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異世界最強勇者の逃亡生活 〜旅する仲間は俺の弟子〜  作者: かなちょろ
第二章 【冒険者学校】

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第59話【長距離走】

 1種目めも終わり、次は荷物運びの長距離走が始まる。

 それと並行して料理対決も始まるのだが、料理対決は手伝い禁止で参加者以外は立ち入り禁止となっているため、他のメンバーは長距離走を手伝う事になる。

 長距離走はスタートに積まれている荷物をどれだけ時間内にゴールへ運ぶかだ……しかも時間までにはゴールにいないといけない。

 結構ハードな種目となっている。

 俺達の競技者はスバラとなり、スタートでは競技者へ荷物を渡す人、ゴールでは荷物を受け取る人が必要で、スタートは俺が受け持ちゴールではリアンとシアンが受け持つ。


「スバラ準備はいいか?」

「もちろんだ! ドンドン渡してくれ!」

「頼むぞ」


 長距離コースは山あり谷あり茂みありとなっているが、コースを大きく外れなければ山を迂回しても良くなっている。

 迂回すれば時間はかかるが走りやすい。

 山を登れば時間は短いが荷物によってはかなり体力を使ってしまうだろう……だけどスバラは全て山を越えて行くつもりだ。


「大丈夫なのか?」

「任せておけよ! この為に毎日体力作りしてきたんだからな」


 スバラが毎日重い荷物を持って走っていたのは知ってるけど……。


 長距離走のスタートが鳴った。

 まずは体力のあるうちに大きく重い荷物を運ぶ。

 他のクラスも同じようだが、山を迂回して行く人もいればスバラのように山を登って行く人もいる。

 この長距離走は夜まで続くので体力配分とゴールまでの道を覚える必要がある。

 だから必然的に同じ道を走る事になるのだが、途中で休むのも自由、食事や給水は荷物の中にある物だけと決まっている。


 始めは割とみんな順調に荷物を運ぶが、日が暮れ始めるとペースはどうしても遅くなる。


「スバラ、大丈夫か? 少し休憩した方が効率が上がるぞ」

「まだ大丈夫だ。 休憩はもう少ししたら食事の時にするさ」

「無理するなよ」


 スバラは思った以上に体力も力もついていた。

 上級者にも負けていない。

 これなら勝てるかも知れないぞ!


 辺りは真っ暗な夜道となり松明や魔法で明かりをつけないと一歩前も見えない。

 スバラは山の中腹で松明を灯し、休憩で食事を摂ろうとしていた。

 そのスバラから見える場所で他の競技者が突然倒れた。


「おい! どうした!?」

「ハァハァ……」

「脱水か? 無茶しやがって……」


 スバラは自分が飲むはずの水を分け与え倒れた競技者を担いで近いゴール地点へと連れていった。


「スバラ! どうしたの!?」

「プハァー……頼む……」


 背負った競技者をリアン達に頼み、重い足取りで荷物を取りに戻って行く。


「これは……、……ちくしょう!!」


 倒れた競技者を背負って連れて行った時、持っていた荷物は置いて行ってしまい戻ってきた時に荷物はバラバラにされ、妨害されていた。

 スバラは荷物をかき集め、両手一杯にかかえ持ち、山道を登る。

 途中何度も転ぶが荷物を落とさないように顔や体で体勢を立て直して泥だらけになりながらゴールへと運ぶ。


「スバラ! どうしたの!? 泥だらけじゃない!?」

「これで拭いて」

「このくらいかまわない……それより時間くっちまった……次が最後になるかも知れない……」

「もういいよ! 十分だよ!」

「そうはいかないさ……ディーンと約束したからな……」


 スバラは山を下り、心配するディーンから荷物を奪い山を登る。

 一歩一歩足を出すが鉛のように重い。

 ガクガクと足が痙攣している……。


「ち……くしょ……」


 長距離走も終了を迎えたがスバラはまだゴール地点にもスタート地点にも戻って来ていない……。

 俺はスバラが登っていた道を走り探すと、荷物を抱えたままゴールまで這っているスバラを見つけた。


「スバラ!」

「…………」


 俺の声が聞こえていないのか、進むのをやめない。


「スバラ! もう競技は終わった! もう大丈夫だ!」


 俺が手を貸そうと差し出すと、気がついたようでスバラは動かなくなった……。


「兄さん! それにスバラ!」


 スバラを抱えてゴールまで運び急いでリアンに回復魔法をかけてもらう。


「……う……うう……」

「スバラ!?」

「……ここは?」

「よかった、気がついたみたいで……、……ここは学校の医務室よ」

「……そうか……」


 スバラは隣に座って看病していたリアンの反対側を向いてしまう。


「……情けねぇ……」


 状況を理解したのだろう……自分が途中で倒れて時間内にゴール出来ずにリタイヤしてしまったことを……。


「情けなくなんかないじゃない! スバラは頑張ったよ!」

「……ありがとよ……もう大丈夫だから1人にしてくれないか?」

「う、うん……何かあったら呼んでね」


 リアンが医務室から出ると、スバラの啜り泣く声が聞こえて来た……。

 読んで頂きありがとうございます。

 頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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