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日常の破壊者  作者: ファミ・ローⅦ世
3rd~模倣の因縁~
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194/203

人工知能~マイフレンズ~

「公安調査庁は試験運用中の捜査用AI、"ウィドー"を投入する事を決めました。

"ウィドー"は宮崎県日向市の日向工科大学の人工知能研究の第一人者、竹室隆則たけむろ たかのり教授のゼミとITセキュリティエンジニアの名和志穂乃なわ しほの氏が開発を進めている犯罪捜査用追跡AIで監視カメラの映像から対象となる人物を特定し追跡、逃走経路を提示するシステムとなっています。

しかしながら、試験運用と言うことからまだまだ未完成な部分がありました。」

宮崎県日向市

日向工科大学

ロボティクス工学科・竹室ゼミ

沖縄県庁の現地対策本部から電話がかかってきたため、教授である竹室は電話を取る。

実は不測の事態に備えて待機しており、ついにその不測の事態が発生したかと竹室は二つ返事で「わかりました」と返す。


「東香川くん。今から言うところにアクセスしてください」


ゼミ生で1年生の東香川みゆきは「はい!」と今までいじっていたスマホをすぐに置き、パソコンに向き直る。

そして、現地対策本部のネットワークと繋ぐと、すぐに映像の解析に取り掛かった。


「"ウィドー"の試験運用第38回、ケース7。記録を取ります」


みゆきはタブレット端末も手に取り、予め用意されている項目に文字を打ち込む。

"ウィドー"を起動させるとまずは現地対策本部のアーカイブからファミメ泊1丁目店の監視カメラの映像を解析させる。

検索する対象の特徴は公安調査庁のオブザーバーから聞き出しており、その特徴を入力していく。

すると1人の対象者を発見し、それを赤い丸で囲いながら追跡し始めた。

その人物が爆発物を仕掛けたであろう場所で立ち止まったところでこの人物が犯人―新垣研吾である事をラーニングさせた。

その後はファミメ泊1丁目店から去るまで追跡しており、ラーニングは成功したようだった。

次にこのラーニングしたデータを基に今度は提供が許可された爆発があったスリーセブンの店舗の映像を検索にかけると各店舗から1人ずつ該当者が出てきており、時間も地図上に合わせれば沖縄県庁側から安里側まで順当に、かつ、効率よく爆弾を仕掛けている事が伺えた。

しかし、これだけではまだ本格的に居場所を特定するには不十分であった。


「・・・映像ってこれだけなんですか?」


みゆきは竹室に訊いた。

竹室は現地対策本部へ問い合わせるが、答えは「今のところ、それだけだそうだ」と出たのだった。

現在の居場所を特定するには立ち寄った場所が少なく、検索に至るだけの材料としては絞り込みが難しかったのだった。


「やはり、件数が少なすぎますか・・・」


「はい。AIとしては検索は出来るんですが、膨大な数を検索してしまいます」


「検索した場合はどれくらいヒットするんですか?」


「1000件を超えます。あらゆるパターンを想定しますので」


「さすがは名和さんが開発しただけはありますね。高性能が過ぎる」


「それを私達がラーニングさせて成長させるんですよね」


「その通りです。AI・・・人工知能とは成長していく機械の生命体のようなものですからね。少し、休みましょうか」


竹室はみゆきにコーヒーを出し、コーヒーが出された事からみゆきはここからが長くなることを覚悟した。

その瞬間、竹室ゼミの電話が鳴った。

竹室は電話に出ると「わかりまました」とだけ告げ、みゆきに「オーソンも映像を提供しました。アーカイブにあります」と言うと、みゆきはすぐに現地対策本部のネットワーク内にあるアーカイブにアクセスし、そこから提供されたオーソンの監視カメラの映像を"ウィドー"に検索させる。

その結果、パターンは1000件から半分の500件にまで絞り込まれた。

みゆきとしてはオーソンは高校時代に働いていたコンビニだけに「信じていたよ」と呟いた。

500件にまで情報が絞り込まれた分、"ウィドー"は新垣の足跡を算出し、50通りの逃走経路を提示した。


「あとは・・・ファミリーメイトが提供してくれればより精度の高い逃走経路の検索が出来るんですけど・・・」


「どうやら、ファミリーメイト側が提供に難色を示しているようです」


「えぇ?・・・」


この期に及んで何をしているの、と半ば怒りのような感情すら湧いてきた。


「東香川くん、コーヒーが冷めますよ」


イライラが募りそうなところを察した竹室がみゆきにコーヒーを飲むように勧める。

自分が所属するゼミの教授が出したものを冷ましてはいけないと思ったみゆきは一口飲んだ。

ホッと安らぐ温度と程よい苦みはみゆきの口から「ふぅ・・・」というため息をつけさせるほどにリラックス効果を生んでいた。

それが良かったのか、冷静になったところで資料として急いで取り寄せた観光客向けの国際通りの地図に目が留まり、そこにはYoutubeによるライブ配信カメラもある事が書かれていた。


「教授。ファミリーメイトからの映像の提供を待つ間にこちらで特定もしてみましょう」


ライブ配信カメラの広告を指差し、竹室も「やってみましょう」と促した。

引き続き、竹室はファミリーメイトから映像の提供を催促したり、他の国際通りの監視カメラがありそうな場所を現地対策本部へ訊くことにした。

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