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ゴミ溜めVRMMO記録  作者: どうしようもない
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記録.52『ここテスト出ます』

 

 ▷「我儘な頼み」クエスト種別:World

 王女が無理難題を放りかける。

 異邦人達は渋々その頼みを引き受けた。

 ▷クエスト達成条件

 ・〔ぎっしり林檎〕の受け渡し

 ・〔極上蜂蜜〕の受け渡し

 ・〔銀フォーク〕の受け渡し



 突然発生したワールドクエストに、プレイヤー達は騒然とした。

 一回目のワールドクエストから、随分と期間が空いていた為、もう発生しないのかと危惧していたが、一応は発生したことに安堵を覚える。


 しかし、我儘な頼みだぁ?

 今回は王や妃は登場せずに、王女の頼みだ。しかも、これがワールドクエストだと?こんなお使いみたいな内容が???


 俺はクエストの内容を見て、鼻で笑う。

 恐らく、廃人共のほとんども俺と同じ反応をしている事だろう。

 こうしちゃいられねぇ。こんなクエストに駆り出される前にどっかとんずらこいてやろーっと。


 俺がどこに行こうか迷っていると、突然背後から声が聞こえる。


「るーと」


 その声はララだった。

 おう、どうした。お前はワールドクエスト参加すんのか?俺はしないからすぐどっか行こうと思うが…。


 おれがララにそう聞くと、ララは体を揺らしながら言った。


「さんかしないよ、いっしょに鉱石ほりいこ」


 お、いいねぇ。

 俺は二つ返事でララの提案に乗る。よっしゃ!そうと決まったらさっさと行こうぜ!なーに、ワールドクエストもルーキーを育てる一種の試練みたいなもんよ!な!ララ!


「うんっ」


 俺の言葉にララが嬉しそうに頷いた…。




 清々しいまでのゴミっぷり。


 ◇■◇


 カツーン…カツーン…。


 ピッケルが振るわれる…。

 薄暗い洞窟、魔法の明かりと松明だけが俺達の生命線だった。


 カツーン…カツーン…。


 ピッケルが振るわれる…。

 この場所に希望は無く、逃げ出した者は総じて帰ってこなかった。奴らの命の紙(ビブルカード)は燃え尽きた。つまり、そう言う事だ。


 カツーン…カツーン…。


 ピッケルが振るわれる…。

 誰しもが、初めは会話が絶えなかった。しかし、時間が経つにつれて声は無くなっていった。

 カツーン…カツーン…。

 カツーン…カツーン…。

 カツーン…カツーン…。


 ……決戦兵器、俺たちゃ今どのくらい掘ってんだ…?


「…さぁな。言える事は未だに鉱石の一つも出てきた覚えがないって事だ」


 …そうだな。



 カツーン…カツーン…。

 ピッケルが振るわれる。廃人共は囚われる。鉱石を求める狂人幼女の手によって。

 誰もが平等な悪を受け入れる。そうやって、人は生きていくのだから……



 ◇■◇


「逃げるぞ」


 C区画で採掘をしていたエビふりゃーが突然俺達の下に現れる。

 俺と決戦兵器はD区画だ。恐らく、最も近い場所にいたから来たのだろう。


 逃げる?逃げるってなんだよ。

 無茶言え。相手は〈禁忌に触れる者(アンノウン)〉様だぞ。お前が一度負けた相手だ。逃げる以前の問題だろうが。


 俺は奴の提案に苦言を呈す。

 分かったら自分の担当区画に帰れや。お前らだってまだ一個も鉱石出てねぇんだろ?早く一個でも採掘しねぇと…。


 俺の言葉にエビふりゃーは動じる事無く、再び言葉を吐いた。


「ここで燻ってどうする?俺達は名誉ある戦士だ。戦え、戦え、戦え、俺達は立ち止まることは許されない」


 そ、そんな進撃の巨人みたいなこと言われても…

 …ララの奴、一体どれ程の能力を隠しもってると思ってんだよ。

 ユニークスキルはないし、フレーバーテキストには”全ての能力に+補正”しか載ってなかったぜ?どんだけダークホースなんだよ、〈禁忌に触れる者(アンノウン)〉はよぉ…。


