 流石一つの街の領主を若くして務めているだけあって、頭の回転が早い。


「勇者パーティーのメンバーなら十対一の状況とかはザラにあったから、経験則に物を言わせて勝てはするだろうさ。いや……勇者パーティーに限らず、SSランク冒険者なら誰も、か。でも……」

「クリスさんの言いたいことは分かりました。黒衣の人物がSSランク冒険者なら、姿を隠す必要は無いということでしょう? そしてそれは逆に、姿を隠さなければならない立場にいる人物でもある、と」

「そうだ。……少し警戒した方がいいのかもしれないな」


 俺は黒衣の人物への警戒を新たにしつつ、その日はエンデと一緒のベッドで身体を休めた―――。






しれっとリアの実力が明かされましたね。




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