第24話 迷宮主は地球人(6)
ダンジョン生活120日目。
「うぅーん、ショウヤ……」
「……」
昨日も何時も通りに小さくなった桜を抱きしめて就寝した。
俺と桜がじゃれあっている光景を、紅は度々目撃していた。ダンジョンモンスターはダンジョンマスターである俺のことを無条件に慕ってくれる。それは、下位もモンスターから上位のモンスター全てに言えることで……その中でも、秘書モンスターである桜は特に俺に甘えてくることも多かった。
睡眠を必要としない俺だけど、DPで購入したベットはある。一時期、桜が大きくなり過ぎたせいでベットを買い替えたことがある。だから、この部屋には二つのベットがあるんだ。
新しい方は俺と桜で使っていて、古い方は紅が使っている。だから、紅が俺のベットに侵入してくることはおかしい。極めておかしい。
「ショウヤ……好きぃ」
「ひぃっ!?」
紅の紅が、俺の尻にくい込んだ。
非常にまずい。紅は中学生くらいの少年だ。中学生といえば思春期、難しい年頃、そんな中で好意ともいえる感情を強制的に植え付け得られて……多分、物凄く危ない"勘違い"をしている。
夜な夜な、紅は俺のベットに潜り込んでくる。俺は寝たふりをしているが……普段はそんな素振りを見せない紅が、俺が寝ている隙に甘えてくる。
やばい、このままじゃ俺の貞操が危ない……!
朝になると、紅は自分のベットに戻っていく。
一時間後、俺はさも今起きましたといったような演技をしつつ、シャワーを浴びるために部屋を移動した。
考えたんだけど、今日は秘書モンスターを召喚しようと思う。紅と同い年くらいの女の子モンスターを召喚して、俺への歪んだ感情を、その子へと向けさせればいいんだ。よし、このプランでいこう。
「え、好きなタイプ?」
「そうだよ。紅にだって、好きな子くらいいるんだろ?」
「ま、まぁ、いないこともないけど……」
「まじでか。教えろよこのこのー」
肘でぐいぐいと紅を押しながら、そんな話題を彼に問いかける。
そして、少し年上で、黒髪で、普段はお調子者なんだけど仕事をするときは真面目という、なんとも嫌な返答を貰ってしまった。別に、お調子者なつもりもないんだけど……。
まぁいいや。ノートパソコンを開いて、秘書モンスターの召喚を行う。
一時間後、質問に答える。女、若い、真面目。紅の好みに沿った質問はその程度しか選択することができなかったけど……大丈夫だろうか。
こっそりと、別の部屋で召喚した。三度目の秘書モンスターは……青かった。いや、少し濃いから……藍色か。
「主様、よろしくお願いします」
「……よろしくな」
そう言ってお辞儀をする女の子。
青い髪の女の子は、小学校高学年程度の年齢だと推測できる。む、また美少女か……。でも、どこか真面目そうな子だ。
「君の名前を藍と名付ける」
「アイ……はい、わかりました」
「では、藍。さっそく一つ目の命令を与えよう!」
「!? わたしは、何をすれば!」
藍は急に目を輝かせ始めた。どうも、仕事が欲しいみたいだった。
「俺の仲間に……紅という少年がいる。彼を……落とせ!」
「わかりました!」
了解です!と言った感じで、元気満々にマスタールームへむかう。
そんな彼女を追ってマスタールームへ戻ると……紅が絞め落されていた。
気を失ってだらしと手足を投げ出した紅を尻目に、俺をみて目をキラキラさせている藍を見る。褒めて褒めてと、そんなオーラを感じたので綺麗な青髪を優しく撫でると、気持ち良さそうに目を細めた。
どうも藍は武闘派みたい。真面目だけど頭がゆるゆる。
尚、藍と紅を一緒に寝かせた結果、俺への夜這いはなくなった。どうやら物理的に拘束して一緒に寝るという命令を守るつもりらしい。マジで安心して寝れるって最高!




