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ゴミ溜めVRMMO記録  作者: どうしようもない
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記録.16『職業システム』

 

 最近の若者には標準機能として”物欲センサー”なるものが搭載されている。

 物欲センサーとは、ガチャなどでこれ欲しい!と思っても、他のゴミばかり出て、目当てのものは一向に出ない…そんな時に働いている力だと言われている。


 そして、エビふりゃーは物欲センサーを馬鹿に出来るタイプの男ではなかった。恐らく、今までの散々痛い目を見てきたのだろう。ゲームの廃人をやるくらいだ。現実の確率が上手く収束しなかった可能性だってある……これ以上はよそう…


 確率は収束する。

 しかし、時に因果律を曲げるかの如く、確率が収束する気配を見せないときもある。


 新スキル解放の土竜戦が良い例だ。

 エビふりゃーは土竜からスキルがもう一度排出されることはない、と考え、それならばと土竜ではなくプレイヤーに的を絞った。


 しかし、このゲームのプレイヤーからのスキル奪取は魔物よりも余程成功率は低い。

 更に付け加え、基本的に魔物よりも多くのスキルを保持するプレイヤー。その数は〔Set・Skill〕十個、〔Strage・Skill〕五個の最大十五個。


 あいつらは馬鹿か?

 俺は呆れた様に廃人共を見つめた。


 今や新スキル争奪合戦はエビふりゃーに触発された廃人共に加え、噂を聞き付けたほかプレイヤーも加わった大規模の戦争と化した。


 そして、恐ろしいことに新スキルは次々とドロップし、それを継承するように新スキルを持つ者は増えた。ヒロアカかよ。


 しかし、未だエビふりゃーは新スキルを奪い取ることが叶っていないようで、血眼で新スキル保持者を探す。すると―――、


「やった~でたぁ~」


 き、ききき、狐面ちゃん!!!?

 狐面は嬉しそうに内臓をほじくり出しながら、喜んでいる。


 エビふりゃーは、その喜びが新スキル奪取の成功によるものだと思ったのか、ギンッと目をかっぴらき、地面を蹴る。ペタンと地面に座り込む狐面に狂人の凶刃が迫る―――!



 ―――ッ!



「何の真似だ……」


 俺は咄嗟に成形し、飛ばした血液盾で、奴の刃を喰いとめる。ぎりぎり、と今もなお奴の刃は盾を打ち砕かんとばかりに力が籠っている。


 エビふりゃー、やめろとは言わない。それを言っちまったら、お前がお前じゃなくなっちまう。

 だけどな、狙う相手がお門違いってやつだ。

 狐面は本調子じゃない。それもこれも、お前がスキルを取ろうと提案したからだ。


 盗るなら他の奴から盗れ。

 狐面から何も奪うな。何も盗るな。何もかもを簒奪するな。


 これは、俺と狐面の約束だ。

 こいつを守る。それが、こいつのママであり、揺り籠である俺の責任だ。


「………」


 エビふりゃーの顔が歪む。

 酷く辛そうに、奴は武器を構えた。


 俺はそれを見て、静かにナイフを構え、血液腕を形成した。



 先手は俺だった。

 血液腕の二方向時間差攻撃は容易く避けられ、受け流される。血液腕が再度攻撃に戻るまでの隙間時間、俺は《疾風》を発動させ、奴の懐へ入る。その瞬間、俺の腹に重い衝撃がずしんと入る。


「ごッ、ッ!!」


 身体の空気が抜ける感じがする。

 俺は戻ってきた血液腕を変形させ、拳付近をより頑強にし、二の腕付近を加速用の血液に変形させて発射する。しかし、エビふりゃーはそれにすら反応する。


 その場で大きく跳躍し、その下を通っていく血液腕にどこから出したか小さな針を二本投擲した。針が刺さった血液腕はそのまま地面へと縫い付けられる。


 くそ……エビ野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!!

 俺はヤケクソで奴に突進する。しかし、そんな破れかぶれの攻撃が利く筈もなく、難なく受け流され、腹を刺される。俺の口から血が溢れる。しかし…これでいい。


 俺の口から出た血液はすぐさまナイフの形をとって、奴の首を狙う…!相打ちだ…!最強廃人様よぉ…!


 俺が笑みを浮かべると同時に、エビふりゃーは己の首筋に出現した血液ナイフを掴んだ。


 なっ…!?

 何故バレた!?バレる要素は一つもなかったぞ!?くそ、くそくそくそ!廃人野郎が…パエリア野郎が!!!俺の血液ナイフは粉々に砕かれ、俺は息絶えた。



 〔エビふりゃーさんが条件を達成…職業の進化を確認…〕

 〔エビふりゃーさんが〔Unique・Skill〕《()るる糸》を獲得…〕



 ◇■◇


 やっと大人しくなったエビふりゃーは、未だ暴れる人々の鎮静化を図った。

 元々はこいつが始めた戦いである。しかし、エビふりゃーの言葉を無視すれば、また奴が殺戮の限りを尽くしてもおかしくない…人々は恐怖によって戦いを辞めさせられるのだった…。



 どうにか戦いは終わり、俺はやっと職業につくことが出来た。

 俺が選んだ職業は〈幸運者〉。

 幸運ステータスに+補正がのる職業だ。


 そして、職業は条件を達成すると進化が可能になる。

 強制的に進化することもあれば、進化するかを保留できる場合もある。基本強制的に進化する職業の方が強力なものが多いようだ。


 そして、俺が職業についた瞬間……


 〔ルートさんが条件を達成…職業の進化を確認…〕

 〔〈幸運者〉は〈教唆者(アジテーター)〉へと進化しました〕


 ええ?

 なにこれぇ。

 突然俺の職業は進化を遂げた。


 教唆という言葉は知っているものの、その意味までは深く知らなかったため、検索をすると次のような意味が出てくる。



 きょう‐さ〔ケウ‐〕【教唆】

 [名](スル)

 1 ある事を起こすよう教えそそのかすこと。「教唆扇動」

 2 他人をそそのかして犯罪実行の決意を生じさせること。



 ……悪役ですか?

 俺は狐面へと泣きついた。これ酷くなぁい?ひどくなぁい?泣いちゃうよぉ。


「元々条件を達成してたのかもね~」


 狐面は眠そうにそう返す。

 そうか…そういう可能性もあるのか。既に条件を達成していたから職業についたとき、その条件に該当する職業に進化しちまったのか……


 なってしまったものは仕方がない。

 俺は〈教唆者〉の補正内容を見る。すると、どうだ。そこに記載された内容はあまりにもひどいものだった。



『全ての能力に-補正。言葉を強くする。』



 ええ?何これ。ほんとに教唆者やれって?教唆者ロールする?俺インポスターします?




 悪役が悪役RP(ロールプレイ)を命じられる世界…。


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当作品はゴミ共の命によってモチベーションが賄われています。
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