 俺達を強制的に働かせるララ。

 奴は、殺人欲求を俺で満たし始めてから、元の調子を取り戻し、好き放題暴れ始めた。元々、嵐が人の皮を被った様な幼女だ。同じ幼女でも、ラミミとは性質(タチ)が違う。




 ……はぁ。

 分かった分かった。確かにいつまでもここにはいられない。行ってやるよ。


 俺の言葉に、決戦兵器がギョッとする。


「お、おい。マジか?ルート、お前……」


 マジもマジ。大マジよ。

 考えてみろ、加速因子(イレギュラー)

 一体いつまで俺達はここにいる?鉱石は出ず、薄暗い洞穴で持ち得るスキルを腐らせる。意味のない行為にも程っつーもんがあるぜ。


 せめて挑戦して砕けようや。


 決戦兵器が頭を抱えて葛藤する。

 決戦兵器は古代兵装に身を包む。それ故に、様々な機能が奴には付随されている。だからこそ、分かるのだろう。ララの強大さを。生産勢トップでありながら、戦闘面でもトップに立とうとしている幼女の恐ろしさを…。


「ぐ、うぅう……ぅぅぅぅ…」


 決戦兵器からガコッ、ガコッと何かが外れる音が鳴る。シューと煙が体中から噴出され、頭の発光部が強く光る。


「行く…行くよ…」


 決戦兵器は決断する。

 俺達はその決断に拍手を送る。素晴らしい、素晴らしいよ、決戦兵器君…!


 ◇■◇


 俺達はとりあえずA、B区画で働いている連中の回収に向かった。

 A区画にはプロペラ、B区画には抹茶、フローがいた。

 元々、A区画にはあと二人、B区画にはあと一人、そしてエビふりゃーがいたC区画にはあと二人、廃人がいた。しかし、そいつらは揃いも揃って、俺達同様に脱出を図り、姿を消した…。


 D区画の俺と決戦兵器は日和って動かなかったがな。



 ……それにしても随分と知り合いが固まってるじゃねぇか。

 俺は誘い込まれている可能性を警戒する。しかし、エビふりゃーは手を伸ばして俺の考えを止める。


「誘いこまれていたとしても俺達は進む必要がある」


 …ああ、その通りだな。

 俺達は各自武器を取り、坑道を進んだ。松明が壁に幾らか立て掛けられていると言っても、暗い。フローが明かりを確保する魔法を、決戦兵器が古代兵装のランプで辺りを照らしているから、少し先まで見えているが、それでも先は不明瞭だ。


 俺は武器以外にも血液腕を準備する。

 その時、プロペラが叫ぶ。


「地面、振動してる!」


 その言葉と共に廃人共は刹那の判断をする。

 抹茶は各自に付与を掛け、エビふりゃーは剣の柄に手を掛け、見切る準備をする。フローは《水魔法》を待機させ、プロペラは地面に耳をくっつける。


 そんな中、俺と決戦兵器はおろおろとする。

 ど、どうするどうする。俺達何する?な、なぁ、決戦兵器、俺達どうすりゃいいよ?


「知るか…!俺は明かり灯すっつー役割があるからマシだけど、お前マジで何もしてないじゃん…」


「そこうるさいぃ」


 俺と決戦兵器のお喋りに、フローが苦言を呈する。

 うるせぇ、肉弾魔導士。てめぇ、あれだぞ。俺が本気出したらぐっちゃぐちゃの――――、


 俺の言葉が紡ぎ終わる前、足元がぼこりと隆起し、その中から魔物が顔を出した。こ、こいつは…!


