援軍~夜明けまで強がらなくていい~
「日向工科大学の竹室ゼミは監視カメラの映像の提供に難色を示した沖縄ファミメに頼らずに映像の解析を行う方向へと舵を切りました。
しかしながら公安調査庁はカードを切る事になりました。
一方、近隣の飲み屋街から集まってきた手狭になってきた旧パラソル通りは一筋の光が見えました。
その援軍に来たのは良き隣人としての顔を持ちたいあの国からでした――――」
沖縄県那覇市
公安調査庁那覇事務所
"ウィドー"による逃走経路の解析にはファミリーメイトからの監視カメラの映像の提供が必須であったが、社外秘である事を理由に難色を示していた。
防犯上の理由とは言え、ファミリーメイトとしては「場合によっては映像の公開を行う」という項目が社外秘の公開にあたり、ファミリーメイトのイメージダウンや産業スパイに繋がるとして許可が出来ないということであった。
しかし、マコによるスリーセブンの監視カメラの映像の流出によって特定が進んだ事に始まり、オーソンは「スリーセブンが出すのであれば」と提供に踏み切った。
それでもファミリーメイトは慎重な姿勢を見せ、状況の精査をしてから提供する、と回答したのだった。
「ならば、カードを切るしかない」
澤北は息のかかったファミリーメイト社員に電話をかけ、スリーセブン同様、流出を図る。
その息のかかった社員は不倫のために相手のいる自宅へ行った帰りに飲酒運転をし、職務質問を受けて違反切符を切られかけたが、沖縄ファミリーメイトの重役であったことから公安調査庁としてはテロがあった際に利用しようと考えていた。
他にもスピード超過を起こしたオーソンの外回りの営業部の社員や、デートDVなどの女性問題を引き起こしたスリーセブンの研修課の社員などを息のかかった協力者としていつでも動かせるようにしていた。
だが、想定外の出来事として東京のスリーセブン本社勤務であるはずのマコが沖縄の支社へ応援で来ていた事で、オブザーバーという形で公安調査庁に協力しているマコに動いてもらったため、スリーセブン側の監視カメラの映像が流出、結果的に捜査に協力する形になったことでオーソン側が慌てだしたのだった。
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沖縄県那覇市
平和通り
旧パラソル通り
かつてパラソル通りと言われた場所は開発が進み、空き店舗となった場所に飲食店が入っていた。
そこへ誘導した事が功を奏したのか、まずは飲食店の協力もあって食べ物には困らなかった。
ただし、アルコールの提供は禁止され、あくまで救助が来るまでの腹満たし程度であった。
「ここも少しずつ混み始めましたね」
理々はここも手狭になってきたを感じ、いつまでも救援が来ない事に不安を感じ始めていた。
宙良や菅井を含めた自衛官らもそれを感じていた。
そんな中、宙良のスマホから現地対策本部から連絡が入った。
「はい、はい、はい・・・わかりました」
宙良は菅井ら救助部隊のほうに向き、「近くの泉崎高校へ向かいましょう」と提案する。
その提案に理々はすぐに何かを感じ取り、スマホから地図アプリを開く。
土地勘のない菅井らに説明するためにこの場所から泉崎高校へのルートを説明する。
「ここから泉崎高校へはまずは開南通りへ出ることが必須です。まずはえびす通りを通ってサンライズなはの開南口に出ます。あとは県庁方面へ向けて歩いていけば、泉崎高校へ行けます」
アプリの地図をぐりぐり動かしながら説明すると、菅井は少し考えた。
そして、救助部隊の隊員らや無線で現地対策本部とも相談し、意見がまとまったようだった。
「伊敷さん、それでしたら、ここにいる方々を泉崎高校へ誘導しましょう。先ほど、開南通りの交通整理も終わっているとの報告も受けています。学校とあればある程度、災害を想定しているはずなので、物資にも困りません」
「わかりました!青戸さんも協力をお願いしますね」
