団結の力~乗り遅れたバス~
沖縄県那覇市
おもろまち駅
バスプール
振り替え輸送を行っているのは那覇市内を走る首里バス、沖縄交通、那覇交通の3社であったが、予想を上回る旅客数に現場は悲鳴を上げようとしていた。
その原因は言葉が通じない外国人観光客と強引に割り込む不躾な客であった。
外国人観光客には上手く伝わらないまま、「避難」ではなく、あくまで「移動手段が変わっただけ」で同じ人物が何度も何度も振り替え輸送のバスに乗り込む事態が起きていた。
さらにバス会社の職員を悩ませているのはいわゆるオラオラ系の観光客で自分が我先にと割り込んでバスに乗り込んでこちらは「避難のために自分を優先させる」というのがあるようだった。
バス会社の職員はそんな不躾な客の対応のために人員が割かれ、混乱が起きていた。
そこへ援軍の路線バス―北部の名護バス、中部の嘉手納交通と北谷エクスプレス、南部の豊見城運輸のバスが職員と共に駆け付けた。
「名護バスの宇茂佐です。職員の数とバスの数が足りてないという事で2時間かけてきましたよ」
「嘉手納交通の水釜です。英会話ぐらいなら何とか出来ます。外国人観光客は任せてください」
水釜はさっそく外国人観光客にこのバスがあくまで避難用のバスである事を説明しはじめ、安全な場所への避難を促し、宇茂佐は乗り場の整理を始め、割り込みをしようとした客を制する。
さらにバスも観光バスが投入され、3社の他にやんばる観光、普天間観光、摩文仁観光の3社が大型バスで乗り付けた。
「他にも南部の南風原運輸や帝都バス沖縄の観光バスが各振り替え輸送のターミナルやバスプールに向かっているそうです」
次々と現れる観光県を象徴する沖縄本島内のバス会社のバスに今まで対応にあたっていた3社のバス会社の職員は安堵の表情を浮かべた。
「・・・やはり、丸福バスは来ないか・・・」
首里バスのベテランの職員は主に中国人観光客を相手にしている観光バス会社、丸福バス観光のバスが現れない事にがっかりしていた。
「丸福バスは中国系の企業がバックについている日本法人みたいものですからね。こちらの呼びかけには応じないと思いますよ」
中部方面のバス会社である北谷エキスプレスのバス運転手はアメリカンビレッジで中国からの買い物客を乗せる丸福バスのバスを見た事があるらしく、後々、バックに中国系企業がついていて、いわゆる一龍ビジネスの一環である事を知っており、それをベテラン職員に話した。
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沖縄県那覇市
那覇バスターミナル
沖縄交通那覇バスターミナル営業所
沖縄本島から集まったバスを共同で運行するための仮設の運行管理所が設けられ、リモートで各バス会社の本社と繋がっていた。
おおよその道路の渋滞情報も集約され、スムーズな振り替え輸送を行う事になっていた。
「現在、渋滞が起きているのは58号線久茂地交差点から58号線前島交差点まで。なお、若狭通りは現在、別件での那覇松山署による検問を行っている。迂回路としては、330号線と58号線泊交差点以降を利用するように」
日本道路交通情報センターから提供される情報を基に迂回路を設定し、那覇バスターミナル発は作戦展開中の開南方面を避け、おもろまち駅のバスプールからはほぼ全線が出ていた。
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沖縄県那覇市
沖縄県庁
現地対策本部
モノレールの振り替え輸送の情報や修学旅行生の救出作戦の進捗が入ってきていた。
救出作戦は国際通りのホテルに宿泊している4校の修学旅行生のメディカルチェックが終わり、用意された他の宿泊施設へ案内がされている事が報告された。
モノレールの振り替え輸送も沖縄本島全てのバス会社から集まったバスによる輸送は渋滞が発生している道路を避けている事も報告されていた。
そして、爆弾も次々国際通り近辺の店舗から発見され、県警本部の爆発物処理班や自衛隊の不発弾処理班によって解体が進められていた。
だが、ここまで順調に進んでいるように見えるが、テロ犯の少年―新垣研吾の居場所の特定だけが進んでいなかったのだった。
「テロを犯した犯人の少年の居場所の特定はどうなってますか?」
根間知事は県警本部の木谷本部長や自衛隊の宮越、今居に訊いた。
だが、3人とも首を横に振った。
「スリーセブンの映像だけでは特定が難しいです」
木谷本部長は先ほど届いたばかりの科捜研の結果を話す。
そこに公安調査庁那覇事務所の山崎が手を上げる。
「でしたら、他のコンビニの監視カメラの映像を出させましょう」
山崎はすぐに電話の受話器を手に取り、電話をかけた。
すぐに通話が終わると、さらに山崎は「"ウィドー"を使います」と"ウィドー"を管理している人物へ電話をかけた。―――――




