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日常の破壊者  作者: ファミ・ローⅦ世
3rd~模倣の因縁~
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200/202

英雄と英雄の邂逅~どうして雨だと言ったんだろう?~

沖縄県那覇市

与儀警察署

取調室

県警本部から組織犯罪対策課の比嘉と翁長が現れ、今回のテロを起こした新垣研吾と接点があったと思われる津波古の取り調べを代わる事になった。


「まさか、君がテロリストと接点があったとは・・・驚きましたよ」


翁長は現地対策本部と繋ぐビデオカメラを設置すると「おい、カメラはやめろ」と津波古は翁長に突っかかる。

しかし、比嘉は「そういうわけにはいかないんですよ。このカメラの向こうは現地対策本部と繋がっていて逐一、あなたの取り調べが共有されるんです」と説明する。


「じゃあ、何か?あのカメラの向こうには、知事がいるってか?」


「そうですね。知事は対策本部長ですから、いますね」


「だったら、なーくーのクソ知事、県民の給料上げろ。俺らみたいな貧乏人を生み出すな」


「新橋のサラリーマンみたいな事を言うんですね」


「お前、俺の事バカにしてるのか?」


「そのつもりはないですよ。さて・・・我々が追っている新垣研吾の事を知っている情報だけで構いません。話してください」


比嘉はにこやかに津波古の前に座り、翁長は調書を取り始めた。

表情はにこやかだが、どこか殺気のようなものを比嘉から感じ取った津波古は静かに新垣の事を語り始めた。


「あの時のケンゴは雨男で、会う時は必ず雨が降っていた。そのせいか、集まりは悪いが、金を稼ぎたいガチ勢が集まりやすく、そいつらは普段の倍、荒れた方法でやっていた」


「そうらしいですね。雨の日が一番手荒で、病院がかなり忙しかったようです」


「自業自得じゃねぇか」


「続けてください」


比嘉に軽口を流され、話すように促された津波古は舌打ちをして話を続けた。――――

――――――――――――――――――――


―――3か月前。

雨が降り、集まりが悪いものの、それなりにこの"かりゆしウェア狩り"に本気な者ばかりが集まっており、金銭が絡んでいるせいか、やり方もかなり手荒であった。

カスタマーハラスメントが発覚する前の球陽銀行松尾支店の行員は昼食を買うためにオーソン国際通り松尾店を訪れた。

地方銀行の行員と言えど、普通のサラリーマンに変わりはなく、出世しない限りは贅沢は出来ない。

そのため、アプリなどで配信される割引クーポンには目がない。

しかし、自分の落ち度もあるが、クーポンを使う事なく会計が終わってしまったのだった。


「・・・クーポン使いたいんだけど?」


「アァー。モウシワケゴザイマセン。チョットワカラナイ」


「わからない?何が?」


レジを担当した外国人クルーは自分が伝えられる範疇の日本語で何かを伝えようとするも、それは行員には関係なく、「ねぇ、何が?」とさらに詰める。

畳みかけるように「何が言いたいの?ねぇ?」と詰めていくと、ついには口を閉ざしてしまった。

その状況を無理矢理打開しようと「黙らないで。何か言いたいんでしょ?」と詰めていくも、あまりにも詰めていく事に集中しすぎて、レジが混み始めていた事にも気づかなかった。

その事態は平和団が行員の肩を叩き、すぐに悪い方法で打開された。


「何?」


行員が肩を叩かれて振り向くと顔に拳が飛んできた。

その拳は一瞬で行員の右の視界を奪った。

断末魔をあげながら倒れ込もうとするとかりゆしウェアを掴み、殴る蹴るの暴行を加えた挙句、かりゆしウェアを引きちぎり、腹を踏みつけた。

そして、レジの前でうな垂れたところで顔をもう一度、蹴り、さらに雨天であるがために持っている傘で顔を叩く。

「おい、3分経とうとしてるぞ」と見張りに言われた実行犯はサイフから金銭を抜き取って逃げ出したのだった。

逃げ出してから10分くらいでようやく警察が到着したのを津波古は眺め、「相変わらず遅ぇな」とタバコを咥えた。

そこにはケンゴー新垣研吾の姿もあり、「そうですね・・・」とポツリと同意する言葉をつぶやく。


「つか、何かお前の時だけ、めっちゃ雨降ってばっかなんだよな・・・雨男かよ」


「・・・日頃の行いが悪いのかも」


「そりゃ、これに参加している連中が大体そうだろ」


―こいつ、ちょっと面白いな

新垣に不思議な魅力を感じた津波古は雑談がてら、「なぁ、お前は何でこれに参加しているんだ?」と訊いた。

すると少し微笑みながら「爆弾が作りたいんだ。凄く性能の良い、音に反応する爆弾を」と答える。


「爆弾?音に反応する?何だそりゃ?」


この時は現実味のない回答に津波古は首をひねった。

それに対して新垣は喜々としてその爆弾の構造を語り始めた。


「必要な物は火薬と、雷管と、音に反応するためのセンサー、ある程度の電力も必要になるからバッテリーも欲しいところかな」


「小難しそうな話だな。あー・・・これ以上はパス。聞いちゃいられん。頭が痛くなる」


喜々として語ろうとする新垣を制したが、どこかで気になっている自分がいる気付いた津波古は「でも、そんなの作ってどうするんだ?」と最後にこれだけは訊いておこうと新垣に訊く。


「許せないんだ」


さっきまで喜々として語ろうとしていた表情とは一変し、どこか憎悪のようなものを秘めている目を見て、これ以上は踏み込むのは危険だと判断した津波古は話を広げるのをやめた。――――

――――――――――――――――――――


「俺が知っているケンゴはこんな奴だった。そして、会話したのはこの時だけだった」


津波古は自分が知り得る新垣の話をし終えた。


「そうですか。動機はわからないんですね」


比嘉はどうしても訊きたかった動機の部分がわからないのを残念がりながら、翁長に調書を取り終えるように合図する。

そして、津波古の語った内容を信じるなら、何か踏み込んではいけないものがある、と考えた。

そこで比嘉は「新垣の過去って探れますか?」と現地対策本部にいるであろう公安調査庁と公安係の警察官に訊いた。

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