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日常の破壊者  作者: ファミ・ローⅦ世
1st~日常の破壊者~
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4/202

事件発生直後~20/20~

「最初のテロが起きたのは早朝8時半。

場所は東京の浜松町、有楽町、丸の内、新橋、恵比寿の5か所。

朝の通勤通学ラッシュでごった返していたため、店内には通勤途中で立ち寄ったサラリーマンやOL、

通学途中に立ち寄った学生らが犠牲になってしまいました。

そして、コンビニが狙われたのにはセキュリティー上の問題と企業の都合上の問題が絡んでいました」

消火の状況も悪く、範囲も大きく、消防と救急では人員に限界があることを村田は悟った。

しかし、それはこの浜松町の現場や他の現場に出動した消防隊員全員が思っていることだった。


「こちら汐留出張所、村田。近隣の警察署に応援要請を願う。人員が足りません。また、自衛隊への出動要請も検討願いたい」


村田は愛宕消防署の指令室に近隣の警察署に人員を救助や消火に裂くよう要請を促すよう要請した。

また、自衛隊への出動要請が行えば、人員にも余裕ができる他、自衛隊の設備なら現場で応急処置ができると考えていた。

特に航空自衛隊の"空飛ぶICU"と呼ばれる機動衛生ユニットと"走る手術室"の陸上自衛隊の野外手術システムの出動を要請したいと考えていた。


『指令室、了解した。同様の要請が他の隊の消防士からも届いている。こちらとしても自衛隊への要請を検討していた。消防庁へリコメンドする』


指令室もどうやらテロにあった各地の状況が芳しくないことを知っているようだ。

動きが早かったらしく、すぐに近隣の所轄署である汐留署から警察官が駆け付けた。


「警視庁汐留署から応援で来ました。内村です。内村以下、5名の捜査員が救助活動並びに消火活動に参加します」


汐留署の内村吾郎うちむら ごろうは本来は刑事課の刑事だが、作業服に身を包み、救助活動を他の捜査員らと始める。

近隣のビルなどに逃げ遅れた者がいないか捜索を始める。

すると、煙の向こうに女性が一人倒れていた。

内村の部下で女性警察官の山下が発見し、駆け寄り、脈拍を確認する。脈拍はあり、どうやらまだ生きているようであった。

辛うじて意識もあり、声は発せられないものの、助けを求めているのは明らかだった。


「こちら汐留1。女性1名が意識が昏倒。救急へ運びます」


山下は女性の身元を知ろうと声をかけた。

それに答えようと薄れゆく意識で女性は静かに自分の名前を呟く。


「・・・です。加藤、フミ・・・です」


山下は女性―フミを駆け付けたIMATの医師に預け、応急処置を済ませると臨時で設けられた救護施設へ搬送された。

山下はフミが倒れていた場所の横を見ると煙をあげ、今も燃え盛り、消防隊員らによって消火活動が続けられているファミリーメイト浜松町香坂オフィス店だった。


「汐留署の者です。消火活動に参加します」


「ありがとうございます!」


事前に油による火災でもあるということを聞いていたため、水ではなく近くの花壇などの土をスコップなどで掘り、炎へとかぶせていく。

現場検証に支障が出るが、やむを得ないと考えて今は鎮火させることを最優先とした。


『消防庁より各局。政府が自衛隊の派遣を決定した。危機管理センターも立ち上がった。現在、練馬駐屯地と三宿駐屯地から応援が駆け付ける予定である』


ようやく自衛隊が動いた、と現場の消防士と警察官は安堵した。

特に練馬駐屯地と三宿駐屯地からの応援は大きく、野外手術システムを持つ後方支援連隊の衛生科部隊が駆け付けるようである。


――――――――――――――――――――


しばらくして他の逃げ遅れた近隣のビルのテナントの従業員の誘導が済んだ警察官が続々と駆け付けて、発生から2時間半経って鎮火に成功した。

そして、練馬駐屯地と三宿駐屯地から手術車、手術準備車、減菌車、衛生補給車の4台のトラックからなる野外手術システムが到着し、迅速な処置が必要な患者を次々と治療していき、病院へ搬送した。

