表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/69

第15話 晩餐会 前編

前回のあらすじ

野盗を返り討ちにした

 

 野盗に襲われるというハプニングがありつつも、俺達は無事にグランの屋敷へとたどり着いた。

 正面玄関の前に馬車を停めて降りると、屋敷の中からファリナが出てきた。


「ようこそおいでくださいました、モンテーロ伯爵夫妻」

「出迎えありがとうございます、ファリナ夫人」

「いえ。それで、晩餐会の準備に少し時間が掛かっているのでお待ちしていただくことになりますが……屋敷の中でお過ごしになられますか?」

「そうですね……そうさせていただきます」

「ではこちらに。案内します」


 そう言うファリナに連れられ、俺達は屋敷の中へと入っていった―――。




 ◇◇◇◇◇




 ファリナに連れられたのは、応接室のようだった。

 壁には絵画が吊るされており、その他の調度品も見るからに高級品だと分かる。


 俺はエンデと並んでソファーに座り、対面にファリナが腰掛ける。

 ちなみにベルは、俺達の後ろに控えている。


 出された紅茶も調度品同様良い茶葉を使っているのか、美味かった。

 ティーカップをソーサーに戻し、ファリナが口を開く。


「プロキオンの街からこの街まで馬車で来られて、さぞお疲れなのでは?」

「いえ、それほどでも。我が街とベガの街は比較的距離が近いですから。ちょっとした散歩気分でしたよ。それにずっと屋敷に籠っていると、気が滅入ってしまいますから」

「そう、ですか……」


 エンデの言葉を受けてか、ファリナはやや陰のある笑みを浮かべる。

 これはチャンスか? と思い、俺は口を開く。


「如何されましたか、ファリナ夫人? 何か悩みでも?」

「……そう見えますか?」

「ええ。私とエンデでよければ、話をお聞き致しましょう。勿論後ろのベルにも、口外しないよう言い付けますので」


 俺がそう促すと、ファリナは口を開く。


「……私と旦那様の仲があまりよろしくないという噂はご存知で?」

「ええ。それが何か?」

「あまり表立ってはいないのですが……正妻であるルミナ様と側室である我々との扱いが日に日に悪くなっている一方なのです」

「……具体的には?」

「そうですね……結婚した当初はほぼ毎日のように旦那様の寵愛を受けていたのですが、ここ最近はルミナ様だけを深く寵愛するようになっているのです」

「なるほど……」


 ファリナの話を聞いて、俺も少し疑問に思った。

 あの性欲魔人のグランがたった一人の女性だけを愛するなんて考えられない。

 その根拠を裏付けるのが、ファリナを含む側室の存在だ。


 正妻と側室。

 その扱いの違いの正体が一体何なのかを知るために、俺はファリナから少しでも情報を引き出そうと続きを促す。


「ファリナ夫人。夫人達側室と正妻であるルミナ夫人とで、異なる点などはございますか? 何でもいいです」

「異なる点、ですか。そうですね……大きなところでは、種族、でしょうか?」

「種族、ですか……?」

「ええ。私は見た通りエルフ族ですが、他の側室の方々も人間族ではないのですよ」


 この世界には大まかに分けて、三つの種族が存在する。


 まず一つ目が人間族。

 俺やエンデ、ベル、それから勇者パーティーの面々がソレで、特徴が無いのが特徴みたいな種族だった。

 それと『勇者』みたいに、突然変異的に戦闘能力が高い個体が産まれやすい種族でもある。


 二つ目が、亜人族。

 ここに分類されるのはエルフ族とドワーフ族で、エルフ族は魔法制御能力が、ドワーフ族は道具作製能力が高いと言われている。

 お伽噺とは違い長命な種族ではなく、平均寿命は人間族とそれほど変わらない。


 そして三つ目が、魔族。

 ここには竜魔族、妖魔族、獣魔族、吸魔族の計四種族が分類されている。

 竜魔族はドラゴンのような、妖魔族は空想上の生物の、獣魔族は実在する動物の、吸魔族はコウモリのような特徴をそれぞれ備えている。


 閑話休題。

 俺は一旦紅茶で喉を潤し、続きを促す。


「その側室方の種族をお伺いしても?」

「ええ。最初の側室に当たるドーラ様は竜魔族、二番目の側室であるレイラ様は妖魔族、三番目の側室のミーナ様は獣魔族ですね」

「……なるほど」


 そういえばグランは、珍しいモノにはすぐ飛び付くクセにすぐに飽きるという、悪癖とも言える癖があったのを思い出した。

 それならグランが側室達に興味を失った理由も理解出来る。


 そして逆に、その隙が俺にとっての大きな復讐の足掛かりになる。


「理解しました。今すぐに解決策は出せませんが、相談であればいつでも乗りましょう」

「我が街の近くに寄った時にでも是非我が屋敷へ。何時でも歓迎致します」


 俺に続いてエンデがそう言う。

 この台詞はエンデのアドリブだけど、良いアシストだ。


 これでファリナの心情的には、相談に乗ってくれる味方が二人出来たと思うことだろう。

 しかし実際は、片方は彼女の旦那に復讐しようとしている男で、もう片方はその男の共犯者なのだが……。


 そんなことを考えていると、コンコンと応接室のドアがノックされる。

 ファリナが入室の許可を出すと、メイド服の女性が入ってくる。


「失礼します。晩餐会の準備が整いましたので、お呼びに来ました」

「そうですか、ありがとうございます。……では食堂に向かいましょう。そこで晩餐会が開かれますので」


 そう言うファリナに連れられ、俺達は応接室を後にした―――。






『魔神』も一応、生物学上は人間族に当たります。

だからクリス/エドもリアも一応は人間族です。




評価、ブックマークをしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