「はい!」
「我々が見える範囲で曲がり角に立って誘導し、全員が泉崎高校へ向かった時点で再度、この通りで取り残されている人の捜索を行います」
「なるほど、それならここにいる人達を一人残らず誘導できますね」
「よし。状況開始。かかれ!」
菅井の指示により、すぐに救助部隊は理々と宙良を先頭にして泉崎高校へ向かう。
旧パラソル通りからえびす通りに出たところで、救助部隊の一人が残った。
そして、えびす通りからサンライズなはの開南口へ出たところで救助部隊の一人が残り、サンライズなはから開南通りへ出たところで交通整理が終わり、緊急車両のみが通れる状態だったのか、他の救助部隊が待ち構えていた。
「お待ちしておりました!菅井一尉!」
他の救助部隊の隊長である増本が菅井に敬礼する。
「増本・・・お前、ホテルのほうは大丈夫か?」
「ホテルのほうは誘導が済みました。現在、修学旅行生はチャーターしたバスにてほかのホテルへ移動中です。残りの宿泊客も現在は賀喜一尉、筒井二尉、遠藤一尉の部隊による捜索や避難が続けられています」
このまま、理々達は増本らの部隊に誘導され、泉崎高校へたどり着く。
だが、泉崎高校は真っ暗で広いグラウンドが目の前に広がっていただけだった。
すると宙良の無線に現地対策本部から連絡が入った。
その連絡を聞いた宙良は驚くも、すぐに行動に移す。
「あの、このグラウンドに大至急、水を撒いてください」
「え?水を撒く?」
「ここに応援部隊が来るんです」
それを聞いた自衛隊の面々は心当たりがあるらしく、すぐに水道を見つけてはバケツも見つけて水を汲むと水を撒き始めた。
「何んで水を撒いてるんですか?・・・」
理々の疑問に増本が答える。
「おそらくはチヌークやUHといった大型のヘリがこちらへ向かっているんだと思います。水を撒くのは砂埃が舞って視界が遮られるを防ぐためです・・・でも、那覇空港はサヨクの活動家がレーザーポインターで妨害しているはず?・・・」
増本は那覇基地からは航空機は来ないはずだ、と首をかしげていた。
だが、その疑問は沖縄本島在住者なら聞き覚えのある機種―オスプレイのローター音で解消された。
さらに宙良は懐中電灯にひもを括り付け、頭上でぶん回し始めた。
だが、無線が入った瞬間、それをやめると、旧パラソル通りから来た避難者に「SKRZ47のサイリウムってありますか?」と訊いた。
「・・・あります。でも、何に使うんですか?・・・」
「バズソウです」
「バズソウ?・・・」
SKRZ47のファン―いわゆるSteadysの遠征組が宙良にサイリウムを渡すとカチカチと緑色になるまで色を変えた。
そして、そのサイリウムを先ほどと同様に紐に括り付けると頭上でぶん回した。
すると一気にオスプレイのダウンバーストがグラウンドへ直撃し、水を撒いたはずなのにそれでも砂埃が舞い始めた。
宙良の頭上でホバリングし、そのまま高度を下げてグラウンドへ着陸した。
オスプレイの側面のドアと後部ハッチが開くと、銃を持ったアメリカ軍兵士が降り、銃を構えて安全であることが確認されると、銃を下ろして後部ハッチに合図を送った。
その後部ハッチから今度は日本の消防署の救急隊員がストレッチャーを押しながら現れた。
「大謝名消防の多和田です。重篤な方から普天間基地内の病院や中部の病院へ搬送します」
「中部医師会の垣花以下5名、これよりメディカルチェックを行います。避難してきた方はどちらですか?」
宙良は「こちらです!」と案内し、垣花らはすぐに旧パラソル通りから来た避難者のメディカルチェックを始めた。
アメリカ軍が援軍に来たことに理々は驚いた。
「バズソウとはパラコードのひもの先にケミカルライトをつけて振り回して夜間飛行を行う航空機に自分の位置を知らせる方法で主にアメリカ軍が使う手法です。
アメリカ軍はこの作戦に夜間飛行に長けた兵員輸送の特殊部隊、ナイトストーカーズを訓練中の韓国から沖縄へ派遣する事にしました。」