意識が朦朧としていたものの、比較的軽症だったフミは目を覚ました。

血が流れていた腕には包帯が巻かれ、止血がされていた。

そして、爆発したコンビニの前から救急が臨時で設けたテントに設置されたベッドから起き上がると看護師が驚いた様子で駆け寄った。


「加藤さん!?大丈夫ですか?」


自分の腕にはトリアージタグがつけられ、早期的な治療を行うことを意味する黄色だった。

ドラマでこれを見たことがあるフミは自分がそんな状況だったことに驚いた。


「大丈夫・・・です」


半信半疑ながら、看護師に応じ、医師も駆けつけて問題はないと診断された。

それを聞き付けてか、スーツを着た私服警官が現れ、警察手帳を見せた。


「警視庁捜査一課の内藤です。お話を聞くことは出来ますか?」


これもドラマで見たことある光景だ、とフミは少しテンションが上がった。

しかし、状況が状況なので不謹慎だ、と顔には出ないように表情をなるべく変えないように意識した。

内藤はまず、フミがあの場で倒れていた経緯を聞き、フミも店が爆発する寸前の記憶までを内藤に話す。

内藤と一緒に来た刑事の塙が細かくメモを取り、内藤はフミから詳細を聞き出した。

話がそろそろ終わりそうな時に内藤のスマホに電話がかかってきた。


「・・・はい、はい、わかりました」


内藤は電話を切ってスマホをしまうと塙と小声で話し、塙は静かに頷き、その場を後にした。

内藤も看護師や医師に何やら許可を取っているようだ。


「加藤さん、これから警視庁の方へ来ていただけますか?」


内藤の言葉に驚き、疑われているのでは、とショックが隠せない。

ドラマのようだとテンションが上がったことが顔に出て、それが犯人だと疑われるきっかけになったのか、とも考え、軽いパニックになった。

しかし、すでに根回しがされているようで内藤に促されるがまま、塙が運転する車で浜松町から桜田門の警視庁の庁舎まで行くことになった。

――――――――――――――――――――


浜松町でのコンビニの鎮火に成功し、内村達が乗ってきた警察車両の無線に一報が入る。

内村も浜松町での鎮火に成功したことを伝えた。


「・・・他の現場も鎮火に成功したようです」


内村は警察無線から流れてきた吉報を村田に伝える。

それを聞いた村田は何とかなったか、とホッと胸をなでおろす。

鎮火に成功したかつてコンビニの店舗だった現場は凄惨さを物語るかのように昼間でも奥が闇に包まれていた。

そして、かすかに見える黒焦げになった無数の人間の手や足が助けを求めるように上へと伸びていた。


「・・・これは酷すぎる・・・」


内村はこれまで刑事として沢山の遺体を見てきたが、さすがに数が多すぎる、と目を逸らすように帽子を目深にかぶった。

すぐにその場の消防士や警察官、駆け付けた火災調査官らで現場検証が始まった。

だが、消火で土などを使った代償は大きく、些細な証拠を探せるかが怪しいところであった。


「この"テロ"を考えた奴は、人間のクズと言っても良い。人を大量に殺せるなら、本当に誰でも良いんだ」


内村は怒りを滲ませ、その怒りからくる気迫は村田にも伝わってきた。

火災調査官らと現場に足を踏み入れ、さっそく現場検証を開始したが、内村はあることが気になって、火災調査官の船越に訊いた。


「・・・コンビニと言えば、監視カメラがあるはず。そのカメラの映像は見ることはできるんですか?」


「・・・見れることは見れるそうですが、コンビニ本部からの許可が必要でして、その許可取りが難航しているようです」


「許可取りが、難航?」


「はい。どうも、コンビニの本部側があることに難色を示して、貸す貸さないで難航しているそうです・・・」


チラッと船越が向けた視線の先にこの店舗を担当している本部の営業部の人間であるスーパーバイザー(SV)がいた。

どこか曖昧な返答はこいつが原因か、と内村は察した。

――――――――――――――――――――


沖縄県那覇市

ファミリーメイト首里石嶺店

爆発が起きる前の現場周辺の監視カメラの全ての映像を見終わった正恭は現在の様子が映し出された監視カメラの映像を見て、さっそく"犯人"と思しき人物を探し始める。

春日はスマホで電話をかける。どうやら、コンビニ側の監視カメラの映像がないかを問い合わせているようだ。


「・・・わかった。こっちは"秘密兵器"からの連絡待ちではあるから、どうにか交渉を長引かしてくれ。何としても手に入れよう、"絶望の1秒前の映像"を」


春日はコンビニの監視カメラの映像を"絶望の1秒前の映像"とカッコよく呼称して、隠語として使おうとしているようだ。

何かクサい趣味をしているな、と正樹は思ったが、それ以上に"秘密兵器"が気になった。

春日は正樹に聞かれたか、と少し睨み、それに正樹は怯えた。

何か国家の機密に触れる何かを聞いてしまったのか、と考えた。


(これが映画とかだったら、俺、消されるな・・・)


春日が正樹のもとに歩み寄ろうとし、正樹は殺されると覚悟した瞬間、春日のスマホが鳴った。

すぐさま春日は電話に出ると「はい、はい、わかりました・・・!」と力強く返事をした。

そして、正樹のほうを向くとそのまま正樹の横を素通りした。

何もしないことに拍子抜けしたと同時に安堵で大きなため息をついた。

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