第61話【ダンジョン】
武闘大会は俺達の優勝で終わったが、この最後の種目であるダンジョンで全てが決まる。
武闘大会が終わったばかりだと言うのにダンジョン前に集まり、探索が開始となる。
目標はダンジョン内の宝箱の中にある宝を持って帰って来る事。
15階層まであるダンジョンの宝は下に行くほどポイントが高くなるらしい。
そして持ち物は……シルクが作った薬、キュールが作った料理、スバラが運んだ荷物の中にある武器、道具となっている。
「みんなすまん……荷物がこれしかなくて……」
確かに他のチームよりは少ないが、たいした事じゃ無い。
「このくらい平気さ」
「そうよ、武闘大会で優勝した私達にはハンデくらいなきゃね」
「そうね、だからスバラ気にしないで」
「ああ……」
「それじゃ準備して最下層を目指そう!」
全チームが同じ人数なら荷物の少ない俺達が動きやすいはずだ。
さっさと最下層に行って優勝してやる!
「それではこれよりダンジョンに突入してもらいます。 ルールはみなさんわかってますね? 明日の日没までに宝を取り戻って来る事。 戻って来られなかったチームは失格となります……ではスタート!」
俺達は作戦通りに真っ先にダンジョンに入り、1階の宝箱は無視して下りる階段を探す。
「さっさと階段を探して一気に10階まで下りるぞ」
「そこで階層主と対決だな」
10階にはダンジョン特有の階層主が存在しているらしく、11階に下りるにはそいつを倒さないといけない。
初心者ダンジョンだし、そんな強い階層主はいないはずだ。
俺達は順調に5階層までたどり着いた。
「この辺で休憩しよう」
「たいした魔物もいなかったけど……腹減った〜!」
「そうね、下の階に行く前に何か食べておいた方がいいかも知れないわ」
「……えと……こ、これ……」
キュールは全員分の食事を荷物から取り出した。
「これって、キュールが作ったやつか?」
「そ、そうよ……一応合格はもらってるから」
これは料理対決で作ったキュールの料理だ。
「合格なら心配ないか、いただきま〜す!」
「私もいただくわね」
「俺ももらうよ」
「私も」
パクッと……。
「……うん……なんだ……腹に入りゃいいよな」
「ご、ご馳走様……」
「美味しかったわよ」
「……いいわよ、わかってるもの……料理対決って体を壊さない食べ物を作れたら合格なんだもの……味とか関係なかったからね……」
キュールは少し落ち込んでしまっている。
このダンジョン探索に持っていける食べ物は料理対決で作った物だけ……だから体に害が無ければ合格って事なんだろう……。
「うん……確かに味は薄かったり濃い物もあるけど、上手く食べればバランスがいいかも知れない」
「ディーンどう言うことだ?」
「今はたいした疲れも無いから味の薄い食べ物でいい。 だけど疲れが出た時は味の濃い物の方が体にはいいんだ」
「へ〜、よく知ってるよな、これも師匠の教えかい?」
「そうだな」
「先生はなんでも知ってる人だったからね」
「そっか、ディーンと一緒にいたリアンもその人に教わってたのか……どうりで肝がすわってると思ったよ」
「あら失礼しちゃう」
「すまん、すまん」
少し休憩を入れて下の階層を目指す。
俺達より先に行っているチームもあるようだから気を抜かずに行かないとな。
魔物も弱い奴しか出ないので9階まではスムーズにやって来れた。
「この下が階層主がいる階層だ、今一度装備を見直しておこう」
先がわかってるので準備はやりやすい。
突然出てくる魔物の方が危険なくらいだ……いや、もっと危険な奴がいる。
「そこにいるのはわかってるよ、奇襲をしようとしても無駄さ」
俺が歩みを止めて通路の先に声をかける。
「ちっ! よくわかったじゃねーか」
出てきたのは武闘大会で俺にやられた上級者のチーム。
「俺達に何かようか?」
「そうだな、お前らが持ってる物を全てこちらに渡せば許してやるぜ?」
何を言ってるのかわからない……話が通じてないのか?
「つまりどう言うことだ?」
「身ぐるみはいでけって事だ!」
「なんで?」
「なん……そんなのは当たり前だ! 俺達は上級チームなんだぞ! 最下級のチームは上級チームのために働くのが当たり前だろ!」
だめだコイツら……。
「なんだよ、ディーンや俺達に負けたのを忘れて無いだろうな!?」
「忘れてたまるか! あの時の借りも含んでんだよ!」
「抵抗したらどうする?」
「う……や、やってやるに決まってんだろ!」
「そうか、ならやってみるか?」
俺が一歩近づくと……。
「危ない兄さん!」
突然リアンの声。
その声で瞬時に引き下がるが、俺が一歩踏み出た場所には剣が突き刺さっていた。
俺が気が付かないなんて……。
「上手く避けたな……」
「そ、その体は……?」
剣を振るって来ていたのは俺と話していた奴だが、そいつの背中から生えている一本の腕が剣を振るって来ていたのだ。
「くくく……武闘大会では使えなかったが、この力を試してやる!」
上級者チームの全員が体を変異させて行く。
魔法を使う者は顔が2つになり、剣を使う者は背中から腕が4本生えている姿へと変わる。
「な、なんだあれ!?」
「まるで魔物じゃない!?」
「あ、あ……」
「兄さん、あの姿って……」
「その力をどこで手に入れた!?」
「キキキ……変な魔法使いに貰った薬さ。 お前達を殺すための薬って事でな……」
「こ、殺すですって!? この試験でそんな事は禁止でしょ! そんな事をしたらあなた達も失格どころじゃなくなるわよ!?」
「キキキ……証拠も消せば問題ないっ!」
4本の伸びる手が剣を振るう。
「狭い通路に急げ!」
狭ければあいつの腕も、魔法も限られた攻撃しか出来ないはずだ。
「キ……ク、クケケケ! そう来ると思っていた」
後ろにいる奴の魔法が俺達では無く通路を狙って魔法を放った。
「しまっ!!」
通路は爆発により崩れ俺達は生き埋めにされた。
「キ……クケ……ケケケケケ! これで他のチームも殺せば俺達の勝ちだ……クケケケケケ」
読んで頂きありがとうございます。
頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