「む、ムカデ―!!!!」


 抹茶が地面から顔を出した魔物の正体を見て、絶叫する。

 それは、牙を生やした巨大百足(ムカデ)だった。ま、マルヤクデ!マルヤクデみたいじゃね!?


 俺は突然のポケモンっぽい魔物に少し興奮する。


「私、サルノリ選んだからカブさんのところぉ、少し苦戦したんですぅ」


 マジで?俺メッソン選んだせいでルリナさんのところで3連敗カマして、ワタシラガ捕まえいったわ。

 俺とフローがポケモントークに花を咲かせる。


 そんな中、抹茶が混乱のあまり適当な付与魔法を連打する。

 そして、そのうちの一つの付与魔法の名を、”効果反転(逆バフ)”と言った……。


 効果反転(逆バフ)の効果は、今現在バフされている効果全てを反転させるというもの。

 つまり、防御が40%上がっていたら-40%補正になってしまうという事だ。

 抹茶は暇さえあれば俺達に付与魔法を重ね掛けしていた。するとどうなる…?


「ぴぎゃー!」


 プロペラが百足(ムカデ)の牙を喰らって即死する。

 ああ!ぷ、プロペラ君…!そんな…!君が死んでしまったら僕はどう生きていけばいいんだ!


「おいおい、マジかよ…!」


 エビふりゃーも流石に一旦戦闘離脱を図る。


 おいおい!

 本当にそんな弱気でいいのかー!プロペラの仇とれー!お前が最強だ―!さっさとたおせー!


 俺は野次を入れながら、フローと決戦兵器と共に抹茶の気持ちを落ち着かせる。ほーら、大丈夫大丈夫。何も見えないよー。


 俺達は人の壁で百足の姿を隠す。


「何も怖くなーい」


「百足なんていないよぉ」


 俺はフローの放った言葉に激怒する。


 あ!てめ!フロー!

 百足って単語出すなや!その単語出すから怖がっちまうんだぞ!それ出さずに宥めろや!お前、子供あやす才能ねぇよ!戦闘混ざってこい!こっちは二人でどうにかすっから!


「えぇ…理不尽じゃないぃ?」


 理不尽もクソもあるか!

 抹茶は俺と決戦兵器とプロペラに防御アップ重視の付与掛けて、エビとてめぇには攻撃アップ重視の付与掛けてたんだよ!

 バフが反転したとこでお前らは火力と多少の防御が下がるだけだけどな!俺達は、プロペラみたいに即死しちゃうんだよ!後衛が似合ってんだ!分かったら、さっさと不安の元凶取り除かんかいっ!


 俺の言葉にフローが渋々と頷き、戦闘へと参加する。


「抹茶、プロペラを蘇生してやってくれ。出来るか?」


 俺がフローに向かって怒鳴り散らかしている間に、抹茶は多少の落ち着きを取り戻し、決戦兵器の言葉に応答するくらいにまでは回復していた。

 決戦兵器の言葉に従い、抹茶はプロペラの亡骸を抱いて蘇生を行う。


 光が洞窟の天井を突っ切って降りてくる。

 そして、奇跡の所業の如く、目の前でプロペラが復活する。ああ!プロペラ君!死んじゃったかと思った!怖かったよぉ!


 俺はプロペラに抱き着いて泣き喚いた。

 おーいおいおいおいおい。


 そんな俺を、プロペラは抱きしめる。


「ごめんね…」


 プロペラの腕の中は温かい。

 男と男が抱き合い、泣いている。そのどうしようもない光景を決戦兵器と抹茶は見ていた。


「いや、本当に一回死んでるじゃん…」


 決戦兵器が呟く。

 しかし、そんな無粋な言葉は遠くに鳴り響く剣戟の音で搔き消えた……。





「アアーッ!」


 そこから数秒後、突然毒弾を吐いた百足(ムカデ)に狙い撃ちされ、プロペラは死んだ。






 プロペラは二度死ぬ。

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当作品はゴミ共の命によってモチベーションが賄われています。
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