表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〜Past Glory〜  作者: パイナップルの妖精
第五章「色男伝」
43/58

三話「東区」



 東区は色の楽園だ。


 魔界都市には多種多様な種族が存在する。

 その中でも格別に美しい女たちが集い、欲望を満たしてくれるのが此処、東区だ。


 正統派から少しアブノーマルなものまで……あらゆる技法、商法をもってして男たちを満足させる。


 和漢洋、様々な娼館が建ち並ぶ。

 その中を歩いていく大和、右之助、ラース。

 

 大和は奥に佇む巨大な館を指す。

 和式の荘厳な館、まるで城だ。


「あそこに入るぞ」

「へぇ、暗黒桃源郷あんこくとうげんきょうか。東区でも一番の娼館だな」


 暗黒桃源郷。

 東区の頭目がオーナーを務める一番店である。

 ラースは慌てて首を横に振った。


「すいません! 俺、あそこに入れるだけのお金を持ってないです!」

「何言ってんだ、俺の奢りだ。右之助は自腹だけどな」


 右之助は目を丸めると、わざとらしく両手をこする。


「え~? 俺も金が無いんですよ~、お願いしますよ大和さ~ん」

「ケツを蹴るぞ?」

「冗談じょーだん、金ならあるぜ」


 ケラケラ笑う右之助。

 大和もつられて笑う。


 ラースはどんどん話が進んでいくので混乱していた。

 しかし二人に付いていくしかない。


 暗黒桃源郷の前で、何やら騒ぎが起こっているようだった。

 大和と右之助は顔を顰める。


「面倒くせぇな、オイ」

「仲裁してくるか」


 拳をボキボキ鳴らしながら進んでいく二人。

 ラースは顔を真っ青にした。


 これほど頼りになる男たちはいない。

 騒動の主には同情するしかなかった。



 ◆◆



 暗黒桃源郷の前で。

 暴力団の組員が喚いていた。


「なぁ姉ちゃん、いいだろう? 客引きなんかサボって俺たちと楽しもうぜ~?」

「いやっ、やめてください!」

「つれないねぇ。いいのかい? 俺たちが本気になっちまえばこんな館、すぐ瓦礫になっちまうぜぇ」


 分を弁えない三下たちに、周囲の者は冷たい目を向けている。

 他の店員は待機している用心棒を呼びに行っていた。


 三下たちの背後に二名の巨漢が立つ。

 客引きのケットシーの少女は嬉しそうに瞳を潤ませた。


「失せろ、チンピラ」

「死にたくねぇだろう?」


「アア゛?」

「何でぃ」


 三下たちは背負っている得物を抜き放つ。


「いい度胸だ!! 周囲の舐めた奴らごと挽肉にしてやるよ!!」


 そう言い放った三下たちの目に入ったのは、屈強過ぎる男たちだった。

 褐色肌の美丈夫がニヤリと嗤う。


「いいぜ、やってみろよ。やれるもんならな」


 世界最強の殺し屋、大和。


 三下たちは飛び上がった。

 すぐに逃亡する。


「「ヒィィ!! すいませんでした~~ッッ!!!!」」


 情けない声を上げて逃げていく三下たち。

 右之助は思わず笑ってしまった。


 大和はケットシーの少女に声をかける。


「すまねぇな、手荒な真似しちまって」

「いえ! 本当に、本当に助かりました! ありがとうございます!」


 猫耳をピコピコさせて喜ぶケットシーの少女。

 一段落付いた。



 ◆◆



 大和と右之助は会話を済ませると、背後で隠れるように待機しているラースを前に押し出した。


「コイツを頼む。一人前の男にしてやってくれ」

「俺と大和のお墨付きだ。唾付けるなら今のうちだぜ」

「ちょ!? お二人とも!?」


 緊張でかちんこちんに固まるラース。

 周りの娼婦たちは目を丸めた後、揃って黄色い悲鳴を上げた。


「いや~ん! 可愛い~!」

「オーク!? すっごくイケメンじゃない!」

「全然イケるよ! ねぇねぇ! 私と一緒に楽しまな~い?」


 美女美少女たちに囲まれ、ラースは目に見えて狼狽える。

 すると、奥から数名の女性が走ってきた。


「あ~!! やっぱりラースさんだー!!」

「やだ! ラースくんじゃない! なになに~? 遂に女に興味持っちゃった~? なら私選んでよ~! 絶対気持ち良くさせてあげるから~!」

「馬鹿! ラースは私の客だ! なぁラース。私、前からお前のこと気になってたんだ……どうだ?」


「え!? えええええ!!?」


 ラースは目をまん丸にする。

 エルフにサキュバス、獣人族まで……

 どの娼婦も格別の美女だ。


「私がラースさんを楽しませるー!」

「駄目! 私がラースくんと楽しむの!」

「前から言ってただろ! コイツは私が狙ってるって!」


 ラースは引っ張りだこになる。

 大和と右之助は爆笑した。


「ハッハッハ! ラースてめぇこの野郎! モテモテじゃねぇか!」

「これは前から目ぇ付けられてたな! 隅におけねぇ野郎だぜ!」


「ええええ!!? 嘘ぉ!!?」


 驚愕しているのも束の間、店内へと連れ込まれるラース。

 大和と右之助はゲラゲラ笑いながら店の中に入って行った。



《完》



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] チンピラはまあ、用心棒呼ばれてたら消されてたかな? 被害出せばメンツ的に逃がしてもらえないだろうし
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